地域猫活動(飼い主のいない猫、いわゆる野良猫対策)について
更新日:2023年7月3日
このページでは、野良猫によるトラブルをなくすための試みである、「地域猫活動」という手法を紹介します。
飼い主のいない猫が問題視される背景
堺市内では、飼い主のいない猫(いわゆる野良猫)が繁殖し、近隣住民の敷地内等で「ふん尿をする」・「車などで爪とぎをする」・「花壇を荒らす」などして近隣の方が迷惑し、苦情が大変多く寄せられています。
飼い主のいない猫が増える原因
屋外での無責任なエサやり
不妊去勢手術を行わないまま無責任に野良猫にエサやりを行っている人がいます。
野良猫への無責任なエサやりは、しばしば近隣住民とのトラブルが起き、動物虐待事件へつながることもあります。 「かわいそう」という思いだけで、不妊去勢手術せずに屋外で野良猫にエサを与えることは次のようなことが起こってきます。
- 猫が集まり、猫の喧嘩による怪我、感染症や交通事故が起こる確率が高くなります。
- エサの放置でエサ自体がゴミになり、不衛生になります。また、カラスなど猫以外の動物がそのエサに集まってくることにつながります。
- 猫同士で繁殖が盛んになり、子猫が生まれ、結果、猫が増えます。
- 猫を好まない人がふん尿などの被害で余計に猫を嫌います。
結果、"無責任なエサやり"は「かわいそう」な猫をさらに増やすことになります。
飼い猫の適正な管理ができていない
飼い猫を屋外へ自由に移動させ、また、明確に所有者明示をしない方がおられるため、屋外にいる猫の飼い主がいるのかいないのかが明確でありません。これは、行政で外にいる猫を捕獲できない理由の一つでもあります。
本来屋内で飼うべき飼い猫を外飼いすると、屋外で野良猫と接触することで、感染症にかかったり交通事故にあったり、繁殖期に妊娠したり、妊娠させたりすることになります。
そして、飼い主が猫を捨てたり(遺棄)、不妊去勢手術をしていない猫を屋外で飼育したりすることで、所有者のいない猫が増えてしまいます。
ここで、「生まれてきてしまった命は大切にすべき(今いる命を大切にしたい)」という意見と、「命は大切でも現状猫に各種の迷惑をかけられ生活に支障が出ているので困る(いなくなってほしい)」という意見が対立しています。
共通する気持ちは、「不幸な猫(飼い主のいない猫)はいないほうがいい」ということです。
「地域猫活動」の考え方・手法
各自治体では、猫による問題を地域で解決するため、「地域猫活動」と呼ばれる方法が進められるようになってきました。このような地方自治体が支援する活動に端を発し、国も平成22年に「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」(環境省発行。以下、「ガイドライン」という。)を作成し、「地域猫」に関する記載をしました。
堺市では、野良猫との共生を推進するため、「ガイドライン」に基づき地域猫活動についての基本的な考え方、手法などを記載した冊子(ガイドブック)を作成しました。
以下にその概略を示しておりますので、野良猫による迷惑を減らしたい人やかわいそうな猫を減らしたい人などがともに地域の問題として取り組む際、ご活用していただければ幸いです。
地域猫活動について
「地域猫」とは
地域の理解と協力を得て、地域住民の認知と合意が得られている、特定の飼い主のいない猫。
「地域猫活動」とは
その地域にあった方法で、
- 飼育管理者を明確にする。
- 飼育する対象の猫を把握する。
- 地域のルール(エサやふん尿の管理、不妊去勢手術の徹底、周辺美化など)に基づいて飼育管理する。
「地域猫活動」の目的
地域住民と飼い主のいない猫との共生をめざし、不妊去勢手術を行ったり、新しい飼い主を探して飼い猫にしていくことで、将来的に飼い主のいない猫をなくしていくこと。ただし、実際に数を減らしていくには時間を必要とするので、当面は、これ以上猫を増やさない、エサやりによる迷惑を防止するなどを目的とする。
実施するためには…
猫による被害の現状を十分認識し、野良猫を排除するのではなく、地域住民が飼育管理することで、野良猫によるトラブルをなくすための試みであることを理解していただく必要があります。地域猫活動は、「猫」の問題ではなく「地域の環境問題」として考えていきましょう。
地域猫活動のながれ
1 活動グループの結成
活動をすすめ、継続していくためには多くの労力を要します。活動への参加に賛同する人を必ず複数、地域の中で募りましょう。
2 活動地域の猫の現状の把握・対象猫の特定
地域猫にしていこうとする猫が何匹いて、それぞれがどのような猫なのか、猫によるトラブル・問題も含め、現状を把握しておきましょう。
3 活動ルールと計画を作成
地域の合意・理解を得るためにも、活動のルールを作りましょう。ルールには、エサやり・ふん尿の処理などの場所・方法などを決めるほか、グループ内で役割分担、ローテーション等を決め、無理なく活動が継続できるよう、体制を作りましょう。
4 地域住民に説明、同意を得る
地域猫活動の実施には周辺住民の理解が必要であり、地域の合意・理解は不可欠です。周辺の人々に十分に趣旨を説明し、理解を得た上で活動を行っていきましょう。すでに猫による被害が多い地域では、猫による迷惑をどうすれば少なくしていけるか地域の方と一緒に考え、少しずつ歩み寄っていくことも重要です。
5 地域への活動の周知を行う
地域で活動を行うことを、より多くの方に知ってもらうことも必要です。地域の中には、飼い猫を屋外で飼育している方もいるかもしれません。不妊去勢手術を実施しようとする猫が飼い猫ではないか、回覧板や掲示板などで周知することも必要です。
6 猫の捕獲、不妊去勢手術の実施、猫のリターン
猫は早ければ生後6カ月で性成熟し、メス猫は1回に平均5匹、1年で最大3回子猫を産みます。地域猫活動に不妊去勢手術は不可欠です。手術済みの猫には個体識別のため、耳にV字カットを施しましょう。
7 飼育管理の実施・継続
水場・エサ場・トイレは地域住民の理解が得られる場所に設置し、管理しましょう。また、世話をしている猫の数、個体識別、健康状態などをカルテなどを作って把握を行いましょう。
地域猫活動への支援
動物指導センターでは、地域猫活動を実施していきたいという地域の方からの相談を随時受け付けています。
また、この活動を実施するグループに対して、捕獲檻の貸し出し、地域猫の不妊去勢手術費用の一部を助成します。
参考ページ:地域猫の不妊手術費用助成を希望される方へ
地域猫活動ガイドブック
地域猫活動は、地域の皆様の理解と協力によって進みます。まずは、ご近所で話し合ってみませんか?
参考リンク
「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」(環境省ウェブサイト)
「飼い主のいない猫」との共生をめざす街ガイドブック」(東京都福祉保健局のウェブサイト)
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