このページの先頭です

本文ここから

I.腸管出血性大腸菌O157とは

更新日:2012年12月19日

大阪大学微生物病研究所細菌感染分野
山本耕一朗助教授提供
小口富明氏撮影

大腸菌は健康な人や牛などの動物の腸管の中に常に存在している細菌で、腸の中にいるかぎりは病気を起こすことはなく、いわゆる常在菌と言われている通常では無害な菌の一種である。
しかし近年このように無害と思われていた大腸菌の中に下痢、腹痛といった腸炎症状をおこす特殊な大腸菌が見いだされるようになった。
そのような大腸菌を病原性大腸菌と呼んでいるが、これらはさらに菌の性質や、起こる症状から5種類のものに分けられている。O157はこの中の腸管出血性大腸菌に分類されている大腸菌である。
1982年アメリカのオレゴン州とミシガン州で、ハンバーガーを食べて食中毒が起こった。
この時の患者の症状が、それまでになく血便を見ることが多く、しかもほとんど血液ばかりといった血便であったので、これまでと菌の性質が異なるのではないかと疑われた。
細菌学的な検査の結果、この菌は、やはりO157:H7という今まで知られていなかった大腸菌であった。
大腸菌は菌の菌体成分の免疫血清学的な反応により分類されるO型と、鞭毛成分の反応から分類するH型があり、その組み合わせで正確な分類が行われているが、その命名による名前がO157:H7ということになる。
この菌は、このように新種であったが、その上にベロ毒素という赤痢菌が持つ毒素と似た2種の毒素を産生することも分かった。
そのためベロ毒素産生性大腸菌とも呼ばれている。
この毒素を産生する性質は重大な意味を持つもので、出血性腸炎という症状のみならず、腸炎症状のおさまった約1週間後に、溶血性尿毒症症候群(HUS)という重篤な病気を起こすことがあるということが分かってきた。
ベロ毒素が腸管から体内に入り、血液を通じて腎臓や脳など体の随所の組織へ運ばれて、そこで毒素の作用が現れた結果、腎不全や中枢神経症状など致命的な病状を起こすのである。
今のところ、この病状を有効におさえる治療法が見つかっていないことも問題を大きくしている。
また、通常の食中毒と比べ、O157は少数の菌で経口感染することが知られている。
ベロ毒素産生性大腸菌はその後O157:H7だけではなく、いくつかの種類が知られているが、O157で起こす感染の頻度が最も高い。

問い合わせ先

調査に関すること
健康福祉局 保健所 食品衛生課
電話:072-222-9925  ファックス:072-222-1406
〒590-0078 堺市堺区南瓦町3番1号 堺市役所本館6階

感染に関すること
健康福祉局 保健所 感染症対策課
電話:072-222-9933  ファックス:072-222-9876
〒590-0078 堺市堺区南瓦町3番1号 堺市役所本館6階

このページの作成担当

健康福祉局 健康部 健康医療政策課

電話番号:072-248-6004

ファクス:072-228-7943

〒590-0078 堺市堺区南瓦町3番1号 堺市役所本館6階

このページの作成担当にメールを送る
本文ここまで