医療や福祉と税金
更新日:2023年1月5日
(1)医療費控除
納税者本人又は生計を一にする配偶者その他の親族のために医療費を支払った場合、市民税・府民税、所得税について一定の金額の所得控除を受けられます。これを医療費控除といいます。
【1】医療費控除の計算方法
1年間に支払った医療費の総額 - 保険金などで補てんされる金額 - 10万円又は総所得金額等の5%のいずれか少ない額 = 医療費控除額(最高200万円)
(注)
医療費は実際に支払ったものに限ります。未払い分は実際に支払った年の控除の対象となります。
「保険金などで補てんされる金額」とは、生命保険からの入院給付金など各種給付金、社会保険などから支給される療養費、出産一時金などが該当します。
【2】対象となる医療費の範囲
診療費、治療費、入院費用などで一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額が控除の対象となります。また、次のものも含まれます。
- 治療、療養のための医薬品の購入費(薬局での購入も可)
- 治療のためのマッサージ、はり、きゅう、柔道整復師の施術費用
- 入院中の食事代、部屋代
- 通院、入院のための交通費
- 医師等による診察や治療などを受けるために直接必要な医療器具(松葉杖など)の購入費
- 療養上の世話を受けるために、特に依頼した家政婦等に支払う費用
- 新型コロナウイルス感染症に関して、医師等の判断により受けたPCR検査の費用
(※)対象とならないものの例
- 健康診断や美容整形の費用
- 予防や健康増進のための医薬品や健康食品の購入費
- 親族に支払う付添費
- 通院のための自家用車のガソリン代や駐車場代
- 日常生活の用を足すための眼鏡、補聴器、松葉杖、車いすなどの購入費
- 新型コロナウイルス感染症に関して、自己の判断により受けたPCR検査の費用
- 新型コロナウイルス感染症の予防を目的とするマスク等の購入費
【3】介護保険サービスと医療費控除
介護保険サービスの自己負担金は、種類によって医療費控除の対象となるものとならないものがあります。なお、医療費控除の対象となるものは、領収書に医療費控除対象となる費用の額が記載されることとなっています。
施設サービスの対価についての医療費の取扱い
(1)医療費控除の対象となるサービスを行う施設名 | (2)サービスの対価のうち医療費控除の対象となるもの | (3)サービスの対価のうち医療費控除の対象にならないもの |
---|---|---|
指定介護老人福祉施設 (特別養護老人ホーム) | 施設サービスの対価(介護費、食費及び居住費)として支払った額の2分の1に相当する金額 | 〇日常生活費 |
指定地域密着型介護老人福祉施設 | ||
介護老人保健施設 |
施設サービスの対価(介護費、食費及び居住費)として支払った額 | |
指定介護療養型医療施設 |
居宅サービスの対価についての医療費の取扱い
(1)サービスの対価が医療費控除の対象となる居宅サービス | (2)(1)の居宅サービスと併せて利用する場合のみ医療費控除の対象となる居宅サービス | (3)医療費控除の対象とならない居宅サービス |
---|---|---|
訪問看護、介護予防訪問看護、訪問リハビリテーション、介護予防訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導(医師などによる管理・指導)、介護予防居宅療養管理指導、通所リハビリテーション(医療機関でのデイサービス)、介護予防通所リハビリテーション、短期入所療養介護、介護予防短期入所療養介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護(一体型事業所で訪問介護を利用する場合に限る)、複合型サービス(前記の居宅サービスを含む組合せにより提供されるものに限る。ただし、生活援助中心型の訪問介護の部分を除く) | 訪問介護(生活援助中心型を除く)、夜間対応型訪問介護、介護予防訪問介護(平成30年3月末まで)、訪問入浴介護、介護予防訪問入浴介護、通所介護(デイサービス)、地域密着型通所介護(平成28年4月1日から)、認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護、介護予防通所介護(平成30年3月末まで)、介護予防認知症対応型通所介護、介護予防小規模多機能型居宅介護、短期入所生活介護(ショートステイ)、介護予防短期入所生活介護、定期巡回・随時対応型訪問介護(一体型事業所で訪問介護を利用しない場合及び連携型事業所に限る)、複合型サービス((1)の居宅サービスを含まない組合せにより提供されるものに限る。ただし、生活援助中心型の訪問介護の部分を除く)、地域支援事業の訪問型サービス(生活援助中心のサービスを除く)、地域支援事業の通所型サービス(生活援助中心のサービスを除く) | 訪問介護(生活援助中心型)、認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)、介護予防認知症対応型共同生活介護、特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム)、地域密着型特定施設入居者生活介護、介護予防特定施設入居者生活介護、福祉用具貸与、介護予防福祉用具貸与、複合型サービス(生活援助中心型の訪問介護の部分)、地域支援事業の訪問型サービス(生活援助中心のサービスに限る)、地域支援事業の通所型サービス(生活援助中心のサービスに限る)、地域支援事業の生活支援サービス |
(注)(2)の居宅サービス((1)の居宅サービスと併せて利用しない場合に限ります。)又は(3)の居宅サービスにおいて行われる介護福祉士等による喀痰吸引等の対価(居宅サービスの対価として支払った額の10分の1に相当する金額)は、医療費控除の対象となります。
【4】控除を受けるための手続き
年末調整では、医療費控除を受けることはできません。収入が確認できる書類(源泉徴収票原本など)、医療費の明細書などを用意頂き、市民税課へ市民税・府民税の申告または税務署へ所得税の確定申告をする必要があります。源泉徴収により所得税を支払い済みの方は、確定申告により所得税の一部が還付される場合があります。なお、平成30年度(29年分)の申告から、領収書の添付に代えて医療費の明細書の添付が必要となりました。領収書はご自宅で5年間保存してください。
(2)医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)【平成30年度から適用】
適切な健康管理の下で医療用医薬品からの代替を進める観点から、健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組(注1)を行う個人が、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る一定のスイッチOTC医薬品(注2)等の購入の対価を支払った場合において、その年中に支払ったその対価の額の合計額が1万2千円を超えるときは、その超える部分の金額(その金額が8万8千円を超える場合には、8万8千円)について、その年分の総所得金額等から控除できます。
(注1)特定健康診査、予防接種、定期健康診断、健康診査、がん検診 (健康診断等の結果通知書等はご自宅で5年間保存してください。)
(注2)要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品
(類似の医療用医薬品が医療保険給付の対象外のものを除く。)
※本特例の適用を受ける場合には、(1)の医療費控除の適用を受けることができません。
控除を受けるための手続き
前記通常の医療費控除を受けるための手続き【4】に同じ。
必要書類
・収入が確認できる書類(源泉徴収票原本など)
・セルフメディケーション税制の明細書
(3)障害者控除
【1】所得税、市民税・府民税の障害者控除
納税者本人が障害者である場合、あるいは同一生計配偶者(控除対象配偶者を含む)、扶養親族が障害者である場合に障害者控除が受けられます。また、障害が重度の場合は控除額が加算されます。
なお、年齢16歳未満である扶養親族(年少扶養親族)に対する扶養控除の適用はありませんが、その扶養親族が障害者である場合には、障害者控除は適用されます。
(ア)納税者本人が障害者の場合
障害者控除 市民税・府民税26万円、所得税27万円
(イ)納税者本人が特別障害者の場合
障害者控除 市民税・府民税30万円、所得税40万円
(ウ)同一生計配偶者(控除対象配偶者を含む)または扶養親族が障害者の場合
配偶者控除または扶養控除 + 障害者控除 市民税・府民税26万円、所得税27万円
(エ)同一生計配偶者(控除対象配偶者を含む)または扶養親族が特別障害者の場合
配偶者控除または扶養控除 + 障害者控除 市民税・府民税30万円、所得税40万円
(オ)同一生計配偶者(控除対象配偶者を含む)または扶養親族が同居特別障害者の場合
配偶者控除または扶養控除 + 障害者控除 市民税・府民税53万円、所得税75万円
(注)配偶者控除、扶養控除の区分と控除額はこちらをご参照ください。
【2】障害者控除の対象となる障害者の範囲
障害者控除の適用対象となるのは、身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳、療育手帳などの交付を受けている方です。また、要介護認定を受けていて、お住まいの区の地域福祉課から「障害者控除対象者認定証」が交付されている方も対象です。
特別障害者は、上記の障害者のうち重度の障害がある方で、例えば身体障害者手帳は1・2級、精神障害者保健福祉手帳は1級、療育手帳はAの認定を受けている方が該当します。