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政策決定の場にもっと女性を ~女と男でフィフティ&フィフティ~

更新日:2012年12月19日

コーデイネーター
伊藤 公雄(いとう きみお)
(京都大学大学院文学研究科教授)
パネリスト
岩本 美砂子(いわもと みさこ)
(三重大学人文学部教授)
北村 春江(きたむら はるえ)
(弁護士・前芦屋市長)
辻村 みよ子(つじむら みよこ)
(東北大学大学院法学研究科教授)

男女平等社会の実現には、政策・方針決定の場への女性の参画が不可欠です。しかし、日本は女性の社会参画、意思決定過程への参画は遅れており、国際的に見ても低水準です。社会が大きく変動する中、人権を基盤とした住民自治と民主主義の具体化を柱に、固定化された性役割にとらわれず、政策能力を磨き、ネットワークすることが重要になっています。政策立案や意思決定の場における男女の比率が“フィフティ&フィフティ”になることをめざし、女性の参画をすすめる具体的な方法について、制度化も視野に入れ議論を深めました。

学生へのインタビュー<上映>

Q.男女共同参画のイメージは?

―男性は結婚しても女性に家事をして欲しいと思っている人が多いなと感じているので、やはり女性が働き続けにくい社会かなと思っています。

Q.女性が働き続けることの不安は?

―女性は男性とちがって出産や子育てがあると思うので、育児休暇や出産に伴う休暇を整えて働きやすい環境が必要だと思います。

―出産して育児休暇を1年か2年とって、2年後に職場に戻ったときに仕事について行けるのかという不安がありますね。

Q.どんな働き方をしたいですか?

―結婚や出産をした後にパートなどの非正規雇用というかたちで働くのはいやなので、自分が働いていた会社に正社員として戻って、男性と同じように定年まで働くことが希望です。そのために、もっと女性が働きやすい環境が整っていったらいいなと思います。
―子どもを産みたい時は子どもを産める環境を提供してもらい、制度的に固からも保障してもらい、会社からも理解と協力が得られるといった働き方がしたいですけど、そのために何をしなければならないかは、今のところ私にもわかりません。

Q.今までに選挙は?

―投票は1回も行ったことがないです。日にちが合わなかったりが多いですが、やっぱり関心がなかったというのがあります。最近は子育てに力を入れている政治家や女性の政治家も増えてきたので見ていますが、誰がなっても一緒かなと思ってしまいます。

現状と課題

伊藤 公雄

 今の学生さんたちへのインタビューを見て、すごくしっかりしていていいなと思いました。

 今回の第1分科会のテーマは、政策決定への女性の参画ということですが、これから若い世代が政治や制度ということにどうやって関心をもっていくのかというのも大きな課題ではないかと感じました。

 今年は女性差別撤廃条約の成立から30年、男女共同参画社会基本法制定10年という節目の年ですが、日本の社会で男女共同参画がどれぐらい動いたかと振り返ってみると、あまり進まなかったという印象があります。もちろん2000年代の初めに、いわゆるバックラッシュという、男女共同参画の動きに反対する一部の政治家や市民団体の方たちの動きがあったのも事実ですし、マスメディアも含めて、ジェンダーという問題に対して大変厳しい批判が起こったこともありました。ただ、それだけが進まなかったことの原因ではないと思います。

 政府は、2020年までに指導的な役割を果たす女性の割合が少なくとも3割を超えるという目標で動いています。国連でこの30%の数字が出たのはかなり前のことで、しかも目標達成年は1995年でした。日本の政府が、国際社会から大体25年遅れの目標を設定しているということも私たちは考えなければならない。また、25年遅れの目標設定が本当に可能なのかというところに来ています。

 この夏には国連の女性差別撤廃委員会から日本政府に対する厳しい勧告が出されました。ただ、少しずつ変化も起こっています。世界経済フォーラムのグローバルジェンダーギャップ指数が昨年までの98位から75位に上昇しました。これは専門職や技術職の割合が増えたことが原因だと説明されています。また、8月30日の衆議院議員選挙で女性議員割合が10%を初めて超えました。少しずつ地殻変動が起こり始めているというのを一方で実感しています。

 問題は、この地殻変動をどうやって加速させていくかだと思います。そういう意味では、この分科会は日本における女性の政治参画の拡大の可能性、それがこの地殻変動を加速させる中でどうやって可能なのかというのがテーマになるのかなと思います。

辻村 みよ子

 日本の政治、行政分野の女性の参画が非常に遅れているということが指摘されておりますが、諸外国ではクォータ制(割り当て制)等のポジティブ・アクションを使って、どんどん参画率を上げているという現状です。今日はそれがほかの国でどのように実施されているかという実態をふまえて、日本に導入するとしたら憲法違反になるのかどうかなど具体的な問題から進めます。

 2009年8月30日の選挙で、日本の女性議員が11.25%と初めて2桁になりましたが、世界的に見れば187か国中123位です。その選挙前は136位でしたので、多少、上がったことは事実ですが。しかし、日本と同じような順位の国は第三世界やアラブ諸国であり、アラブ諸国はクォータ制を導入し始めているため、日本は何もしなければ最下位に限りなく近づいていくと思います。

 世界の両院平均が18.6%、日本の両院平均が13.6%で、アラブ・太平洋諸国よりも少し上というだけで、アジア全体平均(18.6%)よりも相当低く、アフリカ平均(17.8%)よりも大分低いという事実は、必ずしも知られていない。日本は先進国だということだが、遅れの原因について分析もされていないのが現実です。

 参議院については女性議員率は、現在18.2%で、二院制をとっている75か国中36位で、衆議院に比べて比較的いい。やはり拘束式比例代表制が導入されてから右肩上がりに上がっているので、選挙制度との関係が示唆されています。これまでは小選挙区だと、女性は当選しにくかった。これは「地盤・看板・かばん」という「3バン政治」という現状があったため、なかなか女性が出にくかったためです。

 地方議会の方では、全体で10.6%、町村が7.8%、市が12.1%、都道府県が8.2%、特別区が24.9%。都道府県別の比率では、1位東京都、2位神奈川県、3位大阪府と大都市ほどその比率が高い。逆に、九州地区と東北地区が低く、地方の性別役割分業あるいは分担の固定的な観念が非常に強いということだろうと思います。

 次に、ポジティブ・アクションについて見ていきたいと思います。

 用法について、アメリカなどではアファーマティブ・アクション、国連では暫定的特別措置、temporary special measuresという言葉を使っています。

 我々がポジティブ・アクションと言うと、反対する人は一般にクォータ制を考えます。しかも、強制的なクォータ制を考えます。ところが、ポジティブ・アクションの範囲や種類は非常に広く厳格なクォータ制からゆるやかな両立支援型まで多種多様です。クォータ制にも強制型のほか、政党による任意のものもあります。フランスのパリテ(男女同数)は、クォータ制とはちがって、人口比は50%なのだから初めから男女同数が当たり前という考え方です。

 ただ、クォータ制の強制の仕方によっては、憲法違反だという判決が出ている国がいくつかあります。例えばフランスでは1982年に地方議会に25%クォータを導入しようとしたときに、フランス憲法院が憲法違反と判断しました。主権者に男も女もない、だから市民権は普遍的なもので、クォータ制は国民主権の単一・不可分制に反する、という多分に抽象的な議論をしました。ところが、フランスではクォータ制がだめならばパリテということで、男女同数という考えを広めて1999年に憲法を改正して、パリテの制度を導入できるようにしました。

 クォータ制への反論については逆差別のリスクや選挙の際の立候補の自由の侵害などがありますが、このほかには、劣勢のスティグマ(烙印)というのが重要です。例えば女医さんが少ないから国家試験で女性にだけ点を甘くすると、皆が女医さんはレベルが低いと思ってしまう、これは女性にとって大損害です。ですから、こういうときにはなかなかクォータは使えないのです。そういう意味でアメリカでも黒人たちが今やもうアファーマティブ・アクションに対して、ノーを言い始めている。黒人の能力が劣っているということを実証することになるのは嫌だということで、スティグマを超えることが問題になっています。

 しかしながら、国連は、これは暫定的特別措置だからいいのだと説明しています。これは何年間か限りの例外的なもので、将来的に、ずっと劣勢だということにはならない。あとは、実際に女性議員たちが活躍しているのを見れば、女性の能力が劣っているとは思わないでしょう。

 ポジティブ・アクション導入の課題については、必要性と根拠が重要です。根拠としては、女性差別撤廃委員会の勧告や男女共同参画社会基本法、基本計画や憲法14条などもあります。ただ、理論的には、憲法違反になったり、逆差別になりうるという問題がありますから、これは検討を要します。また、実践的には、日本ではポジティブ・アクションと言えばクォータ制、クォータと言えば強制的クォータと短絡的に考えてしまうために、実践的には拒絶反応が非常に強くなっている。ところが、これをほぐして、もっと柔らかいクォータからやっていくことにすれば、十分に実践可能だと考えています。

 いずれにしても、ポジティブ・アクションは劇薬ですから、強い効果を出そうと思うと副作用も出ます。ですから、これを使うことに対してはインフォームド・コンセント(同意)があるということが前提になります。

女性の政治的代表の必要性

岩本 美砂子

 私はなぜ女性の政治代表が増えたのか、そしてなぜ増えなきゃいけなかったのかということをお話しします。

 1960年代後半からの女性運動がぶつかったのは、法律の壁でした。男女雇用機会均等法が必要だ、人工中絶は合法であるべきだといくら言っても、左派とかリベラルと言われている男性も男女の問題になると頭が固く、諸外国でも女性議員が当時は、まだ1桁でした。その中で、「とにかく女性にとって必要な問題です、人権問題です」と言って法律を変えさせましたが、かなり苦労しました。また、行政官も男性ばかりでなかなか話が通じず、ものすごく苦労しました。それだったら最初から議員に女性がたくさんいたらいい、公務員にも、男女平等のはずなのだから女性が半分いてもいい。けれども1割もいないのはおかしいとみんな気づくようになって、女性を公的な場に増やそうという動きになってきました。

 その動きは1970年代から始まっていますので、1985年の世界女性会議ナイロビ大会で30%意志決定の場へと言われましたけれど、そのとき既に諸外国にはかなり積み上げがありました。そして、より女性の参画を広めるために、てことして30%という目標値の設定やクォータを使っていくことになりました。

 日本は全然蚊帳の外かというと、そうではありませんでした。地方議会、今でもまだ10%しか女性議員がいない地方議会ですけれども、1982年には女性議員はl%しかいなかった。そこに優生保護法を改正して経済条項を削るという意見書が地方議会に出されました。その時、こんなに女性の少ない地方議会に、女性の身体に関わることを決めてもらっては困ると、運動していた女性たちが議会にかけあって取り下げさせたり、反対決議をあげさせたりしました。

 そのとき、どうして男性の議員たちはこんなに話がわからないのか、やはり私たちの仲間を議員にしなければいけない、ということに気づき、女性地方議員も1983年から右肩上がりで増えています。これをきっかけに、地方の立法の場に女性が少ないということに直面して日本の女性の発憤があったのです。

 現在、夫婦別姓とか、あるいはドメスティックバイオレンス防止法を改正してデートDVを入れるとかという問題が政治議題に挙がっています。女性議員が増え、そして女性議員が活躍して、女性が実現して欲しい政策がうまく進んだという事例を増やす、あるいは女性議員が進める法律を男性議員が妨害して行き詰まるということを、明らかにすることが必要です。女性議員の必要性が日本でもっとクリアにわかれば、クォータ制も進み、女性議員も増え、日本の未来も少し明るくなるのではないかと思っております。

まずは数から

北村 春江

 私は実践者という角度からお話をします。

 今、ご紹介いただきましたように、平成3年4月に芦屋市長に就任をいたしました。その当時は、地方自治体で女性の首長がおりませんでしたから、日本初の女性市長でした。そのときに敗れた現職の市長さんが「まだ地方自治体の行政は女性では無理ですよ」と言われたことを記憶しております。私自身は弁護士の生活を長くしておりましたから、いきなり男性社会に入りましたが、それに臆するところはなかったんですけれども、当時の助役が「戸惑いがなければうそになります」というようなことを新聞で話しておりました。きっと今まで女性の上司をもったことがないのであろう男性ばかりの雰囲気でございました。市役所では、月曜日の朝に部長以上が集まって庁議をしますが、それは皆男性でした。

 今日のテーマになるわけですが、先ほど言いましたように、部長は全部男性で、市役所の中、管理職は全部男性。最初に私が市長になりました時に、女性の課長がやっと1人誕生していたという時期でございました。そうしたところで、新聞記者が「女性課長を増やすんですか」ということを言われた。しかし、私は「女性だからといって女性課長を増やすというようなことはできない」と、やはり課長としての責任、課長としての力、訓練をしてきた人でなければできません。だから、女性の職員の教育とか訓練をした上でないとできないということを申しあげました。まず、女性が力を得るためにしなければならない、力をつけなければならないという、そういうことが必要になってくるのではないかなと思います。

 女性が管理職になるというのはまだまだ厳しい状況であろうかと思います。ちなみに、今年の4月現在で阪神地区の女性の管理職のパーセンテージを少し申しあげますが、尼崎市11.7%、西宮市20.7%、芦屋市30.4%、宝塚市20.8%、川西市20.5%、三田市21.1%、伊丹市25.6%、平均すれば20%ちょっとです。

 この傾向を見ておりますと、芦屋市30.4%といいますのは、全体に女性職員の数の割合が高い。芦屋市の場合は46.6%、半分近くが女性職員です。小さい市ですから男性職員の応募が少なく、女性の方がたくさん応募して来てくださることもあって、半分近くが女性職員です。女性職員が多いということになりますと、結果的に管理職も多くなります。ちなみに、ほかの地方公共団体を見ると、どうしても男性優位になっている。特に、都道府県はこの傾向が強く、女性が5.4%です。その次が政令指定都市で8.2%。それから、市区町村が8.9%です。

 この段階で考えられるのは、やはり男性優位の感覚と慣行の中から管理職もその割合で当然出てくる結果だろうと思うのです。企業の管理的従業者の数というのは、5,000人以上の会社ですと、会社の42.5%が女性部長を置いています。それから、課長ですと会社の86%以上が置いている。係長が78.5%ということですが、これが小さくなってまいりますと、統計として出てまいりましたのが、30人以上の会社では8.8%、課長が21.1%、係長が32.0%ということですから、やはり小規模の会社では女性管理職の割合としては少なくなっていくということになるかと思います。

 結論から言いますと、まず数で勝負をして、そしてその中で実力で勝負をしていく、これが女性の政策決定の場への進め方ではないかと思います。やはり男女共同参画の中で言われておりますように、男性だけで見る社会、そしてその施策というものは非常に偏っていくと思っております。特に、自治体の行政は、男女が本当に均等で住んでいるわけですから、男性だけで進めていくというのは非常に偏ってしまいます。当然フィフティー・フィフティーの構成ということが必要になってきますし、そのために、数で勝負をしていかなければならないのではないかと思います。

伊藤 公雄

 まだ地方自治体行政は女性では無理ですよと、これ18年前の言葉だということですが、18年で状況は大きく変わった。そのきっかけを北村さんはつくられたと思います。また、現在の男女共同参画社会の基本計画の第2次で、新しい課題として「防災」という問題が出てきていますが、女性の首長として、その大変深刻な震災をきちんと対応されたということもすごく大きな実績だと思います。

(休憩)―この間、各講師への質問を受付けました。―

クォータ制の多面性

伊藤 公雄

 質問の中で、バスに乗るとき等々のいろんな公共の場所で、男性の視点で今までの社会がつくられている、それを変えるには女性の視点が必要じゃないかというご意見がありました。この会場も、男性用の3倍ぐらい女性用のトイレをつくっておかないといけない。女性がつくればそうつくると思いますが、男性の視点で機械的な平等でつくると実質的な平等が進まないということだと思います。そういう意味で、女性の視点が政治に入ってくるということの意味は大変大きいと思います。

辻村 みよ子

 私への質問は、クォータ制の内容に関わるものが中心です。クォータ制というのは、もともとは割り当て制ですから、政治分野だけではなくて、いろんなところで使えると思います。日本でも、男女共同参画会議構成員の40%は女性と基本法で定められておりますので、クォータ制はすでに使われています。いろんな国でいろんな使われ方をしているため、一言でクォータ制といってもいろいろあることを知らなければなりません。

 具体的には、ルワンダは2003年に30%クォータ制が入った憲法をつくりました。ほかに2.5%を青年代表、1.25%を障害者協会から選ぶとか、多様なかたちで割り当てた結果、女性議員率56.3%で世界第1位になりました。これがフランスでいう「半代表制」のように、人口比例で国会を運営していくという一つのパターンだろうと思います。

 ただ、日本国憲法では、こういう議席割り当ては憲法違反だと思います。日本国憲法は43条で国会は全国民の代表だと定めていますので、一部の特殊利益の代表であってはいけないわけです。女性代表であったり、障害者代表であってはならず、選ばれた以上は全国民のために政治をしなければいけないというのがルールです。しかしながら、特殊利益であってはいけないけれど、多様な意思を正確に反映するという意味では、こういう新しい代表制の考え方は有効であると思います。

 クォータ制に対する批判的な意見として、逆差別の考え方があります。要するに、能力もないのにクォータでその地位につけるのはよくないのではないか、というご意見がありますが、これは細かく見ていく必要があります。どういうクォータの場合なのかとか、あるいはどういう状況でクォータを導入すれば逆差別になるのかということを考えていかなければいけません。かなり細かく検討しないと、荒っぽく女性だから優先的に採用することにすると、やはり逆差別にもなるし、憲法違反にもなるかもしれません。

 人種とか宗教とか、文化とか障害の有無とか性的指向とか、いろんな要素が個人にはあるわけですから、ただ女だ、男だというだけでは今後はすまなくなってきます。ですから、そういうことを含めて、できるだけ早く、女だ、男だという議論のレベルを抜け出すことも必要です。まだ今では数は重要ですけれども、早く抜け出すためには個人に注目をすることだと思います。

 ですから、さきほど北村さんが言われたエンパワーメントも、その段階としての数の問題も全く矛盾はしないと考えています。男性の意識改革のためには、もちろん教育も研修も必要ですけれども、何より女性に力があることを見せてあげましょう、できることを見せてあげましょう。そうすると変わってくるというように考えています。

意識の変革

岩本 美砂子

 選挙で、女性がなかなか女性に投票しない、エンパワーメントが遅れているというお話がありますが、女性ならではの視点をもって、身近な問題、特に女性が困っている問題を女性で共有することがあって、議員を出すことが問題となってくると思います。私たちのこの問題をやるために議員がほしいというふうになれば、その具体的な問題を通じて女性の意識も変わっていくと思います。

北村 春江

 私は、男性と女性の能力や熱意、あるいは意欲に差は全くないと思っています。あるのは、個人差だと思っていますので、そういう観点から見ても、女性が管理者になって当然だと思います。

 ただ、数は圧倒的に男性が多い。自治体の場合、女性の管理職が少ないというのは、今の過渡期の状況の中でやむを得ないと思います。男女同権になったのは60年前のことであり、現在は過渡期ですから、男性の意識が少しずつ変わっていけば、男性、女性というような差がなくなる日も遠くはないと思います。

参加者へのメッセージ

辻村 みよ子

 北村さんの、まず数で勝負、次に実力で勝負と言われたのはすごいと思いました。私がクォータ制の話をしていると、何故に数ばかり問題にするのかと言われます。「たかが数、されど数」と答えますが、まず数、そして質、最終的にはパワーが必要です。やはり数のレベルを早く超えて、パワーにしたいと思います。

岩本 美砂子

 フランスは、「民主主義の母国」なのに、EUの中でギリシャと並んで女性議員の割合が少なく、1990年代末にあわててパリテ法の成立に至り、韓国も「我が国は民主国である」というのをあらわそうとして女性のクォータを入れました。日本も「民主国であるには」ということで女性の政治参加を進めることが必要だと思います。

北村 春江

 山が動いているという言葉がありましたように、現実に社会はどんどん動いております。そういう中で、議会の中の女性の割合が50%になったら町も変わるでしょうし、日常生活も少しずつ変わってくると思います。

 そういう意味で、今日お集まりの皆様方が改めて意識をもっていただいて日常的に活動をしていただくこと、これがきっと将来に向かっていい道を聞かせてくれるのではないかなと思っております。

まとめ

伊藤 公雄

 女性の政策決定への参画というテーマで、ほかの国の経験等々もふまえながら、我々に何ができるのかということを議論してきました。すごく印象的だったのは、北村さんは3期、市長を務められましたが、やっぱり最初に出るとき、92年のときには迷われたということでした。女性たちが前へ出るときに一歩とまどってしまう。でも、やっぱり壁を越えていただかなければいけないんだなというのを強く感じています。

 また、日本に合ったクォータ制やポジティブ・アクションの仕組みをどうつくっていくのか。それは政党の動きも含めてでしょうけれど、それを監視、あるいはそれに対していろんな提言をしていかなければいけないなと思います。

 今日ここにおられる方たちは、人々の中に見えるかたちで登場しておられます。もっと男性たちを脅かすべきだというような話もありましたが、それぐらいのお気持ちで男性社会を変えていく必要があると思います。少子高齢社会ですから、今までのように男だけで社会を支えるような仕組みはもちません。男女で支える社会の仕組みの転換に向かって、女性たちの活動の可視化、女性の動きがはっきり見えるかたちでの活動というのが問われていると思います。

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