【ニュースレター】堺アーツカウンシルニュースレターvol.16(2024年11月30日)
更新日:2024年12月10日
堺アーツカウンシルニュースレターvol.16(2024年11月30日)(PDF:1,124KB)
目次
【開催レポート】トークイベント「文化芸術の活動と評価のくねくね道」
チラシ
○登壇者のみなさま○
中村美亜さん(九州大学大学院芸術工学研究院教授)
大澤寅雄さん(合同会社文化コモンズ研究所代表)
常盤成紀さん((公財)堺市文化振興財団事業係長)
青い空のもとあちこちで催し物が行われている10月26日(土曜)、北野田駅の改札をぬけ、すぐに東文化会館に到着しました。
「評価」をテーマに、(公財)堺市文化振興財団と堺ACによるトークイベントを開催しました。チラシの「なんで評価せなあかんのん?!」のように、評価は採点や査定だと思われがち。「活動がもっといきいきする評価ってどうしたらいいん?」と考え、評価を活用する方法を知りたくて企画しました。難しそうな評価の話題を、3人が柔らかく紐解く展開となりました。参加者は堺市内で活動を行う方々、横浜や滋賀、伊丹などから、26人。
前半はひとりずつ。全国の芸術活動の検証調査に取り組まれ事例をひいた大澤寅雄さんは、評価とは腑に落ちることと「わかった!」となることで、人が「成長する」実感につながると話されました。学校などにアーティストを派遣する事業を企画運営する常盤成紀さんは、子ども食堂でのワークショップに調査者を招き入れ、モニタリングや関係者の振り返りを行い、評価を深めて事業を多角的にみつめました。中村美亜さんは「文化芸術と評価」の研究者で現在全国で評価の伴走を行っています。「評価とは価値を引き出すこと」と定義したうえで、改善のためのプロセス評価と説明責任のためのアウトカム評価のように、目的によって評価の仕方が異なることを示されました。評価の主体もさまざま。自分、第三者、ピアレビュー、参加型、発展的(伴走型)が挙げられました。
後半3人のクロストークでは、「評価は文化人類学に似ている」と中村さんは話します。文化も習慣も言語も異なりほとんど外から訪れる人がいない地域に出かけた文化人類学者は、現地の言葉を覚え交流し、そして帰国してから今度はその地域を知らない人に現地のことを言語で伝えていきます。論理的に抽象化した言葉を増やして伝えます。これはまさに「評価」の道筋です。
そして、実務者は目的よりも活動そのものに集中してしまいがちですが、それはそれで自然なことでもあります。なので、評価をする際にはそれぞれの立場に留意する必要があります。そのためには急がば回れ。成果を丹念に洗い出し、真の目標を探ることが大事。また、事業や施策の説明を果たさねばならない人たちがいます。組織内部や上部、首長など、立場が上になればなるほど忙しく時間がありません。だからキャッチフレーズ的に使いやすい短い言葉を抽出し共有することがコツです。
評価について悩んでいるのはあなた一人ではありません。お互いに評価を話し合うメタ評価の場をつくってみるのはいかがでしょう。アーカイブ配信もありますので、ぜひご覧ください。
(PD・上田假奈代)
トークイベントの動画はこちらからご覧いただけます(YouTube)
【調査研究】令和5年度 堺市における文化芸術活動の実態調査
グラフ(来場理由)
堺ACでは、毎年、堺市文化芸術活動応援補助金(以下、「補助金」)の来場者・参加者に対するアンケート調査を実施しています。
本調査は令和5年度で3年目となり、回答数は 887件(R3)、1,744件(R4)、 2,009件(R5)と着実に増加しています。補助金採択事業者のみなさんには調査にご協力いただき大変感謝しています。
令和5年度と前年度の回答を比較すると、補助金事業への来場者・参加者の満足度と、堺ACに対する期待の両方とも高い水準で推移していることが確認できました。(来場者・参加者の総合的な満足度について「たいへん満足」、「まあ満足」と回答した成人の割合96.5%(前年度 96.6%)、堺 AC の目的について「ぜひやってほしい」、「まあやってほしい」と回答した人の割合87.6%(前年度 85.9%))
一方、来場者・参加者の年代内訳では60代以上の高齢者が過半を占めています。これは高齢者への文化芸術振興が行き届いた「成果」とも言えますが、堺ACとして若年層への広報や集客のアプローチの検討、助言などの支援が必要だともいえます。また、来場理由のうち「このジャンルに興味があるから」が 39%と最も高い割合となりましたが、文化芸術の振興という観点からは、それまでに馴染みがなく興味関心の低いジャンルとの新たな出会いのきっかけとなるような取組も求められるのではないでしょうか。
このアンケート調査は今後も堺ACの調査研究として継続し、経年での分析や推移を把握することで、堺市の文化芸術の振興に貢献するよう努めたいと思います。
(PO・大澤寅雄/PO・川那辺香乃)
【視察レポート】野間バレエ団第32回定期公演
公演の様子(撮影:古都英二(テス大阪))
野間バレエ団第32回定期公演を鑑賞しました。出演ダンサーのレベルが高く、非常に見応えのある、素晴らしい舞台でした。プログラムも見事で、クラシックバレエからモダン、創作バレエまでバラエティに富み、最初から最後まで飽きさせない構成となっていました。
特に印象深かったのは「Wingless soul」と題された作品でした。プッチーニ「蝶々夫人」の音楽を使い、出会い、喜び、そして別れを流れるように自然で美しい振り付けによって表現されていました。息の合った二人のダンサーの動きは魅力的でした。
第2部に上演された堺を代表する歌人、与謝野晶子を題材にした「みだれ髪・・・晶子賛歌」も見応えがありました。歌人として、女性の自立を訴える社会活動家として、そして母として、様々な晶子像を言葉を使用せずに身体と動きで表現されており、心に訴えかける作品となっていました。
そして第3部は、バレエの定番ともいえるラヴェル「ボレロ」を野間バレエ団副団長 野間景さんの振り付けで華やかに魅せました。照明も計算されて美しく、群舞が非常に映え、舞台作品としてとても上質な作品に仕上がっていました。公演全体として、とてもレベルが高く、バレエの魅力に溢れた公演であったと思います。
堺の魅力を再構築し創造力を発揮するバレエ団が堺市にあることに感銘を受けました。市民のみなさんにももっと知っていただきたいと思います。
(PO・宮地泰史)
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