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用語説明

更新日:2024年3月21日

「職員の給与等に関する報告及び勧告」で使用されている用語について解説したものです。

用語一覧

解説

情勢適応の原則

 地方公務員は労働基本権の一部が制約されており、勤務条件等は労使交渉ではなく、社会情勢に適応して弾力的に措置するよう、地方公務員法第14条において規定されています。
 人事委員会は、この情勢適応の原則に基づき、民間事業所に勤務する従業員及び本市の職員の給与等の実態調査を行い、人事院の報告・勧告等も参考に、勤務条件を検討するうえで必要となる諸情勢についての調査・研究結果を、毎年、議会と市長に報告し、必要に応じて勧告しています。

職種別民間給与実態調査

 職種別民間給与実態調査とは、地方公務員の勤務条件の情勢適応の原則に基づき、公務に類似する職種(役職)に従事する民間従業員の給与の実態を把握し、公務員の給与が適当であるかどうかを検討する際の基礎資料を得ることを目的として、人事院並びに都道府県及び政令指定都市等の各人事委員会と共同で毎年実施しているものです。
 この調査は、人事院が定めた方法により全国統一の基準で実施しており、対象となる事業所は、公務等を除く全産業の市内民間事業所で、常勤の従業員数(正社員・正職員)が企業規模50人以上、かつ、事業所規模50人以上の事業所から、人事院により無作為に抽出されています。また、対象となる民間従業員は、公務の行政職と類似すると認められる方であり、その方の4月分の給与額、年齢、学歴等を調査しています。この調査により、公務と同種・同等の民間の給与額を集計することができます。

人事院

 公務員は全体の奉仕者という特殊性から労働基本権の一部が制約されており、その代償措置として、公務員の給与等の勤務条件を適正に維持するため、人事行政に関する専門的中立機関として、国においては人事院、都道府県や政令指定都市等においては人事委員会が置かれています。
 人事院は、内閣の所管の下、国家公務員の人事行政の中立性、公正性、専門性等の機能を持つ機関として独立した地位を有しており、国家公務員の給与その他の勤務条件及び人事行政に関する報告・勧告並びにその他人事行政に関する事務等を担当しています。

公民給与の比較

 地方公務員と民間従業員の給与水準の比較に当たっては、同種・同等の者同士を比較することが適当であると考えられることから、公務における一般的な行政事務に従事する行政職の職員の給与額と、民間における事務・技術関係の職種に従事する従業員の給与額を比較しています。
 また、公務と民間では、年齢構成や役職段階等、組織の人員構成が異なることから、単純平均では給与水準を精確に比較できないため、ラスパイレス方式により、役職段階、学歴、年齢要素を揃えたうえで、それぞれの平均値を比較しています。

ラスパイレス方式

 ラスパイレス方式は、ドイツの経済学者であるラスパイレスが提案した計算方式で、異なる集団を比較する際、条件を揃えて比較するための計算手法です。
 公民給与の比較を行う際には、このラスパイレス方式を使用しており、公務と民間の組織の人員構成を合わせて給与額の平均値を計算しています。この方法は、現在、人事院や全国の都道府県及び政令指定都市等でも広く採用されている一般的な計算方法となっています。
 また、国家公務員と地方公務員の給与水準の比較の際にも、ラスパイレス方式が用いられており、国家公務員の給与水準を100とした場合の地方公務員の給与水準をラスパイレス指数と呼びます。

行政職

 地方公務員法上の一般職のうち、一般的な行政事務に従事する職員をさしています。採用時の試験区分において「一般事務」で採用される事務職や、「土木」「建築」「電気」「化学」等で採用される技術職は、この行政職に含まれています。
 本市においては、全職員(企業職員、現業職員及び教員を除く。)の約7割の職員が行政職に該当し、その給料月額は行政職給料表により規定されています。
 人事委員会の給与報告・勧告において、公民給与の比較を行う際には、この行政職給料表の適用を受けている市職員の給与額と民間従業員の給与額を比較しています。

特別職、一般職

 地方公務員の職は、特別職又は一般職のいずれかに分類されます。特別職は、地方公務員法に規定されており、市長、副市長、市議会議員、非常勤の委員等がそれに当たります。一般職は特別職に属する職以外の一切の職と規定されており、通常「職員」という場合は、一般職のことをさしています。
 人事委員会が勧告の対象としているのは、現業職員と企業職員を除く一般職の職員です。

現業職員、企業職員

 現業職員とは、一般職に属する地方公務員で、一般的には単純な労務に雇用される職員のうち、技術者・監督者・行政事務担当者以外の職員であり、技能労務職員と呼ばれる場合もあります。
 企業職員は、一般職に属する地方公務員で、地方公営企業に勤務する職員であり、本市では、上下水道局に勤務する職員が該当します。
 現業職員及び企業職員は、職務内容等が民間従業員と類似しているなど、その他の一般職の職員とは異なっており、地方公務員法で規定されている人事委員会勧告の対象外とされています。

給与と給料

 給与は、給料と諸手当から構成されており、諸手当には扶養手当や地域手当、住居手当等を含んでいます。地方公共団体が支給することができる手当の種類は地方自治法で定められており、実際に支給する手当の種類や額、支給方法については条例で定められています。
 人事委員会の給与報告・勧告において、公民給与の比較を行う際には、手当を含めた給与額を比較しています。具体的には、本市の職員の給与額については、給料月額、扶養手当、住居手当、管理職手当、地域手当、単身赴任手当、初任給調整手当の合計額を用いています。一方、民間従業員の給与額は、毎月きまって支給される給与総額から、時間外手当額(休日手当等も含む。)と通勤手当額を除いたものとなっています。

地域手当

 地域手当は、国家公務員の給与水準に、地域の民間賃金水準を適切に反映するため、平成18年から、従来の調整手当を廃止して支給することとなったものです。
 これは、給料表の水準を平均4.8%(中高齢層は7%)引き下げるかわりに、民間賃金の高い地域に勤務する職員に対しては、地域の民間賃金水準に均衡するよう支給するものです。
 また、平成26年には、国家公務員の「給与制度の総合的見直し」の中で、民間賃金水準の低い地域を考慮して、国家公務員の給料表の水準を引き下げるとともに、地域手当の支給割合と支給対象地域を見直すよう報告されました。
 本市の地域手当は、国家公務員に準じた支給割合としており、この地域手当等を含めた給与額が民間従業員の給与額と均衡するよう、人事委員会勧告を行っています。

給料表

 給料表とは、給料月額が職務の困難及び責任の度合等に応じたものとなるよう定めた表であり、職務の種類に応じて複数の給料表が条例で定められています。本市では、行政職給料表の他に、医療職給料表、消防職給料表、保育職給料表、高等学校等教育職給料表、小中学校等教育職給料表、定年前再任用短時間勤務職員給料表等が一般職の職員に適用されています。

月例給、特別給

 月例給とは、毎月定期的に支払われる給与のことです。また特別給とは、民間ではいわゆるボーナス(賞与)のことをいい、公務員の場合には、期末手当・勤勉手当と呼ばれています。期末手当は生活補給金としての性格、勤勉手当は職員の勤務成績に応じて支給される能率給としての性格を持っています。

標準生計費

 地方公務員法において、職員の給与は生計費や国及び他の地方公共団体の職員・民間事業の従事者の給与等を考慮して定められなければならないとされています。給与勧告の参考資料としている標準生計費は、国の基準に準じて、堺市内における標準的な生活モデルを設定し、その生活に要する費用を「家計調査」(総務省)等に基づき理論的に算定したものです。
 ただし、標準生計費の算定に用いる消費支出は家計全体に占める支出の一部であり、税金や社会保険料、住宅ローン等の支出は含まれておりません。また、「家計調査」の調査世帯数が少ないことから、年により調査結果に偏りが見られることもあります。

給与構造改革

 国家公務員においては、平成17年の人事院勧告に基づき、平成18年から平成22年にかけて、給与制度の改革が段階的に実施されました。
 主な内容は以下のとおりです。

  • 地域間配分の見直し

 地域の民間賃金を反映させるため、全国で最も賃金水準が低い地域を考慮して、給与水準全体を平均4.8%(中高齢層は7%)程度引き下げるとともに、調整手当を廃止して、民間賃金が高い地域に勤務する職員を対象に地域手当を支給

  • 年功的な給与上昇の抑制と職務・職責に応じた俸給構造への転換

 中高齢層の給与水準の引下げにより、年功による給与上昇を抑制
 職員の勤務成績に基づいて昇給幅を決定する査定昇給を導入
 職務・職責に応じて支給される管理職手当について、民間の支給実態を踏まえ、定率制から定額制に改定

 地方公務員においては、平成18年3月に総務省が発表した「地方公務員の給与のあり方に関する研究会報告書」にて、その給与制度は、国家公務員の給与制度を基本とすることとされました。本市においても、平成18年に国家公務員に準じて給与構造改革を行い、給料水準全体を平均4.8%(中高齢層は7%)程度引き下げました。

給与制度の総合的見直し

 国家公務員の給与構造改革で、地域における公務員の給与水準の是正や年功的な給与上昇の抑制が進められましたが、社会経済情勢の変化の下、その後一層の取組を進めるため、平成26年の人事院勧告にて新たな国家公務員の給与制度の総合的見直しが報告されました。
 主な内容は、以下のとおりです。

  • 地域間の給与配分の見直し

 全国で最も賃金水準が低い下位12県を考慮し、給与水準を平均2%引き下げるとともに、地域手当について、支給割合と支給対象地域等を見直し

  • 世代間の給与配分の見直し

 50歳台後半層の給与水準を最大4%程度引下げ

  • 職務や勤務実績に応じた給与配分

 転勤、単身赴任、緊急時の出勤等に対する手当制度の見直し

 平成26年12月には、総務省の「地方公務員の給与制度の総合的見直しに関する検討会報告書」が発表され、地方公務員についても給与制度を見直す必要性があるとの報告がされました。
 本市人事委員会では、平成27年の「職員の給与等に関する報告及び勧告」において、国家公務員と本市職員の公務としての近似性・類似性の観点から、この給与制度の総合的見直しに基づく給料表の水準の引下げと諸手当の見直しを勧告し、平成28年4月から実施されました。

給与減額措置

 給与額は情勢適応の原則等に基づいて決定されるものですが、給与減額措置はこれを期間限定の特例条例により、特例的に減額して支給する措置です。近年では、東日本大震災に対処する必要性等から、国家公務員においては平成24年4月から平成26年3月までの期間、給料月額等の減額が行われました。また、多くの地方公共団体においては、平成25年7月から平成26年3月までの9カ月間、給与減額措置が実施されました。
 本市においては、平成25年4月から平成27年3月までの2年間、給与減額措置を行いました。

賃金構造基本統計調査

 賃金構造基本統計調査(いわゆる「賃金センサス」)は、厚生労働省が実施している調査です。
 この調査の目的は、主要産業に雇用される労働者について、その賃金の実態(月例給や賞与等)を明らかにすることです。
 この目的に沿って、常用労働者10人以上を雇用している事業所を対象に、雇用形態や就労形態にかかわらず調査しており、正社員・正職員以外の労働者についても、パートタイム労働者を含め幅広く調査を実施しています。
 しかしながら、この調査票情報は、勧告を行う際に利用できる情報が前年までのものに限られる、通勤手当を給与月額から分離できない、把握可能な役職段階が限定的であるなどの特徴があり、また、堺市域の調査標本数が十分とは言い難いことから、民間の給与水準を把握し、公務と民間の同種・同等の者同士の給与比較を行う上では、様々な問題があります。

経済センサス

 我が国全ての事業所及び企業を対象として行われるものとしては、最も基本的な統計調査の一つであり、事業所及び企業の経済活動の状態を明らかにし、我が国における包括的な産業構造を明らかにするとともに、事業所・企業を対象とする各種統計調査の実施のための母集団情報を整備することを目的とした基幹統計調査です。

会計年度任用職員制度

 地方公務員の臨時・非常勤職員について、適正な任用・勤務条件を確保するために、地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律(平成29年法律第29号。以下「改正法」という。)が、平成29年5月に公布され、会計年度任用職員制度が令和2年4月から導入されました。
 改正法の主な内容は、以下のとおりです。
 〇地方公務員法の一部改正
  ・特別職非常勤職員を「専門性の高い者等(委員・顧問等)」に限定
  ・臨時的任用職員を「常勤職員(フルタイム)の代替」に限定
  ・一般職非常勤職員の「採用方法・服務規律等の新たな仕組み」を明確化し、労働者性の高い非常勤職員は
   「会計年度任用職員」として任用
 〇地方自治法の一部改正
  ・会計年度任用職員について、期末手当の支給が可能となるよう、給付に関する規定を整備
 また、地方自治法の一部を改正する法律(令和5年法律第19号)が令和5年5月に公布され、令和6年度から会計年度任用職員に勤勉手当を支給することが可能になりました。

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