令和7年度 第2回 堺市環境影響評価審査会
更新日:2025年10月30日
日時
令和7年9月30日(火曜) 午後1時~午後2時半
場所
堺市役所本庁舎 本館3階 第1会議室
出席委員
岩﨑 智宏 大阪公立大学大学院教授
上田 萌子 大阪公立大学大学院准教授
島田 洋子 京都大学大学院教授
清水 万由子 龍谷大学政策学部教授
髙野 恵亮 大阪公立大学大学院教授
中野 加都子 元甲南女子大学人間科学部教授
西堀 泰英 大阪工業大学工学部准教授
宮路 淳子 奈良女子大学研究院教授
宮地 茉莉 関西大学環境都市工学部助教
吉田 恵一郎 大阪工業大学工学部教授
欠席委員
新井 励 大阪公立大学大学院准教授
大島 昭彦 大阪公立大学都市科学・防災研究センター特任教授
金田 さやか 大阪公立大学大学院准教授
田中 みさ子 大阪産業大学建築・環境デザイン学部教授
𠮷田 準史 大阪工業大学工学部教授
傍聴者
0人
議題
南港発電所更新計画に係る環境影響評価準備書について(中間審議)
配布資料
次第(PDF:48KB)
堺市環境影響評価審査会 委員名簿(PDF:115KB)
意見の概要と事業者の見解(PDF:586KB)
南港発電所更新計画に係る環境影響評価準備書についての検討結果(素案)(PDF:7,473KB)
南港発電所更新計画に係る環境影響評価手続の流れ(PDF:107KB)
今後の審議の進め方(PDF:59KB)
議事録
令和7年度 第2回 堺市環境影響評価審査会 議事録(PDF:328KB)
環境共生課長
それでは、定刻となりましたので、ただいまより、「令和7年度第2回堺市環境影響評価審査会」を開催いたします。本日はお忙しいところ、当審査会にご出席いただき、誠にありがとうございます。本日の司会を務めさせていただきます、環境共生課長の藤田でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
本日の会議の定数は15人ですが、ただいま会場で3人、オンラインで6人の合計9人の委員にご出席いただいております。
従いまして、堺市環境影響評価審査会規則第3条第2項の規定により、本会議は成立しておりますことをご報告申し上げます。
なお、新井委員、田中委員、𠮷田準史委員につきましては、本日ご欠席となっております。よろしくお願いいたします。
また、本日の会議は同規則第6条第1項の規定により公開となっております。
傍聴についてですが、本日は傍聴者はおられないことをご報告いたします。
続きまして、堺市の出席者を紹介いたします。環境保全部長の辻尾、環境共生課課長補佐の吉田、同じく環境共生課審査係の眞下、大浦、小西でございます。
最後に、本日の司会を務めております、わたくし環境共生課長の藤田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
以上で、出席者の紹介を終わります。
次に、配布資料の確認をさせていただきます。次第の下の部分に示しております配布資料の一覧の順に確認いたします。「堺市環境影響評価審査会 委員名簿」「意見の概要と事業者の見解」「南港発電所更新計画に係る環境影響評価準備書についての検討結果(素案)」「南港発電所更新計画に係る環境影響評価手続きの流れ」「今後の審議の進め方」をお配りしています。
また、参考として「準備書の本編」と「準備書の要約書」についても、会場でご出席の委員につきましては、各席に備え付けております。
資料に漏れなどはございませんでしょうか。漏れがある場合は挙手または挙手ボタンにてお知らせください。よろしいでしょうか。
それでは、以降の議事進行は岩﨑会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。
岩﨑会長
それでは、本日の議題であります「南港発電所更新計画に係る環境影響評価準備書についての中間審議」について、事務局から説明をお願いしたいと思います。
【検討結果(素案)について、事務局から説明】
岩﨑会長
ありがとうございました。
ただいま事務局から説明がありましたが、委員の皆様から何かご質問がございましたら、よろしくお願いします。オンラインでご出席の委員の皆様は、挙手ボタンを押していただいて、ご質問等よろしくお願いします。いかがでしょうか。
では、私の方から少し質問といいますか、コメントさせていただきます。
全体的に問題がないというところは良いと思うのですけれども、少し基準を超過している部分や、まだこれから少し課題が残っているという部分については、もう少し踏み込んだ表現ができないかなと思いました。
例えば(検討結果素案の)318ページのCO2の排出量のところですけれども、318ページの最後のところの下線部で「火力発電所の脱炭素化に向けた取組を確実に実施する必要がある」というところを、例えばもう少し踏み込んだ表現として「取組を早急かつ確実に実施することを強く求める」という文章に変更するなど、我々審査会としても、もう少し踏み込んだといいますか、もう少し(火力発電所の脱炭素の取組を)強く求めたいと考えています。
特に火力発電所のCO2の排出量については、市民の方からもご質問いただいていると思いますので、やはりこういうところは環境のことを考えますと、もう少し強い印象を与える表現を入れても良いのかなと思いました。(事務局)いかがですか。
事務局
岩﨑会長ありがとうございます。
事業者としては、やはり様々な理由により火力発電所は必要であり、既設の効率の悪い火力発電所を更新することで、全体として二酸化炭素の排出量を減らすことができるとおっしゃってはいるのですけれども、ただそうは言ってもやはり火力発電所ですので、二酸化炭素を一定量排出してしまうという事実はございます。
それに対して、(脱炭素化に向けた)様々な取組を(事業者が)計画されているのは分かるのですけれども、その計画に沿ってやっていただく上で、更にもし可能であれば、できるだけ早急に二酸化炭素排出量を減らせるような取組ができないのか、という意見を審査会として出すことは、当然すべきことだと思いますので、指摘事項の表現につきまして、もう少し踏み込んだ内容にできないか検討した上で、こちらの方で修正させていただこうと思います。
岩﨑会長
はい、ありがとうございます。よろしくお願いします。
他、ご質問等いかがでしょうか。では、上田委員よろしくお願いします。
上田委員
大阪公立大学の上田でございます。ご説明ありがとうございました。
前回の審査会とその後にも陸生植物のことについて、いくつか意見をさせていただきまして、そちらについては、適切に対応していただいていると考えております。
また、先ほどキンランの移植についてご説明していただきましたが、専門家の先生にも見ていただいて、適切に対応していただけるということで安心しております。
ただ、一つ気になりましたのが、移植をされた後に問題なく定着したかどうかの確認といいますか、モニタリングのようなことをしていただけるとより良いのかなと思うのですけれども、今後のモニタリングのご予定ですとか、見通しというものがもしおありでしたら、ご教示いただければと思います。
事務局
上田先生、ありがとうございます。事業実施区域内の工事による改変により重要種が消失する恐れがある場合に、実施する環境影響評価の保全措置といたしまして移植する場合でしたら、移植を行った後に問題なく定着しているかどうかを確認する、というのが一般的ではあります。ただ、そちらについて事業者がどうされるのかというところにつきましては、一度事務局の方から(キンランの)移植後に定着するまで確認されるのかにつきまして、事業者の方に質問をさせていただき、回答いただこうと思います。
上田委員
はい、ありがとうございます。是非そのようにお願いしたいと思います。
こういった工事による案件の場合ですが、移植すること自体が目的と思われてしまい、移植したらもういいだろうというようになってしまっている事例を見かけることがあるのですけれども、やはり移植自体が目的ではなくて(定着が)成功しないと意味がないと思います。適切に対応した結果として移植できなければ、仕方ないとは思うのですけれども、検証するという意味でも、やはり移植後に問題なく定着しているかどうかを見る必要があると思いますので、その対応の方までお願いできればと思います。よろしくお願いします。
事務局
分かりました。ありがとうございます。
岩﨑会長
はい、他にご質問等ございますでしょうか。では、お願いします。
中野委員
ありがとうございます。今のご説明の中の137ページのアンダーラインを引いてあるところで、「ゼロカーボン燃料やCCS等を導入する際に、準備書で予測されていない環境影響が生じる可能性がある場合には、当該技術導入後の施設の稼働に伴う環境影響評価を行い、必要に応じて追加の環境保全措置を講じる必要がある」ということが記載されており、また、同じ内容が最後の指摘事項にも書いてあり、ここは非常に重要な指摘だと思います。
一方で、準備書の本編の13ページの工事工程のところを見ますと、これまで散々廃棄物に関連して、既設のタービン建屋等の撤去について今まで何度も指摘させていただいていたのですが、ここの13ページの工事工程の下の注釈に「既設のタービン建屋等の再利用しない設備については、将来、ゼロカーボン燃料やCCUSなどの導入の見通しが立ち、撤去の必要が生じた時期に撤去計画を策定する計画である」と書いてあります。
この書き方ですと、現時点では時期は分からないけれども、遠い将来にゼロカーボン燃料やCCUSなどの導入の見通しが立ったら撤去計画を策定し、既設の建屋等を壊すなどの工事が始まるということなのだと理解していたのですけれども、今日のご説明の中で事業者の回答を拝見していますと、317ページのところで「2030年代後半にCCS技術の導入または水素混焼運転開始を目指して取り組んでまいります」というように、CCS等を始める時期がかなり具体的に書いてあります。
そうなりますと、CCS等の導入時期から逆算すると、2030年頃にはもう(既設設備の)撤去計画も策定できるというように、既設設備の撤去時期がおおよそ確定できることになると思います。ということは、この全般的事項の指摘事項にも書いてある「準備書で予測されていない環境影響が生じる可能性がある場合には、当該技術導入後の施設の稼働に伴う環境影響評価を行い」という部分についても、おおよそ時期が分かるということになると思います。2030年代前半にはそういうことができるということなので、私が思いますには、ロードマップなどのところに小さくても良いので(既設設備の)撤去計画やCCS等の導入に伴う計画などを記載してはどうかと思うのですけれども。
そして、このアンダーラインが引いてある指摘事項につきまして、「準備書で予測されていない環境影響が生じる可能性がある場合には、当該技術導入後の施設の稼働に伴う環境影響評価を行い、必要に応じて追加の環境保全措置を講じる必要がある」と書かれているのですけれども、ここでの環境影響評価というのは供用後の環境影響評価に入るということですか。この環境影響評価というのはどういうことなのでしょうか。
事務局
(準備書本編の)13ページの工事工程の中には、今先生がおっしゃられたCCSや水素混焼等の設備の増設に伴う撤去工事の内容が入っていませんので、事業者の見解としては、今回の環境影響評価法に基づく環境影響評価の中には、先ほどのCCS等の増設とそれに伴う施設の撤去工事は含まれていないという判断をされていると思います。
一方、今回の検討結果素案の指摘事項の中で、環境影響評価を行うことを求めているのですが、こちらにつきましては、法律や条例に基づく環境影響評価というよりは、事業を実施するにあたってその事業が周辺環境にどういった影響を与えるかを確認するという、いわゆる自主的なミニアセスですね、事業者の自主的な環境アセスメントの中で、今回の法アセスに基づく予測範囲を超えるような影響がないかどうかを確認していただいた上で、影響があると予測される場合には、必要に応じて周辺環境に影響がないように環境保全措置を講じていただきたいという内容の指摘事項になっております。
中野委員
指摘事項として書く文言としては、例えば「導入に伴う具体的な計画も含めて」とか、もう少し「具体的な」という言葉を入れるだけで良いと思うのですけれども。
実際、撤去工事などが計画に入ってきますと、ただ産業廃棄物が増えるというだけではなく、資材の搬出等で交通影響にも非常に大きな影響があると思います。なので、ここで軽く書かれているほど軽い問題ではないと私は思います。ですから、せめてここの指摘事項のところでは、もう一声、「具体的に」と書いていただきたい。例えば「撤去計画なども含めて具体的に」といった言葉を一言入れていただけないかなと思います。
事務局
そうですね。確かに先生がおっしゃる通り、今の指摘事項では「予定している通りに環境評価等を実施してください」というニュアンスになってしまっているので、もう少し踏み込んで「具体的に環境影響がないように確認してください」というような指摘事項に修正させていただこうと思います。
中野委員
はい、ありがとうございます。
岩﨑会長
はい、他にご質問いかがでしょうか。では髙野委員、お願いします。
髙野委員
もしかすると本筋のお話ではないのかもしれないですけれども、本日お配りいただいた資料の中で、準備書に対して提出された意見の概要が記載された資料があったと思います。
その中で「住民説明会の開催回数が少なく、準備書における説明会は会場選定からやり直しが必要だ」という意見が書かれているのですけれども、相場観としてはこの2回というのはどのような感じなのでしょうか。確か方法書の時も大阪市と堺市で1回ずつ開催されていたと思うのですけれども、大体相場観としてそれほど外れているようなものではないという感じですかね。
事務局
そうですね。堺市といたしましても、環境影響評価法に基づく説明会の経験があまりないので、1回ずつの開催が少ないのかというところの判断の基準はないのですけれども、例えば堺市の条例に基づく説明会でしたら、おおよそ影響範囲にある区域ごとに、概ね1回実施されるのが通例かなと思いますので、今回は大阪市と堺市の両方において事業による影響を及ぼす恐れがあると事業者側は判断されているので、大阪市と堺市それぞれで1回ずつ実施されているということになっているのだと思います。
ただ、事業者としても、環境アセスメントに係る説明会というのは、大阪市内で1回、堺市内で1回実施されているのですけれども、当然海に排水しますので漁業関係者とも協議はされていますし、工事を実施しますので周辺の自治会、町会の方々ともしっかりと話す場を持たれているとお聞きしています。
アセスメントに係る説明会に限ってしまうと、1回ずつの合計2回で少ないかなというような印象を受けるのですけれども、それ以外にも定期的に地元の利害関係者の方と協議はされているということはお聞きしておりますので、そういったところで一定説明する機会を確保されているのではないかと考えております。
髙野委員
ありがとうございます。今回は恐らく相場観から見ても、まあ妥当なものであるということで問題ないとは思うのですが、もしかすると場合によっては、住民を代表する自治体として、もう少し説明会の回数を多くしなさいといった意見を市として出すことも可能なのでしょうか。それとも、説明会の開催回数等は事業者が判断する内容なので、市としては特に説明会については言及できないのか、どちらなのでしょうか。
まあ今回は多分必要ないと思うのですけれども、この検討結果素案の守備範囲として、もしもこのような意見が説明会で出た時に、市として説明会の開催回数が不足だと判断した時には(検討結果に)入れられるものなのか、それともこれはもう対象外といいますか、射程範囲の外なのかという、その点はどのような感じなのでしょうか。
事務局
そうですね。例えば準備書に対する意見として、堺市民から(説明会の開催回数が)これでは少し足りないのではないかという意見が出されている場合でしたら、当然堺市としても一定考慮する必要はあるのかなとは思うのですけれども、今回、準備書に対する意見という形で出されているのが、いわゆる一般的な話として、今回の大阪市と堺市におけるアセスの説明会だけ見て回数が少ないのではないかというお話だと認識しております。
特に今回、大阪市内での事業になってきますので、堺市も一応、温排水による海への影響というところで(関係地方公共団体に)入ってはいるのですけれども、海における影響を受ける堺市の利害関係者とは、事業者も密に連絡は取っていますというところなので、そこについてはしっかりとコミュニケーションが取れているのかなと思います。
そのため、後はその地元である大阪市の方で検討していただいて、大阪市内でもう少し説明会が必要ではないかという形になりましたら、恐らく大阪市の審査会意見の中でそういった意見が出てくるのではないかと考えております。
髙野委員
はい、良く分かりました。ありがとうございます。
岩﨑会長
では、次にオンラインでご参加の清水委員、よろしくお願いします。
清水委員
はい、ご説明ありがとうございました。
私は前回の審査会を欠席してしまいまして、十分なフォローができているか少し心もとないところではあるのですけれども、先ほどのご説明の中で、住民説明会を2回開催されて、十何人かの参加はあったけれども意見がなかったというご報告だったかと思うのですけれども、少し不思議な感じがしたといいますか、わざわざ住民説明会に来られている方が何の意見もおっしゃらずに帰っていかれるというのは、どういうことなのかなと思いましたので、もし詳しい状況をご存じであれば、(住民説明会で)質問なども一切出なかったのか、また適切な質疑応答の時間や説明の方法が取られていたのかとか、そういったところについてご説明いただければというのが一点です。
それからもう一点なのですけれども、会議資料の中の「準備書についての意見の概要と事業者の見解」というものを拝見しまして、こちらは審査会の委員の方からの意見に対する事業者の見解ということだったと思うのですけれども、しっかりと答えていただいていると思うところもある反面、ほとんど答えになってないといいますか、具体的な数字を挙げて指摘されたことに対して「一層努力します」であるとか「最大限取り組みます」といったような、非常に曖昧かつ抽象的な言い方で(事業者の見解を)示されている箇所が少なくないように感じました。
これだと環境アセスメントのコミュニケーションになっていないのではないかと私は感じたのですけれども、その意見を出された委員の方は納得していらっしゃるのかということも少し気になりますし、審査会としてこういうやりとりで良いのかということは、非常に疑問に感じました。もう少し審査会の意見に対して誠実に答えていただかないと環境アセスメントの意味はないのではないかと感じましたけれども、いかがでしょうか。
事務局
一点目の住民説明会の状況につきましては、私も堺市民ではあるので、市民として参加してきた状況を申し上げますと、事業者説明の内容につきましては中野委員からのお話もあった通り、撤去工事の部分なども含めて丁寧に説明されていたかなと思っています。おおよそ前回の審査会の時に説明いただいた内容をより丁寧に説明いただいたかなという印象を受けました。
それから質問の時間になりまして、私の方は特に質問はしなかったのですけれども、事業者の方から「質問の時間ですので、是非ともご質問あればこちらの方の質問欄にご記入ください」という声かけは何度もされていましたので、充分に質問する機会はあったのかなと思います。ただ、結果としてお話を聞きに来たという方が多かったのか、事業者の説明でご納得いただいた方が多かったのかなとは思います。以上が一点目の説明会の状況になります。
続きまして、2点目についてなのですけれども、確かに事業者の回答として、数値を示して具体的に予測をこのようにしましたという形で出していただいているところもあれば、「最大限努力してまいります」というような、曖昧な回答になっている部分は確かにあるのかなとは思います。
具体的に清水先生が特に気になった事業者回答は、どちらの部分になるのでしょうか。
清水委員
そうですね、かなりの数あるといえばあるのですけれども、「準備書についての意見の概要と事業者の見解」についてまず申し上げますと、意見の1番目のところですが、意見として、様々な国際的科学的な知見と今回の計画の整合性につきまして、具体的に指摘をされているわけですけれども、それに対して「火力発電が必要だ」という見解を示されています。それは確かにそうなのかもしれないのですけれども、「将来的な脱炭素化を前提とした新設・リプレースを一層推進することが示されています」ということだけ書かれていて、それが様々な目標値に対してどれぐらい貢献するのかという部分の説明はないと思います。
それから、このあたりは全部そうなのですけれども、4番目の意見のところで、二酸化窒素のバックグラウンド濃度が高い場所に、施設を更新してまた火力発電所を作るということが不適切だという指摘がなされています。それに対する事業者見解として、窒素酸化物の排出濃度を国内トップレベルの4ppmとする計画であり、その上で集合煙突にすることにより低減を図りますということなのですが、こちらはご指摘に対してあまり回答になっていないのではないかといいますか、あまり判然としていないように感じました。この辺りの事業者見解はいずれもそのように感じました。
それから続けて申し上げますと、検討結果素案の方ですけれども、こちらの39ページ以降に「配慮書に対する経済産業大臣の意見及び事業者の見解」ということで表を掲載していただいているのですけれども、「1.総論の(3)」の大臣からの意見の最後の方で「1.5℃目標と整合する形でCO2排出削減の取組の道筋が描けない場合には、稼働抑制や休廃止などを計画的に実施することも含め、あらゆる選択肢を勘案して検討すること」と書かれています。やや具体的に踏み込んだ意見かなと私は受け取ったのですけれども、それに対して「引き続き、ゼロカーボン燃料やCCUS等の早期導入に取り組むことで、2050年ゼロカーボン化に係る具体的な方策や工程を早期に確立し、実行に移してまいります」という事業者の見解を示されています。
ただ、その内容を拝見しましても、1.5℃の目標に整合しない場合には稼働抑制や休廃止といったことは検討するのかどうか、その可能性があるのかどうかも良く分からない回答だなと感じました。この調子で全部言及していますと時間が掛かってしまうので、ひとまずそれぐらいにしておきますが、以上の点が気になりました。
事務局
先生、ありがとうございます。今おっしゃられた通り、準備書について提出された意見に対する事業者の見解として、比較的曖昧な表現になっている部分は確かにあると思います。また、窒素酸化物につきましては、元々バックグラウンド濃度の時点で0.045や0.052という若干高い値を示す地点がありますので、確かにその寄与濃度自体は小さいけれども、そこに(火力発電所を)建てるのはどうなのかという意見もあると思います。
ただ、堺市といたしましては、今回の窒素酸化物に係る予測地点が大阪市内になっておりまして、方法書の意見等でも大阪市や大阪府が「ここは比較的窒素酸化物の濃度が高いところなので、できる限り窒素酸化物の濃度が高くないように対処してください」という意見を出されていることから、今回の準備書でもそういった議論をされて、同様の意見を出されるのかなと考えております。
また、全体としては国の(二酸化炭素排出量削減の)目標もある中で、こういった火力発電所を建てるのはどうなのかという部分につきましても、清水先生からも配慮書の時からずっとご意見をいただいていましたので良くご存知かなとは思うのですけれども、確かにそこをどうしていくのかについて、もっと具体的な内容を事業者の方に示していただきたいというのはあります。
ただ、先ほどおっしゃられた経産省の意見のところにつきましては、方法書段階でその回答を作っているという事情もありまして、先ほど中野先生がおっしゃっていた「脱炭素化ロードマップ」が回答作成以降に出ており、その回答を作った段階ではまだ全然見通しが立っていないことから、あのような曖昧な見解になったのかなと思います。
一方で、今回は準備書の段階で、改めて具体的な脱炭素に向けたロードマップを示していただくよう事業者に求めたところ、2030年代から2040年代にかけてCCSまたはゼロカーボン燃料を使うことでCO2の排出量を減らして行きますという、ある程度具体的な内容を示していただいていたと考えております。とは言うものの、将来の二酸化炭素排出原単位が0.25キログラム-CO2/kWhという目標値を達成できていないことから、審査会の指摘事項の中で、その達成に向けて脱炭素化の取組を実施する必要があるという指摘をしております。
ただ、先ほども先生からご指摘があった通り、もう少し踏み込んだ内容にすべきという部分はありますので、もう少し指摘事項に文言を追加させていただこうと考えております。
また、もし清水先生から、もう少しここの部分について事業者に具体的に回答して欲しいというところがございましたら、事務局の方に質問したい内容をメールで送っていただきましたら、事務局から事業者の方に「ここについてもう少し具体的に回答してください」という形で質問させていただきますので、後日でも結構ですので、メールで事務局の方に送っていただければと思います。以上です。
清水委員
よろしいですか。少しだけレスポンスさせていただきます。
ありがとうございました。では、具体的な記述や少し修正していただきたいところは、メールでお送りしようと思います。
それから窒素酸化物のことについては、大阪府の審査会でも指摘があるのではないかということですけれども、堺市で指摘しなくて良いこととも言えないように私は感じるのですが。すでに環境基準のゾーン内であるということが分かっている時に、そこに企業が窒素酸化物の排出を予想されるような施設を作るということなので、温室効果ガス等については指摘事項に書いていただいてるのですけれども、窒素酸化物排出量に対する配慮やそれを低減させる取り組みを求めるということも、何か表現ができたら良いのではないかなと思いました。すみません、長くなりましたが以上です。
事務局
すみません、事務局です。先ほどのご意見につきまして一点だけ補足させていただきたいのですが、「準備書について提出された意見の概要及び事業者の見解」に掲載されている「意見の概要」につきましては、環境影響評価の手続きの中におけるパブリックコメント、つまり市民への意見募集に対して提出された市民の方の意見になっております。
そのため、こちらの「意見の概要」というのは、堺市の審査会からの意見というわけではなく、こうした化石燃料で発電するのがあまりよろしくないという意見をお持ちの方からの意見に対して、事業者の見解が出されているということになっています。
なので、こちらの意見を参考にして、審査会の意見をまとめていただければと考えています。そのため、こちらの意見に対して一理あるな、そこについての事業者の見解がどうかな、ということがありましたら、事務局にお伝えいただければ、事業者にその部分について確認いたします。
清水委員
はい、わかりました。失礼いたしました。ありがとうございます。
岩﨑会長
はい。他にご質問等いかがでしょうか。
では、オンラインの島田委員、お願いいたします。
島田委員
資料の検討結果素案の266ページにつきまして、内容に異論はないのですけれども、事業者回答の下のところで事業者の方が、流速が弱いことの判断材料ということで他の地点の例として、西条発電所リプレースの事例と姉崎の火力発電所のリプレースの事例を挙げられています。
ですので、この下の審査会意見のところで「また、他の火力発電所のアセス事例と比較しても」と書いてあるのですけれども、他の火力発電所のリプレースのアセス事例と比較しておられるということですので、少し細かい話ではありますが、他の火力発電所のアセス事例は数多くあると思うので、今回の事例と同じリプレースの事例の中で他と比べても、今回の流速がそれほど強くないということを確認しているという意味でも、その部分に「リプレース」という文言を追加した方がより分かりやすいのではないかと思いましたので、そこだけ付け加えていただければと思います。以上です。
事務局
先生、ありがとうございます。確かに「他の火力発電所のアセス事例」と書いてしまいますと、新設も含まれるということにもなりますので、先生がおっしゃられた通り「他の火力発電所のリプレースのアセス事例と比較しても」という形に修正させていただこうと思います。
島田委員
はい、よろしくお願いします。以上です。
岩﨑会長
はい、では他ご質問いかがでしょうか。よろしいですかね。
では無いようですので、委員からの質問は以上となります。
それでは続きまして、今後の審議の進め方について事務局から説明をお願いいたします。
【今後の審議の進め方について、事務局から説明】
岩﨑会長
事務局から今後の進め方について説明がありましたが、委員の皆様から何かご質問等はございますでしょうか。よろしいですかね。
それでは、本日の議題はこれですべて終了となりますけれども、全体を通して何かご意見、ご質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは議事については以上とさせていただきまして、事務局にお返しいたします。
環境共生課長
本日は岩﨑会長をはじめまして、委員の皆様方には大変お忙しいところご審議いただきまして、誠にありがとうございました。
それでは、これをもちまして、「令和7年度第2回堺市環境影響評価審査会」を終了させていただきます。
オンラインでご出席いただいている委員の方におかれましては、切断ボタンを押していただき、「ミーティングから退出」を選択して、Webexを終了していただきますようによろしくお願いいたします。本日は、どうもありがとうございました。
以上
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