浪華本染め(注染)・和晒
更新日:2025年4月25日
注染・和晒は、石津川沿いの津久野地域(西区)・毛穴地域(中区)で発展した堺の伝統産業です。
浴衣や手ぬぐいなど、現在も伝統的な技法により色鮮やかで多種多様な製品が生み出されています。
伝統的な手法で美しく染められた注染・和晒製品に触れ、堺の伝統に思いを馳せてみませんか。
令和7年度 注染・和晒の実演見学、注染浴衣の試着体験、注染製品の販売、展示
実演見学と注染浴衣の試着体験
実演見学
5月16日(金曜) 11時、13時30分(2部制。ただし、開始時間が当日に変更されることがあります)
場所:西区役所1階玄関ホール
注染職人による「糊置き」「土手引き」「注ぎ染め」等の染工程の実演をします。
美しく染める伝統技法を間近でご覧ください。
注染浴衣の試着体験
注染浴衣を試着して、注染の実演の見学や、西区マスコットキャラクター「ニッシーちゃん」と記念撮影ができます。
浴衣の着付けは、西区役所職員等がお手伝いします。
記念撮影には事前申込が必要です。
5月7日までに申込書をFAX、メールで
西区役所政策推進室(FAX275-1915 ✉nishikiso@city.sakai.lg.jp)へ送信するか、
政策推進室窓口に直接提出してください。
抽選結果は、当選者のみに5月9日(金曜)15時までに通知します。
申込書は、このホームページか、政策推進室窓口でも入手できます。
必ず申込書裏面の趣旨・注意事項をご確認の上、お申込みください。
注染製品の販売会
日時:5月15日(木曜)・16日(金曜) 午前10時から午後4時まで
場所:西区役所1階玄関ホール
手ぬぐい、ガーゼハンカチ、こども用浴衣などを販売します。
手ぬぐい
ガーゼハンカチ
こども用浴衣
日傘
展示
日時:5月13日(火曜)~5月16日(金曜) ※5月16日(金曜)は午後4時までです。
場所:西区役所1階玄関ホール
鮮やかな色合いと自然なぼかしで染められた手ぬぐいや、染の工程などを展示します。
令和6年度の展示会の様子
令和6年度の展示会の様子
注染・和晒について
注染は、和晒の生地に糊(のり)で土手を作り、染料を注ぎ込む日本独自の染色技法です。
「ぼかし」などの独特の柄の表現をはじめカラフルな多色染めができ、染めた生地に裏表がなく、長く利用してもほとんど色あせないのが特長です。
和晒は、綿布から糊・油などの不純物を取り除き、漂白された小巾(こぎん)木綿のことで、洗うほどに柔らかくなる優しい肌触りの生地です。
注染は令和元年11月に経済産業大臣から「浪華本染め」として国の伝統的工芸品に指定され、手ぬぐいや浴衣だけでなく日傘やマスク、エコバッグなど幅広い用途で重宝されています。
注染の作業工程
1 糊置き(のりおき)
和晒生地を糊付台の上に置き、デザインを施した型紙を生地の上に乗せます。
「木べら」と呼ばれる道具を使って、防染糊という染料を通さない特殊な糊を均一に塗ります。
生地を折り返して、この作業を一枚一枚に繰り返します。
糊を付けた部分には染料が染み込まず、付いていない部分に染料が入っていきます。
2 土手引き(どてびき)
糊置きした生地を染め台の上に置き、防染糊を絞り出して「土手」と呼ばれる囲いを作ります。
この作業により土手で囲った部分から染料がはみ出なくなります。
3 注ぎ染め(そそぎぞめ)
土手で囲まれた部分に「ドヒン」と呼ばれるじょうろのような道具で染料を注ぎ込みます。
同時に下からポンプで染料を吸引し、生地に均等に浸透させます。
裏面にもこの作業を繰り返すため、糸の芯まで染まり、表も裏も同じ柄が同じ色合いで出ます。
4 水洗い
染め上げた生地を洗い、余分な染料や糊を落とします。
5 脱水・乾燥
水洗いの終わった生地を脱水機にかけ、天日干しや室内の乾燥設備で乾かします。
「ダテ」と呼ばれる干場の梁から生地を吊るすため、「ダテ干し」と呼ばれています。
(各工程の写真はいずれも北山染工場から提供されたものです)
注染職人 北山雅啓さん
日本の伝統工芸士の認定証を掲げる北山さん
北山雅啓さんは、西区にある株式会社北山染工場の代表取締役を務める注染職人です。
日本の伝統工芸士(経済産業大臣認定)・堺市ものづくりマイスターとして知られています。
小中学校、高等学校、専門学校などでの実演、学生の工場見学の受け入れなど、注染の普及や後進の指導にも力を入れています。
注染職人になったきっかけや創作への情熱などを伺いました。
注染職人になるまで
このお仕事を始めたきっかけを教えてください
私の親が注染の工場を経営していたこともあり、幼少期から干場で遊ぶなど、慣れ親しんでいました。高校時代には工場でアルバイトをしていました。
卒業後は別の道に進みましたが、22歳の頃、特に迷いなく親の経営する工場に入りました。
注染職人になって
最初はどのようなお仕事をされていましたか
糊炊き、排水、洗いの手伝いなどをしていました。ひと通り経験を積んでから、親から工場を承継しました。
お仕事をする中でやりがいを感じるのはどんな時ですか
良いものをつくれたと実感できた時にやりがいを感じます。発注してくれた人の要望も多様化し、苦労もありますが、お客様に喜んでもらえると、すべてが報われた気持ちになりますね。
私は板場(型枠を操作して防染糊を置いて型ごとに生地を折り畳む作業のこと)の部門で伝統工芸士の資格をいただきましたが、精進が必要ですね。この道に入って40年が経ちますが、日々自己研鑽しなくてはならないと気を引き締めています。
手ぬぐいだけでなく、こども用の甚平も人気がありますね
ありがたいことです。地元である津久野町の手ぬぐいを作った時、皆さんに喜んでもらえたのは印象深いです。
浴衣
こども用甚平
こども用浴衣
手ぬぐい
手ぬぐい
手ぬぐい
コロナウイルス感染症が5類に移行した後の状況はいかがですか
コロナ禍では、夏まつりなどのイベントが中止され、注染製品の発注が激減していましたが、5類に移行した後は祭りの復活や、外国人観光客の急増もあり、ひっきりなしに注文があります。
ありがたいことですが、注文に応えるためにも、後継者をどう確保していくかが喫緊の課題です。
展望
これからどんなことに挑戦していきたいですか
若く、志のある人に「注染職人になりたい」と思ってもらえるよう、後継者を発掘・育成していきたいです。
工場見学の依頼も受け付けていますし、高校や着物の専門学校などで注染の実演もやっています。
今後も注染を広めていき、魅力ある業界にしていきたいですね。
西区のみなさんに一言をお願いします
西区役所で毎年注染製品の展示や実演、販売会を開かせてもらっていますし、ぜひ足を運んでほしいです。
「西区にも伝統産業がある」ということを広めていきたいです。
工場見学も随時受け付けています。予約してもらえれば染め作業の体験もできます。ぜひお越しください。
北山さんの工場
北山染工場
西区津久野町3丁5-12 電話番号072-262-5707
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