特殊容器(丸正びん)について
更新日:2023年11月1日
いつもの「びん」の秘密
びんと「正」の字
日本酒や醤油のガラスびんをよく見ると、正の文字をデザインしたマークが刻まれているのに気がつきます。
これは特殊容器マーク、別名、丸正マークとも呼ばれる印です。
液状の商品を販売するための容器(びん)の中には、体積を計量する代わりに、ある高さまで満たした場合に正しい量が確保されるように製造された透明又は半透明のものがあります。
特殊容器マーク(丸正マーク)は、そのような容器(びん)に付けられています。
計量法と計量器とびん
(経産省HPより)
計量法第16条は原則、取引・証明に計量器でないものでの計量を禁止しています。したがって、三角定規(平行線や垂線を作図するためのもので長さを測るものではない。)やバケツ(液体や石炭やごみなどの固形物の一時的な保管や運搬用の容器で体積を量るものではない。)などを取引・証明業務の場で計量に用いることはできません。
一方、体積においては、経済産業大臣から指定を受けた者(指定製造業者)が法令が定める要件(形状、材質等の性能に係る技術上の基準、試験の方法及び検査の方法の基準)を満たして製造した容器を第17条で特殊容器(丸正びんとも呼ばれています。)として、計量の際に使用することが認められています。但し現在、特殊容器の使用が政令で認められているのは、酒類、牛乳や醬油など、計12種類の商品のみです。それ以外の商品は使用が認められず、認められている商品についてもそれに対応した規格があります。よって、容量が正しくても一升びんで灯油を売ることはできません。また、牛乳をビールびんで販売することも認められません。
丸正びんの歴史
丸正びんの誕生
1950年頃、液体は体積を1本1本計量してから充填し、検品も同様に行って販売していました。
それを効率化すべく形状や検定等の基準等を定めた瓶を作り、充填される内容物の液面の最下部から特殊容器を置いた平面までの垂線の長さ(入味線高さ)について特殊容器の容量に応じた高さまで中身を満せば、自然と正しい量が確保されるようにしたのでした。(例えば、びんを一列に並べて液面の高さ比べをすれば、不足しているものが簡単に判明します。)
なお、ビール大びんの容量は633mLと決められています。何故こんな中途半端な数字なのかというと、ビールも造られ始めた頃は四合(720mL)が主流でした。しかし時代とともに量が減り、様々な大きさのびんが流通。1919年に酒税徴収の絡みから当時最も小さい三合五勺(630mL)に統一されたところからきたのです。そして、3mLは底上げしていたびん底を平にしたための増加分だそうです。
丸正びんの今後
現在は缶や紙パック、ペットボトルといった1950年代にはほぼなかった容器が増加し、計量技術の進歩により、特殊容器を使わずとも効率性と精度を両立できる様になっています。
特殊容器は、びん全体の生産量のうちの3%に過ぎず、以前から制度廃止の議論がなされてはいます。
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