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第19回堺市景観賞(令和4年度)

更新日:2023年2月15日

第19回堺市景観賞(令和4年度)

 堺市内の優れた景観に資する建築物や工作物、屋外広告物、まちなみ及び良好な景観形成に貢献する活動について、広く市民の皆さまに知っていただくほか、その事業関係者を表彰することにより、市民や関係者の意識醸成を図り、魅力ある景観の創出を推進するものです。
 今回は令和4年7月1日から8月31日まで募集を行い、皆様からの多数の推薦・応募がありました。ありがとうございました。
 その中から、大賞、優秀賞、奨励賞(2件)、市民賞が選ばれました。

総評

堺市景観賞選考委員会会長 下村泰彦

 今回の第19回景観賞から、大賞、優秀賞、奨励賞の3賞と、市民投票による市民賞との計4賞を選出することとなった。
 審査会では、総推薦・応募数35件の中から、大賞については、大道筋の阪堺線と沿道の保全された町家の景観を評価して、「町家と線路」に決定した。次いで、優秀賞は、セットバックされた緑地帯での潤いのある景観創出を評価し、「シマノ Technology Innovation Center」とした。奨励賞については、「連甍乃家」と「SUEプロジェクト」を選出した。前者は、瓦屋根の残る周辺のまちなみと調和したデザインを評価し、後者は、大蓮公園内の魅力あるまちなみを評価したものである。また、市民賞は、市民投票の結果を踏まえ、「トヨタカローラ南海堺大野芝店」に決定した。
 今回の審査結果を踏まえると、景観に大きなインパクトを与え得る大規模な施設のみならず、規模の小さい戸建住宅も景観形成に重要であることや、自然的な景観形成や歴史的な景観保全に寄与するよう配慮し取り組むことが、本市固有の多様な景観形成にとって不可欠であることが再認識させられた。

景観賞受賞一覧

大賞

町家と線路

所在地:堺区九間町東附近
 
 軒を連ねる町家の前を、阪堺電車がのんびり走ってゆく――どこか懐かしさを覚える風景を、大道筋の九間町東一丁では今も目にすることができる。
 空襲による市街地焼失や戦後の道路拡幅を経て、広々とした幹線道路となった今日の大道筋には、戦後の建築が建ち並ぶ。その中にあって、この町家たちは幸いにも空襲被害を免れ、かつ所有者のご尽力により、今も建て替えられずに利用されている。明治末に敷設された阪堺電気軌道も、道路拡幅後に道路中央に移設され、その後の存続の危機も乗り越えて今も運行を続けている。
 昭和初期を思い起こさせるような風景が、令和を迎えた堺のまちの一角に残された奇跡に感謝したい。
(林倫子委員)

優秀賞

シマノ Technology Innovation Center

所在地:堺区
建築主:株式会社 シマノ
設 計:有限会社 芦原太郎建築事務所
施 工:株式会社大林組 大阪本店

 工業地域に立地する施設といえば、敷地周囲を塀や壁で囲って無機質な景観を呈するか、もしくは常緑樹の緩衝緑地を設けて周辺に緑の供給性は有するものの、季節感のない景観を呈する場合が多い。しかしながら、本施設は、本市石津北町という工業地域に立地する中で、建築物本体の洗練されたデザイン性もさることながら、前面道路からセットバックすることにより緑地帯を創出し、常緑樹と落葉樹を適切に混植して、周辺地域に豊かな緑量感とともに季節感をも提供している。工業系地域での施設緑化の良好な事例として、評価し得るものとなっている。
(下村泰彦委員)

奨励賞

連甍乃家(れんぼうのいえ)

所在地:北区

 連甍乃家は古くから集落の形成が見られる地区にある。周囲には神社や寺院、旧家が点在するが、建て替えられた新しい住宅も多い。瓦葺の切妻屋根と温かみのある左官の外壁は、すでに周囲に溶け込んでいるように感じられる。1階は建物を少し控え、植栽や駐車スペースを設け、外部にゆとりを与えている。正面に見える開口部は、迫り出した2階中央に設けられた正方形の格子窓のみだが、閉鎖的な印象はない。側面の高窓や美しい木製の軒裏への光の反射、前庭に見られる節度ある生活感によって、人の暮らしが感じられる。住宅は私的な空間だが、調和しつつ、周囲によき影響も与える景観要素としての可能性を感じる。
(橋寺知子委員)

SUEプロジェクト

所在地:南区若松台大蓮公園内

 優れた景観は維持されなければならない。それと同時に、享受されなければいけない。Park-PFI(公募設置管理制度)である「SUEプロジェクト」は、園内に1970年から2016年まで開館していた旧堺市立泉北すえむら資料館の建物の再活用を中心に、1971年に開設された大蓮公園に対して、市民団体や民間企業を巻き込んで多様なコンテンツを与えている。建物の内外に新しい使い方を通じて、市民は一層自然に、日常のさまざまな場面で公園に訪れることになる。本プロジェクトによる持続可能な運用によって維持され、人々に享受される大蓮公園のまちなみは、優れた景観を形成している。
(倉方俊輔委員)

市民賞

トヨタカローラ南海 堺大野芝店

所在地:中区大野芝町184番地
建築主:トヨタカローラ南海 株式会社

 店舗や住宅が混沌と立ち並ぶ旧市街地の風景の中を幹線道路と生活道路の両方の役割を担っている国道310号線沿いに位置する。国道に面した幅約70mの大きな翼を広げたような無柱の屋外テラス空間に商品となる車が展示され、道路からは、その奥にあるショールーム内部の人の動きが感じられる。この大胆な建築空間内での人の営みがファサード(外観)を形成し、新たに街と人が繋がる景観を生み出している点において市民賞を受賞するにふさわしい作品である。
(高原浩之委員)

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建築都市局 都市計画部 都市景観室

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