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令和5年7月3日(月曜)開催 第1回SMI都心ライン等推進協議会

更新日:2023年9月1日

開催日時

令和5年7月3日(月曜)午後1時30分から

開催場所

堺市役所本館3階 大会議室1・2

出席委員

嘉名 光市 会長、波床 正敏 副会長、松岡 和雄 委員、久保 照男 委員、桂 春宜 委員、向井 龍哉 委員、阿多 信吾 委員、弘本 由香里 委員、丹下 嗣朗 委員、久保 直樹 委員、荻田 俊昭 委員、高杉 晋 委員、阪本 雅俊 委員、奥野 浩史 委員、黒木 啓良 委員、酒井 大斗 委員、宮下 博考 委員、松崎 彰宏 委員、野谷 将一 委員、福原 栄二 委員、工藤 智彰 委員、玉置 栄 委員、森脇 健 委員、小畠 一剛 委員、筒井 祐治 委員、澤中 健 委員

議題

  1. SMI都心ライン等推進協議会規約の制定について
  2. 会長・副会長・監査委員の選任について
  3. 事務局規程及び財務規程並びに傍聴に関する要領の制定について
  4. 令和5年度 SMI都心ライン等推進協議会 予算(案)について
  5. 「堺都心未来創造ビジョン」、「SMIプロジェクト」及び「令和4年度 SMI都心ライン実証実験結果」について(報告案件)
  6. SMI都心ライン等導入計画について(説明案件)
  7. SMI都心ライン自動運転技術等検討分科会の設置について
  8. 今後の進め方及びスケジュールについて(説明案件)

資料

議事録

事務局

それでは定刻となりましたのでこれより始めさせていただきます。
本日は大変お忙しい中、ご出席いただきまして誠にありがとうございます。本日司会進行を務めさせていただきます。堺市SMIプロジェクト推進担当の甲野でございます。よろしくお願いします。
初めに会議中の注意事項について、お伝えさせていただきます。
会議室内は禁煙でございます。会議中は携帯電話の電源を切るか、マナーモードにしていただき、携帯電話等の使用もご遠慮ください。会場への出入りは会議の進行の妨げにならないよう、お静かにお願いします。
本日の会議は議事録等の作成のため、録音させていただきますのでご了承ください。また本日の会議時間につきまして、15時30分までの2時間弱程度を予定しております。円滑な会議運営に皆様のご協力をよろしくお願いいたします。
次に本日の資料を確認させていただきます。お手元の資料をご確認ください。
上から順に、

  • 第1回協議会次第
  • 出席者名簿
  • 配席表
  • 資料1 SMI都心ライン等推進協議会規約案
  • 資料2-1 SMI都心ライン等推進協議会事務局規定案
  • 資料2-2 SMI都心ライン等推進協議会財務規定案
  • 資料2-3 SMI都心ライン等推進協議会傍聴に関する要領案
  • 資料3 令和5年度SMI都心ライン等推進協議会予算案
  • 資料4-1 堺都心未来創造ビジョン(概要版)
  • 資料4-2 堺都心未来創造ビジョン
  • 資料4-3 SMIプロジェクト(素案)
  • 資料4-4 SMIプロジェクト ポイントとめざすべき方向性
  • 資料4-5 令和4年度 SMI都心ライン実証実験結果
  • 資料5 SMI都心ライン等導入計画について
  • 資料6 SMI都心ライン自動運転技術等検討分科会の設置について
  • 資料7 本協議会のスケジュールについて

となっています。
資料の数が多くなっていますが、不足等ございましたらお申し出ください。よろしいでしょうか。
進行につきましては、役員選出により会長が決まりますまで事務局で進めさせていただきます。
それでは会議の開催にあたり堺市建築都市局長の澤中より一言ご挨拶させていただきます。

澤中委員

堺市建築都市局の澤中でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
堺の都心部は、中世に交易などの中心地としまして、また自治都市として発展してまいりました。その後、大坂夏の陣でまちは焼けましたが、江戸幕府によって、今の町割の基礎となる「元和の町割」が形成され、復興しました。また、第二次世界大戦では堺大空襲によりまちは焼け野原になりましたが、戦災復興事業などを経て復興を成し遂げ、現在に至っております。
しかしながら、近年は商業環境の変化や施設老朽化などの影響もあり、まちの活気が失われているのではないかと危惧しております。将来にわたって成長する堺を実現するためには、未来を見据えて常に挑戦し続けることが重要でございます。
昨今では、新型コロナウイルスの感染症分類が5類に変更され、人の動きも活発化してきたのではないかと感じております。
秋にはG7貿易大臣会合が大阪・堺で開催される予定であり、また、2025年には大阪・関西万博開催、2031年にはなにわ筋線の開業が予定されております。このような機会を捉えて堺都心部を活性化していきたいと考えております。
そこで、本市ではこの度、堺都心部の活性化に向けた取組の方向性を示し、市民や事業者の皆様、行政など多様な主体とまちの将来像を共有するため、「堺都心未来創造ビジョン」を策定いたしました。
本協議会のテーマでございますSMI、堺・モビリティ・イノベーションの略でございますが、このプロジェクトは、堺都心部の活性化を目指した堺都心未来創造ビジョンの取組の柱の一つでございます。
また、SMIプロジェクトを通じて、公共交通の利便性や魅力を向上させることで、公共交通の維持・活性化や都心部の回遊性の向上にもつなげてまいりたいと考えており、本日ここにお集まりいただいております委員の皆様方と意見を交わしながら、共に堺の発展に向けて取り組んで参りたいと考えております。
簡単でございますが、開催に当たりましての挨拶とさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

事務局

それではただいまより、第1回SMI都心ライン等推進協議会を開催いたします。
初めに本日出席の委員の皆様をご紹介します。着座のまま、お聞きください。
市民委員の松岡委員です。
堺区自治連合協議会 会長の久保委員です。
市校区自治連合協議会 会長の桂委員です。
熊野校区自治連合協議会 会長の向井委員です。
大阪公立大学大学院 教授の阿多委員です。
大阪公立大学大学院 教授の嘉名委員です。
大阪産業大学 教授の波床委員です。
大阪ガスネットワーク株式会社 エネルギー・文化研究所 特任研究員の弘本委員です。
公益社団法人堺観光コンベンション協会 事務局長の丹下委員です。
堺商工会議所 常務理事兼事務局長の久保委員です。
堺まちづくり株式会社 代表取締役の荻田委員です。
堺駅前商店会の高杉委員です。
堺東商店街連合会の阪本委員です。
堺山之口連合商店街振興組合の奥野委員です。
経済産業省 近畿経済産業局 地域経済部 地域連携推進課長の黒木委員です。
国土交通省 近畿運輸局 交通政策部 交通企画課長の酒井委員です。本日はオンラインでの参加になります。
国土交通省 近畿運輸局 自動車技術安全部 技術課長の宮下委員です。本日はオンラインでの参加になります。
国土交通省 近畿地方整備局 建政部 都市整備課長の玉置委員です。
南海電気鉄道株式会社 公共交通グループ 経営企画部 課長の松崎委員です。
南海バス株式会社 常務取締役 企画部長の野谷委員です。
阪堺電気軌道株式会社 業務部長の福原委員です。
OpenStreet株式会社 代表取締役の工藤委員です。
大阪府堺警察署 警部の森脇委員です。
堺市 交通政策監の筒井委員です。
堺市 建築都市局長の澤中委員です。
堺市 建設局 土木部長の小畠委員です。
以上本日26人となります。
なお、市民委員の井本委員、奈良女子大学 准教授の室崎委員におかれましては、本日は欠席になります。
本日、本協議会の後に引き続き「SMI都心ライン自動運転技術等検討分科会」を開催する予定としており、会議開催の効率化のため、分科会委員についても本協議会に出席していただいておりますのでご紹介いたします。
関西大学 准教授の岡本委員です。
立命館大学 教授の塩見委員です。
大阪産業大学 教授の波床委員におかれましては、分科会の委員にも就任して頂いております。
以上本日3人となります。
なお、大阪公立大学大学院 准教授の中川委員は本日欠席になります。

事務局

それでは次第に従って進行させていただきます。
議題1「SMI都心ライン等推進協議会規約の制定について」事務局から説明させていただきます。
それでは説明させていただきます。お手元の資料1またはスクリーンをご覧ください。
第1条に本協議会の名称、第2条には設置の目的について規定しています。
第3条は本協議会の協議事項で、「SMI都心ラインの導入に関すること」、「SMI都心ラインの導入と一体で取り組むべき事項に関すること」としています。
第6条は、役員の選任について定めており、「会長は、委員の互選により選任」、「副会長及び監査委員は委員のうちから会長が指名」することとしています。
第7条には、役員の任期を2年とすることや、再任などについて規定しています。
第8条は、役員の職務について規定しています。
第9条については、「会議は会長が招集し、会長がその議長になること」、「議事は総委員の過半数で決すること」、「代理人の出席と議決等を委任できること」などとしております。
また、第10条には、「会議の議事に関係のある者の出席を求め、その意見を求めることができる」としております。
第11条には、会議の公開について規定しています。
第12条については、必要に応じて分科会を設置できることとしております。
第13条については、協議会の事務局を堺市建築都市局都心未来創造部に置くこととし、事務局に関し必要な事項は会長が別に定めるとしています。この点に関しましては、後ほど事務局規定案として説明させていただきます。
第14条では、協議会の予算は、堺市の負担金編成などを充てることとしており、また予算編成等に関する必要な事項については、会長が別に定めるとしています。この点に関しましても、財務規定案として後ほど説明させていただきます。
最後に、第18条ですが、協議会の組織及び運営に必要な事項は会長が別に定めるとしております。
以上で規約案の説明を終わります。
ただいま規約案についてご説明させていただきました。質問など、ございますでしょうか。
<意見・質問なし>
それでは、本協議会の規約として定めさせいただいてよろしいでしょうか。
<異議なし>
ありがとうございます。
異議なしということで、本日は委員26人のご出席をいただいており、本規約第9条第3項に規定されている会議成立の要件である過半数の出席を満たしておりますので、本協議会の成立と規約の制定されたことを確認させていただきます。

事務局

次に、議題2の会長、副会長、監査委員の選任についてでございます。
規約第6条の規定により会長は委員の互選により選任し、副会長と監査委員は委員のうちから会長が指名することとしております。
まず初めに会長の選任に入らせていただきます。会長を選任するにあたり、ご意見はございませんでしょうか。

荻田委員

会長につきましては、都市行政に精通され、堺市のまちづくりにも造詣が深い大阪公立大学大学院教授の嘉名委員にお願いしたいと思いますがいかがでしょうか。
<異議なし>

事務局

ありがとうございます。ただいま荻田委員から嘉名委員のご推薦をいただきました。異議がないようですので、会長は嘉名委員にお願いいたしたいと思います。
嘉名委員、会長席にご移動していただき、一言ご挨拶いただければと存じます。
よろしくお願いします。

嘉名会長

ただいま推挙いただきました大阪公立大学の嘉名でございます。会長にご推挙いただきまして一言挨拶を申し上げたいと思います。
今日の午前中は授業をやっていたのですが、今日はまさに堺のテーマにふさわしく、ウォーカブルなまちづくりの授業をやっていました。今日はオーストリアのウィーンとスペインのバルセロナを題材に学生たちといろいろ意見交換していました。
今、世界中のまち、とりわけ都心で、暮らし方を含めて、それからモビリティのあり方を含めて大きく考え方を変えていこうという取組があります。今、日本のまちづくりでもウォーカブルとかウェルビーイングとか、もっと人中心で暮らしやすいまちづくりを目指していこうというテーマになってきております。そういう観点もありますし、堺の都心のモビリティを向上していきたい、改善していきたいという話もかつてからずっと議論されてきている非常に重要なテーマであろうと思いますし、これが実現するかどうかは堺にとっても重要なことです。ですから、皆さんからもたくさんのご意見をいただきながらよりよい方向性を定めていければと思いますので、自由闊達な意見をよろしくお願いいたします。
それでは、進めさせていただきたいと思います。副会長については会長からの指名ということになっております。副会長につきましては、大阪産業大学の波床委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。それでは、副会長席に移動をお願いいたします。
続きまして、監査委員の指名につきましても同様に会長の指名ということで、南海バス株式会社の野谷委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

嘉名会長

それでは次第に従って進めてまいります。
議題3「事務局規程及び財務規程並びに傍聴に関する要領について」です。
この3点について、事務局より説明をお願いします。

事務局

それでは、説明させていただきます。
お手元の資料2-1またはスクリーンをご覧ください。
第1条ですが、本事務局規程については、協議会の事務に加え、協議会規約第12条に規定する分科会の事務を含めて、この規程に定めることとしております。
第2条には、事務局の所掌事務について規定しています。
第3条ですが、事務局長の他に事務局員を置くことを定めております。
第4条には事務局長の職務、第5条には事務局長の専決事項を定めております。
第6条は文書の取り扱い、第7条は公印の取り扱いについて定めております。
第8条はこの規定に定めるもののほか、事務局の組織及び運営に関し必要な事項は堺市の相当規定によるものとすることと定めております。
以上で事務局規程案の説明を終わります。
続きまして、資料2-2「SMI都心ライン等推進協議会財務規程案」について、要点を説明させていただきます。
お手元の資料2-2またはスクリーンをご覧ください。
第1条としまして、本財務規程は、協議会に加え、分科会の財務について必要な事項を定めることとしております。
第2条について、協議会の予算は、負担金およびその他の収入をもって歳入とし、協議会の運営および事業にかかる全ての経費を歳出とすることのほか、協議会の会長が毎会計年度予算を調整し、年度開始前に協議会の承認を得ること、会計年度は毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終了すること、協議会の初年度については、この規程の施行日に始まり、翌3月31日に終わるものとして定めております。
第4条には出納及び現金等の保管について、第5条には収支整理者及び出納取扱者について、第6条には小口現金の保管について、第7条には収入について、第8条には支出について定めております。
第9条には、協議会の出納は翌年度の5月31日をもって閉鎖すると定めております。
第10条について、事務局長が毎会計年度終了後3カ月以内に協議会の決算を調製し、監査委員の監査に付した後に、会長が協議会の会議に諮り、承認を得るものと定めております。
以上で財務規定案の説明を終わります。
最後に、「SMI都心ライン等推進協議会の傍聴に関する要領案」について説明させていただきます。
お手元の資料2-3またはスクリーンをご覧ください。
本協議会は規約において原則公開としておりますので、本要領案では、その傍聴に関して必要な事項を定めております。主な項目を説明します。
第1条ですが、本要領は分科会を含め、会議の傍聴について必要な事項を定めることとしております。
第2条ですが、定員は10人としております。ただし、会場の規模などの状況で変更することができることとしております。
第6条ですが、会議を妨害する者や酒気を帯びていると認められる者については傍聴できない旨を定めております。
第7条ですが、傍聴にあたっては会長及び係員の指示に従うこと、その他、協議会開催中は静粛に傍聴することなどを定めております。
第8条ですが、協議会が非公開とされた時は、会場から退場しなければならないと定めております。
第9条ですが、第6条、第7条いずれかに違反した時は退場していただく旨を定めております。
以上で説明を終わります。

嘉名会長

説明ありがとうございました。
ただいま事務局から説明のあった件に関しまして、ご質問等ありますでしょうか。
<質問等なし>
それではお諮りいたします。
議題3 事務局規程及び財務規程並びに傍聴に関する要領の制定について、原案のとおり本日付で制定してもよろしいでしょうか。
<異議なし>
ありがとうございます。
では、異議がないようですので、議題3について、原案のとおり本日付で制定させていただきたいと思います。

嘉名会長

それでは次の議題4「令和5年度SMI都心ライン等推進協議会予算案」について、事務局から説明をお願いいたします。

事務局

それでは、説明させていただきます。
お手元の資料3またはスクリーンをご覧ください。
令和5年度は歳入としまして堺市からの負担金460,000円としています。
歳出としましては、導入計画の作成にあたり、専門的な見地から意見や助言をいただく学識経験者の報酬・旅費として416,000円、消耗品として13,000円、印刷製品本費としまして、 26,000円、役務費としまして5,000円を計上しております。
説明は以上です。

嘉名会長

ありがとうございました。今年度の予算案についてお示しいただきましたが、ご質問等ございますでしょうか。

久保委員

ただいま予算案について事務局からご報告がございましたが、どのようにこの予算案を出していただいたか。これから実施する事業についての予算は考えていないのかどうか。その辺のところをお聞かせ願えればと思います。

事務局

今お示しさせていただいている予算案につきましては、この協議会の事務を進める上で必要となる経費等について計上させていただいているものでございます。SMIプロジェクトの事業を進めるに当たってはまた別途予算として計上させていただくことになります。

嘉名会長

久保さん、よろしいですか。この場でお諮りをしないといけない内容として、この協議会の事務に係る予算だという説明でございました。また全体の事業等についてはいずれかの機会でご説明いただいた方がよいかもしれません。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、お諮りしたいと思います。議題4 令和5年度SMI都心ライン等推進協議会予算案について、原案のとおり決定したいと思いますが、よろしいでしょうか。
<異議なし>
ありがとうございます。異議はございませんので、令和5年度SMI都心ライン等推進協議会予算として決定したいと思います。

嘉名会長

続きまして、議題5「堺都心未来創造ビジョン」、「SMIプロジェクト」及び「令和4年度 SMI都心ライン実証実験結果について」と、議題6「SMI都心ライン等導入計画について」はともに関連したものですので、事務局に一括して説明していただき、後ほどご意見、ご質問をお受けしたいと思います。それでは説明よろしくお願いします。

事務局

まず、議題5のうち、「都心未来創造ビジョン」についてご説明します。本ビジョンは、堺都心部のまちづくりの方向性を示すもので、令和5年5月に策定したものです。本ビジョンの対象範囲は、堺東駅から堺駅の周辺及び旧市街地の環濠エリア、図に示すピンク色の部分です。将来にわたって「成長」する堺を実現するために、未来を見据えて挑戦し続け、強力な都市ブランドを有する魅力と活力ある都市をめざし、本ビジョンをとりまとめました。ビジョンを示すことにより、市民のみなさま、市内外の企業や事業者の方々に関心を持っていただき、将来像を共有しながら活性化に向けた取組を進めます。2025年の大阪・関西万博、2030年度のなにわ筋線開業、2040年度の南海高野線高架化という大きな動きを見据え、目標年次は2040年度としています。
都心部には、歴史的建造物や、環濠・堺旧港の水辺、刃物・線香といった伝統産業など、数多くの地域資源が集積しています。これらの類まれな歴史文化資源をこれまで以上に活かしながら、魅力ある、人が集まり、交流する都心部にしていきたいと考えています。また、今後、なにわ筋線開業を契機に、国土軸・大阪都心部や関西国際空港など、多方面からのアクセス性が向上し、国内外からの来街が期待されます。その人の流れをこの都心部に誘引することが堺の成長につながると考えています。
このような、背景や取り巻く状況を踏まえ、堺都心部の活性化に向け、「多様な人が交流し、企業が集まる、堺の成長をけん引する魅力的な堺都心部」をコンセプトに、地域資源を活かして「魅力を磨く」、それら地域資源、人・情報・サービスをつなぎ「魅力を結ぶ」、これらを公民で取り組み「魅力を育てる」ことにより、新たな価値の創造と都市ブランドの確立をめざします。SMIプロジェクトは、この3つの取組方針のうち、地域資源、人・情報・サービスをつなぐ「魅力を結ぶ」役割を担っています。
次に、各エリアの取組の方向性についてご説明します。まず、堺東エリアです。堺東エリアは、多様な都市機能が集積する場所です。その特性を活かし、「クロス プレイス 堺東~訪れる・働く・住む人など多様な目的の人が集い・交流するエリア~」をめざします。
具体的には、駅街区や瓦町公園周辺の更新、魅力的な通りの形成などによる、魅力ある都市空間の形成や、大小路筋沿道などの広場・歩道等の公共空間を活用し居心地が良く人中心の空間形成などに取り組みます。
こちらは、堺東エリアの将来像をパースで示したものです。堺東駅前周辺について、現在取組が進められている南海高野線の連続立体交差事業と合わせて、堺の顔として一新された駅街区を示しています。駅街区が更新されることにより、観光・ビジネス・居住者など様々な目的で人々が集まる拠点をめざしたいと考えています。なお、今回お示ししています各エリアのパースは、あくまで本市が将来をイメージしたもので、今後様々な関係者との協議を通じて実現を図っていきます。
こちらは、瓦町公園周辺のイメージです。公園が大規模にリニューアルされ、商業施設や緑の空間で、たくさんの人々が楽しむ様子を示しています。瓦町公園周辺が魅力的な拠点となることで、人を誘引し、商店街など周辺の活性化にも貢献するものと考えています。
こちらは、市役所北側の大小路筋について示したものです。大小路筋が持つ広幅員の歩道などを活用し、人々が憩い交流する空間を創出し、居心地の良い空間とすることにより、堺東エリアの回遊性を高めたいと考えています。
次に、堺駅・堺旧港エリアの取組の方向性です。市街地に近い海辺や優れた広域アクセス性を活かし、「水辺 リ デザイン~堺の歴史を紡いできた水辺から新たな魅力が生まれ、国内外から人々が集うエリア~」をめざします。
堺駅・堺旧港エリアの取組の方向性ですが、堺の玄関口に相応しい拠点性強化、水と緑の憩いの空間形成、大浜北町市有地活用事業や堺旧港の護岸と護岸後背地の活用による賑わいの創出、堺駅から堺旧港へのアクセス、移動環境の充実などに取組みます。
こちらは、堺駅前周辺のイメージパースです。今後なにわ筋線の開業により関西の広域的なアクセスの中心、堺の玄関口としての役割が期待されることから、駅周辺が更新され、多様な交流が行われる駅周辺をめざします。
こちらは、堺旧港の将来イメージです。堺旧港は都心の貴重な海辺であり、このポテンシャルを活かし、護岸とその後背地を活用した人が憩える賑わい交流空間の形成をめざします。
次に、環濠エリアの取組の方向性です。類まれな歴史文化や豊かな公共空間を活かし、「環濠ビヨンド~歴史を紡いだ環濠エリアの新たな価値創造により人々が集うエリア~」をめざします。
環濠エリアの取組の方向性ですが、環濠の水辺を活かした空間や豊かな歩行空間の形成、にぎわい空間の創出、公園や民間空地等を活用した憩いの滞在空間の形成、環濠北部の歴史的建造物の保全・活用、堺消防署用地の活用などに取り組みます。
こちらは、大小路交差点周辺、大小路筋・大道筋の将来イメージです。左上が大道筋の中央に歩行者空間を整備したイメージ、右下が大道筋を拡幅したイメージの2パターンを示しています。堺都心部の骨格軸である大小路筋と大道筋が交わる大小路交差点周辺は、堺を感じる象徴的な空間として、多くの人が滞留、交流する拠点をめざします。なお、このイメージは、大道筋の車線を抑制したものであり、将来、自動車交通量が減少することを前提として作成したものです。今後、自動車交通量の状況を踏まえ、渋滞など市民生活への影響が最小限になるよう配慮しつつ、市民の皆様や交通管理者などの意見を伺いながら、どのような空間整備を行うことが適切か、検討を進めます。
こちらは、環濠水辺の将来イメージです。環濠の水辺や歴史的なまちなみなど環濠エリアならではの魅力を活かし、人々が愛着を持ち、多様な活動が繰り広げられ、それぞれの時間を過ごすことができる居心地のよい空間の形成をめざします。
各取組方針のロードマップですが、本ビジョンに基づき、「魅力を磨く」取組と、それらをつなぐ「魅力を結ぶ」取組を一体的に進めることにより、市民や観光客など多様な目的の人々を堺都心部に呼び込み、都心全体の活性化を図ります。
続きまして、議題5のうち、「SMIプロジェクト」についてご説明します。SMIプロジェクトは、本ビジョンの3つの取組方針のうち、地域・資源・人・情報・サービスをつなぎ「魅力を結ぶ」役割を担っています。取組の方向性は、

  1. ウォーカブルで居心地が良い魅力的な都市空間の形成
  2. バリアフリーな都市空間の実現
  3. 都心部と美原を結ぶ拠点間ネットワークの構築
  4. 公共交通の利用促進と脱炭素化
  5. 生活利便性や回遊性を高める情報・サービス連携

です。
それでは、それぞれの取組内容について説明します。
はじめに、「ウォーカブルで居心地が良い魅力的な都市空間の形成」です。都心部では、歩道や公園、民間空地などを活用して、歩いて楽しい、ウォーカブルな空間を形成します。沿道では、オープンカフェや定期的なイベントを開催するなど、賑わいがあり、その場に滞在したくなるような都市空間を形成します。また、都心部の回遊性を高めるため、様々な移動手段を組み合わせて、多様なニーズに対応した交通サービスを提供します。例えば、電動の車椅子など、新たな移動手段を活用して、すべての人が行きたい場所に行きやすくなる環境を構築し、都心部の回遊性を向上させます。また、都心部の核であり、現在、シャトルバスが走る堺駅・堺東駅間には、来たるべき自動運転時代を見据え、将来の公共交通の姿を先取りするものとして、SMI都心ライン、次世代都市交通ARTを導入します。SMI都心ラインでは、スムーズな加減速による快適な車内環境の向上や、段差・隙間のないバリアフリーな正着など、先進的技術を最大限活用して、便利・快適な移動の実現をめざします。さらに、SMI都心ラインの停留所では、デジタルサイネージや待合スペースを備えた、バリアフリーなプラットフォーム、他のモビリティへの乗換え機能を有する、多様なモビリティポート、快適に滞在できる賑わい空間などを兼ね揃えた、ARTステーションの実現をめざします。ARTステーションには賑わいのある滞留空間を設置し、歩いて楽しいウォーカブルな空間を形成します。
続きまして、「バリアフリーな都市空間の実現」です。SMI都心ラインでは、乗降時の段差や隙間を少なくする停留所の改良を行うとともに、自動運転の車両制御技術の活用により、車両を停留所に隙間なく停車させられるよう、乗降環境を整備します。また、阪堺線の停留場のバリアフリー化や、阪堺線とSMI都心ラインが交差する大小路交差点において、乗継改善を検討します。加えて、個人の多様なニーズに対応した次世代モビリティの活用により、高齢者や障害者の方々を含め、全ての人がバリアフリーに移動できる環境を構築します。
次に、堺都心部と美原を結ぶ「拠点間ネットワークの構築」です。美原区は、都心部と1本の公共交通機関でつながっていない場所で、行き来をするには、複数の交通手段を乗り継ぐ必要があります。そこで、都心部と美原を1本でつなぐ路線として、SMI美原ラインを導入し、拠点間ネットワーク構築による人流と地域の活性化につなげます。SMI美原ラインには、将来的にはBRTの導入をめざします。BRTとは、バス・ラピッド・トランジットの略で、「バス高速輸送システム」と訳されます。固まった定義はありませんが、一般的には、専用レーン・優先レーンの導入や、適切な情報案内、施設の高度化、優先信号の導入などにより、公共交通優先で、速度や快適さを向上させる交通システムを指します。そのため、SMI美原ラインでも、走行速度の向上や、時刻表どおりの運行をめざし、段階的な実証などを行います。また、SMI美原ラインを契機として、美原に隣接する南河内地域の各市との歴史的・文化的なつながりを強化し、地域全体の魅力向上をめざします。
次に、「公共交通の利用促進と脱炭素化」です。公共交通の利用促進や、自家用車から公共交通などへの利用転換、都心部の通過交通の抑制を図ることで、脱炭素化をめざします。また、公共交通車両や公用車を電動化し、脱炭素化を進めます。これらの電動車両については、災害時には電源としての活用を想定しています。公共交通の電動化については、国の補助制度なども年々充実しており、全国的にも電気バスを導入する事業者が増加しています。本市においても、世界的な潮流である脱炭素化を推進します。
次に、「生活利便性や回遊性を高める情報・サービス連携」です。ICTを活用して、交通、健康、子育て、観光などの情報やサービスを包括的に提供する、City as a Service、略してCaaSの導入をめざします。例えば、イメージではありますが、買い物、飲食、観光などと、移動の予約・決済などを一括で提供できるサービスに加え、おすすめ情報、居心地の良いスポットの紹介、健康ポイントの付与など、様々なサービスとの連携などが考えられます。このようなサービスにより、多様な市民や来訪者が、必要な情報を必要なときに簡単に入手できる環境を整えます。
このようなSMIプロジェクトのメリットは、

  • 堺都心部を中心とした都市魅力の向上、全ての人が快適に過ごし、滞在することができるバリアフリー環境や回遊性の向上により、市民生活の質的向上に寄与し、堺での生活や暮らしを便利で豊かに
  • 自動車から公共交通への利用転換やEV車など環境性能に優れた移動手段の普及を図り、公共交通中心で脱炭素化を先導
  • 居住者や来訪者を増加させ、先駆的な技術革新の場として多くの人材や民間投資を呼び込むことによって、地域経済を活性化させること

です。
今後、日本全体の人口が減少し、本市も人口減少に伴い、ますます住民サービスを維持することが厳しい時代になると危惧されます。SMIプロジェクトにより、このように都心部を変えることを通じ、人口減少社会の中にあっても、住民サービスの維持・向上につなげます。
社会や経済が急速に変化する中で、SMIプロジェクトが見据えるのは、10年先、20年先の未来です。自動運転が当たり前になり、ICTがさらに進化し、様々なデータや情報を有効活用することで、生活の質が飛躍的に高まる未来です。こうした未来志向の考え方のもと、SMIプロジェクトによって

  • 人それぞれに応じた多様な移動手段や情報を提供し、居心地が良く歩きたくなる都心部を実現します。
  • また、脱炭素や自動運転などの先進技術を積極的に導入し、常に挑戦し続ける堺の姿勢を示し、イノベーティブな都市ブランドを確立することで、都心部を変革させます。

SMIプロジェクトは、次の世代に、今よりももっと素晴らしい堺を引き継ぐための、大きな挑戦です。
最後に、スケジュールです。昨年度の実証実験で得られたデータやご意見を踏まえ、SMI都心ラインの導入準備や、段階的な実証実験、整備を進めます。大阪・関西万博が開催される2025年時点で、ART1.0として、その時点で導入できる最新の機種を導入します。その後も、時代の変化に対応しながら、SMIプロジェクトを進め、2030年頃の実現に向けて取り組みます。

続きまして、議題5のうち、「令和4年度SMI都心ライン実証実験結果」についてです。SMIプロジェクトの推進に向け、自動運転技術の活用や、テラス型停留所、滞留空間の設置、次世代モビリティの活用等について、導入効果や導入課題を検証するため、実証実験を実施しました。実施日程は、令和4年11月11日(金曜)~13日(日曜)の3日間です。
まず、自動運転電動車両の走行実験・正着実験です。自動運転の活用に向けた課題等を検証するため、さかい利晶の杜を起終点として大小路筋において自動運転走行実験を実施しました。また、隙間・段差のないバリアフリーな乗降環境の実現に向け、熊野小学校前に切り込みテラス型の仮設停留所を設置し、正着精度を検証しました。さらに、自動運転等の安全性向上に向け、大小路筋の信号の無い交差点の歩道上にカメラ・センサーを設置し、自動車や自転車等の接近情報をあらかじめ検知して、自動運転車両に伝達する実験を実施しました。
使用した車両は、小型の電動車両を自動運転仕様に改造したものです。この自動運転電動車両は、衛星から位置情報を特定するGNSSと、車両についているカメラやセンサー、事前に作成している3Dのマップなどを組み合わせて、自動運転を行うものです。
こちらは、GNSSの受信状況です。青は受信状況が「良」、緑は「可」、赤は「不良」をあらわしており、大小路筋上の受信状況は「良」、「可」の区間が多くなっていましたが、熊野小学校前~阪神高速高架付近で「不良」となる区間がありました。
こちらは、自動運転の走行実験における自動運転率です。自動運転率は、自動運転区間において、完全に自動運転で走行した距離の割合で、全体平均で62.4%でした。路上駐車を回避するための手動介入などが、自動運転率に影響したものと考えられます。
こちらは、自動運転車両の正着精度です。バリアフリーな乗降環境の実現に向けて、まずは車両と停留所の正着距離を100mm未満とすることをめざしていましたが、結果は概ね300mmから400mmでした。実験の結果、GNSSの精度等には限界があるため、磁気マーカの活用など、導入する自動運転の仕様について検討が必要であると考えています。また、実験中、仮設停留所に自動運転車両の前輪ホイールが1度接触してしまう事案がありました。安全装置の設置や停留所の形状など、安全でバリアフリーな運行のため更なる検討が必要であると考えています。
こちらは、安全性向上の実験結果です。今後、歩道上に設置したカメラ・センサーを自動運転制御に活用していくためには、ミリ波レーダーの追従性に改善が必要であると考えています。ミリ波レーダーによる自転車・自動二輪の検出感度の改善策についても、検討が必要です。また、今回のセンサー設置高さは、反射ミリ波の検知が良好な約300mmと低く、実装時には設置場所の検討も必要と考えています。
こちらは、自動運転に乗車した方に、アンケートを行った結果です。安全性については、高いと感じた方が乗車後に増加し、不安と感じた方が減少しており、自動運転の技術開発が進んでいる現在の状況について体感していただいたものと考えています。一方で、バスの運転手の負担を軽減できる、バスの運転手不足を解消できると感じた方が、ともに減少していました。今回は、路上駐車を避けることなどのために、運転手による手動介入が必要なケースがみられたことから、このような結果になったものと考えています。
自動運転に関するアンケート結果のうち、自由意見の抜粋です。ポジティブな意見としては、

  • 思ったより乗り心地がよく驚いた。実際に街を走る姿を想像してワクワクした。
  • このようなバスの自動運転化も今後は必要であり、実用化に向けて実証することには意義がある。自動運転のレベルが上がれば、運転手の負担は減ると思う。

などの意見をいただきました。
一方、ネガティブな意見として、

  • 路上駐車の追い越し、急な自転車横断への対応、ブレーキの強さ等、まだまだ改善を重ねないと実用化には時間がかかると感じた。
  • 路上駐車を自動で回避できないと、自動運転のメリットがほとんどない気がする。回避できるシステムを有するバスでも実験すべき。

などの意見をいただきました。
次に、停留所周辺での滞留空間・賑わい機能の導入に関する実験です。実験では、大小路停留所に隣接する紀陽銀行堺ビルの敷地をお借りして、待合休憩スペースを設置しました。敷地内にはテーブル・イス・パラソルを設置し、自由にくつろげる空間を創出したほか、近隣の山之口商店街様の協力により商店街の品物を販売する物販店舗を出店いただきました。また、キッチンカーを配置して賑わい機能を導入しました。利用した方にアンケートをしたところ、

  • まちなかに休憩場所があるのは良いこと。
  • 座る場所があるのはうれしくバス待ちに良い。

といったポジティブな意見があった一方、

  • 出店者が少なく寂しかった。
  • 道路が近く排気ガスが気になった。

といったネガティブな意見もいただきました。
次に、次世代モビリティの体験会についてです。次世代モビリティの利用ニーズを確認するため、さかい利晶の杜の敷地内で、乗車体験会を実施しました。そのアンケート結果ですが、

  • 誰でも簡単に操作できて乗りやすい。
  • 安定感があり楽に移動できるため、距離を感じさせない。
  • 車椅子に抵抗がある方にも、介護予防や高齢ドライバーの免許返納の良いきっかけになる。

といったポジティブな意見をいただいた一方、

  • スピード加速時に少し怖いと感じた。
  • 急カーブでの安全性(転倒の懸念)や、高齢者の誤操作などが心配。
  • 道が不安定だと怖く感じる。また、段差には弱いと感じた。

といったネガティブも意見もいただきました。
次に、デジタルデバイスを活用した情報発信についてです。デジタルサイネージを活用した情報発信による移動利便性・回遊性の向上に向けて、デジタルサイネージに自動運転車両の位置情報等を表示する実証実験を実施しました。そのアンケート結果ですが、

  • 停留所等での情報発信によりバスなどが利用しやすくなれば、車に乗らない人にとってはありがたい。
  • 早期に実現してほしい。
  • 交通機関のリアルタイム運行情報や、公共交通の車内の混雑状況などを表示してほしい。

といったポジティブな意見をいただいた一方、

  • バスの現在地がわかりにくかったため、もっと目立つようアイコン等を工夫してほしい。

といったネガティブな意見もいただきました。
最後に、実験結果のまとめです。自動運転電動車両の走行実験・正着実験については、

  • 正着精度の向上等に向け、導入する自動運転の仕様について検討が必要
  • 停留所について、バスが正着しやすくバリアフリーに利用できる構造・形状について検討が必要

であると、考えています。停留所付近の待合休憩スペース設置については、

  • 定期的な実施などによる認知度の向上、取組の定着が必要
  • 沿道の民間敷地や歩道空間も含め、滞留空間を設ける場所や空間のあり方、管理方法などについて検討が必要

であると、考えています。次世代モビリティ体験会については、

  • 公道や屋外にも対応したモビリティの活用について検討が必要
  • さらに詳細にニーズを把握したうえで、配置する場所も含め、導入に向けたビジネスモデルの検討が必要

であると、考えています。デジタルデバイスを活用した情報発信については、

  • 回遊性向上に繋がる情報発信の内容について検討が必要
  • 有効な設置場所について検討し、実証実験等を通じて発信内容について精査が必要

であると、考えています。
令和4年度SMI都心ライン実証実験結果は以上です。

続きまして、議題6の「SMI都心ライン等導入計画について」です。SMI都心ライン等導入計画、SMIプロジェクトのうち、堺都心部におけるSMI都心ライン、ARTステーション、大小路交差点、CaaSなどの取組について、市民や事業者などの意見をきき、内容やスケジュールについて具体化を図ることを目的に策定するものです。導入計画の項目として、SMI都心ラインについては、

  • 車両に関することとして、EV車両の規格、デザインなど
  • 自動運転とその関連技術に関することとして、自動運転システムの使用、その他必要な設備など
  • 役割分担として、車両システムの保有やリースの主体、運行主体など
  • 導入スケジュール

を定めていきたいと考えています。この中で、自動運転とその関連技術に関することについては、専門的な知見が必要と考えており、別途「SMI都心ライン自動運転技術等検討分科会」を設置して検討したいと考えています。
ARTステーションについては、

  • 導入機能に関することとして、運行情報案内やモビリティポート、賑わい・交流機能、大小路交差点などの基本機能
  • 位置・構造等に関することとして、乗降場所の位置、構造・形状など
  • 整備スケジュール

を定めていきたいと考えています。関連取組については、

  • 次世代モビリティの車両の種類やポート位置
  • 大小路交差点のコンセプト
  • CaaSのコンセプト、提供する情報やサービス

の方向性を示したいと考えています。この中で、次世代モビリティやCaaSについては、専門的な知見が必要になると考えており、別途「SMI都心ライン自動運転技術等検討分科会」を設置して検討したいと考えています。以上です。

嘉名会長

ありがとうございました。議題5及び6を一括で説明していただきました。この2つの議題に関して何かご意見、ご質問等ございませんでしょうか。

荻田委員

SMIプロジェクト並びに堺都心未来創造ビジョンにつきましてご説明をいただき、確認事項ですが、まちづくりビジョンと交通システムの導入というのは一体的に議論していくべきものだと考えているわけですが、そこで前段でご説明いただいたSMI都心ライン等推進協議会規約の第3条、協議事項の(2)「前号に掲げるもののほか、SMI都心ラインの導入と一体で取り組むべき事項に関すること」というのがあるのですが、一体で取り組むべき事項に堺都心未来創造ビジョンは入っているのでしょうか。

嘉名会長

事務局のほうから説明いただいてよろしいでしょうか。

事務局

規約第3条第2号、SMI都心ラインの導入と一体で取り組むべき事項ということで、これはビジョンも含まれているかということですが、ビジョンのすべてというわけではないかもしれませんが、一部含まれているものと考えております。

荻田委員

そういうことで確認をさせていただきましたので、今後この協議会におきまして堺都心未来創造ビジョンについても意見を述べさせていただきたいと思います。今後よろしくお願い申し上げます。

嘉名会長

ありがとうございます。冒頭、堺都心未来創造ビジョンの中にもございましたが、SMI都心ラインがなければこの堺都心未来創造ビジョンの実現もなかなかかなわないということでございますので、また相互に関係が深い部分があろうと思います。ぜひとも意見をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

久保委員

昨年度実施された実証実験等、さまざまな形でご尽力をいただいていることについて敬意を表したいと思います。1つお聞きしたいのは、今後の目途、スケジュールとしてはどのような形で持っていくのかということです。
それと、気の早い話でございますが、料金などについても勉強をしていただきたいなと思っております。これからどんどん高齢化が進んでまいりますので、自動運転は必要不可欠になると思いますが、必要不可欠な中においても将来市民が利用しやすい料金とするような努力、これから研究をしていただきたい。
それと、堺駅から堺東駅間だけでなく、2040年頃には南海高野線の高架化も実現するであろうし、様々な視点で研究を重ねていただけたら将来的に堺が明るい都市になってくるのではないかなと。堺東の商店街の活性化もよく考慮していろいろと研究を重ねていただきたいなと。これはお願いでございますので、我々年寄りは去っていく身でございます。これから将来、若い子どもたちに残していけるように、より一層研究に研究を重ねて素晴らしい都心づくりに協力していただけるように心よりお願いしてご意見を述べさせていただきたいと思います。どうもありがとうございます。

嘉名会長

久保会長からはご意見ということで賜りましたが、何か事務局、お答えされることはありますか。

事務局

まずスケジュールにつきましては、先ほどもお示しをさせていただきましたが、2025年に大阪関西万博という大きなイベントがございます。これにつきましては、国内外から多数の方が大阪を訪れるということが期待されますが、我々堺市としましては、そういう方々に堺市に来ていただいて、都心の中で回遊していただく、滞在していただくということは非常に重要と考えております。その際にSMIプロジェクトにつきましても、堺市として新たなことにチャレンジしているところが見せられるように進めていきたいと考えております。
それから、運賃についてご意見をいただきましたが、これにつきましては交通事業者さん、運行事業者さんのほうで決めていただく部分になりますので、今後協議をさせていただければと考えております。今のシャトルバスの運賃が大幅に上がるといったようなことがあれば利用しやすい環境にならないと考えますので、その部分につきましては十分配慮して進めていきたいと考えております。
まず我々SMIプロジェクトの中では堺駅、堺東駅間の取組を進めておりますけれども、ここで得られた知見、ノウハウにつきましては今後堺市内に広げていけると考えておりますので、そのような横の連携につきましても積極的に進めていきたいと考えております。

嘉名会長

ありがとうございました。それでは、ほかにいかがでしょうか。

波床副会長

都心の活性化と新しい交通機関と2大テーマを書いたわけですが、都心の活性化についてはここで改めて言うまでもないのですが、大阪市の都心との対決になるということですね。つまり大阪の都心と同じことをやっていると、向こうは規模も大きいし、先進的なことも取り入れられては太刀打ちできないので、大阪の都心ではできないようなことをやっていかないとなかなか来てくれない。
それから、新しい交通機関についても、自動運転、電気自動車ということが目につきやすいのですが、これは実際に走ってしまうとあっという間に当たり前のことになってしまって何らメリットにならない可能性がある。もちろん新しい技術を導入して使いやすい交通機関を確立していくということは重要なのですが、すぐに当たり前になってしまいますし、恐らく先ほどから言っている大阪の都心あたりでも似たような技術が導入される可能性はあると思います。
そうしますと、結局従来から言われている堺の市民にとって、あるいは来訪者にとっていかに使いやすい公共交通機関を整えていくか、あるいはそれをサポートするような交通機関を整えていくかということが重要ではないかなと。古くて新しい問題を扱っていくということだと思っております。

嘉名会長

ありがとうございます。この実証実験の結果とりまとめ、これはなかなか悩ましいですね。3日間の実験だったということもあると思いますが、実験なので課題が見つかることが重要ですから、そういう意味では課題が見つかったことは非常によかったということですが、まだまだ改善する余地もあるし、そういうことが実感として利用者の皆さんが、便利だ、使いやすいというところに至るまでには少しまだ改善しなければいけないところもあるということだと思いますので、導入する際には当然クリアしていかなければいけない課題だと思います。今年度は導入計画を作っていくということで、そのあたりは当然クリアした前提で作っていくということになりますので、またぜひ皆さんからもご意見をいただきながら導入計画までこぎつければと思っております。よろしくお願いいたします。
ほかにいかがでしょうか。

弘本委員

ご説明ありがとうございました。先ほどの波床先生と重なっていくような話になるかもしれないですが、堺都心未来創造ビジョンの中でのSMIが入る取組方針のところで、「魅力を結ぶ~人・地域・資源・情報・サービスをつなぐ~」というところがあるわけですが、それを考えていこうとすると、先ほどの堺の市民にとって、あるいは来訪者にとっていかに使いやすいか、ウェルビーイングに結びついていっているかという観点からすると、やはり福祉であったり、保健・医療とか、防災、住宅、文化政策もそうですが、そういったところの政策領域との接点の部分がものすごく重要になってくるのかなと思うんですね。資料でも生活利便性や回遊性を高める情報サービス連携というところで、健康、子育て、安全・安心という文言は入っているのですが、これは実際に市民の方々にとって魅力的なサービスが受けられるというモデル的なものが点在していく、集積していくということが起きてこないと、モビリティだけあっても移動する意味がなければ利用にはつながっていかないと思いますので、モビリティの整備と同時にまちなかに魅力的なスポットを埋め込んでいくという、そういう意欲的な事業者の方たちが現れる環境を作っていくことが非常に重要と思っています。今、例えば商店街などでも既にいろいろな取組をされているかと思いますが、全国でも福祉的な取組をしている意欲的な事業者さんが商店街の中にたくさん入ってきて、閉じた活動ではなくて、オープンな活動をしながら、福祉とクリエイティブな活動をセットで、かつそこにコミュニティの皆さんが関わるとか、医療・介護関係者が関わるとかして、一見医療や福祉とは見えないけれど、実はそこに行くとさまざまな相談にものってもらえたり、問題解決につながっていったりというような、そういう取組というのが増えていっています。あるいは図書館的なものですよね。ライブラリィ空間みたいなものをここに設けていって、そこが子どもたちにとって安心のできる居場所になっていくというような、そのことによって移動することと安心をまちなかの多様な人の目が注がれるような環境で、そういう取組がセットで展開されていくというようなイメージをいかにつくり、人々がそこを訪れ、回遊したいなという状況をつくっていくかが大事と感じましたので、ぜひ今後の議論の中で、観光コンベンション協会や商店街の方とか入ってくださっていますので大変心強いなと思っておりますけれども、意欲的な福祉・医療的な活動をしていらっしゃる方とか、そういった方々ともうまくつながっていくようなチャンネルをこれからの検討の中で生かしていけるといいのかなと思います。

嘉名会長

ありがとうございます。このあたりは事務局、どうですか。福祉・医療とか、そのあたりの分野連携ということについては。もちろんここにいらっしゃる協議会のメンバーの皆さんとは意見をいただける場ではあると思います。

事務局

さまざまなご意見をいただきました。我々としても交通だけにとらわれることなく、関連する分野や、日常生活に関連する部分との連携というのは非常に重要なものだと考えております。今後進めていくに当たりまして、どういうことができるのかというところについては検討していきたいと考えております。

嘉名会長

ありがとうございます。富山市がLRTを導入したときに、当時の市長が様々なユニークな取組として、花トラム事業とか、孫とおでかけ事業とか、そういうものをされたんです。花トラムというのはトラムに乗るときに花束を持っていたら電車賃をタダにするもので、花を持って電車に乗っている景色っていいじゃないかと市長が言ったことがきっかけらしく、市の職員がてんやわんやになったと聞いていますが、でも要は乗ってもらう動機づけということだったようですね。お花を買ったらタダで乗れるのなら乗ってみようかということです。
それから、孫とおでかけというのは孫と一緒に乗ると電車賃がタダになる。それも動物園に行っても入場料が半額になるとか、外出機会の創出ということなんです。
これってそういう機会がなければずっと家に閉じこもっていたままで出かけることもないでしょうということでもあるし、そういう機会に交通手段を使っていただくきっかけにもしようということなので、実は非常にクリエイティブなアイデアだと思うんです。これは交通施策かとか交通に関わる事業かと言われるとそうではないかもしれませんが、市民にダイレクトに届く取組という意味では非常に参考になる部分はあるかなと思っています。
もちろん導入に向けてのタイミングで考えるべきことではないかもしれませんが、ぜひ導入後に市民の皆さんに普及していくところではあらゆる手を尽くすことが実は大事で、そういうところもこういう視点があるなどのご意見をいただいてどんどん積み上がっていけば参考になると思いますので、ぜひ皆さんからご意見をいただければと思います。
ほかにいかがでしょぅか。

松岡委員

一市民としてお願いですが、私は生まれも育ちも堺で、小学校、中学校、高校は堺東のほうで3年間通いました。今ジョルノがある場所には以前はダイエーが入っており、その前に平家建ての薄暗い市場があったんです。ご承知の方は少ないと思うのですが。その時代からずっと堺東をうろうろしておりまして、今あの界隈はどこが変わったのかなと思い返すと、ジョルノがああいう建物になったのと、あと表通りに長崎屋があったのですが、今はなくなって違うレジャービルか何かが建っております。バスについては、今のシャトルバスがなくて、たしか北循環というのが堺と堺東の間をつないで循環していたように記憶しております。
その時代から表通り(和泉泉南線沿い)は一部が高度商業地区みたいになっていました。大小路筋沿いは公共の建物、裁判所とかは非常によくなったのですが、民間の建物はあまりよくなってなく、1つ中に入ると、私が高校時代のときとほとんど変わっていないということなんです。狭い市場のままの状態なので。堺駅のほうも建物は建っていますが、大きく変わっていない。私としては一市民ですけれども、何とか堺東とか堺駅に足が向くような魅力ある都心、そういうものにぜひしていただきたいと思います。
それと、バスですが、今はシャトルバスに私は100円で乗せていただいておりますが、できるだけ健康のために歩くようにはしております。バスを堺駅で待っていますと、1台来たなと思っていると次にまたバスが見えているんですね。バスが見えていてすぐ来るので乗ろうかなという気が起きます。いつ来るかわからないようなバスだったらまた歩いてとなろうかと思うので、サイネージでどこにバスがいるのかわかるようにして、魅力あるような建物とか商業施設の中にもサイネージを入れて利便性向上をぜひ図っていただきたいと思います。
それと、安全性ですが、どうも私は自動運転に怖いイメージがあるんです。遠い昔、30年ほど前ですが、大阪市のニュートラムが住之江公園駅で暴走して危うく転落しそうになったことが記憶にあります。軌道上を走っている電車でもそういうことがあるのだから、道路を走るバスではさらに安全性を高めて営業運転をしていただきたいなと。99%大丈夫ですということでは駄目なので、100%にできるだけ近く、99.999%とか、そういうような安全性を確立して運転していただきたいと思います。これは私のお願いですが、何とか魅力あるまちづくりを堺東周辺・堺駅周辺と、安全性を高めて魅力のあるSMIシステム、そういうバスをぜひ導入していただきたいと思います。ありがとうございます。

嘉名会長

ありがとうございました。長崎屋があったことを思い出しました。
サイネージについてご意見をいただきましたが、事務局、いかがですか。

事務局

サイネージということで、バスがどこを運行しているかがわかるようにするのですが、昨年度、先ほど説明させていただいたように、デジタルサイネージを使いましてバスがリアルタイムでどこを走っているのかということを確認するような実験をさせていただきました。そういう情報案内というのは公共交通の利便性を高める上では非常に重要と思っておりますので、今後も引き続きサイネージによる情報発信ということを実際に実装できるように進めていきたいと考えております。
先ほど自動運転の件で怖いイメージがあるというご意見をいただきましたが、SMIプロジェクトは非常にチャレンジングという取組かもしれませんが、安全性をないがしろにすることはございません。安全性第一で進めていきたいと考えております。以上です。

嘉名会長

ありがとうございます。それでは、ほかはいかがでしょうか。

阿多委員

大阪公立大学の阿多でございます。今日、会議に参加させていただいて、こんなにもたくさんの皆さんがこのプロジェクトに関わっていただいているということで、多くの方々がとにかくここを何とかしたいという思いで集まっていらっしゃるんだなというのが、そこがまず一番大きな印象を受けました。
確かに堺で代表的なまちのイメージというと、ほかの都道府県とか市だとパッとこういう風景というのはわかるのですが、なかなか堺はそういうのが見えづらいというところは何となくあったのですが、その中で、このマップを見るとちょっとわかってきたのは堺というのは魅力あるところがいろいろ点であると。これを何とかしてつないで線にしていく、面にしていくということをやって見せていくというのが1つ大事なところかなというところで、このSMIの部分というのは非常に大きな、いわゆる骨格の部分という印象を持ちました。
これは私だけがわかっていないのかもしれないですが、SMIという言葉がたくさん出てくるのですが、堺とモビリティはわかるのですが、イノベーションというのがどこに掛かっているのかが何となくわかるようでわからない。例えば交通自体のイノベーションを図ろうとしているのか、あるいは交通を新しくすることによってこのエリア自体に新しいものを取り込んでいこうとしているのか。多分思いとしてはどっちもやりたいというのは当然と思うのですが、その中でこのイノベーションというのがどのように位置づけられているのか、いろいろ議論していくのかなと思っているところです。
特に先ほどから出ていましたけれども、新しいテクノロジーを入れて乗り物を変えたらみんながハッピーになるかというと、多分そんなことはなくて、最初は面白がってみんな乗るのですが、いずれ飽きてくるというところで、やはりその先にどういったものが人々をひきつけていくのかというのを最初から考えておかないといけないかなと。特にARTは未来軸ということで、多分イノベーションと掛け合わせて新しい実証というのをどんどん進めていきたいという思いがあればなおさら、いろいろな取組をやっていることをどうやって見せていくか。これは実はハードの整備が最初にあるのではなくて、むしろやっていますということをどうやって見せていくかを一緒になって考えていかなければいけない。そのためにはハード整備をしなくてもできることはやっていったほうがいいだろうなというところで、長期的にインフラ整備として考えていく部分と、その上で動かすコンテンツというか、さまざまな事業というところをうまく整理しながらやれることは進めていくという形で、何かやっているということを見せていくとだんだんいろいろな人を巻き込んでいけるのかなと思います。なので、見せ方も結構大事になってくると思いますので、そういった部分をこういった中で議論できたらいいかなと思います。以上です。

嘉名会長

ありがとうございます。SMIの名づけというか、これはどうですか、事務局、もし考えがあれば。

筒井委員

交通政策監の筒井でございます。堺・モビリティ・イノベーションのイノベーションはどちらにかかっているのかということですが、おっしゃるとおり、堺、あるいは都心部にイノベーションをという思いと、モビリティにイノベーションをという両方の思いがあると思っていただければと思います。
見せ方はすごい重要だと。単におもちゃではないので、新しいものを入れればいいというわけではないというのはおっしゃるとおりです。これは波床先生もおっしゃったとおり、本来的にモビリティというのは乗る人の利便性、安全性、快適性、これを第一に考えるべきだと思っています。一方で、対大阪市の話もありましたが、今さら堺市がビジネス都市になるというものでもないので、今後の堺を考えた場合に、住んでいる人、あるいは観光客も非常に多いので、そういった方々が、特に目的はないんだけれど、とりあえず堺に滞在してみようとか、とりあえず面白そうだから堺にまず来てみようという、ある種の無目的の行動を起こすということの目的地化を図っていくことも重要なのだろうと思っています。その過程で堺のイメージを変えていくということと、堺にいろいろな産業界の方も含めて関心を持ってもらう、その2つが必要だろうと思っていて、私の大好きな言葉に「ものの始まり何でも堺」、これほど堺人の気概を示している言葉はないと思うのですが、まずは1つそういうことをやっていきたい。
それから、新しく入れて終わりということではなくて、常にいろいろな新技術に取り組む、あるいは取り組んでいいんだというような環境を作っていろいろな産業界との連携をしてやっていくということがすごく重要だと思っています。基本計画2025でもイノベーションという言葉を使っていますし、中百舌鳥でも別途イノベーションという言葉を使っていますが、決してスタートアップだけではないのですが、いろいろな産業的な取組、新しい機軸の取組をする。これは技術も産業もそうだし、カルチャーもそうかもしれないけれど、そういうことを進めていく流れの1つとしてSMIという考え方があるというふうにご理解いただければと思っております。
見せ方についてはまだ我々も不勉強なところがありますので、これからしっかりいろいろ考えていきたいと思っております。

嘉名会長

ありがとうございます。イノベーションという言葉はシュンペーターという人が今から100年ぐらい前に発明した言葉で、不断の取組、終わりのない、継続的に取り組むということが必要というところがポイントであるのと、彼の言うイノベーションというのは、よく言われる技術革新型のイノベーション、つまりプロダクトイノベーションというものに加え、プロセス、マーケット、サプライチェーンなど、いろいろなものも実はイノベーションの対象だということを言っています。
今回のSMIというのはそういう意味では非常に射程距離が広いというか、いろいろなものを対象にしていて、それらが相互につながりながら、不断、継続していくことで堺のまちの活性化みたいなことまでつなげていくみたいな、大きな意味でのイノベーション、あるいは個別のイノベーションというよりは、あらゆる領域にまたがるイノベーションということを目指していらっしゃるということかなと思います。そういう意味では非常に大きな理念だと思いますが、あまり大きすぎると見せ方というか、市民の皆さんの身近さがないと関心がないところもあるので、そこはバランスを持ってということになってくるのかなと思います。ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。

奥野委員

先ほど会長が言われましたとおり、LRT、これは実を言うと堺が一番最初だったと思うんです。もうちょっとのところで実現するかなと思っていたのですが、残念ながら市長選に負けたということもございまして頓挫してしまったというところになるのかなと思っております。
そのときにも、先ほども出ました当時の富山市の森市長をこちらにお呼びしてフォーラムをさせていただいたのですが、森市長は市民の方々とだいぶ対話されたんですね。そういうことをしていくことによって市民に落ちていくというようなこと。
そして、もう1つ思うのですが、前のときに反対の人が言われていたのは、シャトルバスでええやないか、こういう意見ですよね。お金を使わなくて。何で数百億円もお金を使うのか、こういう話だったと思います。今回は数十億円規模と思いますが、今回も多分シャトルバスでええやないか、バスでええやないかという意見が市民の方々から出ると思います。それについてどうやって対話されていくのかというのを質問させていただきたいと思います。

嘉名会長

ありがとうございます。それではどうしましょう。市民との対話の機会というのを今後持っていくべきであるということだと思いますし、シャトルバスでいいのではないかという素朴なご質問に対して効果を説明していく必要があるのかなと思います。このあたり、導入計画そのものにも、我々の議論の中にも関わっていく側面があると思います。本当はこの協議会の中でも皆さんからご意見をいただけることかなと思いますが、事務局から現時点での事務局の案ということでご回答くださいますか。

事務局

まず説明というところですが、導入計画を作っていく過程の中で市民に皆様に計画について説明する場を適宜設けていきたいと考えております。
また、シャトルバスでいいのではないかというご意見があるのですが、堺駅、堺東駅間というのは堺市の中でも顔となる道かなと思っています。シンボルロードということでもともと大小路筋については片側3車線あったところから歩道幅員を広げて今の形になっているという経緯もございますが、市としては昔からこの場所について非常に重要な場所であるという認識のもとでさまざまな取組を進めているものと考えております。
ここの東西の道路は魅力的なものになっていかないと、堺の都心部であったり、堺東だったりというところに人を呼び込んでいくような流れになっていかないのかなと考えています。シャトルバスは非常に便利で快適な乗り物であるということは誰もが知っていることと思いますが、今後公共交通が置かれるような状況であったり、先進的なまちづくりと呼んでおりますけれども、そういうものを活用しながら今のシャトルバスについてもっとより便利で快適、魅力的、そういう公共交通としていくことが堺市全体の公共交通の維持、活性化にもつながっていくと考えておりますので、そのパイロット事業であるといいますか、そういう先進的な取組をまずは進めていくことで、それ以外のところにも波及させていくというようなことで進めていきたいと考えております。

筒井委員

シャトルバスでいいのではないかということについて若干補足させていただきます。我々、公共交通、特にバスというのでしょうか、公共交通というものが技術革新だったり、人の生活スタイルがすごい変わっている中で、将来的に今の形態で、バスはバス、シェアサイクルはシェアサイクルというような形態で公共交通全体が維持できるのかということに対して強い危惧をいだいています。
さらに、自動運転、これは一番怖い技術で、もし仮に本当にレベル5の世界が来ると、正直パーソナル化、要するに無人のハイヤーみたいな形になる可能性もありますので、そうなった場合、バスのような乗合系の公共交通が維持できるのかということすら恐れを抱いています。
一方で、都心部、市街地部はしっかりと乗合系の公共交通というのは当然維持されるべきだと思っておりますので、未来に何があったとしても、あるいは時代の変化は早いですが、そういう中でも維持できるような包括的な公共サービスをつくっていかないとまずいのではないかと思っています。
今回は堺東から堺駅ということですが、別にそこだけやりたいというよりは、全体として自動運転になったとしてもちゃんとパーソナルカーに対抗できるような乗合系システムプラスアルファを作っていきたい。それが自動運転の車両もそうですし、そこからさらに次世代モビリティに乗っていくと。ドアツードアではないですが、できるだけ自分の家から基幹的な交通に乗って、さらに目的地まで行くような、そういう包括的な交通サービスを作るというのが1点。その中に1つ自動運転バスがあるというふうにご理解いただければと思いますし、単に自動運転バスを切り出して我々は考えるというよりは、全体の中の1つのシステムとして乗合系システムがあり、さらにCaaS(カース)という言い方をしましたが、情報ともつなぐことで、今のようにバスはバス、何は何という形ではなくて、全体として自動運転社会に対応できるようなシステムを作るという、その一歩としてまずやっていきたいと考えているところです。

奥野委員

もう1点いいですか。先代の父親が「伝統は革新の連続である」ということをよく言っていました。古いなりにも何とか新しいものを作っていかなければいけないという、そういうことでございまして。
堺というまちは、先ほども言われましたように「ものの始まりはみな堺」というように新しいものを取り入れるのが非常にうまかったということになっています。
そして、先ほどの延長上になるのですが、14年前のLRTの構想というのは我々にとっては非常にワクワクしていたような世界でした。それはいろいろな考え方を持つ方がいるので、それをまとめていくのは非常に難しいと思うのですが、やはり中心市街地のど真ん中だけの話ではなくて、堺浜、そして美原まで横の線をしっかり結ぶということをメインにしていくのは大切ではないかなと。LRTの一番の魅力は何かというと、相互乗り入れがチンチン電車とできるという。歴史と文化、それと新しいものが融合していくという、こういうものがすごいメリットがあったんですよね。また、鉄道が高架化した際も、その下を通して三国ヶ丘につなげるとか、堺市駅につなげるということが、南海本線高野線、そしてJRというようなところの1つの交通網の結束とまちづくりを融合させたような、そのちょうど中心市街地である堺東あたりの活性化を狙った1つのモビリティだったと僕は思っています。そういうことですので、まずはSMIからやってみて、将来的にはそういう形で、SMIの線を使うか何を使うかわかりません、LRTが僕は一番いいと思っているのですが、線を使っていろいろなところと結合していく。そして面にしていくということを堺でやっていただけるようなビジョンをどこかのところで持っておいていただいたほうが非常に我々も腑に落ちてくるのではないかなと思っております。

嘉名会長

ありがとうございます。ぜひこれをてこにしてというか、きっかけにして、まち全体の活性化につながっていくような線にしてほしいと思います。そもそも多分都心のビジョンということ自体が堺市さんの強い思いが表れていると思いますし、臨海のほうや美原とつなげていくという将来像、その流れもまだまだ実現には課題があるとは思っていますが、これをきっかけにより発展させていく。カースという言葉も出ていましたが、自動運転のバスを入れるのを目的にするのではなく、それを手段にしながら新しいまちの将来像を作っていくことを改めてこの協議会でも共有したいと思いますし、今のご意見を踏まえてより発展的な議論にしたいと思います。ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。

波床副会長

先ほどシャトルバスでええやんというお話がありましたが、これは研究上、ヨーロッパで朝から晩までバスに乗ったりLRTに乗ったりしている私からすると、乗り心地が全然違います。そういう点からも、理想はLRTです。費用の面が相当違いますのでなかなか実現できないというのはあるのですが、乗り心地は相当違います。
また、今回のプロジェクトの中で正着するという実験をしているんですね。これは何かというと、乗り場とバスの間をぴったり合わせる。エレベーターの入口のように合わせる実験なんです。ここが乗り心地以外に、乗り降りの点ではLRTとバスの最も大きな違いです。海外を見ていると、これだったら別にゴムタイヤでもいいのではないかと思ったのはフランスのルーアンという都市に行ったとき、道路上の白線をカメラで読み取って自動運転するバスが走っているんですね。これのバス停がバスの床面とぴったり合って、ほぼエレベーターの入口の状態になっていました。恐らくその辺を目指しているんだと思います。それができるのだったら一応合格点まで届くのではないかと思っていますが、現状では先ほどのとおり、まだまだ課題があるという状況で、今後の議論と技術開発に期待というところがあるのではないかと思っています。以上です。

嘉名会長

ありがとうございます。改善点があるのは改善しながらぜひ議論していきたいと思いますし、皆さんがこちらのほうがいいわと言ってもらうということが大事ですから、ぜひともその辺は皆さんからご意見をいただければと思います。ありがとうございます。
それでは、ほかはよろしいでしょうか。それでは、先に進めさせていただきます。

嘉名会長

それでは議題7「SMI都心ライン自動運転技術等検討分科会の設置について」事務局から説明をお願いいたします。

事務局

それではご説明します。
お手元の資料6またはスクリーンをご覧ください。
先ほど、議題6で説明させていただいたとおり、自動運転技術等の先進技術活用においては、専門的な知見などが必要となってきます。
このことから、本協議会規約第12条に基づき、分科会の設置を行うものです。
本分科会の役割としては、SMI都心ライン(ARTステーションを含む。)への自動運転システムをはじめとした先進技術活用について調査・検討を行うこととしています。
構成メンバーは、学識を有する者とし、オブザーバーとして協議会の委員の方の中から、自動運転技術等に関連する委員の方に参加をお願いするものです。
また加えて次世代技術関連事業者の方にもオブザーバーとして参加していただき技術の紹介や情報の提供をいただくことを想定しています。
以上で説明を終わります。

嘉名会長

ありがとうございます。
分科会の設置として説明いただきましたけれども、ご質問等ありますでしょうか。
<質問等なし>
それではお諮りいたします。
「議題7 SMI都心ライン自動運転技術等検討分科会の設置について」のとおり、分科会の設置を決定したいと思いますが、よろしいでしょうか。
<異議なし>
ありがとうございます。
異議がございませんので、「SMI都心ライン自動運転技術等検討分科会」を設置することを決定したいと思います。

嘉名会長

それでは次の議題「今後の進め方及びスケジュールについて」を、事務局から説明をお願いいたします。

事務局

それではご説明します。
お手元の資料7またはスクリーンをご覧ください。
本日、本協議会のあとに、早速ではありますが分科会を行います。
その後、今年度中に分科会、協議会を交互に3回ずつ行い、協議会では分科会の結果も報告をさせていただき、2月頃開催予定の協議会では、「導入計画(案)」としてとりまとめたいと考えています。
非常にタイトなスケジュールではありますが、ご協力をよろしくお願いします。

嘉名会長

ありがとうございます。
今後はこういった形で進めていくということです。タイトなスケジュールなのでこの後すぐに分科会を行うということですね。また皆様の協力が本当に必要です。
いかがでしょうか。質問はございませんか。
時間になってきましたが、この際何でもいいので発言しておきたいという方はおられないでしょうか。
今日いただいた意見について、次回以降の会議でとりまとめをしていただきまして、次に積み上げていきたいと思います。
よろしいでしょうか。
そうしましたら、本日の議事はこれまでにしたいと思います。
事務局にお返しします。

事務局

本日は長時間、誠にありがとうございました。
次回以降の日程調整につきましては、事務局からまたご連絡させていただきますのでどうぞよろしくお願いいたします。
これをもちまして、第1回SMI都心ライン等推進協議会を終了いたします。
なお分科会については、休憩をはさみまして16:00から開始予定です。
引き続き出席いただく委員の皆様におかれましては、長時間になりますがどうぞよろしくお願いします。
本日は、ありがとうございました。

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