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令和5年度第2回 泉北ニューデザイン推進協議会(令和5年8月25日開催)

更新日:2023年12月5日

1.日時

令和5年8月25日(金曜)午後3時から午後4時30分まで

2.場所

泉ヶ丘センタービル4階 第1・第2集会室
所在地:堺市南区茶山台1丁2番1号

3.委員

田雜隆昌(会長・堺市副市長)、森岡武一(副会長・大阪副知事)、田邊昭(委員・独立行政法人都市再生機構西日本支社副支社長)、山本讓(委員・大阪府住宅供給公社理事長)、二栢義典(委員・南海電気鉄道株式会社常務執行役員)

(敬称略)

4.議事次第・資料

1.報告

(1)書面議決事項の報告について

(2)泉ヶ丘駅前地域活性化ビジョンの改定について

(3)公的賃貸住宅の再生に向けた取組について

5.議事概要

開会あいさつ

田雜会長

 本日はお忙しい中、泉北ニューデザイン推進協議会にご出席賜り、感謝する。平素は泉北ニュータウンの取組はもとより、皆様には堺市のさまざまな取組にご協力いただいたことについて、この場を借りて御礼申し上げる。
 私自身、7月に堺市副市長に着任してひと月少しという時間が経ち、その間、泉北ニュータウンにはプライベートを含めて何度か伺った。
 関東にも多摩ニュータウン、港北ニュータウンとあり、関西では千里や泉北ニュータウンが代表的であり、それぞれのニュータウンは人口が都市に非常に集中する時代に、大量の良好な住宅地を供給するという目的で作られたと承知をしている。
 今人口が減少する中において、まちづくりの在り方が大きく変わってきており、人口増加時代に作られたニュータウンは、しっかりと基盤が整備された状況の中で、新しい時代のまちをどのようにニュータウンの中で作り出していくのかというのは非常に大きな課題だと思う。これまで大都市ではニュータウンという形で、新住宅市街地開発事業で作られた事業が多いが、それ以外にもニュータウンと呼ばれるものは世の中に数多く存在すると思う。泉北の取組が、そのようなニュータウンの再生、新たな時代のまちづくりの先導的なモデルになるように、我々協力して取組を進められればと思っているので、どうぞよろしくお願いしたい。
 本日は「泉ヶ丘駅前地域活性化ビジョンの改定」、「公的賃貸住宅の再生に向けた取組」について報告をさせていただき、委員の皆様のご意見を伺い、意見交換もさせていただければと思う。
 泉北ニュータウンの持続的な発展に向けて皆様とのさらなる連携が重要と考えているので、どうぞよろしくお願いしたい。

森岡副会長

 本年6月に就任させていただいた。大阪府が整備した泉北ニュータウンはまちびらきから半世紀以上経ち、やはり公共施設の老朽化が進んでいる。
 そのような中、府営住宅は建替事業を順次進めており、令和3年には広域的な視点から、大阪府・大阪市一体でまちづくりを推進するために、共同で大阪都市計画局を設置した。
 また、昨年末に、多様な主体が一体となって大阪全体のまちづくりを進めるため、「大阪のまちづくりグランドデザイン」を策定したところである。大阪府としては、このように広域的な視点から見たまちづくり、府営住宅のストック活用などの具体的な事業を進めながら、この協議会において、まちづくりの中心となる堺市をはじめとする関係機関の皆さんと連携し、一緒に取り組んでいきたいと思っている。

田邊委員

 私は平成29年から30年までストック事業推進部長として、この泉北ニュータウンの建替事業に関わらせていただいた。当時からUR西日本支社管内における建替の中心となっているのが、千里ニュータウンと泉北ニュータウンだが、こちらの泉北ニュータウンの方は、千里と比べると民間事業者の需要という点でやはり若干厳しいところがあるかと思う。そこで大阪府、堺市、大阪府住宅供給公社、南海電鉄と連携しながら、複合的に魅力を高めていかなければ、民間を呼び込んでいいまちをつくることはなかなか難しいと思うため、このような協議会は非常にありがたいと思っており、URとしても協力をさせていただきたい。

山本委員

 当公社は大阪府全体で約2万1千戸の公的賃貸住宅を運営しており、この泉北ニュータウンには約5300戸の住戸がある。その中でも、泉ヶ丘に一番近接している茶山台団地が920数戸あり、泉北ニュータウンの活性化というのが公社の事業展開そのものにも大きく影響を及ぼすと思う。そういう意味で、泉北ニュータウンの活性化を、皆さんと本当に力を合わせて頑張っていかなければいけない最重要命題と考えている。私どもは協議会のメンバーの中では、恐らく最小の規模の事業体だが、志は高く持って、取り組んでいきたいと考えている。

二栢委員

 私は中百舌鳥に26年間住んでいたが、ちょうど子どもの頃が、泉北高速のトンネルが作られている時期にあたり、工事を通して泉北ニュータウンのまちができていくのを見てきた。
 就職してからは、泉北高速鉄道にも3年間出向し、泉ケ丘駅構内にエキタカという小さいショッピングセンターを作らせていただき、非常に強い思い入れのある地域である。昨日プレスリリースさせていただいたように、「泉ケ丘駅前活性化計画」では、4層建ての商業施設を作る予定だったが、工事費高騰の中で、もっといいものを作ろうということで、断腸の思いで計画を見直すということを判断した。我々としては、何とかこの泉北全体のまちづくりに取り組んでいこうと思っているので、引き続き皆さまと一緒にさせてもらいたいと思っている。

(1)書面議決事項の報告について

田雜会長

 「書面議決事項の報告について」事務局に説明を求める。
(事務局から説明)

田雜会長

 ただいまの説明に対して、皆様からご質問等はないか。

全委員

(意見なし)

(2)泉ヶ丘駅前地域活性化ビジョンの改定について

田雜会長

 続いて、「泉ヶ丘駅前地域活性化ビジョンの改定について」事務局に説明を求める。
(事務局から説明)

田雜会長

 各団体におけるこの10年間の取組や今後泉ヶ丘駅前地域に対する期待感あるいはお考えについて、ご発言をいただきたい。

森岡副会長

 大阪府としては、近畿大学医学部等の移転先として、三原台の府営住宅の建替事業で活用地を創出させていただいた。令和3年10月には近畿大学医学部の工事が着手され、歩行者動線の整備なども進められている。泉北ニュータウンには府営住宅が非常に多くあるので、建替時に活用地を用いたまちづくりを関係団体の皆さんとともに考えていきたい。
 また、「大阪のまちづくりグランドデザイン」において、大阪高野都市軸郊外拠点エリアという形で、泉北ニュータウンをはじめとして、狭山ニュータウンや金剛ニュータウン、これらの一体的な取組の連携、あるいはノウハウの共有を行うことで、エリア全体の拠点性や居住魅力を一体となって高め、泉州南河内エリアの核となるようなエリアの形成をめざすとしている。
 近畿大学医学部等の移転を契機として、大阪狭山市では移転跡地を活用したまちづくりを検討しており、そのような動きを一体的に捉えて、魅力向上につなげていければと考えている。
 本協議会でこれから検討していく次期ビジョンでは、泉北ニュータウンにおいて、先進的なモデルになるような様々な事業を引き続き行い、駅前地域の魅力をより一層高め、周辺エリアとの連携、それぞれの取組による相互の波及効果を期待したい。
 ビジョン改定の議論を契機に、改めて泉ヶ丘駅前地域の活性化に向けて意識を共有し、引き続きまちづくりに取り組んでいきたい。

田邊委員

 URは、泉北ニュータウン内では団地のリノベーションや団地の共用部の活用イベントを実施している。平成29年から竹城台1丁団地の建替事業が開始し、今年の3月に泉北ニュータウンで初めての建替住宅が出来上がり、戻り入居及び新規の方の入居が始まった。丑池との近接性・親水性や集会所の中で居住者の方が集まってコミュニケーションをとれることに対する評価をいただいている。
 この他、泉北ニュータウン内には、まだまだURの団地があるので、引き続き事業を継続していく。
 私たちだけが何か新しいものを作ってもまちとしては不完全であり、まち全体として魅力あるものにしようと思うと、例えば、泉北ニュータウンのいい部分の一つである歩行者ネットワークをより魅力を高めていくことや、公共空間、公園や駅前広場などのにぎわいや人のたまり場になるような場所などを生み出すこと、南海電鉄でも実施されている公共交通のネットワークであるオンデマンドバスを実施するなど、それらのことが複合的に効果を生み出さないとまち全体の魅力はなかなか高められないと思う。資料2-2の中でもいろいろ示しているが、事業者ごとの取組のようなイメージにも見えるので、次の10年は協議会の構成団体で協力しながら進めていけるような何か一つ大きなテーマがあってもいいと感じた。

山本委員

 府公社では、茶山台団地をリーディングプロジェクト団地として位置づけ、資料2-2に記載するような取組を実施した。
 例えばハード面では、堺市の補助金もいただきながら、ニコイチやリノベーション住戸の供給など、若年子育て世帯の入居促進を図ってきた。
 ソフト面ではNPO法人と連携して、高齢者の買い物支援や、孤食の防止及び健康寿命の延伸を目的とした「やまわけキッチン」をオープンさせ、コミュニティの場としても活用していただいた。
 これらの取組はそれぞれ一つ一つは大きな取組ではないが、団地の現状における課題やその解決に向けた取組として、メディアにも取り上げていただき、注目をいただいている。
 結果として、茶山台団地の入居率は、平成28年度は83%だったが、令和4年度は93%と10%も改善している。
 一つ一つは小さな取組でどういう効果があるのかという声もあるが、そういう取組が重なって広がりを持ち、入居率の改善にもつながっており、取組の成果と考えている。
 今年度は団地の空室を活用し、健康や医療に関する常設拠点を10月にオープン予定であり、NPO法人及び社会医療法人、大学等と連携して運営し、団地再生事業によって自立した団地コミュニティや地域に密着した生活支援サービスを提供することとしている。
 重要なのは、公社単独で成し得るものではなく、堺市をはじめとする行政やNPO法人、社会医療法人などの事業者、また何よりも住民の方のご協力によって実行できたものと考えている。
 泉ヶ丘地区は泉北ニュータウンの中核であり、地域のハブであると考えている。様々な人々が働き、学び、集い、憩い、移動のために利用する極めて重要な拠点であることから、住宅事業を営むプレイヤーにとっても活性化は最重要課題と認識をしている。
 また、ハブがなければパートナーシップも成り立ちにくいと考えており、そのベースとなるのが本協議会関係者との連携であり、協議会での議論や、新たなビジョンがそのきっかけになればと考えている。

二栢委員

 泉ケ丘駅前活性化計画については、非常に申し訳ないこととなり、改めてお詫び申し上げる。
 当社では、大蓮公園のPark-PFI事業は当社グループ会社が委託させていただいており、健康アプリの運用や今年2回目の実証実験を行うオンデマンドバスの取組を行っている。
 健康アプリについては、1,000人未満の会員数であったが、デジタルきっぷとポイント連携したところ1カ月ほどで約5,000人に増えた。
 南海は民間企業なので、泉北ニュータウンで赤字や資金が垂れ流しにならないよう「損して得取れ」というスタンスになると思う。交通事業という立場だけではなかなか苦しいところがあり、泉北ニュータウンを盛り上げるためにも皆で知恵を絞って頑張っていきたい。

田雜会長

 皆さんの意見より今の活性化ビジョンの改定に向けたヒントをいただいたと思う。
 市としても、皆さんの取組にあわせて、都市計画の変更や、近畿大学病院あるいは医学部の移転に向けて大阪府と連携して都市計画の変更等も踏まえて、用地をしっかりと確保できるような調整を行ってきた。
 これまでの取組も、各事業者と協力して行ってきており、これから進めていく取組もその協力は欠かせないということを改めて認識した。
 例えば、緑道のネットワークやまちかど保健室といったハブの話、あるいは健康というキーワードの話、こういったテーマを持ちつつ、ハブとそのネットワークで泉ヶ丘駅前地域をしっかり繋いでいくことは、これからの取組において、非常に重要なことではないかと思う。
 各住宅事業者における団地再生は、それぞれ様々なテーマを持ちながら、団地の再生とその中核となる交流の場や、ハブとなるような機能の導入をされていると思う。
 堺市も近隣センターをどういうふうにしていくかというのは、大きな課題の一つとして捉えている。
 近隣センターやそれぞれの団地のハブをしっかりと有機的につないで、住まわれている方々が同じような視点で、いろいろなサービスを享受できたり、取組に参画できるといったような形を作っていくことが泉ヶ丘駅前地域の新しい時代に合ったまちづくりに繋がっていくのではないかという印象を持った。
 先ほどから話が出ている近畿大学医学部の開設も目前に控えている中で、大きくひとの流れも変わってくるように思う。
 また、SENBOKUスマートシティコンソーシアムといった形でスマートシティ推進の新たな体制も整っている状況である。
 大きく社会情勢が変わってくる中で、体制も変わってきているというところもあり、ビジョン改定に当たっては、ビジョンの名称やここに掲げているコンセプトを大きく変えてもいいのではないかとも思っている。泉ヶ丘駅前地域活性化ビジョンを、抜本的に見直していくような意気込みで、今回の改定の作業を進めていただければと思う。

森岡副会長

 会長からビジョンの抜本的な見直しもあるのでないかという非常に前向きな声をいただいた。住民の方に非常に前向きに捉えていただくのが大事であり、住んでいる人がいいまちであると思ってもらえるのが一番だと思う。
 抜本的な改定に際して、先ほど各構成団体からの振り返りがあったが、住民にとって案外知らないことも多く、ここまでよくなった、これからこうしていくといったことを住民にも分かっていただいたほうがいいと思う。住民の生活に対するモチベーションのためにも広報活動も行っていくのもいいかと思う。

二栢委員

 会長からビジョンを思い切って見直しというお話をいただいたが、有識者で構成する専門委員会のメンバーも、若い方や切り口が違う方にも入っていただくことはできないか。他府県でまちづくりを経験された方の知見も得られたらいいと思う。

山本委員

 そもそもビジョンが何のためにあるのかという点について、現在のビジョンにも書かれているが、プレイヤーが同じ土俵のもとで、同じ目標に向かってやっていくための指針であるということが一つであると思う。もう一つは、泉北ニュータウンの魅力をまだ体感されていない方々に、こういうビジョンがあって、こういうまちづくりをしていることをPRする一つのよいツールだと思う。そういう観点で作っていければよいのではないか。
 また、「ビジョン」というと役所的に見えるが、それぞれのプレイヤーの思いや財政状況がある中で、泉北のことをご存じない方がイメージしていただけるような、よりできるだけ具体性を帯びたようなビジョンにしていければよいと思う。
 現在のビジョンでもまちの回遊性や駅へのアクセスのしやすさ等の記載があるが、例えば、泉ヶ丘公園と併せてどのような緑道が整備されるのかといった具体的なイメージが示されれば、より具体的なまちの形というのが見え、各住宅事業者等がどのように受け止めて、どのようにネットワークを繋げていくのかという、リアリティのあるイメージを抱けるようなビジョンになるのではないか。
 もう一点は、少し観点は違うが、若者世代にビジョンを提示してほしいという思いは当然である一方、資料2-1の説明にもあったように高齢化は、国全体のことで避けては通れないものであり、高齢化を前提とした社会を作っていかないといけないと考える。
 現在のビジョンも、誰もが主役ということをうたってはいるが、どうしてもまちの活力に力点を置いた印象がある。
 そういう意味で、新ビジョンにおいては、高齢化の進行というのは必然という前提で、いかにしてその高齢者が住みやすく、活動していただけるような地域にしていくのかということを前に打ち出していくことも必要と考える。高齢者にやさしいまちというのはどなたにも優しいまちであるので、安心して定住できるまちとして、もう少し高齢者に視点を置いたようなビジョンになればよいと思う。
 この他、働く場という観点の切り口があればよいのではないか。転入定住につながるような、それぞれの世代のニーズに沿った都市機能の充実、住宅、商業、保育所や公園、子育て環境が必要だが、さらに人を呼び込む上で、「働く場」が大切だと思う。「SENBOKU New Design」にも10年後の将来像として、駅前地域や公共施設などリモートワークスペースが整備され、自宅近くで働ける環境が整備されているということが書かれているので、新ビジョンにおいて、「働く場」という観点にさらに「定住」という観点を加え、例えばシェアオフィスやコワーキングスペースの導入や拡充といった働き方に関わる要素を盛り込んでいけたらよいと思う。

田邊委員

 以前に「泉北レモンの街ストーリー」の話を聞き、すごくいい話だと思った。居住者の方が、何らかのまちの魅力を高めるための活動をして、いろいろな人がどんどん増えていき、それが魅力を高める要素になることが一番いいと思う。新ビジョンではそのような居住者の方が活動して輝くようなことをテーマの一つに入れていただけるといいと思う。

田雜会長

 事務局からコメントや確認したいこと等、今後議論を進めるうえで、確認しておきたいことはないか。

堺市泉北ニューデザイン推進室

 魅力を発信するということで、泉北ニュータウンのブランドを構築していきたいと思っている。構成団体の皆様とはそのブランドの方向性を共有できたらいいと感じている。
 堺市では泉北ニュータウンに関するKPIの達成に向け39歳以下の若い世帯に転入していただき、人口減少を食い止めるというところをめざしており、その方々をターゲットにした活用地の活用をめざしている。しかし、経済的なこともあると思うので、想定している人たちに来てもらうのはなかなか難しい。泉北ニュータウンでは、堺市の持っている土地以外のところで、構成団体の皆様には様々な取組をしていただくことが多いので、堺市の考えている方向性を共有し、その発信についても協力をお願いしたい。
 この他、「SENBOKU New Design」の理念にもあるとおり「かつてのベッドタウンから、より豊かに暮らせるまちへ」に向け、今までのベッドタウンだけでなく、目的地になるようなところも開発していきたいと思っている。近畿大学医学部の開設についても、目的地になるような大きなインパクトのある事業だと考える。活用地を活用していくに当たっても、このような大きな事業と連携できたらと思う。
 新たなビジョンの共有したいイメージを具現化し発信することを、皆様と一緒にやっていきたい。

大阪都市計画局拠点開発室

 委員の皆様の意見を聞いて、特に府公社の茶山台団地の取組が、周囲に広がり、若い方が茶山台に住み、それが発信力になっていると思う。
 そこではNPO法人などが活躍しており、その方々が大蓮公園などでもいろいろなイベントをやっていると思うので、行政としても、そのあたりをバックアップしていくような形をとれたらいいと感じた。

(3)公的賃貸住宅の再生に向けた取組について

田雜会長

 「公的賃貸住宅の再生に係る取組」の報告を求める。
(事務局から説明)

田雜会長

 「公的賃貸住宅の再生に係る取組」についてご質問等はないか。

山本委員

 協議会にストック活用のマッチングの一元窓口があるのは、事業希望者にはわかりやすく、住宅事業者にとっても提案をいただける機会が増えるので、仕組み自体はよい。問題は、いかに具体的にマッチングをさせていくかということ。
 府公社としては当然事業収支を踏まえていく必要があり、提案する事業希望者も民間事業者であるため、同様に収支を考えなければいけないはずである。仮に事業を開始したものの収支が合わない場合は、民間事業者は撤退するだけだが、あとに残された住宅事業者は一体どうしたらいいのかということになりかねない。
 また、協議会が設定するテーマと住宅事業者個別の課題が、異なる場合も当然あると思う。各住宅事業者が事業者募集のマッチングされた結果、事業者募集の提案いただいた事業を実施しないという可能性も出てくると思うが、それが問題ないのかという疑問がある。
 さらに、府公社の財産を活用するとなると、主に土地だけではなく、住宅の空き家が想定されるが、既存住宅の場合は、共同住宅の用途になっており、これを変えるにはまだ大きなハードルがあり、そのあたりの手続きの緩和も必要となると思う。
 いずれにしても理念や仕組み自体はよいと思うが、枠組みだけを作り、後々に手間だけ残っていくということがないように、よろしくお願いしたい。

事務局(大阪府)

 今回の既存ストック活用の募集のテーマ設定については、堺市の施策や住宅事業者が抱える課題、市場のニーズ、これらを踏まえてWGの中で意見交換を行ったうえで、泉北ニュータウンの課題解決に資するテーマというのを決定して、提案募集を行いたいと思っている。
 提案募集の結果、事業提案をいただいた際には、当該提案事業者の事業内容も踏まえて、事業実施者を募集するという2段階の形になるが、協議会において、実施事業者を募集するという形をとらせてもらい、住宅事業者とのマッチングという形を進めたいと思っている。
 泉北ニュータウンの課題解決に向けて、既存ストックの活用が実現できる手法を検討していきたいと考えており、ご協力をお願いしたい。
 また、既存ストックの活用にあたっては、建築基準法の用途制限等がある。導入できる用途に制限があるので、運用による対応が可能なのか確認することが出てくると思うので、どういった規制緩和を行えば、既存ストックの活用が進むのかといった視点で、堺市も一緒になってWGメンバーで検討していきたい。

山本委員

 理念や仕組みは否定するものではないし、うまくいけば素晴らしいことだと思うが、うまくいかなかったときに、残されるのは住宅事業者であることを考慮いただいて、制度設計をしてもらいたい。

事務局(大阪府)

 プラットフォーム事業者などにいろいろな案を出していただきたいということであり、それぞれ公的賃貸住宅事業者の中で実際にどういうストック活用を行っているのかを皆さんに知ってもらうために、今年に協議会ホームページで既存ストック活用事例を発信した。
 ストック活用に当たり、いきなりこの空室を使ってくださいという募集ではなく、例えば、こういうテーマでこんな使い方はできませんかというようなこと募集し、マッチングがうまくいけば、新たな使い方に繋がる。提案事業がうまくいかなければ各公的賃貸住宅事業者が困るということではなく、うまくできる事業をうまくマッチングするということ。できなかったらまた他の方法を考えるということでご理解いただきたい。

田雜会長

 山本委員からは空室活用が上手くいかなかったときに、あとは公的賃貸住宅事業者でお願いします、というようになるのが非常にご懸念点かと思うので、そうならないようにしっかりマッチングをすることが一番大事。
 事務局から説明があったように、ソフトの取組もかなり広く行われている状況である。先ほど都市計画の用途地域の運用の話として、用途が付帯的な機能なのか、主体的なのかで考え方も変わってくるという趣旨をおっしゃっていると思うが、たぶん付帯的な部分であれば、恐らくそんなにイメージされているのが突き抜けているものではないと思う。是非とも事務局の中でしっかり議論いただいてご懸念の点を払拭しながら進めていただきたい。

田邊委員

 既存ストックの活用と活用地の公募は、基本的には同じような仕組みで考えているということか。それとも既存ストックの話だけということか。

事務局(大阪府)

 活用地については、それぞれが公募するということで、そのテーマについては、既にコンセプトテーマ案が公表されているので、それを踏まえて各事業者で実施する。今回の空室活用の場合は、それぞれが実施しているが、他の使い方の提案募集を受けて、実現できそうなところはマッチングしていくという流れである。

田邊委員

 活用地の話でいくと、例えば環境配慮や子育てなどの盛り込んでほしいテーマを民間事業者に要望を入れれば入れるほど、土地の単価が下がるが、儲けることが出来なくてもテーマを実現できたらいいという話はあるとしても、民間事業者が参画しやすいシステムみたいなことも事務局の中で考えていただきたい。
 例えば具体的な事例だと京都駅南側で企業誘致のためにインセンティブパッケージとして、都市計画の柔軟な運用や補助制度など、事業者が参画しやすいシステムがあり、このようなことを併せて考えていただきたい。

事務局(大阪府)

 すでに事業者ヒアリングを行い、用途などについては堺市とも協議しながら、インセンティブを与えるようなことも検討している。

閉会あいさつ

田雜会長

 本日の議題全体を通した中で、泉ヶ丘駅前地域活性化ビジョンについては、資料2-2などは事務的には見ていたが、あらためて委員の皆さんの話を聞かせていただいて、副会長からもご指摘をいただいたように、事業者の縦割り感があるという話もありましたし、具体的にはソフトも書いてあるがイメージとしてはハードに少し寄っている資料との印象もあった。
 本日のお話を伺っていると、それぞれの住宅事業者の取組として捉えた時に、ソフトも含めて再構成するというところが、強くにじみ出ていると思う。ただ単に古くなった住宅を建て替えるのではなく、新しい建物になるのに合わせて、そのテーマに基づいて、ソフトも含めて取組が行われている。
 ご意見の中でもあったように、地域の人たちに知ってもらい、地域外の人にも知ってもらうことが非常に大事かと思う。
 それがひいては、泉ヶ丘や泉北ニュータウンのブランドの創出につながっていくと思う。これだけ立派な事業者さんが同じ方向を向いてこの地域で取り組まれるというのは、他にない取組かと思う。その力を合わせてブランドの創出につなげていければと思う。
 せっかくなので、皆様から一言ずついただいて会議を締めくくりたいと思うが、いかがか。

森岡副会長

 事務局から話もあったように、近畿大学医学部等がもうすぐ開設するというのは非常にインパクトだと思う。
 これまでもいい取組をしてきたが、大きな起爆剤が来たということで、次のビジョンを新たに作るときにどう活用していくかというのが、実際は難しいが、そこを打ち出していければと考える。
 そのためには、大学も地域で一緒に何かやろうというような時代でもあることから、近畿大学との意思疎通といったところを押さえていただけたらと思う。

田邊委員

 歩行者ネットワークの話を何か具体的に進めるのは、協力しながらやっていけると思う。例えば、歩行者ネットワークの端っこが切れているのを繋げることや、歩くときに分かりにくいことも結構あったと思うので、ルートに名前をつけたり、距離を示す等がセットになった地域全体の共通的なサイン計画を検討するなどが考えられる。また、植栽に多様性をもたせたり、結節点に住民が活動できるような仕組みを取り入れるなど、大がかりにやらなくても出来るようなことができるといいと思った。

山本委員

 会議の前にもうすぐ稼働する「まちかど保健室」の拠点を見てきたが、そこに行く途中もやはり高齢者の方がすごく多かった。若年・子育て世代の誘引は大切であり、まちの活性化に向け行政として取り組んでいかないといけない重要テーマだと思うが、現実として、高齢化から目をそらしてはいけないと思う。
 府公社で管理する2万1千戸の中で、独居でお亡くなりになる方も年々増えている。いかにそうならないように地域で見守りができるのか、健康づくりができるのか、それがまさしく地域のコミュニティである。
 泉ケ丘駅前地域のビジョンであるので、高齢化にはそぐわないかも知れないが、高齢者の方に優しいまちにするのかどうか、そのためにはどのようなハードやソフトがいるのか、特に行政の福祉、医療、衛生の分野のソフトの部分とどういうふうに連携をして位置づけていくのかということを打ち出していただくことが、高齢化している住宅の事業者としての切なる願いである。
 府公社の入居者の6割が60歳以上、10年たつと6割以上が70代である。若年子育て世代の方にいかに入っていただけるかという努力はし続けているが、現実は大変な状況であるので、そのような視点を入れたビジョンができたらと感じる。

二栢委員

 南海電鉄の駅前の建物のリーシングにあたって、近畿大学医学部等が開設する件をセールスポイントにしたものの、例えば駅前にオフィスを構えることで何か優先的なメリットがあるのか等の現実的な意見があった。そういう意味では、近畿大学ともいろいろなお話をさせていただかないといけないと思っている。また、泉北ニュータウンには大阪府下でもドクターの方が非常に多くお住まいであると聞いたので、同じように近畿大学の先生方にも住んでいただきたいですし、駅前商業施設等を利用いただくことで、まち全体の活性化にも繋がると思う。
 この他アイデアとして、緑道全体を繋げるとおよそ42.195キロメートルになる。マラソンコースを作ったら結構がんばる人が多いのではないかという話もあったので、次のビジョンでそういうこともあったらいいかと思った。

田雜会長

 本日は、これからビジョンの改定に向けて、考慮すべき事項や方向性についてのヒントをいただいた。
 それでは、全ての案件が終了した。円滑な議事進行、議事運営のご協力、また活発なご意見、意見交換をいただき感謝申し上げる。

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