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会議録(第1回堺市都心交通検討会議)

更新日:2012年12月19日

1 開催日時 平成24年5月30日(水曜)、午後6時から7時45分
2 開催場所 堺市役所 本館3階 大会議室1
3 出席者 委員(50音順、敬称略)
 関西大学経済学部 教授 宇都宮 浄人
 神戸大学 副学長 正司 健一
 近畿大学総合社会学部 専任講師 田中 晃代
 大阪産業大学人間環境学部 教授 塚本 直幸
堺市
 竹山市長、田村副市長、織田村技監、島田建築都市局長、窪園交通部長
その他
 事務局等

開会

市長

 前年度は、市民、議会議員、そして有識者、事業者も含めた堺市公共交通検討会議において、堺市の総合交通体系の一定の方向づけをしていただいたところである。それを踏まえ、有識者の皆様には、さらに専門的な領域、将来のB/C(費用対効果)までを含めてご議論をしていただきたいと思っている。
 堺の南北交通は非常に強いが、東西交通が弱いとご指摘をいただいており、私もそのように思っている。そういった堺の弱みと強みを十分発揮しながら、皆様のご指導を得ながら、これからの設計図を描いていきたいと思っている。
 私は、公共財は将来負担の問題も十分踏まえて検討すべきであり、将来にわたってのB/Cが出ることが大事だと思っている。そういうことについて、専門の皆様のご意見を伺いたいと思っている。少子高齢化が進展する中で、交通を使って移動する権利を充足させていくことが大事だと思っており、その有り様についてのご意見をお願いしたいと思っている。

座長の選出、副座長の指名

塚本委員

 正司委員にお願いしてはどうか。

委員

 異議なし。

(正司委員を座長に選出)

(正司委員が座長席に移動)

正司座長

 副座長は塚本委員にお願いする。

堺市都心交通検討会議について

塚本委員

 地域公共交通会議を別途開催するとのことだが、この会議との議事のやり取りはあるのか。

事務局

 場合によってはあるかと思う。交通部として連携が図れるように努めたいと思っている。

公共交通に関するこれまでの取り組みについて(総合都市交通計画及び関連計画について)

正司座長

 公共交通について今まで議論されてきたことをご紹介いただいたが、わからないところがいくつかある。まず、どの程度これを尊重しないといけないのか。さらに、「ネットワーク」や「地域」という言葉はどういう意味で使っているのか。

事務局

 「ネットワーク」は、具体的に公共交通網を作っていく「網」の部分を意識している。例えば「拠点間ネットワーク」というのは拠点間を結ぶ交通軸を形成していきたいという思いで「ネットワーク」という表現を使っている。
 「地域」は、堺市では少し特殊な使い方をしている。特に「地域内公共交通」という表現にわかりにくいところがあるかと思うが、駅等へのアクセス、駅端末の部分ぐらいのエリアを1つの地域と見立て、そこに関する議論という意味で「地域内公共交通」という言い方をしている。具体的には、コミュニティバスでカバーしていくような交通空白地的なところも含め、公共交通が不便な地域の問題を考えるという意味で使っている。

正司座長

 後者は用法を間違っている。さらに交通困難者の話と地域内交通という移動距離が短い交通の議論は無関係な話である。

窪園交通部長

 堺市として総合都市交通計画の議論をしたときに、市域全体の交通と、地域に根差した、地域の方が具体的に困っているとか、そういうことについてどうしていこうといったときに、地域に住まい、生活している方々が移動する、そういう意味で言っている。確かに交通困難者というのは市域全域にいらっしゃるわけですから、地域で困っていることを自分で解決するといったときに公共交通困難者というのは全市的な問題であるとか、そういうのは確かに議論としては分けないといけないかもしれないが、施策として展開するときには1つにしていきたいという意味である。

正司座長

 議論として分けないといけないということは、施策としても分けないといけない。交通困難者の福祉交通レベルまで入っているように思えるが、そもそもその方々の移動希望距離が短いという保証はない。
 「施策展開の方針」の立て方そのものがよくわからないのだが。

事務局

 施策から検討しているところがあり、大きなネットワークを将来的にどう作っていくかという課題と、身近な公共交通問題をどう整理するかという課題について、業務的に担当を分けていることもあり、こういう仕分けをしている。行政の業務を進めていく上で、分けて整理をしているということである。

正司座長

 都心の交通について検討するこの会議として、そのあたりは気にしないでいいとの理解でよいか。

事務局

 そのとおりである。

田中委員

 都市計画マスタープランが改訂中と書かれていたが、どのような進捗状況か。

事務局

 現在、パブリックコメント中である。

塚本委員

 交通体系をどういうものにすべきかは、どういうまちにしたいかという話が前提にないと答えが変わってくる。堺市をこういう都市にしたいという都市マスタープランや将来構想があるが、一般的である。「活力あふれる都市空間を作る」「居住魅力あふれる都市空間を作る」「環境と共生する」「安全・安心」、これは堺市に限らず、北海道から沖縄まで全部そうなる。こういう資料がこういう言葉遣いになるのは理解できるが、堺は課題としてどんな現状を持っているのか。いきなり施策が出てくるわけではない。例えば、堺は政令指定都市ではあるが、個々がばらばらで83万人の人口がいるだけといった状況になっている、過去の歴史や文化遺産がたくさんありながらも、そういうものが活かされていると言えるほど人が来ていない、あるいは商店街が寂れてきている、泉北ニュータウンから都心に来るほどの用がないなど、交通に関わるそういう事例はたくさんあるが、その中でのキャッチフレーズの必然性がよくわからない。もちろん個々の課題について整理した上でこういう言葉が出てきていると思うが、それを前提に交通体系はどうあるべきなのかというと、一般論での交通体系しか出てこない。
 これは1年かけて議論していってもいいと思うが、堺のまちはどこにどういう課題があって、それをどうしたいのか。三都と言われるものに堺をプラスして四都にしたいのか。それとも、そこまで大胆なことは考えなくても、独自の都市圏を形成するようなまちにしたいのか。あるいは大阪市の衛星都市として快適に暮らせればいいというまちにしたいのか。それによって交通体系がどうあるべきかの答えが変わってくるので、そういう整理をどこかでやっていただきたい。
 堺市としてこのまちをどうしたいのか、ある意味では、このまま放っておくと堺が駄目になるという危機感があって、このまちをこうしたいというのをあらかじめ聞かせていただかないと、それに伴う交通は、もしかしたら自動車主体という答えのまちもあるだろうし、脱自動車で公共交通というのが本当にいい答えなのかどうなのか。また、公共交通には鉄道もあれば、地下鉄、路面電車、バスもあり、それ以外にも徒歩や自転車もある。1年間かけて議論していくので、公共交通、都心交通のあり方が必然的にこうだという答えを出していきたい。どこにでも使えそうな、こうなるといいねという夢物語で終わるのではなく、堺の危機感を踏まえた中で、まちをこうしなければいけないということから、こういう交通体系でないといけないという必然性を出そうと思うと、問題も個々の課題に基づいてやらないといけない。できればこの総花的なマスタープランにどういう思いがあるのか、資料を作っていただけると議論がしやすくなると思う。

事務局

 堺市は、歴史や独自性、特色、位置的なことを含めて、非常に特性の出せる環境にある都市だと我々も感じている。そうした中で、堺市マスタープランが我々の業務やまちづくりの基礎となっているが、この中で、堺は3つの挑戦を掲げている。
 1つ目は、「子育てのまち堺」。2つ目が、まさに特色づけになるかと思うが、「歴史文化のまち堺」。3つ目が、歴史とも関係するが、歴史が生み出してきた「匠の技が生きるまち堺」。それが結果的に低炭素につながればということで整理をしている。どこのまちでも出てくるような部分はあるかと思うが、こういった組み合わせと、地理的な要因などから堺のまちの独自性を発揮していけるのではないか。日本の国内だけでなく、世界にもその独自性を発揮していけるのではないか。そういった資産にあふれているはずだと認識している。
 ただ、それを交通の上でどう活かしていけばいいのかという部分は、まさに先生方にご意見をいただきたいところである。この場でのご議論、また市民や議会でのご議論を踏まえながら、いかに交通でその部分をつなげ、その方向性に乗せていくのかについて、ぜひご意見をいただければと思っている。

窪園交通部長

 都心のまちづくりの方向性について、資料(3)の12ページに、「堺都心のまちづくりプラン(案)」におけるまちづくりの目標と基本方針を書いている。堺市の都心はこれから難波や大阪の都心をめざしてもすこし厳しいだろうというのが基本的な認識であり、そういう中で、集約型の都市構造をめざす上で堺の都心はどのようにあるべきか。
 今までの総合計画では、商業や業務の振興などを前面に出してきた。当然そういう振興もあるのだが、今回は、1つ目に「自由と自治のまち・堺を代表する活力あふれるまちづくり」ということで、歴史文化都市堺を代表するまちづくりを掲げている。2つ目に、人口がもっと集まることによって賑わいが出てくるのではないかということで、都市のライフスタイルの創出や、市民に愛着を持っていただくこと、住む環境として水辺空間や生活機能を充実させるということを前面に出している。もう1つは、近くに百舌鳥古墳群があり、世界遺産をめざしていく中で、歴史文化を活かしながら、まちとしての重層さや重みがあり、いろんな顔を持つような都心にしていく。それらを総合して、賑わいが昔のように商業や業務だけではなく、観光や交流も含めた、居住がベースにあり、そういういろんな機能が集まってきて、それが結果として活力になっていく。そのコンテンツとして、百舌鳥古墳群や古い町家、阪堺線という100年を迎えた路面電車もある中で、そういうまちづくりをやっていきたいということで、今、まちづくりプランを案として出している。

正司座長

 今の論点はこれから広がっていくと思う。

宇都宮委員

 都心交通検討の対象範囲を見ると、大仙公園周辺エリアに向かって阪堺線から緑の線が延びている。都心ネットワークのイメージ図にもそれが入っているが、この会議において、大仙公園周辺エリアというのはどのように扱えばいいのか。都心のターミナルのネットワーク化は理解したが、堺の都市交通、まちづくりの中で、大仙公園エリア、世界遺産の話があったが、それをどのように位置づけて議論すればいいのか。観光資源を楽しく回遊できるネットワークの形成というのがあるので、それに近いと思うが、資料を見ると、点在する歴史文化資源を有機的に結びつけると書いてあるので、これだけでもないと思う。この大仙公園周辺エリアは今どういう問題があり、この会議でどのように検討していこうと考えているのか。

事務局

 資料(2)の49ページは、都心のネットワークを考えていく上でどのようなことを市としてめざしたいかということのまとめである。1つは、都心と他の拠点のネットワークを強化して、外との出入り機能をよくしたいということ。それから、周辺の一般住宅地も含めた都心エリアをつなげていくような面的なネットワークを作っていきたいということ。それから、東西方向の交通機能を強化していきたいということ。最後に、観光エリアである旧市街地と大仙公園周辺間の移動利便を向上させたいということで、50ページの緑のラインにつながる。南北の阪堺線もそういう性格を帯びているが、施設が点在しており、歩いて回るには遠い。また、大仙公園周辺エリアも距離があるということで、観光周遊からすると移動利便がよくないというご指摘がある。また一方で、それらを活かす交通体系が、単に観光目的だけではなく、この地域の活性化にも役立つというご意見もあり、総合都市交通計画の中で、阪堺線と出島百舌鳥線をつなぐような、観光軸といったネットワークを検討対象に入れていきたい。ただし、大仙公園周辺エリア内の交通をどうするのかといったことではなく、これらのエリアをどう結んでいくのか、緑の線をどのように作っていくべきかの議論をお願いできればと思っている。

塚本委員

 世界遺産の関係もある中で大仙公園周辺と都心をつなげたいという意図はよくわかるのだが、都心、旧市街地を活性化させたいということと、大仙公園周辺を観光地化させたいという2つの施策からこの緑の線でつなぎましょうというふうに安易に見えてしまう。住んでいる人は堺にすごく愛着を持っているが、一方で、堺のことを自分たちはあまりよく知らない。外から見ていると、堺は観光資源や歴史遺産が非常に多い良いまちだと思うが、それほど大事なものが揃っていると思っていない人が多いように見える。誇りを持つべきものはたくさんあると思うが、それが市民一人一人のものになっていないという意識があって、やはり住んでいる人が誇りを持っていないと、外から見に来ない。住んでいる人が誇りを持っているまちだからこそ、外から人が来るような魅力あるまちになっているはずである。その1つが大仙公園エリアである。意識づけや、堺のまちをこうしたいという1本のストーリーの中で、地域も選ばれ、このつながりが出てくる、そういう意味でぜひ検討していただきたい。

事務局

 そのようにしていきたいと思う。

正司座長

 資料(2)の50ページの図は、線の太さがいろいろあるが、このことは気にせずに我々は議論していいのか。

事務局

 あくまでイメージとして捉えていただければと思う。

正司座長

 もう1つ、昨年の議論では何が公共交通という議論だったのか。スペシャルトランスポートまで入っているような感じがするが。

事務局

 これは福祉交通的な分野で非常に議論のあるところである。資料(2)の4ページを見ていただきたいが、これは具体的な交通モードではなく、市が今取り組もうとしている施策からまとめたものであり、昨年の公共交通検討会議で議論をしたのはこの黄色の部分である。ネットワークの形成というハードをイメージするような部分もあるが、それ以外に、公共交通をつないでいくようなものもすべて含んでおり、公共交通の枠組みを鉄軌道やバスだけではなく、若干広げて、コミュニティサイクルや、それから公共交通ではないのだが、自動車利用という面では駐車場のことなども含めて昨年は議論をしてきた。
 公共交通の定義はどうかと聞かれると少し狭いものになるが、都心の交通を考えていただく上では、地域内公共交通に関する、地域に特化したおでかけ応援やコミュニティバスは少し議論から外れるが、それ以外の部分は概ね対象になってくると捉えていただきたい。

正司座長

 ここにはタクシーとスペシャルトランスポートが入っておらず、我々の会議の目的からすると、重要なものが入っていないように思う。

公共交通に関するこれまでの取組みについて(これまでの経緯など)

田中委員

 阪堺線利用者数の増加について、行政としてはどのように評価しているのか。支援策が効いているのか、あるいは他の要因があるのか。

事務局

 1つは、天王寺周辺が再開発事業で大きく様変わりした。阪堺は上町線と阪堺線から成る軌道であり、キューズモールの開業時期に伸びているので、それが非常に効いたのではと考えている。ただ、次の月は開業の効果が少し薄れて減っているが、その後も右肩上がりで伸びているということで、これは単に天王寺の開発が呼び水となっただけではなく、料金値下げが浸透して、それを前提として動かれるには2年程度時間がかかるのではないかという気もしているが、その表れではないかということが1つ。
 それから、沿線の夜間人口を他の路面電車と比較した場合、東京圏の路線は別だが、他の地方都市の路面電車と比べると非常に高いということで、本来は便利であればもっと乗るはずのものが、もしかしたら今までさまざまな条件で乗っていなかったのではないかと考えている。

田中委員

 新聞等で阪堺線が取り上げられるなど、よさがPRされたことで、多くの人がそれをいいものとして気づいてきているような気がしている。PRの仕方で変化はあるのか。

事務局

 阪堺線の取り組みがマスコミで取り上げられる回数は、こういった交通の取り組みの中でも秀でていると認識している。
 加えて、移動の手段、いわゆる早く便利に移動するという目的より、まちを楽しむための乗り物としての評価、いわばゆっくり走るが故のそういった点。それから、非常に古い施設であるが故のレトロ感というあたりがもしかしたら評価されているのではないかと思う。

田中委員

 市域外に発信する力が他の観光客を呼んで、さらに堺市に住んでいる居住者がそれに気づくことが大事だと思う。

宇都宮委員

 利用者拡大策で、高齢者利用割引など何が利用者数増に寄与したかの調査はしているのか。

事務局

 現在、整理中である。効果が上がっているのは、2区間運賃制だったものを1区間運賃制にしたことで、我々の想像以上に伸びている。高齢者に関しては、期待ほどは伸びていない。これは周知の問題もあると思うが、阪堺にはバリアフリーの問題があり、高齢者利用という面ではその辺の改良も求められているのではないかと分析をしている。

塚本委員

 補足すると、阪堺線沿線、幅200メートルほどの間の4000世帯から2000世帯を対象にこの2月にアンケート調査を実施し、400票ぐらい返ってきたが、その中で、今まで行っていなかったけれど行くようになったという人、今まで乗っていたけれど増えたという人、それから前は自動車で行っていたけれど阪堺を使うようになったという人が各々結構な比率でいる。
 先ほどの話で、290円が200円になったということと、もう1つは、どこに行ったのですかと聞くと、多くがキューズモールだと思う。天王寺トリップエンドがかなり多い。今回のこの伸びは、290円が200円になって天王寺まで行けるようになったと同時に、天王寺、キューズモールという大きな施設ができたことがかなり効いていると思う。阪堺のレトロ感や、乗ったら楽しいということにはまだ行っていないように見える。
 阪堺をなぜ利用しないのかという回答のトップは「行き先がないから」である。阪堺線沿線に行きたいところがないというのが阪堺線を使わない最も大きな理由である。
 OD調査では、南側の人の利用が割合多く増えている。浜寺公園のあたりなど、今まで290円かかっていたのが200円で行けるという割安感のある地域が増え、それから、行き先は天王寺が増えているということで、これを定着させていこうと思うと、阪堺線そのものを楽しめる、バリアフリー、路面電車に乗って見て楽しめるようなまち並みになっている、あるいは阪堺線沿線に行ってみたい施設があるか。それが鍵になると思う。

正司座長

 論文になったら事務局にいただければ分析に使えるのではないかと思う。
 将来こんないいまちにしたいというだけだったら、全国どのまちも同じ表現になると思う。ただ、まちにあるものはまちによって違うし、どんなタイプのまちに住みたいという人の割合も違うということがまちの性格を作っていくのだと思う。その中で阪堺があるまちとないまちということもあるわけで、我々の議論の中で考えていかなければいけない話だと思う。

今後の進め方について

塚本委員

 都心の交通を考えるときに、自動車をどう考えるかという問題がある。京都は「歩くまち京都」という大きな流れの中で、四条通のトランジットモール化や、その前提として車線数を絞って歩道を広げるという計画を打ち出したりしている。3本の通り(堺大和高田線、大小路線、大阪中央環状線)、少ないところで1万1000台、多いところで5万台ぐらい車が流れている道路が通っているわけだが、公共交通を都市の中で整理しようとすると、トランジットモールにするなり車線数を絞るなど、どうしても自動車をいじめる政策というのが出てくる。附置義務条例を無くし、自動車で来なくていいという計画を立てるとか、駐車場に高い税金をかけて駐車場を無くすとか、あるいは都心の真ん中から車はご遠慮願う政策とか、そういった検討も対象になってくると考えていいのか。

事務局

 1つ目の、公共交通を道路に入れれば必然的に道路車線が減る可能性があるという部分だが、今後の進め方の左の流れはそういうことを意識している。具体的には、道路の1つの車線を公共交通専用空間に使うとどんな影響が出てくるのかといったことは議論の対象になるという認識である。
 2つ目は、駐車場などの話だと思うが、現在、駐車場整備計画の見直し作業を始めている。駐車場を無くすというところまではいかないが、昨今の駐車場が供給過多だとわかるような現状から、これまでの積極的に駐車場の整備を官民挙げて頑張っていこうという方向性から大きく方向転換を図るべく、見直しが必要だろうと考えている。
 ただ、一方で駐車場需要はあり、都市機能の中で自動車に支えられている部分もあるので、そういった現状も十分踏まえながら駐車場整備計画を見直していきたいと考えており、これについてもご意見をいただければと思っている。

宇都宮委員

 まちづくりはマスタープランや現状を踏まえて議論しつつ、交通との関連を整理するということでよいか。
 また、まちづくりの取り組みとして市民会館の建て替えなどがあったが、文化観光拠点やガイダンス施設とは具体的に何か検討しているのか。

事務局

 その通りであり、まちづくりの動きと常に連携しながら進めるということである。
 文化観光拠点であるが、旧市立病院の敷地は長年使っていなかったのだが、ここを文化観光の拠点、いわば外からの観光客に見ていただけるような施設、それに千利休や与謝野晶子といった方々にちなんだ文化も入った形の拠点整備に今取り組んでいる。場所的にも阪堺線沿線であり、また旧市街地の中心部に近く、さまざまなスポットの核としていきたいというものである。
 それから、ガイダンス施設というのは、まだ詳細はこれからであるが、世界遺産との関係でそういった施設の検討もまちづくりの取り組みとしてあるということである。

田中委員

 まちづくりについて、地域で市民が活動されていると思うが、市民の活動をつなげるという発想もあるのではないか。

事務局

 堺市マスタープランにおいても、市民との協働は非常に重要としており、特に都心部では、ここに住んでいる方もそうだが、少し離れたところに住んでいる方にも、この地域に対する評価や愛着をお持ちの方々、活動に取り組まれている方々がたくさんおられる。そういう方々からは、阪堺線は乗り物として見るよりも、自分たちのまちづくりの1つのツール、他都市に対して堺らしさをアピールする1つの道具として活用することも行政として考えていってほしいという要望もいただいている。交通というものは単に人を移動させるだけではなく、まちのアイデンティティというか、市民活動をされている方々をつなぐ1つの道具になるのではないかと考えている。

田中委員

 そういう意味では、ネットワークは公共交通網のことだと言われていたが、ハードだけではなく、人と人のつながり、人の活動のつながり、そういう意味もネットワークの中に入るのではないかと思う。

事務局

 資料(2)の堺市の総合都市交通計画をとりまとめる際に、交通に求められているものは大きく見て2つあるだろうということで目標像を設定した。具体的には、37ページの「人と環境にやさしい公共交通」と「まちの活性化を支える公共交通」であり、まちの活性化はまさに今おっしゃられたような部分で、従来的に言うと人の流れを刺激して賑わいに資するという部分であるが、堺の場合、それだけではなく、まちに住んでいる方々がまちを移動しながらさまざまな活動を通じてつながっていくという部分も活性化の1つの要素ではないかと捉えており、当然そういった点も特に都心部では重要なテーマになると考えている。

塚本委員

 まちづくりに関する取り組み状況を具体的に整理してご紹介いただきたい。交通やまちづくり、都市計画、福祉など、まちを何とかしたいということで取り組みがされていると思う。実際にどんなことをされているのか。先ほど田中先生もおっしゃられたが、都市整備公社の「まちづくり塾」で市民活動を見させていただくと、すごくいい取り組みがたくさんある。大道筋の歴史的なものを残して紹介しようだとか、あるいは大道筋沿いに提灯をぶら下げて雰囲気を作ろうとか、そういういろんないい取り組みがされており、環濠なども取り組まれている。行政だけでなく、市民あるいはNPOの取り組みも含め、堺をこういうまちにしたいという思いがあって政策なり市民活動があるはずなので、ぜひそれを知りたいと思う。それを知った上で、交通というのはこうあるべきだという結論が出てくると思うので、まちづくりの取り組み全般のご紹介なりご説明を次の機会にやっていただきたい。

事務局

 次回以降、そのようなことを検討させていただきたい。

田中委員

 地域に居住している人の暮らしと、観光というテーマ、これらは非常に難しい。進んでいくと、例えば分裂してしまったりする。うまく融合させようと思えば、居住者がベースのまちづくりを進めていけば観光につながるという発想がとても大事で、最近、着地型観光という言葉が出てきている。先ほどの阪堺線のアンケートの中で、乗ってもいいけれども行きたいところがないという回答があったと塚本先生がおっしゃっていたが、これは行きたいところがわからないということではないかと思う。逆に言うと、本当に堺の中でいろいろ活動されていて、いろいろ地域資源をご存じの方がPRするようなものをつなげていけるような、地域から出てくるような観光ということ。世界遺産などの大きな拠点があり堺市は恵まれていると思うが、それだけではなく、地域に眠っている地域資源をどうPRするかというところはとても大事で、その中での交通の役割は大きいと思う。

正司座長

 重要なことだと思う。多分塚本先生もよくご存じと思うので、そういった動きも含めていろいろご紹介いただきたい。その中で議論することが我々にとって重要だと思うので、事務局に資料の準備をお願いしたい。
 フロー図で、右のまちづくりから東西交通軸の「めざすべき都心交通のあり方」に矢印が来ているが、「道路の現状」や「導入空間と道路の特性比較」のところに一旦右から矢印が必要ではないか。この場合、道路というよりも沿道なのだが、どういう沿道で、将来的にどういう沿道にしようとしているのかが重要だと感じる。逆に導入空間というのは、幅が狭くても必要なときにはそれなりの工夫で入れるべきだし入れる手はあるといった話になるから、あまり関係ないと思う。
 それと、まちづくりの取り組みの紹介に絡むことで、数字の話が出てくるかと思う。将来的な昼間人口、平日と休日で、そのうちの来訪者と夜間人口、例えばビジネス系か商業系、学校系か、難波と堺の都心の比較等々、そういうことの大まかな数字のイメージ、現状はこれぐらいでどう増やしたいか、そういう情報がないと多分議論ができない。どんな都市にするのかというのを、すぐには出ないのかもしれないが、具体的な数字を出して欲しい。最後に数字的なことを把握して判断するということなので、そこをぜひ検討していただきたい。
 最後に、パーソントリップ調査のデータが調査手法変更の影響を受けて現時点では期待ほど使えないようなので、その対策を今から考えたほうがいいのではないかと思う。

閉会

事務局

 本日はさまざまなご指摘やご意見をいただいた。また、まちづくりの取り組みを紹介してほしいというご要望もあったので、その辺も踏まえながら今後の検討をさせていただきたいと思う。
 次回会議では、数字も含め、都心の現状やまちづくりの取り組みなどをご説明させていただき、それを踏まえたご議論をお願いできたらと考えている。日程は決まり次第ご連絡させていただく。

田村副市長

 一言お礼のご挨拶を申し上げたい。非常に中身の濃い議論をしていただき、次回以降の展望が開け、いい計画づくりができるという確信が持てた。本当に今日はありがとうございました。

事務局

 以上をもって、本会議を終了する。ありがとうございました。

以上

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