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第1回 堺市南海高野線連続立体交差事業鉄道構造形式検討委員会 会議録

更新日:2015年3月12日

日時

平成27年1月28日(水曜)15:00~16:15

場所

堺市役所 本館 地下1階 大会議室西

出席者

委員

澤田委員長、鍬田委員長代理、岩田委員、竹村委員、(室野委員 欠席)

関係者

南海電気鉄道株式会社鉄道営業本部統括部 奥村部長ほか
公益財団法人鉄道総合技術研究所 坂井副主任研究員

事務局

中辻道路部長、濱野連続立体推進課長ほか

傍聴

3人

議事

(1)役員の選出について
(2)南海高野線連続立体交差事業について
  ・事業概要
  ・事業化に向けての流れ
(3)鉄道構造形式検討委員会について
  ・検討の前提条件
  ・委員会で検討する内容
(4)今後検討していく内容と進め方について
  ・事業区間における地盤状況
  ・調査・検討内容
  ・今後の進め方

資料

議事内容

1.開会

事務局

 第1回堺市南海高野線連続立体交差事業鉄道構造形式検討委員会を開催します。
 本委員会は、堺市附属機関の設置等に関する条例第2条に基づいて設置いたします。
 本委員会の事務局は堺市道路部 連続立体推進課が行います。
 開会にあたり、堺市 建設局 道路部長の中辻よりご挨拶を申し上げます。

中辻道路部長

 堺市建設局道路部長の中辻でございます。
 本日は、ご多忙の中「第1回堺市南海高野線連続立体交差事業鉄道構造形式検討委員会」にご出席たまわり、誠にありがとうございます。
 本市では現在、南海高野線の大和川から中央環状線に至る延長約3キロメートルにおきまして、開かずの踏切など10箇所を含む踏切の抜本対策として連続立体交差事業の検討を進めております。
 本事業は、踏切除却並びに交通渋滞の解消を図れるほか、堺市の玄関口である堺東駅周辺におけるまちづくりの大きな核となる事業として、政令指定都市の玄関口にふさわしい市街地形成に大きな役割を果たすものと考えております。
 四年ほど前に東日本大震災が発生し、地震に対する備えがより一層必要となりました。連立事業における鉄道構造形式の決定にあたりまして、特に本事業区域は上町断層と縦断的に近接しますので、上町断層による影響を十分に検証して進めていく必要があります。
 上町断層による地震の影響は、地震動とともに断層変位、縦ずれも想定されていますが、現段階ではその変位量は不確定であり、その影響の推定及び対策が課題となっております。
 つきましては、この度、その課題解決に向けて、耐震設計や地震動、地質学の専門的な知識を有する学識経験者等で構成する本委員会を設置しまして、詳細な検討を行い、本事業における最適な鉄道構造形式を選定してまいりたいと考えております。
 委員の皆様には、最適な鉄道構造形式の選定に向け、忌憚のない意見、ご指導を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

事務局

 ご出席の委員の紹介をいたします。
 強震動予測がご専門の京都大学防災研究所の岩田委員は、災害に強い都市づくりをめざして、強震動予測の高精度化に関する研究をされており、この分野における委員会等に多数関わっておられます。また、文部科学省地震調査研究推進本部が実施した「上町断層帯における重点的な調査観測」では、その研究代表者を務められました。
 次に、土木構造物における耐震設計がご専門の神戸大学大学院工学研究科の鍬田委員は、都市基盤であるライフラインの地震時の安全性確保と住民の生命・生活へ波及する地震被害の軽減を目指して研究されております。兵庫県南部地震から20年経過した今、被災地の地震防災研究室として、より安全・安心な都市空間の形成に貢献され、特に防災マネジメント分野において、ご活躍されています。
 同じく土木構造物における耐震設計がご専門の京都大学防災研究所の澤田委員は、地震災害における構造物の被害メカニズムや次世代耐震化技術などについて研究されております。また、この分野における第一人者として、土木学会地震工学委員会など耐震分野の各種委員会で多数委員を務められ、ご活躍されております。
 次に地質学がご専門の京都大学大学院理学研究科の竹村委員は、地震、火山、地熱温泉など地球内部の熱エネルギーについて総合的に研究している地球熱学研究施設に所属されており、その中で活断層の活動度評価に関する研究をされております。また、先程の「上町断層帯における重点的な調査観測」における断層変位等の分野での研究や、各地での数多くの活断層調査に携わっておられます。
 最後に、鉄道構造物における耐震設計がご専門の公益財団法人鉄道総合技術研究所鉄道地震工学研究センターの室野研究センター長でございます。
 本日は所要のため、欠席する旨のご連絡をいただいております。
 室野委員は、鉄道地震工学研究センター長として、耐震設計や鉄道の地震リスクの軽減と強靭化を目指した最先端研究をされております。また、平成24年に改訂された鉄道の耐震設計に関する技術基準である「耐震設計標準」についても、編集機関として主導的な立場で携わられました。
 その他関係者といたしまして、南海電気鉄道株式会社鉄道営業本部統括部長奥村部長をはじめ統括部の皆様にご出席いただきます。また、本日欠席となりました公益財団法人鉄道総合技術研究所室野研究センター長に代わりまして同センター坂井氏に関係者としてご出席いただいております。
 それでは、議事に先立ちまして、堺市南海高野線連続立体交差事業鉄道構造形式検討委員会規則第5条の規定に基づき本会議は公開としています。
 現在3人の方が傍聴に来られておりますことをご報告いたします。傍聴されている方につきましては、お配りしております「傍聴における遵守事項」を遵守いただきますようお願いいたします。
 また、会議の記録のため、録音、写真撮影の上、議事録を作成いたしますので、ご了承いただきますようお願いいたします。
 なお、本会議について、委員定数5人中出席委員4人となっており、規則第3条第2項の規定を満足していることをご報告いたします。
 次第に沿って会議を進めさせていただきます。

2.議事

(1)役員の選出について

事務局

 これから議事を進めますが、委員長が決定するまでの議事につきましては、事務局の方で進めさせていただきます。お手元に配布しております資料5「堺市南海高野線連続立体交差事業鉄道構造形式検討委員会規則」をご覧ください。本規則第2条1項の規定で「委員会に委員長を置き、委員の互選によりこれを定める。」となっております。どなたか立候補又は推薦等いただけますでしょうか。

竹村委員

 澤田先生にお願いできればと思いますけれども。互選ということですので、よろしくお願いいたします。

事務局

 竹村委員から「澤田委員」の推薦がありましたが、その他はございますか。

岩田委員

 賛成します。

事務局

 ご異議等なければ、澤田委員に委員長をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いします。つづきまして、同規則第2条3項にて「委員長に事故があるとき、または委員長が欠けたときは、あらかじめ委員長の指名する委員がその職務を代理する」となっておりますので、澤田委員長、委員長代理を委員の中からご指名をお願いします。

澤田委員長

 そうしましたら、この委員会は構造形式の検討委員会ということでございますので、土木の耐震設計がご専門の鍬田先生にお願いしたいと思います。

事務局

 鍬田委員、よろしいでしょうか。

鍬田委員

 よろしくお願いします。

事務局

 それでは、鍬田委員、よろしくお願いいたします。
 以後の進行は澤田委員長にお願いしたいと思います。

澤田委員長

 堺市南海高野線連続立体交差事業鉄道構造形式検討委員会を開催します。この場所は、上町断層帯が路線の下かあるいは近くに存在するため、いろんなことを考えていかなければならないので、各委員の先生方にはぜひともいろいろご意見を出していただき、実質的な議論をしていきたいと思っております。
 それでは、議事次第に従いまして、進めていきたいと思います。
 議事の(2)南海高野線連続立体交差事業について、事務局の方で説明していただけますか。

(2)南海高野線連続立体交差事業について

事務局

 本事業の事業目的・効果としましては、踏切除却による交通渋滞及び踏切事故が解消されるほか、政令指定都市・堺の玄関口である堺東駅を含む事業でありまして、堺市マスタープランなど、市の上位計画に位置づけられた都心まちづくりの中核事業となっております。
 事業区間は、本市の北部に位置し、南海高野線の大和川から大阪中央環状線に至る約3キロメートルの区間です。
 除却する踏切は10箇所で、そのうち開かずの踏切が浅香山7号と堺東1号の2箇所、ボトルネック踏切が浅香山3号と堺東1号の2箇所ございます。
 概算事業費は、高架橋形式で約500億円となっております。
 また、平成21年には国から新規着工準備採択を受けている事業となっております。
 次に、事業化に向けての流れについて、ご説明いたします。
 まず、本委員会において上町断層帯の影響を踏まえた鉄道構造形式の検討を行い、連続立体交差事業における鉄道構造形式及び施工方法等を決定いたします。
 次に、側道や駅前広場など、事業とあわせて基盤整備を行う関連事業の内容を検討し、市民の意見も聞きながら、連続立体交差事業の基本計画をまとめます。
 その後、環境影響評価、都市計画決定の手続きを国土交通省など関係機関との協議を行いながら、併行して進め、都市計画決定、事業認可を経て、事業着手となります。

澤田委員長

 今の説明で、まちづくり効果というところで上位計画と整合させながらとなっているが、上位計画等について、もう少し具体的なイメージを説明してください。

事務局

 平成13年から平成32年の20年計画として市の最上位計画である堺市総合計画未来デザインがあり、それを受けた基本計画及び実施計画としまして堺市マスタープランが平成23年に策定されました。
 堺市マスタープランは、その基本計画として市の上位計画となっており、その中に南海高野線連続立体交差事業は位置づけられ、交通の円滑化に資することと、市街地の活性化について明確に位置づけられています。
 また、堺市都市計画マスタープランの中でも、高野線の事業は位置づけられており、それらを受けた形で堺都心のまちづくりプランにも、堺駅から堺東駅間は、本市の都心であり、中心市街地ということで、まちの活性化を図る主な事業の中で高野線連続立体交差事業は一つの中核事業として位置づけられている状況です。

澤田委員長

 この立体交差事業の基本的な目的は、踏切の除却による効果を目指しているということですよね。
 まちづくり効果というものは、上位計画に合致した形で進めるという意味と考えてもよろしいのでしょうか。

事務局

 はい。

鍬田委員

 堺市に入ってくるには、南海本線や阪和線など、いろいろな電車があります。
 今回対象とされている高野線はどのくらいの乗客がいるのでしょうか。
 いろんな路線がある中で、この路線がどのくらい重要なのかを教えてください。

事務局

 南海高野線は、始点が難波、大阪のミナミの中心地から本市の堺東を通りまして、最終的には和歌山の橋本市を通り、高野山に行っている路線になります。
 本市の場合、海側から南海本線が難波から和歌山までつながっており、その東側に阪堺線という路面電車があり、その次に堺東を通る今回の南海高野線、さらに東にいきますとJRの阪和線、御堂筋線と5本の南北方向の路線があります。
 高野線は、南海本線、阪和線と行く方向が異なっておりまして、内陸部のいわゆる市街地を通っており、それなりに乗降客もあって通勤通学などで使われていると考えております。
 堺東駅の最新の乗降客者数は概ね6万人ぐらいだったと思います。
 また、今申し上げたように、堺東には、役所、裁判所、法務局など、いろんな機能が集まっており、堺では政令指定都市の玄関口と言われている駅でございます。

鍬田委員

 神戸も山側にJR、阪急、阪神が並行して走っているので、何か使い勝手が違うのか、住民にとって違うのかなという気がしたので、質問をしました。よくわかりました。

竹村委員

 目的である交通渋滞や踏切事故の解消はよくわかるのですが、交通渋滞が起こっている原因は、東から西または西から東の交通なのか、時間帯はどうなっているのかなどがあり、そういうものが都市計画に反映されてくるのだと思います。
 また、立体交差にする利便性について、沿道の住民にとって何か重要なポイントはございますか。
 いくつか挙げていただくと、例えば設計をする時に、高さをどうするかなど必要な項目になってくる可能性はあるので、この目的以外に追加すべきことがあれば教えてください。

事務局

 おっしゃるように、踏切をとって事故を無くす、交通渋滞を解消することが、大目的でございます。
 それ以外に鉄道が立体化されると、南海高野線で東西に分断されているのが基本的に無くなりますので、東西の人の流れ、あるいは自転車、車の流れが自由に往来できるようになり、ある程度一体的なまち並みを形成するというのがまちづくりをする上で、非常に大きなポイントとなると考えています。
 もう一つは、この連続立体事業を行うことによって、堺東駅の駅前広場や都市計画道路がこの事業によって一体的に合理的に整備され、さらなるまちの活性化につながります。また、浅香山駅には駅前広場が現状で無く、都市計画上も無く、駅前は狭い道になっているため、当然事業をするとなれば、新たな駅前広場とかいろんなものを考えていかなければなりません。
 事業により、今の商店機能やまちの人が住んでいる機能をより良くし、活性化を図っていきたいと考えております。
 踏切除却と交通渋滞解消に加え、大きなまちづくりの観点があるのかなと思っております。

澤田委員長

 他にご質問、ご意見ございますか。
 無いようですので、(3)鉄道構造形式検討委員会について、ご説明をお願いいたします。

(3)鉄道構造形式検討委員会について

事務局

 まず、委員会のご説明をする前に、事業区間と上町断層との位置関係を見ていただきたいと思います。
 この国土地理院が出している都市圏活断層図には、一部断層位置が不明確となっている区間がありますけども、今回の事業区間は、上町断層と縦断的に非常に近接していることがわかります。
 次に、委員会の設置の必要性についてですが、本事業は国から事業採択を得た後、都心まちづくりの中核事業として、調査・検討を進めてきております。
 平成23年3月には東日本大震災、すなわち、わが国史上最大となるマグニチュード9の巨大地震が発生し、これまでの設計で考慮している地震の規模をはるかに超えるものでした。そのようなことから、鉄道構造物の公共性、生活や経済活動などの重要性を考えると、そのような地震に対する備えがより一層必要となります。
 そこで、事業区域に縦断的に近接する上町断層の影響、特に断層変位による影響などを十分検証し、各分野において専門的知識を有する学識経験者の意見を踏まえ、最適な鉄道構造形式を選定するために本委員会を設置するものです。
 まず、本委員会の前提条件について、現在の鉄道位置での事業実施を前提としており、鉄道路線の変更については、検討の対象としておりません。
 また、最適な鉄道構造形式の検討にあたりましては、公共事業としての安全性を保ちつつ、復旧性を考慮しながら、適正な費用を踏まえた鉄道構造形式を検討していきたいと考えています。
 次に、委員会での検討内容は、事業区間における上町断層帯の影響、特に断層変位の推定等の調査を行い、それらの影響を踏まえた最適な鉄道構造形式を選定するというものです。
 委員会の構成員については、最適な鉄道構造形式選定に必要な専門的知識を有する先生方に委嘱しています。

澤田委員長

 4番も続いて説明していただけますか。

(4)今後検討していく内容と進め方について

事務局

 今後の検討内容と進め方について、「事業区間における地盤状況」、「調査・検討内容」、「今後の進め方」の順で説明します。
 事業区間と上町断層を再度ご説明いたします。都市圏活断層図では、一部断層位置が不明確となっている区間がありますが、今回の事業区間は、上町断層と縦断的に近接しております。
 また、上町断層は逆断層と言われており、図面では鉄道の東側に断層の撓曲帯が形成されています。ここで、撓曲帯とは断層変位が軟らかい地層内で拡散し、地表には段差ではなく、たわみとして表れたものとして定義されています。
 事業区間周辺における既存の地盤調査として、事業区間北側の大和川測線と事業区間南側の大阪中央環状線上での大和川南測線の2測線で反射法地震探査が実施されています。反射法地震探査とは、地表から人工の地震波を地下へ発射し、地下からの反射波を受信して地下の地盤構造を調べる手法です。
 まず、大和川測線での探査結果ですが、図の上町断層付近で地層が東に向かって大きくせり上がっている状況が上町断層の撓曲帯を表していると考えられています。
 また、大和川南測線の探査結果も同じように図の上町断層付近で地層が東に向かって大きくせり上がっている状況がわかります。
 次に、撓曲部分の拡大は、どちらの断面図においても深度が深い部分の地層の連続性は鮮明ですが、地表に近い部分、すなわち100mより浅いところでは、地層の連続性が不鮮明となっています。
 大阪市内における上町断層近傍の典型的なボーリング断面では、上町台地の西縁部が浸食により東側に後退しており、上町断層の位置と200m程度の離隔があることがわかっています。また、上町台地西側では、礫層や砂層が地表付近に分布しています。
 事業区域周辺の既存ボーリング調査結果のうち、大和川測線、浅香山測線、堺東測線の3測線について、ボーリングによる柱状図の状況を見てみたいと思います。
 まず、大和川測線では、南海高野線西側ともう少し西側の2箇所で、深さ約20m付近で粘土層が側方に不連続になっており、この付近の地表付近では、礫層や砂層が多くなっていることからも、撓曲構造が分布している可能性が高いと考えられます。
 浅香山測線でも同様に南海高野線の西側で、粘土層が側方に不連続になっており、こちらも撓曲構造が分布している可能性が高いと考えられます。
 次に、堺東測線でも同様に南海高野線の西側で、粘土層が側方に不連続になっており、撓曲構造が分布している可能性が高いとと考えられますが、全体的にはボーリング掘進長が短く、情報量が少ない状況です。
 最適な鉄道構造形式に向け、考慮すべき断層変位量を検討するため、事業区域周辺における上町断層の撓曲構造の全体像を明らかにしていく必要があります。
 これまでの既存の地盤調査結果によれば、反射法地震探査では、深度が100mより深いところでは撓曲構造がわかりますが、それより浅い表層の構造は不明瞭となっています。
 また、既存ボーリングデータでは、地層対比の基礎となる連続した地質情報はないので、地層断面の特定ができません。
 したがいまして、より高精度に地層を対比するためには、地層を連続して採取するオールコアボーリングを実施して、同一粘土層を確認する地質分析を行う必要があります。
 それでは、具体的に進めていく地盤調査の内容について説明します。
 南海高野線の線路西側から概ね阪神高速堺線あたりぐらいが、既存調査データから想定されます撓曲帯の範囲と考えられます。
 まず、オールコアボーリングですが、数量としては、撓曲帯を挟んで西側、東側でそれぞれ1本ずつ、また、撓曲帯内では2本から3本を基本として、合計1測線あたり5本程度行いたいと考えております。
 調査位置は、今年度は北エリアとして、府道・大堀堺線近傍で1測線実施します。また、 来年度は南エリアで実施したいと考えておりますが、南エリアでの既存ボーリングデータの密度が低く、掘進長も短いため、北エリアの調査結果も踏まえながら、実施する予定です。
 次に、オールコアボーリングにより採取したコアの地質分析について、ご説明します。
 まず、火山灰分析は、火山灰は堆積物の堆積年代を特定する最も有力な鍵層であり、各調査地点のコアに同一の火山灰を見出すことができれば、同時期の地層を識別することができます。
 もうひとつは、珪藻分析です。珪藻類とは植物プランクトンの一群ですが、その時代の環 境により生息する種が異なるため、珪藻の詳細を確認することで、堆積時の環境を推定することができます。
 以上のような地質分析を行うことで、事業区域周辺の撓曲帯の位置関係、近傍での変位量情報を得ることができ、構造物の設計に考慮すべき断層変位量の範囲が予測されます。
 最適な鉄道構造形式の選定にあたり、これまでご説明しました地盤調査・分析と併行しながら鉄道構造の検討についても、進めていく必要があると考えています。
 具体的には、上町断層帯による影響、特に断層変位を考慮する場合には、通常のラーメン高架橋では構造的に対応が困難であるため、成立する構造形式を検討していく必要があります。
 そこで、今年度検討していく内容について、ご説明します。
 まず、落橋に対する安全性の向上、工事費の縮減を目的として、構造検討として、ラーメン高架橋形式の概略設計を行いたいと考えています。
 内容としましては、通常の揺れに対する耐震設計を実施し、断層変位を考慮しない場合の構造を把握します。また、直上区間も想定して、施工時の安全性も検討します。
 そして、今回の設計に用いる設計地震動は、『耐震標準』の標準波とし、今後の地質分析等の結果を受け、精査していきたいと考えております。
 また、想定される断層変位に対する解析も行い、基礎形式は、完成時の直接基礎形式を基本として、ラーメン高架橋の接続方式および径間数について、断層変位に対する安全性等を勘案した不静定次数を下げた構造を検討したいと考えています。
 最後に今後の進め方について、今年度及び来年度にかけて調査検討を進めていきます。まず、地質調査として、オールコアボーリングを実施し、そこで採取したコアをもとに試料分析を行います。それぞれ北ライン、南ラインの順で進め、委員会はそれぞれコアの解析結果が出たころに開催したいと考えています。
 その後委員会は、最終的に最適な鉄道構造形式の形が見えてきた段階で開催することとして、本日を含め計4回程度の開催を予定しております。
 説明は、以上でございます。

澤田委員長

 検討委員会で検討する内容、その進め方について、ご質問、ご意見ございますか。

竹村委員

 上町断層の南延長の堺市部分というのが今回の一番大事なターゲットになっていますが、みなさんわかりにくいところがあると思います。説明を追加しますと、反射法探査の大和川測線では、「鉛直方向誇張なし」となっており、これは「1:1」で見ることができ、自然でもこのくらい傾いているということがわかります。
 大和川南測線では2.5倍になっています。一見南測線の傾きは大きく見えていますが、これを2.5分の1にすると、大和川測線の傾きが大きくて南測線の方が小さいということをご理解いただきたいと思います。
 つまり、どことどこを対比するかも問題ですが、誇張率が2.5倍になっていることを見ておいていただきたい。
 できれば一度、同じスケールに合わせると、皆さんに説明するときにはわかりやすいと思います。
 撓曲していることを見せる場合は誇張率を2.5倍にすることはいいのですが、実際に設計に入った時には、同じスケールに合わせた方がいいと思います。
 次に、大阪市内の上町断層近傍のボーリング断面を見ると、水平距離と標高比が大きく、傾きがすごく強調されています。ボーリング資料を集めて並べる時にはこういう風にするのですが、説明される時は、その辺に注意していただきたいと思います。
 また、もし可能であれば、鉛直方向と水平方向は倍率にしていただきたい。水平距離と標高が入っているのはいいのですが、誇張率にしておいていただくと、ありがたいですね。そうすると上町断層で、ずっと東に向けて傾斜しているのがすごくよく見えます。粘 土層をつなぐとこういう風に見せられるのですが、それが50倍や100倍くらいの強調になっていますので、その辺は気をつけて説明されるようにした方がいいと思います。
 ここで大事なのは、JR天王寺駅の崖になっている所より西側に断層の本体というか変形の本体があるということと、その変形をした地表変位が起こったところでは、礫や砂礫が多くなっているということなので、今後調査を進めていかれるとなるとそういう点に重点を置いていただければと思います。
 堺市の今回の場所にはこういう情報がありませんでしたので、それがわかってくると、もう少し詳細な位置や変形率、量などがわかってくるという提案だと思いますので、よろしくお願いします。

岩田委員

 今年度調査される予定のボーリングの深さがわかっていたら教えてください。

事務局

 基本的には50m程度を考えていますが、場所によっては撓曲構造の根拠となるような地層を捉える必要がありますので、場合によっては、西と東で40mになったりとか60mになったり、状況に応じて考えたいと思います。

澤田委員長

 反射法地震探査結果の大和川南測線の撓曲部分では、南海高野線の位置はどこでしょうか。
 この南測線は割と断層位置がシャープにわかるのですが、CMP番号で1570番くらいでしょうか。

事務局

 ちょうど、南測線の調査場所というのが大阪中央環状線になっておりまして、南海高野線は堺東駅をこえて、南に行くときに曲がっていますので、交差はしておりません。

澤田委員長

 1550番、1560番くらいだとすると、都市圏活断層図が示している撓曲域とはだいたい一致していますね。

竹村委員

 澤田委員長の話はその通りですが、反射法地震探査では撓曲帯と考えられる撓曲部分と都市圏活断層図の表面位置での撓曲を判定した場所と若干ずれる可能性はあるので、詳細にしようと思うと、もう少し解析がいると思います。

澤田委員長

 反射法地震探査の図面に、都市圏活断層図の撓曲位置も示してくれるとわかりやすいと思います。
 大阪市内の上町断層の位置は浸食によって崖が後退していて、崖の位置ではなくて、より西側にあるらしいというのがわかってきているが、堺市はどうかということが非常に大きなポイントのはずであり、都市圏活断層図が示している撓曲帯は基本的には断層崖を示していると思いますけども、その位置に断層があるのか、より西側にあるのかというのが今回の一つのポイントだと思います。
 それをきちっと調査しないといけないし、資料としてももう少しわかりやすくしていただきたいと思います。

鍬田委員

 今後実施するボーリングの位置ですが、どこに撓曲帯が現れてくるかわからない状況の中で、どういう根拠で決められたのかを教えてください。

事務局

 北エリアのボーリングの位置は、既存の反射法の調査結果や既存のボーリングでの地層の対比や粘土層の状況等の既存の調査結果に基づいて、撓曲帯は阪神高速から高野線くらいまで、ある程度の幅を想定しました。撓曲帯の外で1本ずつ、中で2~3本実施したいと考え、そのような位置の設定をしています。

鍬田委員

 Ma8層になるような層が見えると、それは断層よりも東側であると判断したらいいということですか。

事務局

 Ma8層は、一番掘進が短くて捉えられる粘土層であると思うのですが、おそらく線路より東側ではある程度の深さでそれを捉えることができ、逆に阪神高速とかその外側付近では、もっと下に存在すると想定していますので、ひょっとしたら50mより深いところまで掘らないと、分厚い粘土層は捉えられないと思っているところです。

竹村委員

 多分、そういうことだと思います。
 阪神高速くらいまで行くと、撓曲帯の西側のほぼ水平の所の東端くらいには当たるだろうということを既存の調査結果から判断されたと思います。
 先ほど岩田委員から、ボーリングの深さの話が出ましたが、より上がっている東側の方は短くて、より下がっているはずの西側の方を深く掘ることは考えておく必要があると思います。
 平均は50mだとしても、60mと40mにするとか、70m-30mにするとか、どの順番で掘るのかというのが、結構大事なことになってきて、東側でどこまで情報が出るか、どの精度で出るかで、もう1本くらい追加した方が、安全かもしれないという可能性はあるのかもしれません。
 上がっている方は意外と浸食されていますので、海成粘土を決めるのが難しい可能性もありますので、臨機応変に考えた方がいいかもしれません。撓曲の幅としては、このくらいだろうなというのが私の意見です。

澤田委員長

 もし鉄道の西側に断層が入っていて3本、4本のボーリングで捉えられたらいいが、都市圏活断層図通りの位置に入っていると東側の間隔が空きすぎていて、場所の特定ができないのではないか思います、その場合は本数を追加するのか、それとも既存資料で対応できるのでしょうか。

事務局

 地層を連続して採取するオールコアボーリングの結果はございませんが、標準貫入試験を絡ませた通常のボーリングは実施しており、柱状図のデータはありますので、それらの結果を見ながら設定しました。

竹村委員

 断面で引いた図はこれでいいのですが、ボーリングデータの密度を表現した図面を入れていただきたいと思います。
 その中で粘土が決まっているものがいくつかあると思いますが、できるなら、計画測線の幅や、ある範囲内の3次元、平面的な分布図などをなるべく表示をされると、空中写真や断面でみた変形帯だけではなく、平面図的な、水平的な広がりでの変形のゾーンのようなものが、ある程度固定できます。それは今回新たに捉えられる情報のプラスαになると思いますので、考える時の素材としては、委員会としてはあった方がいいと思いますので、そういう風なのを準備いただくと、ボーリングデータの解釈をするときに便利になると思います。
 それによって、足りないのではとか、それはここで補っているとか、今先生方が質問されていることについて、説明がつくかもしれないので、ぜひご検討いただきたいと思います。

事務局

 わかりました。

澤田委員長

 平成26年度実施するボーリングの測線は、既存調査で報告していただいた浅香山測線ですよね。一番東側のボーリングの位置は、段丘崖辺りですか。

竹村委員

 段丘崖の東になるでしょうね。

澤田委員長

 推定の基礎となる資料や情報が段丘崖よりも西側に欲しいですね。

竹村委員

 ボーリングの調査予定位置を浅香山測線の既存調査結果に反映してもらうとわかりやすいのかもしれません。
 段丘崖の所から高野線の間に無くて、高野線、それから1本、2本あって、それで阪神高速の15号線を図示していただくと、この部分で大事な標準の試料が入るということが、わかりやすくなると思います。

澤田委員長

 掘る場所を探すのもいろいろ難しいと思いますが、段丘崖と高野線の間に無いと高野線の周りの地層のつながりがわかりにくいのではないですか。

岩田委員

 専門外なので的外れなことを言っているかもしれませんが、大阪市内の上町断層近傍のボーリング図のように、上盤側でMa10みたいな地層を抑えたいということではないですか。
 浸食により200mくらい削れているところだと、何が削られてしまっているかわからないので、もう少し東側のMa10を確実に捉えたいっていうのがあるのではないかと思いますが。

澤田委員長

 それは、もちろん、全くその通りだと思いますが、やはり南海高野線周りでのこの撓曲がどうなっているかっていうのかを知りたいという思いと、南海高野線の近くで掘ったものと一番東側のものとの間に、データがないと解釈に困るのではないかなと思っています。

岩田委員

 段丘崖の上と高野線の間には無くていいかは、もちろん同意見ですが、この付近については、既存の調査結果から連続性のある層をターゲットにしているのだと思います。

澤田委員長

 撓曲の可能性のある付近の地層の連続性を見るために、参考となる層を見つけようとしているのだと思いますけど、これだけ離れていると、難しいのような感じがします。
 基本はこの計画でいいと思いますけど、特に東側については、もう少し計画検討していただきたいと思います。
 撓曲がどうなっているかがわかればいいのですが、一番大事なところがわからない可能性があることが懸念されますので。

事務局

 ボーリングの掘削は、全部同時に5本するわけではなくて、1本、2本順番にある程度地層を掘り出して見ながら、場所の微修正等を考えていきたいと思います。

竹村委員

 それでお願いします。

澤田委員長

 まあ、そういうことを考えながら、特に高野線の周りの撓曲状況を捉えたいと思いますので、その辺注意して実施していただければと思います。
 さて、構造検討についてお聞きしますけども、径間数や張り出し式などで成立するか検討し、3次元静的非線形骨組み構造解析をしていただけるということですけども、断層変位の入力は、どんな感じされる予定ですか。

事務局

 方向という意味合いでしょうか。

澤田委員長

 方向や量などはどのような感じで考えていますでしょうか。

事務局

 過年度に試計算を行いまして、方向につきましては、平行と直角と斜めという3タイプを基本として実施しています。過年度の検討では、斜めで少し構造物がかかるような形で入力すると、一番傾くような解析結果が出ていますので、斜めを基本としながら、方向についてはもう少し検討しようとは思います。
 大きさについても、過年度に1mくらいずらしてみた試計算がありますので、それを基本として、今回のラーメンであれば、どれくらいまでであれば、こういう構造で踏ん張れるかという辺りを視野に入れ、実際計算するときに相談させていただきながら進めていきたいと考えています。

澤田委員長

 この解析には地盤は入らないのですね。基本的には、地盤は単なるバネで入れているだけですね。
 地盤がきちっとFEMでやるというわけではないのですね。

事務局

 そうです。地盤はずらすために入れるだけです。FEMでやるというわけではないです。

澤田委員長

 独立基礎であれば基礎の変位をずらしたらいいのですが、大きな直接基礎を考えたときに、間に断層変位がある場合の入力の仕方を検討していただければと思います。
 構造については、どういう形式が成立しうるかを今の所は少し見ていくということだと思いますが、断層変位については、少し強い構造を考えていただきたいと思います。
 最後のページの今後の予定ですが、第2回目は大体いつ頃ですか。

事務局

 2回目につきましては、今年度中は厳しいので、年度明けて開催したいと思います。

澤田委員長

 だいたい6月ぐらいですか。

事務局

 そうですね、6月ぐらいになろうかと思います。
 会議の開催は、ボーリングのコアを実際に取り出して、解析をかけた後、検討したいと考えています。

澤田委員長

 平成26から27年度ということは、第4回目は来年の3月をイメージされていますか。

事務局

 第4回目は平成27年度最後になると思います。それまでに、地盤の解析と併行して行う構造検討をある程度実施しながら、最適な形を検討したうえで、来年の3月開催を今考えているところです。

澤田委員長

 第2回の6月頃までに、そういう検討を進めていくというご計画ですが、他にご意見ありますか。

竹村委員

 お願いですが、ボーリングを5本されると思うので、今どんな感じになっているかなどの情報を流していただきたいと思います。
 分析のサンプル自体をある程度はチェックしながら解析しないと、効果的に分析結果が出ないと思いますので、委員の先生方にぜひ情報を流してください。

事務局

 はい。わかりました。

澤田委員長

 順番に結果を見ながら、ボーリング位置を調整していくそうなので、よろしくお願いします。
 6月の委員会に向けて検討をされていくというご計画ですけども、何かコメントをしていただいた方がいいような話がありましたら。よろしいですか。
 一通りご意見をいただいたと思いますので、基本的にはその意見を取り入れながら、調査を進めていただき、中間報告をしていただきながら、次の委員会に向けて、粛々と進めていただきたいと思います。
 それでは、これで第1回の委員会を終了させていただきたいと思います。
 では、進行の方は事務局にお返しします。

3.閉会

事務局

 ありがとうございました。
 委員の皆様、本日は長時間にわたり、ご議論をいただきまして、ありがとうございました。本日、先生方からいろいろな貴重なご意見いただきました内容を踏まえまして、事務局で作業を進めてまいりたいと思っております。
 今後の日程でございますが、現在、地盤調査を実施しているところでございますので、 次回につきましては、後日、日程調整させていただき、決めたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、第1回の検討委員会を、これで終了したいと思います。
 本日はどうもありがとうございました。

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