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平成30年度 第3回 堺市環境影響評価審査会

更新日:2022年7月11日

日時

平成31年1月24日(木曜) 午後6時~午後8時

場所

堺市役所本庁舎 本館3階 第2会議室

出席委員

犬木 努     大阪大谷大学文学部教授
小田 和広    大阪産業大学工学部教授
柏尾 眞津子   大阪人間科学大学教授
瀬川 大資    大阪府立大学大学院教授
田中 晃代    近畿大学総合社会学部准教授
中谷 直樹    大阪府立大学大学院教授
野村 俊之    大阪府立大学大学院准教授
水谷 聡     大阪市立大学大学院准教授
安田 龍介    大阪府立大学大学院助教
柳原 崇男    近畿大学理工学部准教授
吉川 正史    近畿大学法学部准教授

欠席委員

梅宮 典子    大阪市立大学大学院教授
大野 朋子    神戸大学大学院准教授
加賀 有津子   大阪大学大学院教授
中川 智皓    大阪府立大学大学院准教授

傍聴者

0人

議題

南海高野線連続立体交差事業(浅香山駅~堺東駅付近)に係る配慮計画書の検討結果について

配布資料

議事録

辻尾環境共生課長

 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、「平成30年度 第3回 環境影響評価審査会」を開催させていただきます。
 本日はお忙しいところ、ご出席いただきまして、ありがとうございます。
 本日司会を務めさせていただきます、環境共生課長の辻尾です。どうぞよろしくお願いします。
 本日の会議の定数は15人ですが、ただいま10人の委員にご出席いただいております。なお、田中委員につきましては、前のご予定の関係で少し遅れますというご連絡をいただいております。最終的には計11人の委員の出席を予定しております。従いまして、堺市環境影響評価審査会規則第3条第2項の規定により、本会議は成立しておりますことをご報告申し上げます。
 なお、梅宮委員、大野委員、加賀委員、中川委員につきましては、ご欠席の連絡を頂戴しております。よろしくお願いいたします。
 また、本日の会議は、同規則第5条第1項の規定により公開となっております。
 傍聴についてですが、傍聴者はおられないことをご報告いたします。
 次に、お手元にお配りしております資料の確認をさせていただきます。
 本日配布させていただいております資料でございますが、本日の「次第」、「堺市環境影響評価審査会 委員名簿」、資料としまして「南海高野線連続立体交差事業(浅香山駅~堺東駅付近)に係る配慮計画書についての検討結果(案)」、その参考資料といたしまして「配慮計画書に対する意見書の概要」をお配りしております。資料の漏れ等ございませんでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、議事進行につきましては、瀬川会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

瀬川会長

 では、議題の「南海高野線連続立体交差事業(浅香山駅~堺東駅付近)に係る配慮計画書についての検討結果(案)」について、事務局からご説明のほどよろしくお願いいたします。
 
     【配慮計画書の検討結果(案)について事務局から説明】
 
 ご説明ありがとうございました。
 ただいま、事務局から説明がございましたが、委員の皆さまからご意見を受けたいと思います。ではまず、全体を通して私の方から1点確認させていただきます。
 説明の中で、配慮計画書の概要が省略されましたが、この部分については特に大きな変更は無いでしょうか。

事務局

 一部変更がございまして、4案ある事業計画案のうち、B案の事業計画図につきまして、配慮計画書から一部改変しております。B案の1層高架構造では、鉄道高架が北花田口跨線橋にぶつかってしまうため、跨線橋の撤去と大阪和泉泉南線の地下化を計画していますが、配慮計画書の事業計画図では、どの部分を地下化するのかが分かりにくかったことから、検討結果(案)での事業計画図では、地下化区間を明示しております。

瀬川会長

 3の指摘事項についてですが、配慮計画書では、複数案を出していただいて、それを比較検討していただくことが重要ではないかと思います。それに関して指摘事項には示されていないのですが、不満がない場合には何もコメントしなくて良いのでしょうか。複数案をしっかりと事業者が出されているので、それについて少しコメントしておいた方が良いようにも感じたのですが。
 指摘事項だけを拝見しますと、複数案がどうだといった記述は全くなくて、高架は何とかしなさいとかそういう話になっていてですね、配慮計画書を準備された事業者のご努力、それからそれに対して、審査会の方で検討した結果というのが反映されていない、というように思えますので確認したいのですが、いかがでしょうか。

事務局

 配慮計画書につきましては、複数案を立てるのがまず基本となるのですが、その案の中から一つを絞り出すという手続きではなくて、例えばA案とB案があって、A案の優れているところ、B案の優れているところをミックスして、次の事業計画にするという側面もありますので、審査会は、例えばA案にしなさい、B案にしなさい、複数案の中ではこれが優秀なのでこれにしなさい、ということを結論付ける場ではない、ということになります。
 ですので、この指摘事項を踏まえて、事業者がそれぞれの案について、指摘事項に対して実行可能な範囲で、環境影響を低減できる方策を練り合わせると、A~D案ではなくて、新しくE案というものができる。その新しいE案を使って、次の方法書の段階に進む、というような流れがあることも我々は想定しております。

瀬川会長

 分かりました。30ページで「ある一定の妥当性のある複数案が検討されている」というコメントがありますので、こういった例にならっていくといいのかな、と感じたものですから、コメントさせていただきました。

田中委員

 ちょっとお伺いしたいのですけれども、配慮計画書の計画段階配慮事項のところで、「コミュニティの分断」という項目があるのですが、ここでは「立体化により市街地の分断が解消されるもの」として捉えられていますけれども、高架下の空間の土地利用については、どういう風に考えられているのでしょうか。確認させていただければと思います。

瀬川会長

 今のご質問は事業者側の見解に関すること、ということでよろしいですよね。

田中委員

 はい、そうです。

事務局

 71ページをご覧ください。71ページの下のところで、高架下の利用計画について事業者に質問しているのですが、それに対する事業者の回答といたしまして、「鉄道高架下或いは鉄道トンネル上面は、基本的に鉄道事業者側が所有する空間となりますが、高架下利用空間の15%までは、原則都市側で無償利用できることとなっています。堺市が利用する部分は、自転車駐輪場など公共的な施設となる見込みですが、その他の利用方法については今後の検討となります。」ということになっております。

田中委員

 自転車利用が結構多いと思いますので、そこのところ、どういう利用の仕方をされているのかという興味があってというか、コミュニティという側面から、市民の動線ということも考えられると思うので、ちょっとお尋ねしたということです。

柳原委員

 交通についてちょっとお伺いしたいのですけれども、交通に関しては、工事車両の予測と供用後の都市計画道路も含めた予測が指摘されているのですが、工事の種類によって工事中の交通規制がかなり変わるので、その交通量への影響、交通混雑や交通安全への対策というのもかなり考慮しないといけないと思います。そのあたりが指摘されていないのですが、なぜここでは指摘されていないのでしょうか。

事務局

 工事中の交通に対する取り組みにつきましては、次の手続きであります方法書の中で、どのように予測・評価するのかということが示されることとなっております。
 今回の配慮書の手続きにおきましては、複数案を検討する中で、特に大きな影響を及ぼすことについてどのような点について配慮するのか、また複数案においてどの程度配慮するのか、という部分を主眼としておりますので、次の方法書の段階で一案に絞ったうえで、工事中の交通対策についてどのように予測・評価していくのか、というところが示されることになっております。

柳原委員

 ただ、B案については、配慮書の段階でかなりの交通規制が入ることが分かっているかと思うのですが、そのあたりは特に指摘事項として出さなくてもよろしいのですか。B案は幹線道路の地下化を伴うということで、かなり交通規制がかかると思いますので、かなりの交通への影響が予想されると思うのですが、そのあたりはこの段階で配慮する必要はないということですか。

事務局

 それにつきましては、28ページの中央あたりで、B案においては周辺道路の交通に対する影響が大きいと考えられることから、事業者に説明を求めましたところ、「主要地方道の大規模な付替えが必要となるB案については、ご指摘の通り、交通への影響が大きく、周辺道路も含めた渋滞対策等が必要になると考えております。なお、過年度検討業務において、地下化に伴う定性的な予測・評価について実施しており、交通への影響が大きいことを確認しています。」と回答を受けています。

瀬川会長

 あとは、31・32ページにもございます通り、工事期間といった形で少し考慮されていると考えることができるかと思います。

小田委員

 水象というか地下水全般のことなのですけれども、掘削工事をやるとどうしても地下水位を下げないといけないのですが、環境要素としてどうしたいのかが良く分からないですね。
 掘削工事をする時に、地下水位を下げてしまうと地下水の流動というのは必ず大きく変わります。ただ、それをしないと工事はできません。それをキープしたまま工事をしろというのは至難の業でして、ひょっとしたら地下水が噴いている中で、潜水服を着て工事をしなさいという、そんなことになりかねないんですね。だから、どういうことを適切な地下水対策として求めているのか示さないと、工事をする人間にとっては分からないと思います。地下水位を下げるな、と言われれば、掘削工事をする前に周りを全部固めて、それから地下水が無いような状況にして掘っていかなければいけないのですが、そうしてしまうと固めたところから水が回らなくなって、結局地下水に影響を与えてしまうことになります。なので、具体的に地下水対策とはどういうことを求めてられているのか、ちょっと良く分かりません。

事務局

 実際に事業者が調査した結果、地下水脈があり、工事によって地下水に影響があると予測された場合、事業者の方から、こういった方法で対策を取ります、というものが示されてきますので、それに対して審査会等で、その対策が十分なのか、それ以外にこういった対策もある、といったことを検討していただいて、それでは不十分だ、それで十分だというようなところを審議していきたいと考えております。ですので、現時点で市として、絶対に地下水に影響を及ぼしてはいけないとか、こういった方法でやりなさいとか、そういったことを指示しようとしているわけではなく、事業者から提示された地下水対策に対して、今後審査会で審議していくということを考えております。

小田委員

 分かりました。それともう一つあるのですが、地下水を汲み上げる場合、浅い深度の地下水は何が溶けているかが分からない。飲めると思ったら大間違いで、大概都市化しているところの地下水は飲めないと思っていた方がよろしいかと思います。
 例えば、地下水の汚染が確認されている場所については、元々汚染されている場合は放っておいて良いということになっています。今回の場合は汚染されているというか、飲料には適さないということなのですが、そこにもう既にあるものですから、そのままだと何もする必要がない。ただ、汲んでしまえば、当然地下水も汲みっぱなしでは放置できないので、下水に流すか、元の地面の中に入れるか、しなければいけないと思いますが、下水に流すときには必ず浄化しなければいけませんので、かなりのコスト増になるかと思うのですけれども、そういうことも含めて対策を考えてください、ということを堺市として求めていくという理解でよろしいのでしょうか。

事務局

 環境影響評価の中で、この水象(地下水)を環境要素として条例の中で定めているのですが、例えば地下水脈があるところに事業を計画しており、実際に調査したところ、地下水があってそれに影響を及ぼすことが判明し、その影響を避けるために場所を変えることができる場合には、その場所を避けてもらえれば良い、ということになります。ただ、今回の事業のように、場所が変えられないようなところとなると、工事の中での対策となります。つまり、地下水の水脈に影響しないような対策、もしくは水質に影響しないような対策、そういったことを検討していくことになります。
 おっしゃられたように、地下水が既に汚染されている場合については、事業によって汚染されたものではありませんが、その水を汲み上げた場合、適切に処理していただかなければいけませんので、当然そういったことも視野に入れて、事業計画を組み立てていただいて、影響が予測されるようであれば、それに対して事業者が取り得る実行可能な範囲での対策を行っていただくということになります。もしそういった視点が抜けているのであれば、審査会の方から指摘して、対策を求めていく。そして対策の内容が正しいかどうかを、また審査していただくというような流れで進めていきたい、と我々の方では考えておりますので、今後配慮すべき事業、例えばトンネルのような事業であれば、かなりの地下水が噴出する可能性がありますので、そういった時には是非そのような視点でご審議していただきたいと考えております。

瀬川会長

 すみません、小田先生。一つ教えていただきたいのですが、地下水を下げるというのは、地下水位を下げるということで、そのために地下水を汲み上げる必要があるということだと思うのですが、地下水を汲み上げない方法というのはないのでしょうか。

小田委員

 基本的にはないですね。それほど地下水位が高くなければ、止水壁だけでいけるかなという気はしますが、それは事業者がどう捉えるかですね。

瀬川会長

 街中の工事の現場を見ていても、あまりそういった問題が発生しているという印象を持たないのですが、それは私があまり分かっていないということでしょうか。

小田委員

 どこまで掘るかが良く分からないので、深く掘る場合は当然地下水を下げないといけないか、地下水をぐるっと回りこむような形にしないといけないですね。

瀬川会長

 セメント状のものを入れながら工事を行うということを聞いたことがあるのですが。

小田委員

 それでも持たない場合がありますので。

瀬川会長

 なるほど、分かりました。

野村委員

 コミュニティの分断のところでちょっと質問させていただきたいのですが。
 立体化によってコミュニティの分断が解消されるというのは、確かにそうだと思うのですが、その後新たにコミュニティが創出されるということですけれども、工事車両が東側を通るとやはり住環境に悪影響があるということで制限してください、と指摘されているということは、出来上がった後も同じようなことが起こる、要するに車の通り抜けに使われる可能性があるということですね。そうなると、新たなコミュニティの創出以上に悪影響を与える可能性もあると感じたりしたのですけれども、そのあたりはどのように考えられるのですか。
 また、案を見ていると、線路が跨ぐ主要な道路の絵はあるのですけれども、その間にも道路が作られるのかというところまでは、言及というか検討しなくて良いのですか。それとも、そもそも踏切があったところには道路を通すということなのか、そのあたりちょっと教えていただけませんか。

事務局

 一つ目のご質問なのですけれども、踏切が解消されることで、工事中だけではなくて、供用後も車が多く通って、東側の住環境に影響があるのではないか、ということなのですが、それにつきましては、89ページ中央の○の部分で事業者に質問しております。
 踏切が除却され、横断箇所の通行がスムーズになると、東側の住宅地を通行する車両が増加し、東側の住宅地における安全に影響を及ぼす可能性があることについて、事業者に尋ねたところ、「交通が円滑化することで、ご指摘の通り沿道の騒音や交通安全などは課題だと認識しております。東側住宅地の良好な環境を維持するため、過大な交通とならないよう交通規制も含めた配慮が必要だと考えております。」という回答を受けております。
 そのため、都市整備基盤を整備していく中で、警察協議を行うなどで、交通規制を設けて、東側の住環境に悪影響がないよう事業者が配慮していくことになると考えております。
 もう一つのご質問の、都市基盤整備の中で設ける大きな道路以外の絵があまり描かれていないという点に関しましては、事業自体がまだ固まっていないということでして、それについては今後の手続きの中で示されていくと考えております。

瀬川会長

 今コミュニティの分断について話が出てきまして、これで2度目なので、私の方から委員の皆さまに少し質問させていただきたいのですが。鉄道は、コミュニティを現状分断しているわけですね。そして、少なくとも1箇所でコメントされているとおり、東側は住環境があり、それに配慮する必要があるということなのですが、分断されていることでできた東側の住環境に、立体化によってコミュニティの分断がなくなり、新たな状況が発生するわけです。それでもコミュニティの分断が解消される方が良いと考えるべきなのでしょうか。田中先生いかがでしょうか。
 現在分断されていることでコミュニティがある程度形成されているわけですよね。それが新たに違うコミュニティ同士が密接になるわけなのですけれども、それは良い方向と考えてよろしいのでしょうか。ある程度そこは、それぞれのコミュニティの意見を聞きながら、将来を見据えて調整していく必要があるのではないかな、と思うのですけれども、どう考えればよろしいでしょうか。

田中委員

 私が思うには、鉄道の東と西というのは、結構コミュニティの分断というのは起こっていて、むしろ、この機会をチャンスと捉えて、東と西の分断を無くすようにする方向でコミュニティを形成していくというのも一つの方法かなと思います。そこのところは、東だけというわけではなくて、少し広い範囲のエリアでコミュニティをどう形成していくのかという視点を持つ必要があるのかな、という気はします。

瀬川会長

 ありがとうございます。そういったことを考えた場合に、例えば80ページや他の箇所にもあるかと思いますが、住環境への配慮ということと、70ページから始まっている「コミュニティの分断」に関するところの記述につきまして、整合を少し取った方が良いのかなと。まあ、言及は一言二言でいいのかなとは思うのですが、そのように感じました。
 つまり、70ページの「コミュニティの分断」では、分断が解消されて良い、ということなのですが、ただそれにあたっては、何らかの配慮として方策を立てていくことが必要で、また、90ページでも、コミュニティ分断の解消についても一言触れるということもあっても良いのかなと思いましたので、このような話をさせていただきました。

野村委員

 それぞれのコミュニティの方に対して、ちょっとヒアリングみたいなことは、もしかしたら早い段階で必要なのかなとは思います。後になって計画が進んでからどうこう言っても変えられないので、やはりそういうことも必要なのかなと思うのですが。ここには、コミュニティの分断が解消されて良い例だけが書かれておりますけれども、悪い例というのは無いのかなと。

事務局

 事業計画を策定していくにあたり、地元への説明というのは、事業者の方で環境影響評価とは別に実施しているということは聞いておりまして、その中で色々な意見というのを住民の方から受けているということを聞いております。ただ、環境影響評価の中の「コミュニティの分断」という側面から評価するにあたっては、やはり今のコミュニティの分断されている状況が、立体化により一定解消されるということは良いことだ、という形で評価されているということになっております。

田中委員

 ちょっと伺っていて疑問に思ったのですが、元々鉄道がなかった頃は、歴史的に振り返ると、コミュニティの分断がなかったわけですよね。

瀬川会長

 それはちょっと分からないですよね。そのあたりの話はこの場では出ていないので。このあたりは断層であったこともあって、違うコミュニティであった可能性も、場合によってはあるかもしれないですよね。

田中委員

 歴史的な部分というか、どのように住宅の形成がされて、どういったコミュニティが成立していたのかということを、ちゃんと分析してみないと、どのようなコミュニティ形成をしていくのが良いのかということは、ちょっと判断しかねる部分があります。

瀬川会長

 分断解消における影響と東側の住環境における影響ということに対して、複数の視点で慎重に検討していくということを求めていくのが良いのかなと思います。

事務局

 今委員の皆様がおっしゃられている内容につきまして、我々も色々な情報を得ているのですが、それを今の手続きの中で明らかにしていくと、交通につきましては新たな都市計画道路ができますので、今は一方通行で東向きにしか通れないところが、両方向通れるようになるということで、交通量が上がります。そうすると、今まであまり車が入ってこなかった環境に車がたくさん入ってきて危険度が増えることになる、ということで、東側の住環境への影響というご意見につきましては、安全のところで書かせていただいております。
 また、車が通りやすくなることによって、便利になると捉えられる方も当然おられますし、便利以外のことを考えている方もおられるとは思います。その比率というのは分からないのですけれども、我々が行っている環境影響評価の環境要素の中で、「コミュニティの分断」という項目としてまず見ていくのは、鉄道によるコミュニティの分断が解消されるということが一つあるということ。そしてコミュニティの分断が解消されて、新たに発生する問題、つまり交通に関する安全の問題があるという2つのことについて、焦点を当てていくということになります。

瀬川会長

 大元の評価項目としての「コミュニティの分断」というのは、従来分断されていなかったものが事業の結果として分断されることによって起こること、への評価だと思うのですが、そのあたりは先ほど私からも申し上げましたが、ある程度要求するというところで止めざるを得ないのかな、とは思います。

水谷委員

 「コミュニティの分断」という項目になっていることにちょっと違和感を覚えまして、事業によって分断されるケースも当然ありますけれど、反対に事業によって流通するようになるケースもありますので、そういう意味では「コミュニティのあり方」とか「コミュニティの状態」といった項目の中で、この工事では分断されますので、それがこうなりますか、とか、分断されていたのが解消されますので、こうなります、といった評価をする方が良いのでは。項目の立て方というのが、他のものと違うのではないかという違和感を持ちました。

事務局

 それにつきましては、環境影響評価というものは、その事業が及ぼす悪い影響がどの程度かというところを評価するものですので、良い影響があるものについても、環境影響評価の中で予測評価を行うということは、より良いものにはなりますが、環境影響評価を行う上で必要かというと、そうではないというものとなります。ですので、今回鉄道の立体化事業によって、新たなコミュニティの創出がありますとされているものについては、必ず選定しなければならない、というものではないということでございます。

瀬川会長

 すみません、ちょっとよろしいですか。
 そもそも環境影響評価をする中で、気を付けなければならない項目について、あらかじめいくつかリストアップされていて、その中から項目を選んでいる、そのリストの中に「コミュニティの分断」というものが入っている、そういうことではないのですか。

事務局

 そうでございます。

瀬川会長

 ですので、堺市が決めたキーワードとして「コミュニティの分断」という言葉があって、事業者がそれを項目として選定した、ということですよね。

事務局

 「環境影響評価技術指針」の中に示されている環境要素の一つとして、「コミュニティの分断」という環境要素がございます。また、配慮計画書の中で、C案では踏切が1つ除去できないため、コミュニティの分断の程度が、他の案に比べてC案が大きいと考えられるので、そういったことで「コミュニティの分断」について、事業者が予測評価している、ということでございます。

田中委員

 ちょっとよろしいですか。「コミュニティ」という表現を出してしまうから、ごちゃごちゃになってしまうのかなという気がしています。例えば91ページの「環境配慮の方針の設定」のところで、「コミュニティの分断」は、「踏切を可能な限り除却する計画とする」と書いてあるので、むしろ車の動線とか人の動線とかの交通の分断を除去するという発想です。「コミュニティ」という言葉を出してしまうと、私もちょっと勘違いしたり、野村委員もお話しくださったように、元々の住民意識の問題もあるし、それからエリアの話もあるしで、非常に幅広い話が出てきたりしますので、むしろ交通の部分で議論すべきかなとは思います。「コミュニティ」という言葉を出してしまうと、そうなってしまうので、言葉を変えた方が良いという気はしなくもないのですが。

瀬川会長

 変えるとなると、例えば14ページに「コミュニティの分断」を含めたリストがありますけれども、このように取り上げるべきキーワードが堺市によって示されていて、そこから事業者がピックアップしました、それに対して評価しました、ということですので、これまでの議論を踏まえますと、「この評価項目は不要なので削除すべきだ」というのが、審査会の意見になるのかもしれません。ただ、そうならないように、一般には図書の提出前に事業者と堺市の間で調整が行われることになるかと思いますので、そこまでの意見は出さなくてもよいのかなと考えております。まあ、項目の表現というか、適用状況というのが、現実として我々が問題にすべきことにそぐわない部分があるのですけれども、それはこの場を通じて、こういった意見を介して、堺市に汲みとっていただくということで、この配慮計画書に対する審査としては、この項目を残すということではいかがでしょうか。それでお願いしたいということを考えております。

事務局

 環境要素につきましては、先ほども説明がありましたように、「環境影響評価技術指針」の中で定められております。今回の手続きは、環境配慮手続きですので、「事前配慮指針」というものが別途あるのですが、その指針に基づき、複数案を立てた時に差が出るような評価項目を選定して、それぞれを机上で予測評価を行っています。項目ごとにどの案が優れているかということで、「コミュニティの分断」という項目を事業者が選定し、4つの案の中で「コミュニティの分断」が、一番解消される案はどれか、ということについて比較検討した、ということになっております。
 例えば、本来何もないところに鉄道ができる、道路ができる、ということになりますと、明らかにコミュニティが分断されるということで、この環境要素を条例で定めているのですが、今回のケースは、既にある鉄道を立体化するということで、コミュニティが分断されていたであろう環境がどのように変化するのかという視点で、配慮指針の中で検討した、ということになります。複数案を比較する上で差異が出る項目ですので、事業者が選定したことにつきましては、一定妥当だったのではないかと考えまして、そのように提言をさせていただいております。

犬木委員

 埋蔵文化財についてなのですけれども、「文化財保護法に基づいて適切に対応する」というのはその通りかと思います。ちなみにこの事業地の辺りというのは、台地のへり、なのだと思います。百舌鳥古墳群が乗っているのがその台地の上だとすると、今回の事業地は、ちょうど下り始めているような境目あたりのところに位置していまして、何か出るとすれば出るのかなと思います。まあ、こればっかりは掘ってみないと分からないのですけれども。かと言って、低地で何も出ないかというとそんなこともなくて、百舌鳥古墳群の大半は台地の上にありますけれども、下にも実はありまして、いろいろ出てくる可能性はあるのかな、とは思っています。
 それで、おそらく手順としては、工事方法とかルートとかが決まった段階で試掘をして、遺跡の有無とかを確認していくことになると思うのですけれども、A案からD案までの工事の仕方によって多分試掘の仕方も変わってくるとは思いますし、当然地下ですと試掘の仕方も大変になってきます。当然お金もかかりますし、時間もかかる。実際に遺跡が出てきた時の調査期間というのは長くなってきます。それから高架案についても、おそらく1層高架と2層高架で柱の太さも違ったりだとか掘削する深さも違ったりするでしょうし、やはり色々と変わってくると思うんですよね。そうすると、検討結果の中で工事期間というページもありましたけれども、そのあたりもA~D案によって、試掘の仕方、あるいは実際に遺跡が出てきた時の対応というのもかなり変わってくると思います。そのあたりは多少なりとも、まあ、4案で絶対同じではないと思いますので、何か出てきたら対応するぐらいしか検討結果では書かれていないのですけれども、そのあたりは配慮していただければなと思います。
 それから、先ほどからコミュニティの話になっていますけれども、この事例がそうなのかは分かりませんが、鉄道の敷設に関する研究というものがありまして、やはりコミュニティを避けて鉄道が通っている事例の方が結構多いです。ちょうど、この事例も台地と低地の境目みたいなところを通って、実際に堺の旧市街地のところは避けていますし、おそらく歴史的に見ると東西のコミュニティは別なのだと思います。
 それはともかくといたしましても、先ほど申しました文化財に対する対処の仕方というのは、複数案の間で変わってくるのかな、と感じた次第です。

瀬川会長

 今のお話で、指摘事項に加えることはございますか。

犬木委員

 私も、指摘事項に加えるべきかどうかは分かりかねるのですけれども。

瀬川会長

 今のお話ですと、94ページの「8その他」の1つ目には該当しそうかなと思うのですけれども。

犬木委員

 そうですね。まあ、具体的に言いますと、遺跡に対する影響の仕方が変わってくるということと、それに対する対処の仕方も変わってくるのかな、と思います。

瀬川会長

 つまり、この指摘事項の表現ですと少し不安が残る、というような理解になりますでしょうか。

犬木委員

 そうですね。まあ、ざっと読ませていただいて、文化財に関しては4案とも一緒だ、というようなニュアンスで受け取れますので、少しその辺の工夫は必要なのかなと思います。

事務局

 94ページの「8その他」のところで、指摘事項といたしまして、「文化財(埋蔵文化財)を環境影響評価項目として選定する」とさせていただいておりますけれども、今回は配慮計画書ということで、複数案を設定して、それぞれに対して予測をしたということなのですが、今後の手続きとしまして、今回の配慮計画書の検討結果等を踏まえて、事業者の中で1つの事業案に絞り込んだ後、1つの事業案に対して調査・予測・評価を行っていくという手続きとなりますので、その1つの事業案にした場合の文化財に対する調査・予測・評価を行ってくださいということが、こちらの指摘事項になります。ですので、今後の手続きでは、文化財についてしっかりと調査・予測・評価を行って、その結果を踏まえてこういった対策を取る必要がある、というところを事業者が次の環境影響評価の段階で取りまとめてまいりますので、それについて妥当かどうかというところを審査いただければ、と考えております。

事務局

 委員ご指摘の、A~D案で埋蔵文化財に差異があるのではないか、ということで、比較検討ができていないというご指摘だったと思うのですが、配慮計画書そのものの3-103ページに「埋蔵文化財包蔵地の分布状況」というものがございまして、これで言いますと、線路沿いの42番というところで囲まれているところが、埋蔵文化財包蔵地というところで隣接しております。それと40番に位置するところが該当するのですが、ここの部分につきましては、A~D案全てにおいて同じところを通ることになっておりまして、若干D案が東に寄る時に40番が触れるか触れないかというところの差異はあるかもしれませんけれども、文献調査でしかないのですが、その中では差異が見られないと考えております。

犬木委員

 鉄道とか道路を通す時に、遺跡の状況とそれに対してどういう工事の方法を取るかということが常に問題になるのですけれども、そういう意味では周知の遺跡2箇所に注目するというのは確かにその通りなのですが、事業のために工事を実施すると結果的に遺跡を壊すことになり、工事の仕方によってその壊し方が変わってくると思います。確かに4案で通り方としては一緒なのですけれど、そこの区別はやはり必要なのかな、とちょっと私は思います。

瀬川会長

 今お聞きしていますと、事務局は遺跡に対する影響の有無のお話をされているのですが、犬木委員は、その影響の程度に違いがあって、そのあたりのことを気にされているかと思います。それで、この先まで話を進めて考えますと、先ほどのご説明のように工事計画が決定されて、そのもとで文化財への影響を評価するという形になった場合に、その工事方法の文化財への影響が非常に多大であった場合に、工事方法の修正が働くのかというご指摘、というようにも受け取れました。
 ただ、それにつきましては、今後文化財への影響をできる限り避ける方向に工事方法の修正が行われると考えられるのであれば、今のご指摘はこれ以上反映させる必要はないかと思いますし、私としてもそのように信じているところではございますけれども。今回の指摘事項の中で取り扱うべきか、堺市の方から見たらどうでしょうか。事業者としてではなくて、審査する環境側の立場としてのコメントいただければと思います。

事務局

 今回のこの審査、という意味でよろしいでしょうか。

瀬川会長

 現時点では配慮計画書の段階で、今後手続きを進める中で段階が進むわけですが、段階が進む中で、この文化財に対する、現状で考えられる影響への対応がなされるということは、あると考えてよろしいですか。そうであれば、今ご指摘はありましたが、議事録に残していただければ、今後反映されるということで、我々も安心できるのですけれども。

事務局

 その通りです。先ほど説明がありました通り、指摘事項にも選定するように書いておりますので、これは間違いなく事業者の方には、文化財について今後配慮することを求めていくことになります。

瀬川会長

 評価項目として選定する以上は、当然事業計画にも関連するものである、と考えてよろしいのでしょうか。

事務局

 はい、その通りです。

中谷委員

 配慮計画書に対する意見書の概要などを見ると、結構景観に関することが多いので、ちょっと景観に関して気が付いたことをコメントしたいと思います。
 景観において、2層高架と1層高架とで影響はほぼ同じぐらいだ、という評価になっていまして、82ページの事業者回答でも、桁などの構造物が高いので、2層高架でもそれほど変わらないと評価されています。ただ、これは結局のところは、見る角度を考えていないのではないかと思います。近景においても、角度を変えればかなり圧迫感は変わりますし、見方によって印象は変わると思います。そういうことを考えると、この評価で次の意見を見ると、「景観については特に問題ないと考えられる」とされていますが、特に問題ないとは考えられないと、私は逆に思っています。やはり、結果としては良いとしても、評価としては不十分だ、と書いた方がよろしいのではないかと思います。
 それから、この意見書の指摘を見ますと、変わるのは仕方ないとは思うのですけれども、何をするにしてももう少し積極的に、今と変わらないからOKという話ではなくて、もっと良い状態の景観になるような工夫をしてくださいというメッセージであるように感じますので、やはりそういうところを強く踏み込んでいった方がよろしいのではないかと思います。

瀬川会長

 いかかでしょうか。答えづらいでしょうか。では私の方から追加で、答えやすいと思われる質問をさせていただきます。この82ページのイラストですけれども、これはどこを見れば良いのか私には理解できないのですが、これをもってどういう説明をしていると理解をすればよろしいのでしょうか。
 そもそも、この絵の視点は通常のアイレベルなのですか。左の人影は、上から見ているようにしか見えないのですけれども。おそらく2階レベルの視点ですよね。

中谷委員

 そうですね、通常のアイレベルではないような気がするのですけれども……。

事務局

 実は、事前に委員の皆さま方にお送りさせていただいた時点での事業者回答が、「近景でのアイレベルでは高架の柱が主に視野に入ってきますので、高架そのものが高くなった場合においても、アイレベルでは同様の圧迫感になると想定しています。そのため、沿線住宅からは視点の高さにより差は出るものの、一概に2層高架により圧迫感が増加することにはならないと考えています。」というような内容となっておりました。こちらの絵につきましては、その時の挿絵のものとなりますので、削除いたします。
 それで、我々もアイレベル、目線の高さを一定にして、1層と2層では変化がない、という回答はおかしいのではないか、ということで、色々と事業者の方と調整した結果、今回掲載している「鉄道高架の構造形式が同じ場合には、視点場より高い位置にある桁などの構造物を低くして視点場に近接させた場合に圧迫感が生じると想定しております。よって、桁などの構造物が高い位置に設置される2層高架では、1層高架と比較し、逆に圧迫感が増加することはないと想定しております。」という回答をいただいております。

瀬川会長

 ただ、83ページの一番上の最初のコメントで「特に問題ないと考えられる」というのは、違和感があると思います。こういった話は、こういった場でたびたび聞く話ではあるのですけれども、そこは事業者に対して、問題ないとなる程度まで回答の修正を依頼するか、「問題はあるけれども、一方で代案が無いので、ある程度理解せざるを得ない」というような表現を入れるか、どちらかにすべきだと思いますが、その辺りいかがでしょうか。

事務局

 圧迫感というのは、天空遮蔽率という、半球状に建物を投影して、それを平面上に落とし込んで面積を出すというものが指標になっていると思うのですけれども、ビルの場合、面そのものが圧迫するわけですが、こういった構造物の場合は、ビルみたいに四角い壁状の物がドンと前にあるのではなくて、柱があって天井の高さがここにあって空間がある、更に2層だったら更に高い天井になる、というのが圧迫感に対する考え方になっております。そのため、こういった橋梁、橋脚等を作る場合には、その上部構造物の厚さ、桁の厚さに対して、柱の高さによって、圧迫感が緩和される。言い換えれば、柱が短くて上の構造物が分厚いほど圧迫感がある、上の構造物が薄くて柱が高いほど圧迫感は少ない、というような考え方で、こういったものを建てる、というようなことを聞いております。
 それで今回の場合は、2層高架の方が天井が高くなる位置にありますので、圧迫感は1層よりも増加するとは考えてない、というような事業者の回答ということになっております。

瀬川会長

 その圧迫感は一般には許容できる範囲内での違いしかない、と考えられる程度なのでしょうか。不安を持たれている方に対して、それを否定するような表現に少しなっているところも含めて、指摘されているのではないか、と思います。
 例えば、私も時々そう感じますけれども、日常の生活では気が付かないのですが、時々上を見上げますと、圧迫感があると。ずっと上を見ているわけではないので、まあ、我慢してくださいよ、ということなのだとは思うのですが、それを「上ばっかりずっと見ているわけではないのだから、そんなこと気にする必要はないだろう」というような表現として、否定しているような感じに受け取られかねないのではないか、見られた方の中でそう感じられる方がある程度いらっしゃるのではないか、ということを指摘していらっしゃるというのと、実際に気にならないかというと、気になるのではないかということがあり、その2つの話が今混ざっているのではないかなと思います。

中谷委員

 そうですね。

瀬川会長

 前者につきましては、私も表現が気になるところではございます。それで、後者につきましては、(中谷委員)どうでしょうか。

中谷委員

 ここ(意見書)に書いておられている方は、私もそうですけれども、やはり変わるのは仕方がないとはいえ、それを積極的に上手く活用しながら、むしろ良い景観を作っていくという方法を考えないといけないと。まあ、その視点をちょっと入れて欲しいなというのが、私の感想です。

事務局

 指摘事項として、「事業計画の具体化に当たっては、周辺の景観と調和した施設の外観について十分検討する必要がある。」と書かせていただいているのですけれども、その前段の「特に問題はないと考えられる」というのは、予測結果及び評価そのもの、について言及した内容でして、その部分については特に問題ないので、こういった表現になっております。ただ、その表現が誤解を与えるのではないか、という、そういうことでしょうか。

瀬川会長

 そうですね。

事務局

 分かりました。今何もないところに高架ができますので、当然どなたが見ても圧迫感というのは新たに発生すると思いますので、そういった視点での指摘というのも、ここに入れ込む形で作成させていただこうと思います。

瀬川会長

 圧迫感への配慮という言葉が少し入れば良いと思いますし、事業者回答も少し工夫していただけるとありがたいかなと思います。

事務局

 分かりました。

柳原委員

 騒音に関してなのですけれども、51-52ページで、A案とD案が最も騒音の影響が少ないという事業者回答なのですが、B案とC案に出されている工種は地下での工事が主なので、そこまで発生源として影響があるのかどうか、というのが一つ考えられるのと、A案とD案はどうしても直上施工なので、52ページに書かれている通り、夜間工事がかなり発生するかと思うのですが、それらを考慮すると、A案とD案が◎で、B案とC案が△で本当に良いのでしょうか。実際には、A案とD案は夜間の工事がかなりあって逆にうるさくて、C案とかは地下工事なのでそこまで影響がない、というようなことも考えられるのですが、そのあたりはいかがでしょうか。

事務局

 今回、配慮計画書では、騒音の影響予測としては、非常に簡易的な定性予測になっておりまして、配慮計画書の本編の6-10ページをご覧いただくと、単純に工事期間と工事の種類数だけをもって比較をしているという形になっております。それでは内容として不十分だということで、検討結果の中で、事業者に対して、工種ごとの騒音レベルを比較するなどして検討するよう求めたところです。
 その回答が、検討結果の51ページの表なのですが、確かに委員のご指摘の通り、時間帯や発生源の数まで考慮すると、必ずしも最大のレベルだけの比較で、影響の大きい小さいを比較するということは難しいのかもしれません。しかし、現在は配慮計画書の段階で、詳細な工事計画もないため、こういった概略的な検討になっているということで、これは審査側としても、致し方ないと考えているところでございます。

安田委員

 39ページにあります風害についてなのですが、事業者の回答が「影響発生の有無が不明であるため選定していません。」ということになっているのですけれども、これはそれでよしとするということでよろしいのでしょうか。発生がないと見込まれるのでしたら結構だとは思うのですが、そういう回答ではなく、「有無が不明であるから選定していません」という回答になっていますけれども、これはどう理解したらよろしいのでしょうか。

事務局

 「影響の発生が不明である」という事業者の回答なのですけれども、今回建設する工作物が壁状の物ではなく高架であり、風の通り道が一定確保されるということで、そういったことも含めて選定されていないということだと理解しております。

安田委員

 まあ、過去の例とか構造的な理由で、選定する必要はないでしょうということでしたら、それでもう結構なのですけれども、表現として「不明であるため選定していません」という言葉がそのまま入っているというのは、いかがなものかな、とそういう気がいたします。

瀬川会長

 この部分の趣旨は、「風が穏やかであることから、構造物の影響が主に要因になり得るが、それが確定していないため、影響が確定せず、ここでは選定しない」ということでしょうか。
 例えばですが、阪神なんば線のように、非常に大きな遮音壁を高架上に形成すると、そこそこの大きさのものになって、風の影響が出てくることも考えられる、というようなことを今思いました。ただ、そこまで事業計画が及んでいないので、この通常の平均風速から考えると、場合によっては遮音壁の影響で風害について多少考える必要はあるけれども、大体においては多分不要であろうということを、少し短い言葉で説明されているようにも思えるのですけれども、いかがでしょう。

安田委員

 年平均値の風速について書かれていますが、突発的な強風とかも考慮すると、年平均値で穏やかだからということで、影響がないと言い切ってしまうのは、少し問題も出てくるのではないかと思います。ですから、吹き抜けがあるとか、過去の例も少しあたっていただいて、あまり影響が出るとは考えられないから、といった主旨の理由をいただければいいかと思うのですけれども。

瀬川会長

 これは「不明である」という言葉が問題ですね。

安田委員

 そうですね。

事務局

 事業者の方に伝えまして、ここの表現については修正を求めます。

瀬川会長

 現時点では軽微と予測されることから、ということではないか、と思います。恐らく、高架構造物を作る時には、風の通り道を作るだとか、そういったことも最終的には実施されるかと思いますので、不明というのは、場合によってはあるということを、正直に書かれているのだとは思うのですが、そこはアカデミアが審査委員ということで引っかかる、ということだと受け止めていただければと思います。

事務局

 分かりました。

瀬川会長

 ただ、この文言はここで議論するべきところではなくて、事業者の回答ですので、直接どうこうできることではないと思いますので、委員の皆さまご理解ください。

瀬川会長

 他にいかがでしょうか。もう一度全体を見渡して、コメントし忘れていること等ございませんでしょうか。
 では、これまでのことを整理いたしますと、議事録に残していただくべきコメントがあり、また検討結果については、「コミュニティの分断」、それから先ほどの「景観」等、いくつかの大幅ではない修正でご対応いただけるようなご意見だったかと思います。
 他に、何か重大なコメントはございますか。地下水につきましても、現段階ではこの検討結果ということになるかと思いますけれども、よろしいでしょうか。
 それでは、これまでの審議におきまして、委員の先生方から多数の貴重なご意見をいただきました。以上を踏まえまして、また、大幅に修正すべきと思われる検討結果はないと思われますので、これ以降の修正につきましては、会長・副会長にお任せ頂くようお願いさせていただいて、最終的な検討結果を事務方と協力して作り上げたいと考えますが、そのようにさせていただいてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは会議の取りまとめについては、会長・副会長の方で調整し、最終的なものとさせていただきたいと思います。
 それでは、本日の議題はこれで全て終了となりますが、全体を通して何かご意見ご質問等ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、議事については以上とさせていただきまして、事務局に司会をお返ししたいと思います。

辻尾環境共生課長

 本日は、瀬川会長を初め、委員の皆様方には大変お忙しいところ、ご審議を賜りまして、まことにありがとうございました。
 会議終了にあたりまして、環境保全部長の白石から一言お礼を述べさせていただきます。

白石環境保全部長

 環境保全部長の白石でございます。本日はお忙しいところ、またお寒い中、審査会に御出席を賜り本当にありがとうございます。昨年の11月20日付で堺市長から諮問させていただいた以降、専門的な観点から検討していただき、厚くお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 今後につきましては、先ほど会長からありました通り、会長と副会長との最終調整を経まして取りまとめさせていただくこととなります「配慮計画書の検討結果」をもとに、市長意見を作成いたしまして、条例の期限となります2月1日までに事業者へ送付し、環境の保全について適切な配慮がなされるよう求めてまいりたいと考えております。
 最後になりますが、委員の皆さまにおかれましては、今後とも引き続き本市の環境の保全のために、各般にわたってお力添えを賜りますようよろしくお願い致します。本日はどうもありがとうございました。

辻尾環境共生課長

 ありがとうございました。それでは、これをもちまして、「平成30年度 第3回 堺市環境影響評価審査会」を終了させていただきます。本日はどうもありがとうございました。
 
以上

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