令和元年第6回市議会(定例会)
更新日:2020年1月22日
令和元年第6回市議会(定例会)は、11月28日~12月20日の23日間開かれ、緑地保全などについて論議がありました。市長から提出された議案58件と議員提出議案9件を、それぞれ可決しました。また、「堺市職員等の旅費に関する条例及び堺市証人等の実費弁償に関する条例の一部を改正する条例」は、閉会中の継続審査となりました。
緑地の保全
今期定例会の初日本会議において、南部丘陵の緑地保全に関する決議案を全議員提案し、即日全会一致で可決した。
市南部に位置する南部丘陵は、自然豊かな緑地と多様な生態系を育むとともに、緑地から供給されたきれいな水を利用した「上神谷(にわだに)米」の豊かな水田地帯が広がり、古代から緑の恵みを活用した人々の営みによって里地里山が形成されている地域である。しかし、散発的な開発などにより、南部丘陵の緑地が減少しており、自然環境や営農環境への影響のほか、緑地がもつ水源涵養(かんよう)機能や残土埋め立て工事に伴う市民生活への影響が懸念される。
市では堺市緑の保全と創出に関する条例や堺市緑の基本計画などに基づき、南部丘陵の保全緑地の指定などに取り組んでいる。
本決議案では「現在、都市計画手続きを進めている『鉢ヶ峯寺特別緑地保全地区』の指定を速やかに進めること」「南部丘陵の内、特に保全を優先すべき地区(約160ha)において、特別緑地保全地区の指定を条件の整った場所から順次進めること」「緑地保全は、市、市民及び事業者の協働により行われるよう普及啓発を継続的に実施すること」を強く求めている。
なお、市では可決した決議を受け、南部丘陵の緑地保全に関する制度や支援制度などについて、土地所有者や市民への説明会を開催している。
市長の退職手当
8月定例会より閉会中の継続審査となっていた、市長の退職手当を制度上廃止する条例案などについて、今期定例会の総務財政委員会で引き続き審査した。
市長からは「市長選挙において、公約に退職手当制度そのものの廃止を掲げて選挙戦を戦い、民意を得て選んでいただいたことから、公約の実現という意味で本条例案を通していただきたい」との発言があった。
また委員から「市長選挙で、市長の退職金制度の恒久的廃止を掲げた永藤市長への信任が示された結果を議会は最大限尊重すべき」「市長が自身の任期中の退職金を廃止することに異を唱えるものではないが、退職手当制度そのものを廃止することについては、慎重な議論が必要である」などの意見があった。審議の結果、同委員会と本会議において、本条例案2件を起立少数で否決した。
補正予算
令和元年度堺市一般会計補正予算(第3号)案に関して、主に次の事業について論議があった。
▽百舌鳥古墳群ガイダンス施設等整備事業
市長就任後に示された事業見直し方針による施設の整備中止に伴い、建設工事費などを減額し、一方で大仙公園レストハウス改修などによるガイダンス機能の整備として、建物改修の設計委託料などを計上するもの。
本件について、市からは「大仙公園レストハウスや堺市博物館といった既存施設を有効活用することによりガイダンス機能を確保する」との説明があった。
これに対し、議員からは「ユニバーサルデザインの観点を取り入れ、長年練りに練ってきた設置計画を中止するのは拙速だと言わざるを得ず、本議案には賛同しかねる」「ガイダンス機能を一定担保できる代替手段が確保できるのであれば、最少の経費で最大の効果を生み出す可能性を秘めた本補正予算案に反対する理由は見当たらない」などの意見があった。
▽英語教育推進事業
来年度から小学校2校、中学校2校においてオンライン英会話をモデル実施するための予算を補正するもの。
本件について、市からは「オンライン英会話は、外国語の授業においてインターネットに接続したパソコン等を使い、海外の英会話講師と25分間のコミュニケーションを行うものである」との説明があった。
本件付託先の文教委員会では委員間討議を実施し、「英語を習い始めて間もない子どもたちを緊張する場に追いやる必要が本当にあるのか」「子どもの読解力が落ちており、まずそれを上げることが大事であり、小学生で英語教育はそこまで必要ない」「今の小中学生は英語に接する機会が格段に増えている。市としても効果のある英語教育、英会話教育が必要」などの意見があった。本補正予算は、最終本会議において、起立多数で可決した。
児童自立支援施設
児童自立支援施設の市内での整備を中断し、引き続き大阪府への事務委託の検討を行うとの市長の方針について、本会議や所管の委員会で多くの論議があった。
市からは「大阪府への事務委託の検討は、子どもへの対応をしっかりと確保することが前提である。堺市の子どもがすぐに入所できないなどの懸念についても、対象となる子どもに必要な支援を実施することにより対応していく」との説明があった。
議員からは「大阪の児童虐待や子どもの貧困は非常に深刻な事態である。このような状況をみれば、堺には新たな施設整備が必要であることは明らかではないか」「堺市で課題のある子どもたちをどうサポートしていくのか、その全体ビジョンを市長のリーダーシップでつくってほしい」などの意見があった。
これに対し、市長からは「今、行っている事務委託をさらに強化しながら、しっかりと堺の子どもたちを守っていける環境を整備していきたい」との発言があった。
意見書・決議
今議会では、次の意見書を可決しました。
全会一致
- 南部丘陵の緑地保全に関する決議
- 令和元年台風第19号等からの復旧・復興に向けた対策を求める意見書
- 「あおり運転」に対する厳罰化とさらなる対策の強化を求める意見書
- スマート農業の実現による競争力強化の加速を求める意見書
- 重度重複障害者が保護者亡き後も安心して生きられる支援制度の改正を求める意見書
- 気候非常事態宣言に関する決議
- 障がい児・者の生きる基盤となる「暮らしの場」の拡充を求める意見書
賛成多数
- 選択的夫婦別姓制度の法制化に関する意見書
- 新たな国民負担が伴う地方議会議員の厚生年金加入に断固反対する意見書
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