Vol.14 大阪公立大学大学院農学研究科 環境動物昆虫学研究グループ 平井規央教授
更新日:2025年9月5日
平井規央教授は、大阪公立大学大学院農学研究科環境動物昆虫学研究グループで昆虫の生理・生態や、外来種が環境に及ぼす影響など様々な研究をされています。また、大学での研究活動に加えて、市民向けの講座や観察会を通じ、生物多様性の大切さを伝える活動もされています。
平井教授が現在の研究を始めたきっかけや生態系保全についての考えなどを伺いました。
自然の面白さを知ってほしい
生き物を研究しようと思ったきっかけを教えてください。
昔からため池が多い大阪は、トンボや水生甲虫などの水生動物の種類が豊富です。水生動物は環境によって生息する種類が変わるので、水生動物を調べるとその地域の生態系の健全さがある程度分かることに興味を持ったことがきっかけです。大阪公立大学周辺で絶滅危惧種が見つかることも多いです。
現在研究していることを教えてください。
私の一番の専門はチョウと天敵の関係です。自然界の中で、植物、チョウ、天敵が生きるために工夫しながら駆け引きを行っている関係に興味を持って研究しています。
私の研究室では、学生1人が1つのテーマを研究しています。30人以上の学生がいますので、テーマもいろいろです。多いのはチョウと水生動物ですが、哺乳類、鳥類、両生類などを研究している学生もいます。内容としては、絶滅危惧種の保全が多いですが、外来種の対策、害虫防除などの研究も行っています。
いちばん好きな生き物とその理由を教えてください。
アマゴ
ヤマメ
若いころから釣りが趣味で、アマゴやヤマメなどの渓流魚が特に好きです。渓流魚は一年を通して水温が約20℃以下の涼しい環境に生息しているので、残念ながら堺市にはいませんが、体の側面にある模様が美しい魚です。
生態系保全について平井先生のお考えをお聞かせください。
堺市ではかつて水田やため池、畑や雑木林がよく見られました。そのような場所とそこに生息する生き物が現在少なくなりつつあります。また、外来種の増加によって、在来種の生息が脅かされている場所も多いです。緑地の維持やビオトープ的な場所の造成も効果がありますが、そのような現状を広く知ってもらい、多くの人に配慮してもらうことも重要だと思います。
中区役所のイベント「親子で水辺のいきもの探し隊」について
平井教授は、令和5年度から「親子で水辺のいきもの探し隊」にご協力いただいています。
イベント中やりがいを感じるのはどんなことですか。
こどもたちが網を使って水路や池で楽しそうにしている様子を見たときや、「この生き物の名前はなに?」などとたくさんの質問をしてもらったときに生き物の魅力が伝わっている気がしてやりがいを感じます。前回のイベントでは、私も府大池で発見したことのないヒメミズカマキリを参加者のこどもが発見するなど、意外に思うような生き物が見つかることも結構あり、毎回新鮮な発見があります。
中区のこどもたちに期待することをお聞かせください。
一見何もいないように見えても、草むらや水の中にはたくさんの生き物がいることを知り、それらを守るために、身近な自然を大切にしてほしいです。
中区で気軽に生き物を観察できるおすすめのスポットを教えてください。
大阪公立大学の中百舌鳥キャンパスがいちばんおすすめですが、鈴の宮公園や土塔町公園、陶器川沿いの田園地帯などもお散歩してみるといろいろな生き物が見られます。
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