Vol.7 「注染も和晒もお任せください!」西川由紀さん
更新日:2023年2月15日
※令和6年4月1日現在は染めの業務を中断しています。
西川由紀さんは、株式会社西川由染晒工場の代表取締役を務める、中区の注染・和晒の職人です。
西川さんは、エコバッグや不織布入りの注染マスクなどの多種多様な製品の開発に積極的に取り組み、注染だけでなく和晒の加工にも携わるなど、幅広い分野で活躍されています。
工場の入口前には店舗「てぬぐい夢工房」があり、製品を購入できます。
注染職人の道に入ったきっかけや創作に対する情熱などを伺いました。
店舗前にて 西川由紀さん(右)と息子の由一(よしかず)さん(左)
注染職人として、新境地の開拓
このお仕事を始めたきっかけを教えてください
私は家業を継ぎ、3代目の代表です。子どもの頃から親の作業風景を見たり、手伝ったりして、この仕事に慣れ親しんできました。いずれは継ぐつもりでしたが、違う世界を経験しようと考え、30歳までは小学校で教師をしておりました。学校からは残ってほしいと言ってもらいましたが、初志貫徹すべく、この世界に飛び込みました。
お仕事でやりがいを感じる時はどんな時ですか
まつりや寺社仏閣などで自分のつくった製品が飾られているのを見た時は嬉しく思いますね。
複数の小学校からの工場見学も受け入れており、子どもたちが楽しそうに染めの体験などをやってくれている姿を見た時にもやりがいを感じています。
作業工程で特に気を付ける点、こだわっている点などはありますか
細かい図柄を染めるのは技術的に難しいのですが、糊置きなどを工夫することで、最大限お客様の要望に応えようと努力しています。
弊社は、注染だけでなく和晒の加工も行っていますが、両方をやっているのは全国でもうちだけだと思います。両方を一貫して行うことで、製品としての独自性を生み出すことができると思っています。
コロナウイルス感染症などの外部環境の変化がある中で、どういう課題がありますか
観光客やイベントが減ったことで、売上げがコロナ禍前の半分ほどに落ち込んだこともありました。かつては海外から来られた観光客の皆さんにも工場見学に来ていただいていましたが、コロナ禍にはその依頼もほぼなくなってしまいました。イベントの開催状況など、外部環境に大きく左右されることがこの業界の課題です。
しかし、コロナ禍が落ち着いてきたことから、売上げもようやく回復傾向にあり、工場見学や染め体験に来られる方も増えてきました。
(※令和5年2月15日時点の内容です)
これからどんなことに挑戦していきたいですか
日本では、手ぬぐいよりもタオルの方が一般にはよく使われていると思いますが、手ぬぐいはタオルよりも長持ちしますし、乾きやすくて衛生的でもあります。こういった手ぬぐいの良さを、若い人たち・海外の方々などに広く伝えていきたいですね。
以前、テレビで弊社のマスクを取り上げていただき、多くのお客様が買いに来てくださいました。その後、布製マスクが感染対策には不十分で不織布のマスクが有用だとの報道が出た際は、注染のマスクの中に不織布を入れた製品を販売しました。これからも様々なものをつくっていきたいですね。
私の息子が職人として工場に入ってくれたのは大きなプラスになりました。息子は異業種との交流を積極的にしていて、製品を考案する際のアイデアを幅広く生み出し、弊社に大きく貢献しています。
他にも若い職人が弊社に入り、「自分でデザインして、染める」という目標を掲げて日々精進してくれています。これからも彼らと協力して頑張っていきたいですね。
中区のみなさんに一言をお願いします
堺市には、堺打刃物があり、国の伝統工芸品である注染(浪華本染め)があります。中区には注染の工場がありますし、そのことを皆さんに知ってもらいたいですね。私たちも注染を広めることができるように頑張ります。
(晒の作業場の写真)
(染の作業場の写真)
西川さんの工場
株式会社 西川由染晒工場
中区毛穴町334 電話番号072-271-0918
店舗「てぬぐい夢工房」の営業は、月曜から金曜の9時から16時まで。
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