このページの先頭です

本文ここから

Vol.4 地域の防災リーダー 農口安紀さん

更新日:2022年12月29日

近年、台風や集中豪雨などの自然災害が多数発生し、全国各地で猛威を振るっています。また、堺市に大きな被害を及ぼす可能性のある上町断層帯地震や南海トラフ巨大地震などの発生が懸念される中では、地域の防災力が非常に重要となります。
このたび、土師(はぜ)校区自主防災会で地域の防災に長年携わっている農口 安紀(のぐち やすとし)さんにインタビューしました。

土師(はぜ)校区自主防災会の農口 安紀(のぐち やすとし)さん

まずは、防災に関わることになったきっかけを教えてください。

防災に関わるきっかけ

エネルギー会社の堺の事務所に勤めていた時に阪神・淡路大震災が起こりました。電車も動いてない、電話もかからない状態の中、コンビニで物だけ買って、会社の近くの寮の若い子に応援を頼んで、最初の震災対応の立ち上げを行いました。もちろん防災の経験もなかったので、いろいろどうしようかその時に悩んだのが最初のきっかけです。
その後、自治会に入って参加した防災訓練に対して、もっと工夫できないか、ひょっとしたら、もっと協力できることがあるんじゃないか、何とか地域の防災を考えたいなと思いました。阪神・淡路大震災 の時に感じた防災への思いが、だんだん地域の方に向いていきました。

その後、農口さんは防災の知識を高め、防災士の資格を取得されました。その動きは校区内にも波及しているとお聞きしています。今は何人の方が防災士の資格を取られたのですか。

地域に広がる防災士の輪

令和4年12月に受けた方を含め、54人の防災士がいます。土師小学校で避難所を立ち上げるには、地域の人、行政、施設管理者である学校の力も必要で、学校の先生にも校区の費用で防災士の試験を受けてもらいました。先生は通常は3~4年で転勤しますが、転勤先の学校でも活かされるので、全体で防災の力が上がってきていると思っています。
また、昼間は女性の人やお年寄りが多く、いつ地震が起こるかわからないので、30歳代の若い方や女性の方にも取ってもらっています。防災士がこういう活動をしているとみんなに知ってもらいたいですね。ある一人の方が、「会社で防災士をとったで」という話をされたのを聞き、「それならぜひ」ということで校区の防災士会に入っていただいて、一緒に地域の活動をしています。

地域の中で防災への関心が高まる一方、小学校を通じて子どもたちとの関わりも深まっているとお聞きしました。

防災と子どもたち

土師校区の防災関係のユニークな取り組みとして5年前から6年生の『宿泊防災』を校区で実施しています。もともと小学校のネットワーク会議で学校と地域とのつながりはあった縁で、学校からこういうご依頼をいただいたのかなと思います。
コロナ禍ならではの検温などの受付を子どもたちに体験してもらい、避難所である体育館の中へ入ってもらっています。防災トイレを組み立てたり、段ボールベットを組み立てて寝転んでもらったり。できるだけ地域の防災活動の説明は短めにして、体を動かしての体験をメインにしています。保護者の方にもお手伝いいただきながら、多くの子どもたちが参加してくれます。
子どもたちは、「避難所に何人避難できるんですか。」「防災士にどうしてなられたんですか。」とかたくさんの質問をしてくれて、関心をもってくれているんだなと思います。さらに子どもたちがお家に帰って、食卓で防災について学んだことを話してくれたら、ご家庭の中でも防災への関心が広まってくれるのかなと思っています。

子どもたちの他にも、地域の知的資源である大阪公立大学とも関わりがあるとお聞きしています。

大阪公立大学との連携

地域連携の一環として、土師校区は大阪公立大学に中区で一番近い校区ということもあり、同大学のボランティアセンターに協力いただいてます。訓練の時には、子ども向け防災教室をしてもらったり、最悪の事態を想定してリアカーで炊き出し用の資材を運んできてもらったりもしました。子ども向け教室では、小学生を対象に高学年と低学年と分けて、クイズや工作で防災を考えてもらいました。

子どもたちや学生との関わりについてお話しいただきました。では、防災の重要な要素である、備蓄についても教えてください。

校区で備える備蓄食品や備蓄資材

備蓄食品は校区の地域会館に備えています。乾パンやようかんなどをローリングストックで管理しています。
その他、避難所の運営に必要な資材は、小学校に校区の備蓄倉庫を設置して保管しています。毎年、自主防災組織の支援事業を活用しながら、備蓄資材を買っています。何を購入するかは、自主的に作った防災士会の中で、顔合わせも兼ねて年に数回会議を実施して話し合い、その内容を参考にしながら決めています。例えばコロナ禍での避難を想定し、検温器などを購入しました。

地域での連携を大事にし、備蓄についても尽力されている農口さんは、校区の枠を超え、中区全体のことにも目を向けられています。

校区同士で互いに防災力を高めあう

堺市が主催している自主防災組織リーダー研修会を、研修内容も含め他の校区さんと防災に関する情報収集・情報共有の場としています。よいことであれば、他の校区にも広げないといけないし、土師校区でしている取組みでよいと思ったことは、他の校区へ伝えたりしています。また、他の校区の取組みの影響を受け、自分たちの校区の課題に気づくこともあります。

校区では、毎年、自主防災訓練を実施しています。それに合わせて、災害時安否確認訓練を実施しています。

「無事です てぬぐい」と安否確認訓練

「無事です てぬぐい」とは、災害時にベランダや玄関に掲示し、互いの安否確認の手段として利用するものです。また、「無事です てぬぐい」そのものにも、防災の情報が掲載されています。土師校区でも、安否確認訓練で使用するため、八田荘校区さんで作成している「無事です てぬぐい」を参考に作り、活用しています。
「無事です てぬぐい」は自治会員用に作っていますが、実は自治会員用以外にも少し作っていて希望者にはお渡ししています。新しく校区に引っ越してこられた方へ自治会での防災の取り組みを説明し、最初は自治会に入ってない方にも、取組みに賛同いただいてご協力いただきたいです。
また、毎年、6年生が総合学習の授業で防災をテーマとして勉強するんですが、3月の成果発表の中で「無事です てぬぐい」を使った劇をしてくれました。

安否確認訓練で使う「無事です てぬぐい」

お話の中で自治会というキーワードが出てきました。防災士の輪も自治会の中で広がっているとお聞きします。最後に、防災と自治会という視点で思いをお聞かせください。

自治会に入って、一緒に防災を考えたい

防災は自助・共助・公助という言葉がある中で、特に自助と公助の間にある共助、そしてその元になる隣近所のつきあいが大事だと思っています。災害が起きた時、お向かいさんやお隣さんは大丈夫かと心配することができるように、日ごろからつながりを築くことが大切で、自治会はそのきっかけになるものです。普段から挨拶や声を掛け合う関係であれば、もしもの際に誰かを助けることも、誰かに助けてもらうことも、よりスムーズになると思います。

終始穏やかな口調で防災について語ってくださった農口さん。仲間の皆さんと一緒に、普段から地域のことを思い、防災活動に奮闘されています。貴重なお話をたくさん聞くことができました。ありがとうございました。

*農口さんが所属する土師校区は、令和5年2月26日に防災訓練を予定されています。訓練の内容等に関心がある方は、自治推進課までお尋ねください。

このページの作成担当

中区役所 企画総務課

電話番号:072-270-8181

ファクス:072-270-8101

〒599-8236 堺市中区深井沢町2470-7

このページの作成担当にメールを送る
本文ここまで