工場・作業場の隠れた火災リスク、トラッキング現象にご注意!!
更新日:2024年9月25日
消防局管内では、工場・作業場においてトラッキング現象※による火災が年間数件発生しています。トラッキング現象は電気製品が使用状態でなくても、電源プラグがコンセントに接続されているだけで発生します。そのため、夜間や休日等無人の時間帯でも発生し得る火災であることから、ひとたび火災が発生すると被害が大きくなることがあります。
※トラッキング現象とは、コンセントにプラグを差したまま長期間放置していると、コンセントとプラグの間にホコリがたまり、更に湿気などにより水分を含むことで、小規模なスパークが繰り返し発生し、最終的に火災へ発展する現象です。
なお、トラッキング現象はホコリや湿気以外にも、金属粉、海水などの塩分を含んだ液体、界面活性剤を含む洗剤などの電気を通しやすい物質の蓄積でも発生し、更にホコリの蓄積よりも短期間でトラッキング現象に至るため注意が必要です。
トラッキング現象により出火した電源プラグ及び3口延長コード
何らかの液体をこぼしたことで、コンセント内部の受け刃間でトラッキング現象が発生
なぜ、工場や作業場でトラッキング現象が起きやすい??
工場や作業場はその用途の特性上、下記要因によりコンセントとプラグの間にホコリや湿気などが蓄積しやすい環境であるため、他の建物よりもトラッキング現象が発生しやすいです。
・機械や装置が長時間稼働又は待機状態となっていることが多いため、電源プラグが長時間コンセントに差し込
まれたままになっている。
・機械や装置の稼働により、ホコリやチリが発生しやすい。
・木材、繊維、金属などを加工する工場や粉状の材料を取り扱う工場は、大量のホコリやチリ、異物などが発生
しやすい。
・機械と壁の隙間など死角となる位置にコンセントがあることが多いため、点検や清掃が不十分である。
・機械、装置の振動や電源コードに足などを引っ掛けることにより、コンセントとプラグの接続がゆるみ、ホコ
リなどが蓄積しやすくなる。
上記以外では、床面付近に延長コードのコンセントがある場合は、よりホコリなどがたまりやすくなり、トラッキング現象のリスクが大きくなります。
また、トラッキング現象はコンセントとプラグ間以外の場所でも発生し、過去にはパソコンの電源アダプターの接続部に切削作業で発生した細かな金属粉がたまり、トラッキング現象により出火した事例もあります。
トラッキング現象により出火したパソコン用電源アダプター
トラッキング現象を防ぐポイント
トラッキング現象による火災を防ぐためには、以下のポイントに注意しましょう。
・コンセントやプラグにホコリがたまらないように、特に機械などで隠れているところや常時差しっぱなしのプ
ラグに注意し、定期的に点検、清掃する。
・使用しない時は、コンセントからプラグを抜く。
・延長コードのコンセントは、床面付近などホコリがたまりやすい場所を避ける。
・コンセントなどに何らかの液体かかった場合は、そのコンセントの使用を停止する。
・トラッキング現象で発生した炎が延焼拡大しないように、コンセントの周囲には可燃物を置かないようにし、
整理整頓を心掛ける。
・トラッキング防止加工がされた電源プラグや、プラグにホコリがたまらないプラグカバーなどを使用する。
このページの作成担当
