令和7年度堺市防災会議 会議結果
更新日:2026年3月25日
1.開催日時
令和8年2月9日(月曜) 午後2時から午後3時30分まで
2.場所
フェニーチェ堺 多目的室(堺市堺区翁橋町2-1-1)
3.出欠状況
会長(堺市長 永藤 英機)
出席委員 49名(うち代理出席14名)
欠席委員 7名
4.資料
資料1 令和7年度堺市防災会議出席者名簿(PDF:443KB)
資料4-1 堺市地域防災計画修正案(PDF:11,481KB)
資料4-2 堺市地域防災計画修正案 新旧対照表(PDF:3,247KB)
資料5-2 意見交換会事前アンケート(集約表)(PDF:281KB)
5.議事録
1.開会
会議の成立
・定数56名に対し、代理出席、Webでの出席も含め49名の委員の出席により、会議が成立している。
2.議題 「堺市地域防災計画の修正について」
【事務局(危機管理室)】
堺市地域防災計画の修正内容について説明(資料4-1、4-2、4-3)
意見
【矢守委員(京都大学)】
・政府はここ数年、命を守るというキーワードから命をつなぐというキーワードへシフトしている。
・この命をつなぐことに対して、堺市の今回の修正は国を挙げて旗を振っている政策を先取りしている。特にダイバーシティやインクルージョン、あるいは尊厳やQOL等の概念が反映されている。
・もう一つ、事前防災が不可欠として国を挙げて打ち上げているが、今回の修正案の中でもインフラ強化や防災DX等これまでの事前防災では不十分だったところをさらに踏み込んで強化をするという内容が盛り込まれている。
議事承認
【会長(永藤市長)】
・それでは議題「堺市地域防災計画の修正について」は、議案の通り、承認でよろしいか。
【委員一同】
・異議なし
その他各機関からの情報提供
【田中氏(代理出席)(大阪管区気象台)】
・令和8年5月下旬から新しい防災気象情報を運用することになるため報告する。
・参加委員の皆様も周知に協力いただけるとありがたい。
【会長(永藤市長)】
・委員の皆様にとっても非常に重要な内容だと思う。各団体、機関で策定しているマニュアル等に反映をお願いしたい。
【山野委員(大阪公立大学)】
・文科省では、災害時に子どもの学びを途切れさせないための「D-EST(学びの支援派遣の枠組み)」が動いており、今回の修正内容とは直接関係ないものの、こうした教育支援に関する観点がどこかに含まれているのか、事務局に確認したい。
【事務局(危機管理室)】
・具体的な記載等について、事務局で確認をさせていただく。
※後日確認内容(文末記載)を委員に送付
【会長(永藤市長)】
・子どもたちの学びの環境そのままでなくても、途切れることなく継続して届けることは非常に重要だと考えている。
【中田委員(堺市総合医療センター)】
・「避難所等の環境整備」は国際的な災害等の被災者が「尊厳ある生活」を送るための国際的な最低人道支援基準であるスフィア基準 に沿う必要があるが、実現には広い面積や設備が必要で、非常に多くの予算がかかる。
・堺市としても「なぜ多額の費用が必要なのか」を普段から市民に広報し、理解を得ることが重要である。
3.意見交換会 「能登半島地震を教訓とした避難者の尊厳を守るための支援の充実~避難者の多様性に配慮した支援策の検討~」
【会長(永藤市長)】
・災害時の課題などに関して、様々な観点からご意見をいただき、参加するすべての機関の取組強化につながることを目的に、意見交換を行いたい。意見交換の進行は矢守委員にお願いする。
【矢守委員(京都大学)】
・指名をいただいたので、進行役を務める。
・まず事務局から資料説明をいただく。
【事務局(危機管理室)】
意見交換会テーマについて説明(資料5-1)
【矢守委員(京都大学)】
・今から申し上げる3名の委員の方にご意見をいただき、それらを踏まえて、意見交換あるいは学識経験者の方からのコメントなどいただこうと思うが、いかがか?
【委員一同】
・異議なし
【小田委員(特定非営利活動法人 堺障害者団体連合会)】
・堺市には重度の知的障害者は3,646名、強度行動障害の状態にある人は推定で2,100名、その中でも介護が難しい人は170名ほどとされている。
・このような人たちは、危険認知の弱さ、多動・パニック、自傷行為などの特性から、避難所環境がきわめて合わず、避難所に留まれない。
・個別避難計画の作成は進んでいるが、作成スピードが遅く、受入れ先も不足している。
・知的障害者専門の福祉避難所はなく、支援学校の避難所整備も不十分で、現状では「行く場所がない」という絶望的な状況である
【桂木委員(特定非営利活動法人 QWRC)】
・普段からもだが、災害時、トランスジェンダーの人たちがかなり困っていると実感している。
・避難所で 衣類・下着の配布時に性別で判断されるため、自分の性自認に合わない下着を渡されることがある。また、下着が見える袋で手渡されるなど、プライバシーが守られず、尊厳が傷つく場面が多い。
・トランスジェンダーだけの問題ではなく、さまざまな状況の方に応じた配慮やプライバシーを守るということが必要だと思っている。
・見た目や普段の生活で用いている性別と、法的な性別が異なる人が多い。避難所や行政が本人に断りなく法的性別を第三者に伝えると、地域で生活しづらくなるなど深刻な不利益が発生する可能性がある。
・同性カップルは法的な結びつきがないため、災害時にパートナーが亡くなっても災害弔慰金の支給対象にならないのが現状である。
・非常時に「同性である」という理由だけで支給が受けられないのは、尊厳を奪う結果になるため、堺市でも検討してもらいたい。
【田中委員(プロジェクトコンストルイルアルテル)】
・外国にルーツを持つ人、子ども、高齢者には共通して「文字情報が理解しづらい」という課題がある。
・そのため、ピクトグラムの活用や簡単な説明を添える等の工夫が必要である。
・外国人・子ども・高齢者はそれぞれ異なる制約(文化・宗教・アレルギー・咀嚼の困難など)があるため、災害時の食事にも柔軟な対応が必要である。
・「子ども」「外国ルーツの人」「高齢者」は、「自分だけでは動きにくい」、「誰かの助けを必要としている」という点で共通している。
・これら三者を避難所でうまくつなげることで、高齢者が子どもに昔の遊びを教え、外国人が移動の手伝いや子どもの見守りをするなど、互いに助け合える「居場所づくり」が可能になる。
【矢守委員(京都大学)】
・3人の委員から「知的障害者、特に重度障害者の避難生活における課題」、「LGBTQ+、特にトランスジェンダーの方の避難所における課題と災害弔慰金における制度上の課題」、「外国の方や子どもの避難所における課題や居場所を提供することの重要性」について意見をいただいた。
・問題提起をいただいた観点について、有識者の辻岡委員、山﨑委員、山野委員の3名からご意見をいただく。
【辻岡委員(防災科学技術研究所)】
・障害特性により、多くの障害者は「大人数が集まる一般避難所での生活」が非常に難しい。そのため、家族だけで過ごせる専用の部屋や空間を確保することが必要である。
・日本は障害者権利条約を2014年に批准しており、行政は、合理的な配慮の提供が義務付けられている。合理的配慮を提供しないことが、今後は差別にあたる。
・多くの人が避難所に行かず、在宅避難を選ばざるを得ない場合がある。そのため、在宅避難を前提とした個別避難計画も必要である。
【山﨑委員(人と防災未来センター)】
・同じ病名・障害名でも、必要な支援は人によって異なる。そのため、地域が支援を考える際には、当事者本人や家族に直接確認しながら進めることが重要である。
・個別避難計画は個人の課題に見えがちだが、実際には地域全体が安心して暮らすための「地域課題」である。
・かつては「災害時だから多少の不便は仕方ない」と言われていた。しかし、今回のテーマでもある尊厳の観点からは、その認識では不十分である。
【山野委員(大阪公立大学)】
・SDGsの「誰一人取り残さない」、田中委員の言葉でいう「誰も一人にしない」に繋がる重要な視点である。
・被災者は「自分よりもっと大変な人がいる」と考えて 支援を求めず我慢し、トラウマになっていくことが多い。
・見えない困難に気づくには、日常からの観察や関係づくり、システム化された支援の仕組みが不可欠である。
・普段から分野や属性を超えて互いがつながるネットワークをつくれば、災害時に支え合える関係が広がる。行政も同様のネットワーク手法を、多様な分野に広げていくべきである。
【矢守委員(京都大学)】
・3人の有識者の方に「個別避難計画から避難生活支援計画までの連続一体的な作成の重要性」、「個人の課題を地域の課題としてとらえ、被災者の尊厳を守ることの重要性」、「平時から分野超えたネットワークづくりの重要性」にコメントをいただいた。
・これらを踏まえてもう一度、小田委員、桂木委員、田中委員からそれぞれ一言いただきたい。
【小田委員(特定非営利活動法人 堺障害者団体連合会)】
・個別避難計画だけでなく「個別避難生活支援計画」へと議論が前進していることに対し、希望を感じている。
・避難所の整備だけでなく、在宅避難でも専門支援者が継続して来てくれる仕組みがあれば、安心して避難生活を送れる人が増える。
・在宅で支援が受けられる体制が進めば、避難所では過ごせない人たちにとって大きな支えとなり、元の生活に戻るまでの時間を安全に過ごせるようになる。
【桂木委員(特定非営利活動法人 QWRC)】
・「それぞれのコミュニティから地域全体のコミュニティに繋がりをひろげていくべき」という指摘に深く共感し、障害者・LGBTQ+・外国人など、分野を超えたつながりが必要。
・現在グループの中で課題となっているのが、「地域に支援が必要な人がいる」ことを知らせる重要性 と「その人がどこまで自分の情報を知られたいか」 のバランスである。
・見えにくい困難への配慮に関する課題はこの問題が解決すれば、結果的に誰にとっても有益な改善につながるという視点で進めていただきたい。
【田中委員(プロジェクトコンストルイルアルテル)】
・困難な状況こそ前向きに、自分らしく生きることが大切である。
・難しい課題はもちろん考える必要があるが、身近な人同士がつながり、助け合える関係を普段から築くことが何より大事だと、これまでの経験から強く思っている。
【久保危機管理監(堺市)】
・中田委員から意見のあったように、トイレは人としての尊厳にも大きく関わるため、堺市として重点的に整備を進めている。堺市では、発災当初は国のスフィア基準である「50人に1基」を目標にし、現在は約90%の整備率に到達している。今後、被害想定が変われば目標数も変わるため、状況を見ながら継続整備する。
・避難所環境整備は「高コスト」だが、人命・災害関連死を防ぐために不可欠として進める。
・小田委員から意見のあった個別避難計画について、現在は 災害リスクの高い地域の避難行動要支援者を優先して作成している。今後は「災害リスクが低い地域の避難行動要支援者」も対象に広げるため、関係部署と連携し加速させる。
・避難後の生活支援については非常に重要と認識しており、国が進める災害ケースマネジメント(被災者一人ひとりの被災状況や生活状況の課題等を個別の相談等により把握した上で、必要に応じ専門的な能力をもつ関係者と連携しながら、当該課題等の解消に向けて継続的に支援することにより、被災者の自立・生活再建が進むようにマネジメントする取組) を取り入れられるよう準備を進める。
・桂木委員、田中委員から意見のあったLGBTQ+の問題や、外国人、障害者、こどもへの配慮の視点について、すでにいくつかの施策を進めているが、まだ不十分な点がある。今回の意見を踏まえ、関係部署と協議し改善策を検討する。
【黒田ダイバーシティ推進監(堺市)】
・各地の災害の教訓から、被災者一人ひとりの状況を理解し、人権に配慮した支援の重要性を強く感じている。
・多様性や人権尊重について、市民に理解してもらうため、啓発内容や手法を工夫しながら継続的に取り組む。
・人権相談の窓口として人権相談ダイヤルというものを設置しており、普段から差別・ハラスメント・多様性に関する相談を受けている。発災時も 休止せず運営を続ける業務に指定されている。ただし、避難所での認知度が十分ではないため、関係部署と連携し、広く周知する仕組みの検討を進める。
【湯川委員(特定非営利活動法人 SEIN)】
・泉北ニュータウンの茶山台校区では避難所が高台にあり、高齢者や移動が難しい住民が避難所までたどり着けない現実がある。
・連合自治会自体も単位自治会が全部加入しているわけではないので、自治会に加入している地域と、加入していない地域で災害情報の届き方に大きな差が生じている。
・避難所運営時も、地域によって専門職や自治会の力にばらつきが出る可能性が高い。
・自治会に十分頼れない地域が増えており、行政でも自治会でもない“別の窓口役(コーディネーター)”の存在が重要になる。
【矢守委員(京都大学)】
・非常時だから、仕方ないではなく、非常時だからこそ、あるいは非常時のことを今から考えておくからこそ、個人の尊厳を皆でしっかり守ることができるとポジティブに捉えていく必要があるということを、本日の会議から学ぶことができた。
4.閉会
※後日委員に回答した内容
・今回修正した堺市地域防災計画において、D-ESTに関する記載はないが、災害時における応急教育体制の確立について記載がある。
・D-ESTに関しては、令和7年7月1日に国の防災基本計画に反映されており、令和8年度に大阪府地域防災計画へ反映予定であることから、本市においても、令和8年度に予定している堺市地域防災計画の修正の際に、当該内容の反映を検討する。
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