学校給食の衛生管理
更新日:2024年10月15日
堺の学校給食は、安全・安心を第一とした、おいしい給食を提供するため、学校関係者や保護者の代表者および保健所の職員が参加する会議を実施し、参加者の意見を踏まえ、献立作成から調理・提供までの各段階における衛生管理を徹底しています。
各段階での工夫点は、以下の項目で確認できます。
栄養教諭・学校栄養職員による献立作成
堺の学校給食の献立は半年以上前から作成しています。安全で安心な学校給食を提供するために、栄養教諭・学校栄養職員が議論を重ねて、学校給食の献立案と調理方法を作成し、学校関係者や保護者の代表者の意見を聞きながら、献立を決めています。
献立案作成会議
学校給食の献立案を作成するために、栄養教諭・学校栄養職員が「献立案作成会議」を月1回程度開催します。
献立案作成会議では、(公財)堺市学校給食協会等と連携し、食品に関する情報や食材の価格などを確認しながら、献立案と調理方法の原案を作成します。
献立案作成に当たっての注意点
堺の学校給食は、食中毒の防止の観点から生の状態の食材をそのまま給食として提供せず、全ての食材を加熱調理します。旬の果物は、コンポートやケーキに調理し、提供しています。
献立を考えるに当たっては、味はもちろんのこと、子どもの嗜好や栄養価を考えつつ、大きな釜やスチームコンベクションオーブンなどの調理機器の組合せや作業工程において、衛生的に無理なく調理できるかどうかも検討し、献立案を作成します。
調理方法の検討に当たっての注意点
衛生管理を徹底するために、調理動線が複雑になりすぎないように気を配る必要があります。朝7時から調理場での調理作業がはじまり、12時には給食を仕上げなければならないため、限られた時間内で調理できるのかを考え、献立を作成します。
献立や調理動線を考えるのはパズルのようです。
献立委員会(献立審査機関)
学校給食の献立案等を審査するために、学校長、保護者の代表者、給食主任、栄養教諭・学校栄養職員、学校給食課の管理栄養士で構成する「献立委員会」を定期的に開催します。
献立委員会では、献立案作成会議で作成された献立原案をもとに、献立及び調理方法の内容に問題がないか審査を行います。
調理担当者の衛生管理
学校給食法第9条『学校給食衛生管理基準』に基づき、「堺市学校給食衛生管理手引」を作成し、調理担当者の健康管理や手洗い、給食施設や使用器具等の消毒など、衛生管理の徹底を行っています。
調理担当者は、自分の体だけでなく、何百人もの命を預かっているとの意識のもと、アスリートのように自身の健康管理を心掛けています。
健康管理
給食に携わる調理担当者は、普段から、下痢、食中毒等を起こさないよう、食生活に注意しています。もし下痢、発熱、腹痛、嘔吐の症状がある場合は調理作業に従事しません。
また、定期の健康診断を必ず受けるだけでなく、定期的に検便検査を行い、赤痢菌、サルモネラ菌、腸管出血性大腸菌、ノロウイルスを保菌していないか確認しています。
服装
白衣
- 調理作業中は、常に白衣を着用し、白衣の中も清潔な服を着用しています。
- 白衣は毛髪が付着しないよう、マスク・帽子を先に着用してから着るものとし、調理場外の場所へ行くときは白衣等を脱ぐことを徹底しています。なお、トイレに行くときはズボンを履きかえ、行くようにしています。
エプロン
- 調理場内のエプロンは、食材ごとや用途別に色分けするなど衛生管理を徹底しています。
- 作業前には、消毒するため、エプロンにアルコールを噴霧し、ペーパータオルで拭き伸ばし、作業中も、必要に応じて汚れを拭き取り、アルコールを噴霧してペーパーで拭き伸ばすことを徹底しています。
- 作業終了後は、洗浄し、清潔さを保っています。
手洗い
給食調理における衛生管理は、「手洗いで始まり、手洗いで終わる」といっても過言ではありません。調理担当者は何十回も手を洗っています。
触る食材が変わるたびに手洗い、調理具を変えるたびに手洗いなど、何か別の作業に移るたびに手を洗います。あかぎれなど手が荒れると調理に支障が出るため、調理担当者はハンドクリームがマストアイテムです。
代表的な手洗いのタイミングは次のとおりです。
代表的な手洗いのタイミング
- 汚染区域(※1)から非汚染区域(※2)に移動する場合
- 食品に直接触れる作業にあたる前
- 保存食を採取する前
- 肉や卵・魚介類を取り扱った後
- 作業内容を変える時
- パン・米飯・牛乳・デザート・添加物等を検収する前
- 配缶前
- マスクに触れた後
- 汚れたものを触った後
※1 調理場内で食材の検収、保管、野菜等の洗浄などを行う区域
※2 食材の加熱調理、食缶への配食などを行う区域
調理の衛生管理
調理して提供する献立は、全て中心温度が75℃1分間以上であることを確認し、加熱調理を徹底しています。
食材の洗浄
葉物野菜は流水で洗いながら、泥や虫等が付いていないか1枚ずつチェックしています。泥汚れのある根菜は最後に洗うなど洗浄の順番を決めており、全て3回洗浄しています。
加熱調理の徹底
給食調理中は、十分に加熱されているかを確認するため、味見や目視での確認だけでなく、中心温度計を使用して、中心温度が75℃以上が保持されているかを確認します。
確認に当たっては、スチームコンベクションオーブンであれば上段、中段、下段で温度確認を行い、庫内で最も火が通りにくい箇所もチェックします。
中心温度計での測定方法
- 給食を配缶する前に温度を確認します。仕上げ前に一度火を止める場合も温度を確認します。測定に当たっては、食器等に取って温度を測ります。
- 調理釜を使用した調理の場合は、釜の3点から採取し、肉類や大きくカットした食材や最後に入れる食材の中心温度を測定します。
- スチームコンベクションオーブンを使用した調理の場合は、オーブンの上段部分で1点目、中段部分で2点目の合計2ヶ所で75℃以上であることを確認します。3点目は、オーブン下段部分で、75℃以上で1分間以上保持されているかを確認し、温度を記録します。
- 中心温度を測定する場合のセンサーは、食品の中心部に刺します。
学校長の検食による確認
学校長は、児童生徒が給食を食べる30分前までに検食を行い、異物の混入がないか、熱が十分に通っているか、異味・異臭がないかなどを確認しています。
検食後、料理ごとに適否を記録し、気付いたことがあれば調理場にフィードバックします。
<検食での代表的な確認内容>
- 食べ物に異物の混入がないか
- 加熱(冷却)処理が適切に行われているか
- 食べ物に「異味」「異臭」がないか
- 1食分として量が適切であるか
- 味(味付け)は適切であるか
- 食器(容器)等は清潔か
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