堺がめざす「新たな学校」
更新日:2024年3月4日
堺市では、総合教育会議において、令和3年度から現在の教育の課題や国の動向を踏まえながら「新たな学校のあり方」について議論してきました。
※総合教育会議での議論の内容については「総合教育会議」のページからご覧になれます。
急激に変化する時代を生きる子どもたちに必要な資質・能力
これからの子どもたちは、Society5.0時代、人生100年時代の到来、グローバル化の進展、人口減少の進行など、急激に変化する時代を生きていくことになります。
学習指導要領では、急激に変化する時代を生きる子どもたちに必要な資質・能力として、実際の社会や生活で生きて働く「知識・技能」、未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等」、学んだことを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性等」の3つが示されており、堺市においてもこれらの資質・能力の育成をめざします。
(文部科学省 新学習指導要領解説資料一部改変)
自主性・自律性に富んだ自立した学校へ
現在、学校教育では、新型コロナウイルス感染症対応や、学力向上、いじめ・不登校対策、教員の働き方改革など、喫緊に対応が必要な課題を抱えています。課題の解決に向けて、短期的には各課題に対する個別対応に取り組み、合わせて中期的かつ総合的な対応として、学校を自立させ、教職員のマンパワーを最大限に活用することができる仕組みを構築し、学校そのものの改革を推進し、学校教育の質を高めていきます。
これからの堺の学び
急激に変化する時代を生きる子どもたちに必要な資質・能力を育み、子どもたちの可能性を引き出すため、これからの堺の学びとして、「令和の日本型学校教育」である多様な子どもたちを誰一人取り残すことなく育成する「個別最適な学び」と子どもたちの多様な個性を最大限に生かす「協働的な学び」の一体的な充実をめざします。
そのため、学級集団と学習集団を区別した新たな授業形態と進化した一斉授業のベストミックスをめざす「授業の改善」、義務教育9年間を見通した小中一貫カリキュラムのもとで系統性と連続性を意識した「カリキュラムの改善」、これらの改善を支えるために、学校群にヒト・モノ・カネの裁量権限を拡大することで自立したマネジメントを行う「学校群を中心としたマネジメント」に取り組みます。
※学校群:中学校区を構成する小・中学校のこと
スケジュール
授業の改善、カリキュラムの改善による個別最適な学びと協働的な学びの実現、それらを支える学校群を中心としたマネジメント体制の構築に向けたスケジュールは次のとおりです。
◆令和4年度(2022年)
制度設計
◆令和5~6年度(2023~2024年)
モデル実施、制度構築
◆令和7年度(2025年)
実施
令和5年度モデル事業がスタート
令和5年度から、次の5中学校区が新たな学校マネジメントモデル学校群として、「授業の改善」「カリキュラムの改善」と、これらを支える「学校群を中心としたマネジメント」に資する取組を検討し、実施します。
モデル学校群での取組内容は、検証のうえ、事例としてとりまとめていきます。
モデル学校群 | 構成学校 | 所在区 |
---|---|---|
陵西学校群 | 陵西中学校、少林寺小学校、安井小学校、大仙西小学校 | 堺区 |
旭学校群 | 旭中学校、神石小学校、大仙小学校 | 堺区 |
若松台学校群 | 若松台中学校、上神谷小学校、若松台小学校、茶山台小学校 | 南区 |
三原台学校群 | 三原台中学校、三原台小学校、泉北高倉小学校 | 南区 |
五箇荘学校群 | 五箇荘中学校、五箇荘小学校、五箇荘東小学校、新浅香山小学校 | 北区 |
また、令和6年度からのモデル実施に向けて、新たに次の3中学校区をモデル学校群に決定しました。
モデル学校群 | 構成学校 | 所在区 |
---|---|---|
月州学校群 | 月州中学校、三宝小学校、錦西小学校、市小学校 | 堺区 |
八田荘学校群 | 八田荘中学校、八田荘小学校、八田荘西小学校 | 中区 |
赤坂台学校群 | 赤坂台中学校、赤坂台小学校、新檜尾台小学校 | 南区 |
モデル学校群での取組
令和5年度から実施しているモデル学校群では、学校群ごとに特色のある様々な取組を実施しています。その取組の一部を紹介します。
学校群としての検討組織を構築
モデル学校群では、まず、学校群内の小中学校に共通する課題を洗い出し、その課題をもとに9 年間で育成したい子どもの姿としての「学校群教育目標」を設定しました。
また、学校群教育目標を達成するための取組を検討する組織として、学校群推進組織を立ち上げ、それぞれの学校群の状況に応じた検討部会を設置し、小中学校の教職員が一体となって授業の改善やカリキュラムの改善のほか、様々な課題解決に向けた取組について検討を進めています。
学校群推進組織(一例)
モデル学校群での代表者会の様子
学校群内の小学校で取り組む単元内自由進度学習(五箇荘学校群)
授業改善の取組として、学校群内の小学6年生の算数「比」の単元において、子どもが「学習計画表」を活用して、教科書、プリント、ドリルパーク(AI型端末教材)、自由課題等の多様な選択肢の中から自分にあった学習方法を選択し、自分のペースで取り組む「単元内自由進度学習」による授業を実施しました。
<学習計画表> 学び方の順番やどのような教材を使って学習するかなど、自ら選んで学べるように多様な学習教材・学習環境を整えました。
<自由課題> 単元で学んだことを活用して課題に挑戦しました。写真は、色水を使った発展学習コーナーの様子です。
小学校連合運動会の合同練習(若松台学校群)
小学校連合運動会に向けて、学校群内の小学6年生が中学校の運動場に集まって合同練習を行いました。児童数・教職員数が少ない小規模校では、各競技に分かれての練習や綱引きの練習を十分に行うことが難しいですが、学校群で一緒に練習を行うことによって、子どもたちは学校群内の同級生と一緒に、種目別の練習や綱引きの練習試合を行うことができました。最後は、3校の児童代表がエール交換を行い、金岡競技場での再会と本番での健闘を誓い合いました。指導体制についても、各小学校の教員と中学校の体育科教員が協働し、きめ細かな指導を行いました。
<綱引きの様子> 各校対抗の練習試合を行い、子どもたちは本番さながらの白熱したムードで試合に臨みました。
<種目別練習の様子> 各校混合で 100m走や走り幅跳びなどの種目別練習を行い、学校を越えた仲間たちと練習に励みました。
対面とオンラインを組み合わせた小小合同授業(陵西学校群)
G7大阪・堺貿易大臣会合の開催をきっかけに、「子どもサミット~G7から世界への興味・関心を広げよう~」と題した学校群内小学校合同の国際理解教育を実施しました。各校でG7参加国について調べた内容をオンラインや対面で発表し合いました。本取組を学校群で行うことで、子どもたちは普段とは違う仲間と学び合うことができ、また、ゲストティーチャーなどの教育資源を学校群内の小学校で有効に活用できました。
<オンラインを活用した合同遠隔授業> 子どもたちは学校を越えて多様な考えに触れることができ、考えや学びを深めました。
<対面による合同授業> G7参加国について調べた内容を他校の仲間に発表しました。
学校群の教職員がともに学ぶ合同研修(三原台学校群)
小中学校の9年間で子どもたちに系統性のある学習指導を行うため、これまで各校で行っていた研修を学校群合同研修とし、年間を通して小中3校の教職員で学び合う交流の場を設けました。授業研修では、特別支援教育の視点に基づいた授業改善を進めるため、群内すべての教職員がユニバーサルデザイン(UD)の視点を取り入れた授業を行うための研究授業を実施しました。教職員同士が相互に相談・連携しあえる関係を築くことで、小小・小中のつながりを強固なものにし、子どもが安心して9年間を過ごせる体制づくりを進めています。
<研究授業の様子> 群内教職員約 70人を低・中・高学年の3つのグループに分け、各授業の研究を行いました。
<事後検討会の様子> 学校群で育成したい子どもの姿の実現に向けた授業の重要性や、各教科の9年間の系統性を意識した授業のあり方等について議論しました。
対面とオンラインを組み合わせた小小合同授業(旭学校群)
学校群内の小学3年生の総合的な学習の時間において、自分の住んでいる地域や世界の国々について調べた内容を、他校の仲間に発表しました。子どもたちが学校を越えて多様な考えに触れることができるよう、オンラインと対面の良いところを活用して工夫をこらした合同授業を行いました。
<オンラインを活用した合同遠隔授業> 大仙小の子どもたちは、大型テレビで神石小による発表を見ながら、自分のPC端末にチャット形式で感想を書き込みました。
<対面による合同授業> 大仙小の発表は、クイズを取り入れた劇形式で行い、神石小の子どもたちも参加できるように工夫しました。
堺がめざす「新たな学校のあり方」リーフレット
新たな学校のあり方の概要や、よくある質問とその回答をまとめたリーフレットを作成しました。
リーフレットはこちらからダウンロードできます。(PDF:406KB)
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