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保存管理計画(2)

更新日:2012年12月19日

2.資産全体の包括的な保存管理計画の概要、又は策定に向けての検討状況

保存管理の背景

本資産は、陵墓や古墳の保全と山林としても良好な環境が維持されてきた。この点を踏まえ、これまで進められてきた保存管理の成果を引き継ぎ、以下のような点に留意して保存管理計画の検討を行う。

1) 立地について

本資産は堺市所在の百舌鳥古墳群、羽曳野市・藤井寺市所在の古市古墳群からなる資産であり、両者は、その立地と共に周辺環境を異にする。
百舌鳥古墳群は、都市化が進んだ市街地の中にあり、市街地としての成熟の中で文化財保護との両立を目指した保存管理計画とする。
古市古墳群は、宅地化が進む中、いまだ耕作地が残されているところもあり、これらの現状を十分に活用した保存管理計画の策定を目指す。

2) 資産の種類

本資産には、史跡、未指定古墳、宮内庁陵墓という位置付けの異なる資産が含まれる。国及び府指定史跡の古墳については、個別の古墳ごとに整備を進めてきたが、今後は古墳群全体の包括的な評価の下に詳細な計画策定を目指す。
未指定の古墳については、今後調査を重ね、文化財保護法による国史跡指定など、法令による保存管理を強化する。
陵墓については、宮内庁による管理を尊重しながら、保存に取り組む。

保存管理の基本方針

1) 保全の方法

個別の古墳ごとの詳細な調査を実施し、規模や墳形、築造時期等を把握し、資産の範囲とその価値を確定する。基本的には、資産の公有化を目指すものとするが、現状の土地利用・土地規制状況も勘案し、群全体のバランスを図りながら古墳ごとに保存管理の方法について検討を行う。

2) 資産の整備

資産の保存管理を適切に行うため、個々の古墳の歴史的価値、規模や立地条件、遺構の保存状況などに応じて、現行の保存状態を維持するもの、築造当初の状態への復元をおこなうものなど、望ましい整備のあり方を検討する。

3) 保存管理の体制

百舌鳥古墳群と古市古墳群は、地理的に離れており、所管する行政機関も異なる。総体として統一的なコンセプトの下に保存管理を進めるため、関係行政機関による協議組織を設置するなど、連携を緊密にしながら保存管理を進めていく。

計画策定にむけての体制

資産は、堺市、羽曳野市、藤井寺市と複数市に及ぶことに加え、管理主体が複数にわたることから、関係行政機関等による協議会を設置するなど緊密な連携を図り、整合性のとれた保存管理計画の策定を目指す。

3.資産と一体をなす周辺環境の範囲、それに係る保全措置の概要又は措置に関する検討状況

全体について

バッファゾーンについては、各古墳群において資産と資産の間をつなぐ面的なものとする。保全手法としては、都市計画法や景観条例などを活用して資産と一体をなす周辺環境にふさわしい高さ・色調・意匠等とする。今後、その具体化を行うにあたっては、有識者の意見を徴しながら、関係機関等とも充分に協議調整を行い、地域住民の理解と協力を得ながら進める。その内容は段階的に古墳に近いほど厳しく、離れるほどゆるやかなものとする。
バッファゾーンについては、市の総合計画など街づくりの根幹をなす計画への位置づけを進める。

百舌鳥古墳群

百舌鳥古墳群は、上町台地につながる低・下位段丘上に位置し、南北約4km、東西約4kmに広がる。古墳群は段丘を利用して築造されたことから、築造時の地形を考慮してバッファゾーンを設定する。考え方の骨子は以下のとおりである。

1) 主要個別構成資産の周辺は、都市計画法の風致地区・第一種低層住居専用地域となっている。これらを基礎に個別状況を踏まえて周辺一帯の保全に努めていく。

2) 堺市では、仁徳陵古墳、履中陵古墳をはじめ本資産の大部分が集中している大仙公園とその隣接地区を大仙風致地区(98ha)に指定して古墳の周りを緑で囲う方向性を打ち出し、環境の保全をはかっている。さらに、現在、既存景観条例については景観法に基づく条例への移行を検討している。バッファゾーンの範囲及び周辺環境の景観的保全については、これらに加えて都市計画法も積極的に活用して取り組んでいく。

3) 仁徳陵古墳と履中陵古墳にはさまれた地域は、早くから堺市のシンボルパーク「大仙公園(計画区域81.1ha)」として、古墳等の歴史的・文化的資源を保存・承継・活用するための核と位置付け、現在までに約36haの整備を行ってきている。その中には、古墳群からの出土品を展示している堺市博物館のほか、茶の湯の文化発祥の地・堺として、茶室などの文化教養施設を配置するなど、公園を古墳群と一体のものとして整備し、貴重な古墳群の保存・活用を図っている。さらに、古墳群内の主要古墳を結ぶ路を「百舌鳥三陵周遊路」としてすでに整備し、数多くの来訪者が壮大な古墳に触れ、その文化を身を持って体感している。

古市古墳群

古市古墳群は、羽曳野丘陵北端に位置し、羽曳野市・藤井寺市にまたがる南北約4km、東西約4kmの範囲に広がる。古墳の分布は、低・下位段丘上への集中が認められることから、地形分類を基本としてバッファゾーン設定の目安とする。考え方の骨子は以下のとおりである。

1) 主要個別構成資産の周辺は、都市計画法に基づく第一種低層住居専用地域が多くを占め、これを基礎に個別状況を踏まえて周辺一体の保全に努めていくものとする。

2) 地域の特性を活かした良好な景観形成の促進に向け、景観法に基づく景観条例の制定などを進める中で、本資産のバッファゾーンの範囲や周辺環境の景観的保全などについて検討を行う。

3) 本資産の周辺には、国宝や重要文化財を所蔵する誉田八幡宮や道明寺天満宮、道明寺、葛井寺などの古社寺、東高野街道など古墳と一体となった歴史を体感できる街並みが形成されている。これらを考慮したバッファゾーンの設定を検討している。また、市内の各遺跡を散策するガイドルートとして整備した「河内ふるさとの道」も活用しながら、各古墳を周遊する散策ルートなどの設定を検討している。

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