堺環濠都市遺跡大坂夏の陣被災遺構出土一括資料(SKT39地点出土品)
更新日:2022年2月28日
指定区分
堺市指定有形文化財
説明
本資料は、平成元年(1989)に堺区熊野町西2丁での発掘調査において、慶長20年(1615)の火災により焼失した建物跡から出土したものです。茶室空間を備えた蔵座敷と、茶道具類を収めた蔵という性格の異なる建物から、高級陶磁器類を中心とした遺物が多量に出土しました。
蔵座敷(SB301)は、長辺6.4m、短辺3.5mの建物で、茶の湯に用いた炉が残されていました。茶道具を中心とする国内外の陶磁器が出土し、その中には唐津・志野・高麗(朝鮮王朝)などの茶碗や瀬戸美濃の茶入れ、備前の建水等の茶道具のほか、皿や鉢など茶懐石に用いられる食器も含まれています。また、出土した陶磁器の産地については、輸入陶磁器が国産陶器よりも圧倒的に多く、中国染付が全体の約7割を占めます。
蔵(SB302)は、長辺3.3m、短辺2.7mの半地下式構造の土蔵です。建物の床が損なわれずに残っていたことから、茶道具類が収納された状態でみつかりました。主なものに備前の掛花入れ、タイ・朝鮮王朝の壺、唐津水指、石製茶臼などがあります。
2つの建物から良好な状態で出土した本資料は一括性に富み、かつ慶長20年(1615)の被災資料であることで、近世初頭の茶道具の「揃え」を知ることのできる、全国的に見ても貴重な資料です。さらに、本資料の大半を占める高級陶磁器類は、中世末~近世初頭における堺の「富の象徴」ともいえるもので、考古資料として価値が高く重要です。
SB301出土一括遺物
SB302出土一括遺物
SB302出土伊賀信楽葉茶壺
SB302出土タイ焼締壺
SB302出土石製茶臼
SB301出土青織部向付
SB302出土中国染付蓋付壺
出土地
堺市堺区熊野町西2丁1番
所在地
堺市南区稲葉1-3142 文化財課分室
所有者
堺市(文化財課分室保管)
時代
安土桃山時代~江戸時代(16世紀末葉~17世紀初頭)
指定年月日
令和4年2月25日
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