このページの先頭です

本文ここから

「日本と世界が出会うまち・堺 2025」プロジェクト(終了)最終事業報告

更新日:2025年12月16日

中学生・高校生が歴史に迫る「日本と世界が出会うまち・堺 2025」研究発表会を開催しました【最終事業報告】

事業名

「日本と世界が出会うまち・堺 2025」研究発表会

日 時

2025年11月16日(日曜)12:45~18:00

場 所

大阪大学箕面キャンパス大阪外国語大学記念ホール(Zoomとのハイブリット開催)

参加者数

会場参加者 125人、Zoom参加者 22人
総計 147人

プログラム

1)開会のあいさつ
2)中学生・高校生11グループによる研究発表
3)審査結果発表、表彰式
4)講評
5)閉会のあいさつ

1) 開会のあいさつ

堺市博物館 須藤 健一 館長

みなさん、こんにちは。堺市博物館館長の須藤です。今日は「日本と世界が出会うまち・堺 2025」研究発表会のために、大阪大学箕面キャンパスの大阪外国語大学記念ホールにお集まりくださり、誠にありがとうございます。このような良い環境のキャンパスで大阪大学の学生たちは世界25カ国の外国語を学ぶことができるのです。
今日の発表会に向けて、皆さんは8月にオンラインで中間的な発表をしてもらいました。あのとき、みなさんの研究発表は、優良可という成績の付け方でいえば、良のレベル、約70点のレベルに達しておりました。それから3か月。フィールドワークを行い、情報を収集し、文献史料にあたって、先行論文を読み込み、みんなでディスカッションして、今日、その結論を持ってきてくださったものと思います。
良、70点が、100点までは無理かもしれませんけれども、80点、90点まで、皆さんのチームの発表が深掘りされ伸びていることを期待しています。自信をもって堂々と発表してください。楽しみにしています。

2)中学生・高校生11グループによる研究発表

3)審査結果発表

審査は次の3人の審査員により行いました。
◆古谷 大輔  大阪大学教授(審査委員長)
◆後藤 敦史  京都橘大学准教授
◆下原 あゆみ 堺市博物館学芸員

審査基準は次の5項目で各審査員100点満点としました。
1)堺や対象地域の歴史の取り上げ方について 20点
2)世界史や国際交流の視点について     30点
3)研究内容の深さについて         20点
4)発表のたくみさについて         20点
5)総合的な評価点             10点

審査結果と各賞、各グループの講評は次のとおりでした。

◎中学生の部

○最優秀賞(ルソン助左衛門賞) 雲雀丘学園中学校 えむzu
テーマ 堺五月鯉幟 こいのぼりの歴史と「高儀」のこれから
講 評 

堺の伝統工芸品である堺五月鯉幟を取り上げながら、その素材に着目して、日本だけでなく世界とのつながり、明治時代におけるイギリスのキャラコとの出会いにまで着目して発表した点が素晴らしかったです。発表の根拠となる既存史料を良く読み込まれたと思います。堺の地域性もよく研究していましたね。高校生レベルの研究発表でした。

雲雀丘

○優秀賞 関西大学中等部 フィールドワーク部 歴史班
テーマ カナダにおける日系移民排斥とその後~三尾出身 移民3世へのインタビューを踏まえて~
講 評

当事者の方々に適切なインタビュー調査を行ったことがまず素晴らしいと思います。記録には残らないが記憶に残っている声をどう扱うかは、とても大事なことで、そこに中学生の皆さんが踏み込んで挑戦した点を評価したいと思います。国際統計の人口移動を使いこなした手法も高度な研究でした。日系移民とドイツ系移民の比較もこの研究に深みを持たせたと感じました。

関大中等部

○奨励賞 奈良学園登美ヶ丘中学校 なとみん
テーマ ホイアンの町家に残る日本文化
講 評

ホイアンに残る町家建築に関して、先行研究を調べるとともに堺に残る町家も調べあげて、自分たちの見解、「ホイアンの町家には日本の町家の痕跡もあるのでは」ということを提起した意欲的な発表でした。文化が国境を越えて広がっていく国際交流の視点も良かったです。皆さんの独自の視点、見解をより具体的に検証し展開していければ、さらに深い研究発表になると感じました。

○奨励賞 堺市立三国丘中学校郷土研究グループ
テーマ 堺打刃物と外国人の関係
講 評

堺の打刃物を単なる歴史とだけ見るのではなく、現在性を重視した発表に仕上げたことが素晴しかったです。堺の打刃物が世界的な評価を受けていることをアンケート調査で明らかにした点も良かったです。調査成果をメインに発表すれば研究の素晴らしさが際立ったのではないでしょうか。さらに、アジア系の方々の調査もできていれば、比較調査の質がより上がる可能性も感じました。

◎高校生の部

○最優秀賞(フランシスコ・ザビエル賞) 帝塚山学院高等学校 歴史研究部 umbrother’s
テーマ 傘と堺のつながり
講 評

身近な道具である「傘」が堺と関係することから出発して、伝承の歴史学的な検証、和傘と洋傘の比較、古代から現代までの歴史、日本から世界までの比較や繋がりにまで研究を広げていき、素晴しい発表に仕上げましたね。有名な呂宋助左衛門だけでなく河盛仁平にも研究が到達した点も評価できますし、史料の見せ方や堺の観光ガイドの記述に関する提案も的を射たものでした。

帝塚山

○優秀賞 関西大学高等部 フィールドワーク部 歴史班
テーマ 堺のベトナム人~多文化共生への糸口として~
講 評

堺のベトナム人コミュニティへの聞き取りだけでなく、統計の分析、宗教学的観点も丁寧に扱いながら議論し研究したことがよく分かる発表でした。現代史と現代社会の双方の分野を融合した点も完成度の高いものになったと思います。他都市や外国の都市とのより詳しい比較か、多文化共生へのより具体的な提言などのいずれかが加われば、最優秀賞にも届いたことでしょう。

関大高等部

○奨励賞 箕面自由学園高等学校 グローカルワーク 郷土資料館
テーマ 伊丹エアベースの記憶と継承― 大阪国際空港における戦跡価値の再評価 ―
講 評

難易度の高い「戦跡」について、身近な疑問から探究活動をしっかりと行った研究発表でした。「戦跡としての価値が埋もれている」という分析の先には、伊丹空港のどの歴史をとらえて判断するかで、多様な発信内容が出てくると思います。その点を深掘りしていければ、より素晴らしい研究発表になったと感じました。最優秀賞、優秀賞とは、ほとんど差のない良い発表でした。

○奨励賞 箕面自由学園高等学校 デザインタイム茶道
テーマ 茶道における和菓子の魅力~和菓子に銘がつけられているのはなぜか~  
講 評

文献調査やフィールドワークだけではなく、和菓子イベントまで開催したことがまず素晴らしい。茶道の歴史と和菓子の歴史、その双方を文化史として丹念に調べたことが分かりました。ただ、「茶道」と「和菓子」の本格的な発展は江戸時代以降で、それまでは「茶の湯」と「菓子」の関係なので、その区分や分析がさらに発表に反映できれば、より素晴らしい発表になったと思いました。

○奨励賞 桃山学院高等学校 歴史を刻め! 鳥井駒吉編
テーマ 鳥井駒吉の生涯とその功績  
講 評

人物史と都市計画とを結びつけ、未来の大阪を見据えて歴史的に考察するという視点が素晴らしかったですね。想像力と論理力、その両方がありました。鳥井駒吉と小林一三の比較も良く分析できていました。欲を言えば、首都圏や外国との比較検討もできた研究かなとも思いましたし、結論部分で、より詳しい研究成果の展開があれば、さらに良い発表になったのではないでしょうか。

○奨励賞 桃山学院高等学校 大正デモクラシー
テーマ 島成園  
講 評

同時代に活躍した画家、島成園と上村松園とを比較研究したことが良い発表につながりましたね。絵画作品の緻密な分析に加え、成園が生まれた堺と松園が生まれた京都との歴史的・文化的環境の差異が作風に反映したこと、明治・大正期の女性の生き方の考察など、学術的に深みのある研究でした。ただ、課題としてあげられていた外国との比較などができていればと思いました。

◎特別賞 堺ユネスコ協会賞 帝塚山学院中学校 歴史研究部 和菓子調査隊
テーマ 堺と和菓子
講 評

「お菓子が好き」という動機から出発して、実地調査も行い、堺をはじめとする歴史の営みを束ね上げただけではなく、身近な素材と掛け合わせた未来の和菓子像の提案までしたところが素晴しかったです。かつての和菓子もいろいろな世界と出会って進化してきましたね。歴史学は「歴史を学んでそれを未来にどう活かすのか」という学問であり、その点からも評価したいです。

帝塚山中

4)講評  

大阪大学 古谷 大輔 教授

今年の発表は、中学生・高校生とも本当に高い水準の発表ばかりでした。
堺というまちの歴史的な深みと、日本と世界とを繋ぐダイナミズム、これらを皆さんがそれぞれの視点から多様に掘り下げたという点が、とても印象的でした。参加したすべての皆さんが、地域の歴史を単なる知識としてではなくて、自分自身の問いかけをする場としてとらえていたことに感銘を受けました。
若い中学生・高校生の皆さんの歴史や社会を見つめる目が、ただ単に過去にとどまらず、未来に開かれているものばかりで、僕は今とても清々しい気分でいます。今日何度も言ったことですが、歴史を学ぶことは、決して古い出来事を学んで暗記することではなくて、今の現実の社会をもっと良くするためのものだと考えています。
【補注:各グループへの講評は、それぞれの講評に含めました】
まず、中学生の皆さんに伝えたいことがあります。皆さんの発表には、皆さんが初めて歴史と向き合って自分なりの問いを作った瞬間が刻まれています。歴史を学ぶ喜びというものは、誰かの答えをそこに当てることではなくて、自分自身で世界を観ようとする勇気、あるいは覚悟、そういったところにあります。そのような第一歩を踏み出した皆さんは、すでに立派な研究者の仲間入りをしました。今日の発表は、未来の学びにつながる出発点であり、礎になると思います。
次に、高校生の皆さん。皆さんの探究は、それぞれが単なる高校の課題を超えて、実際に大学や研究機関で行われている学術研究のレベルに迫るものが多かったです。堺の歴史を素材にしながらも、例えば移民、ジェンダー、都市計画、文化史など、現代社会の大きなテーマとつながっている点において、このプロジェクトの本質的な価値があるわけです。歴史を通して、どのように今を読み解くのか、その今を読み解く力というものを得た皆さんは、これからどんな分野で道を歩んでも、自らが問いを立てて世界に働きかける力を発揮できるはずです。今回も、高校生の部で最優秀賞を獲得したグループは、このような発表ができる全国大会がありますので、そこに出場してもらうことになります。さらに頑張っていただきたいと思います。
堺という一つのまちから、こんなに多様で豊かな物語が紡がれるという事実が「日本と世界が出会うまち・堺」というプロジェクトが持っている大きな可能性を物語っていると思います。今日までの探究活動が皆さんの未来に向けて新しい学びと出会いの扉を開くことを心から願っています。
最後に、生徒の皆さんの指導にあたられてきた先生方、そして生徒の皆さんを温かい目で見守られている保護者の皆さん、この場におられるすべての参加者の皆さんに心から敬意を表します。ありがとうございました。皆さん、お疲れ様でした。

古谷審査委員長

5)閉会のあいさつ

堺市博物館 須藤 健一 館長

皆さんの発表を聴いて、午後の始まりのあいさつでは「70点は超えている」と言いましたけれども、全体として100点とまではいきませんが、95点クラスから85点クラスまでレベルアップした発表ばかりでしたので、自信を持ってください。そして、今回の11グループの発表は、テーマの関連性が繋がっていました。
例えば、関西大学中等部のカナダ移民は、まだ文字化されていない生の声を聞き取り、後世に残そうとする発表でしたし、箕面自由学園高等学校の伊丹空港は、戦争遺跡を調査することによって新しい価値を発見して後世に残していくことで意味を持つという発表でした。非常に似通った目標、共通する狙いを持った発表でした。
お菓子に関しては、帝塚山学院中学校と箕面自由学園高等学校の2グループが発表してくれました。双方とも非常に緻密な文献資料を調べて、フィールドワークによってもデータを集めて、論理的かつ非常に分かりやすくまとめてくれました。帝塚山学院中学校の発表では、南蛮貿易から現在のくるみ餅、けし餅、ニッキ餅にまで連なっているという歴史的な関係を指摘してくれています。箕面自由学園高等学校の発表では、茶道の歴史、砂糖の歴史、和菓子の歴史、この3つの歴史を徹底的に調べていました。
「ものの始まりなんでも堺」という言葉があります。そのことを扱ったのが雲雀丘学園中学校の堺五月鯉幟です。堺の職人の技術で独自の手書きの鯉幟を創り出したことを発表してくれました。それから、堺市立三国丘中学校の堺打刃物です。外国の方々にインタビューをして、堺打刃物の魅力、ヨーロッパ刃物との違いをうまく聞き取りまとめてくれたと思います。もうひとつは、帝塚山学院高等学校の傘です。堺から南蛮渡来の傘が始まったという伝承から広がりを持った発表に仕上げてくれました。
ベトナム関連が2つありました。奈良学園登美ヶ丘中学校の発表です。ホイアンには日本人町があって、先行研究を踏まえながらホイアンに残る町家の構造を調べて、日本の町家との共通点を探してくれました。関西大学高等部は、現在たくさんのベトナム人が堺に住んでいることから、聞き取り調査に基づく研究発表をしてくれました。これからも日本に移り住む東南アジアの人々は増えると思いますので、このような多文化共生を考える研究は有意義なものだと思います。
そして、堺の偉人の2人の話ですね。鳥井駒吉さんと島成園さんを取り上げてくれたのが、桃山学院高等学校の2グループでした。この2人をもう少し研究対象として取り上げないといけないと反省させられました。
このように今年の11件の発表は、それぞれが共鳴しあって、とても面白い構成になっていたように思います。皆さんのあくなき知的好奇心と挑戦、史料を集める力とフィールドワークで聴く力の鋭さを今日は強く感じました。皆さんは、自分で探した研究テーマに対して、真摯な態度で追究し、目標を達成したという満足感を持たれていると思います。頑張ってくれて本当にありがとうございます。

須藤館長

PDF形式のファイルを開くには、Adobe Acrobat Reader DC(旧Adobe Reader)が必要です。
お持ちでない方は、Adobe社から無償でダウンロードできます。
Get Adobe Acrobat Reader DCAdobe Acrobat Reader DCのダウンロードへ

このページの作成担当

文化観光局 歴史遺産活用部 博物館 学芸課

電話番号:072-245-6201

ファクス:072-245-6263

〒590-0802 堺市堺区百舌鳥夕雲町2丁 大仙公園内 堺市博物館

このページの作成担当にメールを送る
本文ここまで