(2024年1月15日) 日常を耕すこと
更新日:2024年5月1日
堺市役所前の交差点の大きな木に光が灯る
令和6年能登半島地震により、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
皆さまのご無事と、日々の生活にあたたかな日常が戻ることを祈っています。
そして、現地に入り、あるいは後方から支援に携わる皆さまの尽力にも感謝申し上げます。
「新年あけましておめでとうございます、が憚られ、ともかく今年もよろしくお願いします。」と挨拶してしまう今年の1月です。
被災地から距離のあるところにいて「気持ちが落ち込んでしまうんです」と話す人もいて、地震で揺れたのは地面だけではなく、感情も揺さぶられました。
能登半島という地理的要因から、交通が分断され今すぐ駆けつけることもままならないなかで、それぞれの地でできることを考えたいと思います。
でも、できることって何だろう。
祈ること
知ろうとすること
聞くこと
思いを伝えること
元気でいること
募金をすること
できることは何か考えつづけること・・・。
それぞれの人の得意がいかせると、なおよいと思います。
でも、一大事に得意を発揮するためには、日頃からの練習が大事です。
地域のなかで孤立している人はいないか、困っている人がいたら声をかけているか。
関わるにしてもひとりで抱え込まず、相談したり連携できる人がいるか・・・。
技術は磨かれてこそ。
わたしたちのひとりひとりの日常も耕していることが大事だなと思います。
さて、昨今の日本のアートシーンには「芸術祭」があります。
能登半島の珠洲市では、奥能登国際芸術祭が2017年、2020年+(2021年に開催)、2023年に開かれました。大阪の知人たちが、この芸術祭に泊まり込みで参加していました。彼らはこの芸術祭に魅了されていて、3年ぶりの開催をとても楽しみに、一ヶ月予定を開けて昨年秋も出かけていました。もともと宿泊施設も少なく、他のエリアに泊まって通っていたそうで、芸術祭の発想の出発点となった珠洲市の「さいはて」ぶりが伺えました。
そんな話も聞いていましたから、今回の地震に話題が及ぶと、彼らは顔を曇らせます。
もし、彼らのところに、被災された方からの相談があれば、ここでは〇〇ならできるから相談回してね、できることがあれば何でもするから、と伝えました。
珠洲市の奥能登国際芸術祭は、少なくとも文化芸術に関心のある人たちが訪れ、交流する機会を生み出していました。彼らにしてみれば、縁もゆかりもない奥能登に出かける理由は芸術祭の手伝いに行くというものでした。そこから奥能登への思いの細い糸は奥能登を知らないわたしのもとまで伸びてくるかもしれません。
この社会は、世界は、細い糸で覆われていると思うのですが、それらは透明な糸のようで実感することはそう多くありません。
当たり前に過ぎる日常に似ています。
そんな日常に、糸の連なりを重ねて空気や肥料をいれて、耕していこう、と思う新春でした。
2024年1月15日
プログラム・ディレクター 上田假奈代
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