堺市監査委員監査基準
更新日:2024年4月1日
この基準は、地方自治法(昭和22年法律第67号(以下「法」という。))、地方公営企業法(昭和27年法律第292号(以下「公企法」という。))及び地方公共団体の財政の健全化に関する法律(平成19年法律第94号(以下「健全化法」という。))の規定に基づき、監査委員が行う監査、検査及び審査(以下「監査等」という。)の基準及び行動指針を定める。
第1章 一般基準
(監査委員監査の意義・目的)
第1条 監査委員監査は、監査委員が法令により定められた権限に基づき、事務事業の執行について監査等を実施し、その結果に関する報告を決定するとともに、これを議会、市長等に提出し公表することにより、民主的かつ効率的な行政運営の確保に資し、もって市民の福祉の増進と地方自治の本旨の実現に寄与することを目的とする。
(監査委員の倫理規範)
第2条 監査委員は監査等に係る能力の向上と知見を広めるため、常に自己研鑽に努めなければならない。
2 監査委員は、監査等を行うに当たって公正不偏の態度を保持しなければならない。
3 監査委員は、監査等を行うに当たって正当な注意を払い、懐疑心を保持しなければならない。
4 監査委員は、職務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
(事務局職員の指導及び留意事項)
第3条 監査委員は、監査等を実施する過程において、事務を補助する職員(以下「事務局職員」という。)を適切に指導監督し、積極的に人材育成に努めなければならない。
2 事務局職員は職務の遂行に当たって、次に掲げる事項に留意しなければならない。
(1) 監査等に必要となる知識や技能及び法令、条例、規則等に関する研鑽を心掛けるとともに、常に市政に関心を持ち、能率的に業務を実施するよう努めなければならない。
(2) 監査等の実施に当たっては、監査委員の方針を十分に理解してこれに従い、監査対象についてあらかじめ十分研究しておかなければならない。
(3) 監査等の実施に当たって、常に公正不偏の態度を保持し、職務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
(監査等の種類)
第4条 監査等の種類は、次の各号に掲げるとおりとする。
(1) 財務監査(法第199条第1項の規定による監査)
(2) 行政監査(法第199条第2項の規定による監査)
(3) 住民の直接請求に基づく監査(法第75条の規定による監査)
(4) 議会の請求に基づく監査(法第98条第2項の規定による監査)
(5) 市長の要求に基づく監査(法第199条第6項の規定による監査)
(6) 財政援助団体等に対する監査(法第199条第7項の規定による監査)
(7) 公金の収納又は支払事務に関する監査(法第235条の2第2項又は公企法第27条の2第1項の規定による監査)
(8) 住民監査請求に基づく監査(法第242条の規定による監査)
(9) 市長又は企業管理者の要求に基づく職員の賠償責任に関する監査(法第243条の2の8第3項又は公企法第34条の規定による監査)
(10) 共同設置機関の監査(法第252条の11第4項の規定による監査)
(11) 例月現金出納検査(法第235条の2第1項の規定による検査)
(12) 決算審査(法第233条第2項又は公企法第30条第2項の規定による審査)
(13) 基金の運用状況審査(法第241条第5項の規定による審査)
(14) 健全化判断比率等審査(健全化法第3条第1項、第22条第1項の規定による審査)
(15) 内部統制評価報告書審査(法第150条第5項の規定による審査)
2 前項第1号に規定する財務監査は、定期監査(法第199条第4項)及び随時監査(法第199条第5項)として実施する。
(記録及び保存)
第5条 監査委員は、監査等の計画、及びこれに基づき実施した監査等の手続並びに監査等結果とその根拠を記録し、適切に保存しなければならない。
(品質管理)
第6条 監査委員は、監査等が本基準に準拠して適切に実施されるために必要な品質管理の体制を整備するよう努めなければならない。また、監査等の品質管理を適切に行い、適宜、相互に確認するものとする。
(指導的機能の発揮)
第7条 監査委員は、第1条の目的を果たすため、監査等の対象部局等に対して適切に指導的機能を発揮しなければならない。
(報告の徴取)
第8条 監査委員は、地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)第168条の4第3項又は地方公営企業法施行令(昭和27年政令第403号)第22条の5第3項の規定により、指定金融機関等に対する検査の結果について、必要に応じて会計管理者又は企業管理者に対して報告を求めなければならない。
第2章 実施基準
(基本原則)
第9条 監査委員は、監査リスクを認識し、その重要性を勘案して監査計画を策定しなければならない。
2 監査委員は、監査等の実施において内部統制の整備状況と本市を取り巻く環境を理解し、事務事業に内在するリスクを考慮して監査等を実施しなければならない。
3 監査委員は、監査等の項目の重要性、危険性その他の諸要素を十分に考慮して、合理的基礎を得るまで監査等を実施しなければならない。
(監査等の計画)
第10条 監査委員は、監査等を効率的かつ効果的に実施するため、内部統制の整備状況を含む事務事業を取り巻く環境及び監査資源を総合的に勘案し、年間監査計画及び実施計画(以下、「監査等の計画」という。)を策定しなければならない。
2 監査委員は、年間監査計画の策定に当たり、以下の各号に掲げる事項を定めなければならない。
(1) 年間における実施予定の監査等の種類及び対象
(2) 監査等の対象別実施予定時期
(3) その他必要と認める事項
3 監査委員は、実施計画の策定に当たり、以下の各号に掲げる事項を定めなければならない。
(1) 監査等の実施期間
(2) 監査等の担当者及び事務分担
(3) 監査等の基本方針
(4) 監査等の実施場所及び日程
(5) 監査等の対象期間
(6) 監査等の項目及び着眼点
(7) その他監査等の実施上必要と認める事項
4 監査等の計画の策定及び実施に当たっては、個々の監査等に有機的な関連を持たせ、総合的に成果が上がるように運用しなければならない。
(監査等の計画の変更)
第11条 監査委員は、監査等の計画策定において把握した事象や環境等が変化した場合、又は監査等の実施過程で新たな事実を発見した場合には、必要に応じて適宜監査等の計画を変更しなければならない。
(事前手続)
第12条 監査等を実施するに当たっては、特別の場合を除き、監査対象に対して、あらかじめ監査等の種類、対象等を通知するものとする。
2 監査等を実施するに当たっては、必要な資料を提出させるとともに、事務事業の概況についての説明を求めるものとする。
3 監査等の対象となる事務事業について、あらかじめ関係法令等を研究し、基礎知識を養わなければならない。
4 監査等の対象に対して、主なリスクとそれに対する統制活動に関する説明を求め、その概要を把握するよう努めなければならない。
(監査等の方法)
第13条 監査等の実施手続の適用は、監査等の種類、対象、目的、管理点検体制及び内部監査の信頼性の程度を勘案し、試査又は精査による。試査による場合はその範囲を合理的に決定しなければならない。
2 試査は、監査等の対象となっている事項について、その一部を抽出して調査し、その結果によって全体の正否又は適否を推定する。
3 精査は、監査等の対象となっている事項について、全部にわたり精密に調査し、その正否又は適否を明らかにする。
4 監査委員は、監査等の実施において不正の兆候を発見した場合には、適宜監査手続を追加して十分かつ適切な監査等の証拠等を入手し、合理的な基礎を形成しなければならない。
(実施すべき監査等の手続の選択適用)
第14条 監査委員は、効果的かつ効率的に監査等を実施するため、得られる証拠等や手続の容易性を勘案し、実施すべき監査等の手続を選択し適用しなければならない。
(専門家の業務又は内部監査の結果の利用)
第15条 監査委員は、監査等の過程において、専門家が行った業務の結果を利用する場合には、当該専門家としての能力及びその業務の客観性を評価し、当該業務の結果が監査等の証拠等として十分かつ適切であるかどうかを検討しなければならない。
2 監査委員は、内部監査の目的及び手続が監査委員監査等の目的に適合するかどうか、内部監査の方法及び結果が信頼できるかどうかを評価した上で、内部監査結果を利用できると判断した場合には、監査等に与える影響等を勘案して、その利用の程度を決定しなければならない。
第3章 報告基準
(報告及び意見の提出)
第16条 監査委員は、監査又は検査を終了したときは、結果に関する報告を議会、市長等に提出しなければならない。なお監査の結果に基づいて、必要があると認める場合は、結果に関する報告に添えて意見を提出するものとする。
2 監査委員は、決算審査、基金の運用状況審査、健全化判断比率等審査及び内部統制評価報告書審査を終了したときは、市長に審査意見を提出しなければならない。
3 監査委員は、結果に関する報告及び審査意見(以下「監査報告等」という。)の提出に当たり、簡潔明瞭な表現とするよう努めなければならない。
4 監査等の結果は、原則として、監査報告等の提出前に、市長等の関係者以外の者に知らせてはならない。
(報告書等の記載事項)
第17条 監査報告書、検査報告書及び審査意見書には、おおむね次の各号に掲げる事項を簡潔明瞭に記載する。
(1) 報告等の提出日
(2) 監査等を実施した監査委員名
(3) 監査等の種類
(4) 監査等の対象
ア 監査等の対象部局等
イ 監査等の対象期間及び実施期間
(5) 監査等の内容及び結果
ア 指摘事項
イ 事務の執行、事業の管理状況等についての意見
ウ 外部の専門家に監査の事前調査を委託した場合はその旨
(重大な制約等)
第18条 監査委員は、重大な制約等により重要な監査等の手続を実施できず、監査等の結果及び意見を表明するための合理的な基礎を形成することができなかった場合には、必要に応じて監査報告等にその旨、内容、理由等を記載することとする。
(監査報告等の決定等)
第19条 監査委員は、監査報告等の決定等のうち、次の各号に掲げるものは監査委員の合議によるものとする。
(1)第4条第1号から第6号まで、第8号及び第9号に定める監査結果
(2)第4条第12号から第15号までに定める審査意見
(3)外部監査人の監査結果(法第252条の37第5項の規定による)に関する意見
(4)住民監査請求に係る個別外部監査結果報告の請求理由の有無及び勧告
(監査報告等の公表)
第20条 監査委員は、監査報告等のうち、第4条第1号から第6号まで、第8号及び第10号に定める監査に係るものについては、速やかに公表しなければならない。
(措置状況の報告等)
第21条 監査委員は、監査等の指摘事項等について、市長等から適時措置状況の報告を求めなければならない。
2 監査委員は、第4条第1号、第2号、第5号、第6号及び第10号に係る措置状況の報告は、これを公表しなければならない。
3 監査委員は、第4条第8号の住民監査請求に係る勧告に基づき、市長等から必要な措置を講じた旨通知があったときは、これを請求人に通知し、かつ、公表しなければならない。
(措置の経過報告)
第22条 監査等の結果において、指摘事項または意見に関しては市長等に対し、措置に関する経過報告を求めることができる。
附則
この基準は、平成27年4月27日から施行する。
附則
この基準は、平成28年4月1日から施行する。
附則
この基準は、令和2年4月1日から施行する。
附則
この基準は、令和6年4月1日から施行する。