堺市建設局ICT活用工事試行要領
更新日:2025年3月19日
(趣旨)
第1条 この要領は、堺市建設局が発注する建設工事において、建設現場におけるICT(情報通信技術)を推進し、受発注者双方へICTを活用することによる建設現場の生産性向上、及び就労環境改善の意識付けを図ることを目的として、必要な事項を定めたものである。
(対象工事)
第2条 予定価格250万円を超える全ての建設工事を対象とする。ただし、単価契約工事を除く。
(定義概要)
第3条 この要領における用語の定義は、以下に定めるところによる。
1.「ICT 活用工事」
ICT 活用工事とは、施工プロセスの段階において、ICT施工技術を活用する工事である。 また、以下に示す(1)~(5)の全ての段階でICT施工技術を活用することを「ICT施工」というほか、(表-1)示す(1)~(5)の一部の段階でICT施工技術を活用することを「部分的ICT施工」という。
(1) 3 次元起工測量
(2) 3 次元設計データ作成
(3) ICT 建設機械による施工
(4) 3 次元出来形管理等の施工管理
(5) 3 次元データの納品
施工プロセス区分 | ICT施工 | 部分的ICT施工 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
(1)3次元起工測量 | ○ | ○ | ○ | ○ | ー | ー | ー | ー |
(2)3次元設計データ作成 | ○ | ○ | ○ | ー | ○ | ○ | ○ | ー |
(3)ICT建設機械による施工 | ○ | ○ | ー | ー | ○ | ○ | ー | ー |
(4)3次元出来形管理等の施工管理 | ○ | ー | ○ | ○ | ○ | ー | ○ | ○ |
(5)3次元データの納品 | ○ | ー | ○ | ○ | ○ | ー | ○ | ○ |
※「(1)(4)(5)」「(4)(5)」の組合わせによる部分的ICT施工においては、3次元座標値を面的に取得する機器を用いた場合に限る。
2.ICT 施工技術の具体的な内容
1.で示した段階の具体的な内容は次のとおりとする。
(1) 3 次元起工測量
起工測量において、次の 1)~8)のいずれかの方法(複数選択可)により、現況 の3次元測量データを取得し納品する。
1) 空中写真測量(無人航空機)を用いた起工測量
2) 地上型レーザースキャナーを用いた起工測量
3) トータルステーション等光波方式を用いた起工測量
4) トータルステーション(ノンプリズム方式)を用いた起工測量
5) RTK-GNSS を併用した起工測量
6) 無人航空機搭載型レーザースキャナーを用いた起工測量
7) 地上移動体搭載型レーザースキャナーを用いた起工測量
8) その他の3 次元計測技術を用いた起工測量
(2) 3 次元設計データの作成
3次元起工測量で得られた測量データ(発注者が貸与する発注図データを含む)を用いて、ICT建設機械による施工や、3 次元出来形管理を行うための3 次元設計データを作成する。また、作成した3 次元設計データ及び3 次元起工測量データを用いて設計図書の照査を行い、施工計画書との整合性を確認する。作成した3次元設計データは工事完了後納品する。
(3) ICT 建設機械による施工
3次元設計データを用いて3次元マシンコントロール又は3次元マシンガイダンスを搭載した建設機械により施工を実施する。
(4) 3 次元出来形管理等の施工管理
次の 1)~9)に示す施工管理を実施する。
1) 空中写真測量(無人航空機)を用いた出来形管理
2) 地上型レーザースキャナーを用いた出来形管理
3) トータルステーション等光波方式を用いた出来形管理
4) トータルステーション(ノンプリズム方式)を用いた出来形管理
5) RTK-GNSS ローバーを用いた出来形管理
6) 無人航空機搭載型レーザースキャナーを用いた出来形管理
7) 地上移動体搭載型レーザースキャナーを用いた出来形管理
8) 施工履歴データを用いた出来形管理
9) その他の3次元計測技術を用いた出来形管理
(5) 3次元データの納品
上の2.(4)により確認された 3 次元施工管理データを工事完成図書として納品する。
(実施方法)
第4条 ICT活用工事の発注方式は、受注者希望型とする。
発注者は、ICT活用工事の発注に際し、特記仕様書に「ICT活用工事」の対象であることを明示するものとする。
受注者は、対象工事でICT活用工事を行う希望がある場合、契約後、発注者と協議を行い、協議が整った場合にICT活用工事として実施することができる。
(施工管理、監督・検査対応)
第5条 ICT活用工事を実施するにあたって適用する要領及び基準は、国土交通省が定めた「ICT 活用工事に関する要領及び基準」のとおりとする。なお、要領、基準類の改定や新たに基準類が定められた場合、及びこれによりがたい場合は、受発注者の協議による。また、監督員及び検査担当は、効果活用に関する調査のために別途費用を計上して二重管理を実施する場合を除いて、受注者に従来手法との二重管理を求めない。
なお、監督・検査に係わる機器(3次元データを閲覧可能なパソコン等)は受注者が準備するものとし、成果品として3次元データを閲覧可能なビューアーも納品するものとする。
(ICT活用工事の準備調達)
第6条 施工を実施するために使用するICT機器類は、受注者が調達するものとする。また、施工に必要な工事用データは、受注者が作成するものとし、使用するアプリケーションソフト及びファイル形式については、事前に監督員と協議するものとする。
また、作成に必要となる発注時の設計において作成した CAD データ(2次元データ含む)は、監督員から受注者に提供するものとする。
(工事費の積算)
第7条
(1) 発注者は、従来施工での設計・積算を行い発注し、契約後の協議において、受注者の希望によりICT活用工事を実施することとなった範囲を設計変更の対象とするものとする。
(2) 建設工事積算基準(堺市建設局)及び、国土交通省の定める積算要領(以下、積算要領という。)に基づき積算するものとし、次の各号に掲げる方法により行うものとする。
1) 建設工事積算基準(堺市建設局)及び積算要領は、当該年度の基準書を、当該年度9月1日から適用するものとする。
2) 3次元起工測量・3次元設計データの作成を必要とする場合は、共通仮設費の技術管理費に計上するものとし、必要額を適正に積み上げるものとする。
3) ICT建設機械の機械経費は、建設工事積算基準(堺市建設局)および、国土交通省の定める積算要領に基づき積算するものとする。
4) 3次元座標値を面的に取得する機器を用いた出来形管理及び3次元データ納品を行う場合は、共通仮設費率及び現場管理費率に補正係数を乗じるものとする。ただし、妥当性の確認を行うこととし、受注者からの見積りにより算出される金額が補正係数を乗じて算出される金額を下回る場合は、見積りにより算出される金額を積算計上額として運用するものとする。
(成績評定の評価)
第8条 ICT活用工事推進のための措置として、ICT活用工事を実施し、効果が確認された場合は工事成績評定において次のとおり評価するものとする。
「ICT施工」を実施した場合は、「創意工夫」における、「施工」の項目「ICT 活用工事加点として起工測量から3次元データの納品までの全ての段階でICT を活用した工事」において評価するものとする。
「部分的ICT施工」を実施した場合は、「創意工夫」における、「施工」の項目「ICT 活用工事加点として起工測量から3次元データの納品までの何れかの段階でICT を活用した工事」において評価するものとする。
(留意点)
第9条
(1)ヒアリングや現場見学会実施への協力
ICT活用工事の推進を目的として、ヒアリングや現場見学を実施する場合は協力すること。
(2)調査等への協力
発注者がICT活用工事の活用効果等に関して調査を実施する場合は、受注者はこれに協力するものとする。この場合において、調査の内容、時期等については、その都度、受注者に別途指示するものとする。
(3)対象工事の報告
監督員は、受注者希望型でICT活用工事を実施する場合、ICT活用工事件数を把握することを目的に建設局土木部土木監理課へ報告するものとする。
(総合評価落札方式の入札における活用)
第10条 堺市が実施する総合評価落札方式の入札において、ICT活用証明書の写しの提出により評価の対象とする。評価方法等については別に定める。
(疑義の処理)
第11条 本要領に疑義を生じた場合または記載の無い事項については、監督員と協議するものとする。
附則
1 この要領は、令和4年2月1日より施行する。
2 この要領は、令和5年2月1日より施行する。
3 この要領は、令和6年2月1日より施行する。
4 この要領は、令和7年4月1日より施行する。
過去のICT活用工事に関する要領や、その他の情報については、上記リンクより参照願います。
このページの作成担当
建設局 土木部 土木監理課
電話番号:072-228-7416
ファクス:072-228-3964
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