堺市長記者会見 令和6年8月13日
更新日:2024年8月19日
市長
よろしくお願いします。
本日は、案件として2点、「日本郵便株式会社との包括連携協定の締結」、そして「堺大空襲 次世代の語り部育成事業の実施」について、お伝えをいたします。
日本郵便株式会社との包括連携協定の締結
まず1件目、「日本郵便株式会社との包括連携協定」についてです。堺市内に郵便局は101か所ありまして、こちらは堺市にある市立小学校の数よりも多い数です。住民生活にも非常に密接した重要な施設と認識しています。
堺市では郵便局と、これまで、自主防災訓練や防災に関する啓発、また子どもたちの職場体験の実施でありましたり、これまで郵便局と連携した事業を実施してまいりました。そして、これまでの連携や協力をさらに深めるために、日本郵便と包括連携協定を締結いたします。
包括連携協定を結ぶことにより、堺市が持つ事業のノウハウと日本郵便のノウハウ、また強みである、地域に根差した拠点と全国に広がるネットワークの相乗効果を上げることができると考えておりまして、さらなる市民サービスの向上と地域活性化をめざしたいと考えています。
協定の主な内容と今後の取組をご紹介します。
まず、「豊富な資源を活用した情報発信」です。日本郵便がもつ全国的なネットワークを活用して堺の歴史や文化など、貴重な魅力や教育・文化・子育て・環境など定住魅力の発信を強化します。こちらに写真が載っております。「KITTE大阪」です。7月31日に大阪駅近くにオープンしました「KITTE大阪」におきまして、堺の伝統産業や、また大阪・関西万博に向けた取組をPRしまして、大阪市内を訪れる方にも堺を訪れてもらえるように魅力を発信します。
そして下の部分ですが、地域に根差した郵便局の強みを活かして災害時の避難情報でありましたり、高齢者の総合的な相談窓口の情報など、市民の皆様に適切かつ迅速に情報をお届けします。
続きまして、「地域で見守る子育て・教育」につきましては、市内の郵便局では、危険を感じた子どもが助けを求められる「こども110番の家」への登録や、高齢者の見守り活動にご協力をいただいています。今後は、地域の方々の身近な相談窓口として機能を活かしまして、相続やお墓のことなど、高齢者のこれからを考える終活の取組にもご協力をいただきたいと考えております。
最後、「持続可能な都市の実現」としましては、例えば郵便用の配達車両のEV化でありましたり「堺のめぐみ」をはじめとした地産地消の取組の情報発信でありましたり、SDGs未来都市堺としての連携した取組を推進したいと考えております。
郵便局の皆様とは日頃から密接に連携をして、これまでも共に事業を進めてまいりましたが、これまでの連携をもとにお互いのノウハウや資源を有効活用しながら最大限に活かすことによって、さらに地域課題の解決、そして市民サービスの向上につなげたいと考えております。
堺大空襲 次世代の語り部育成事業の実施
続きまして、「堺大空襲 次世代の語り部育成事業の実施」についてです。今日が8月13日ですので、明後日8月15日で終戦から79年が経過します。堺市でも空襲等によって多くの市民が犠牲となりました。こちらが当時の空襲の写真でありましたり、こちらは図ですので描かれた内容の阪堺線でしょうか。このような写真や絵も残っております。そして、特に被害が大きかった1945年7月10日の空襲を堺大空襲と呼んでおりまして、この堺大空襲だけでも1,860人の市民の方の貴い命が失われております。
こちらの写真ですが、焼け残った堺市役所の屋上から北西の方向に撮影されたものです。ご覧のとおり、堺市役所の周辺も焼け野原という状況になっておりますが、ここから今のこの堺東も、堺の特に空襲で大きな被害があった堺の中心部も、先人の皆様のたゆまぬ努力によって今のまちの姿になっています。
このように戦争で大きな被害を受けた堺市では、1983年に堺市議会で「非核平和都市宣言」が決議されまして、そして1994年に「平和と人権資料館」を設置いたしました。また、2007年には「堺市平和と人権を尊重するまちづくり条例」を施行しています。
平成26年からは、堺大空襲の体験を語るボランティア「ピースメッセンジャー」の皆さんに、学校等で堺大空襲の体験談を語っていただきまして平和の大切さを伝えてもらっています。一方で、終戦から79年が経ちまして、活動できる方がご高齢のために年々減少をしております。現在の登録者は3人となっておりまして、今後の事業継続が課題となっております。
そこで、ピースメッセンジャーの貴重な体験談を学生や若者が引き継いで、堺大空襲の歴史や平和の大切さを伝えるために、次世代の語り部育成事業を始めます。羽衣国際大学で平和学を専門分野とする講師に協力を依頼しまして、大学で実施をされていますプロジェクト演習として、次世代の語り部の担い手として学生を対象とした「堺大空襲 次世代の語り部育成事業」を行います。
プロジェクト演習では、学生を次世代の語り部として育成をいたしまして、学校等へ講話に行ってもらうことを目標に実施します。まず、戦争に関する基礎知識の習得を目的に、平和と人権資料館で学生の皆さんに研修を受けていただきます。さらに、ピースメッセンジャーの方々との交流を通して資料の構成を検討しまして、この間の学習や交流を基に小学校で講話するための説明資料を作成いたします。その後、実際に市の職員や小学生に対して講話をすることによりまして、語り部として活動できるように経験を積んでいただきたいと考えております。
最後に、今後のスケジュールについてです。令和6年度に次世代の語り部となった学生の皆さんには、令和7年2月から、依頼がある学校等へ派遣をする予定です。担い手となる人を増やすために、令和7年度以降は堺市として育成事業を実施しまして、3年間で20人を目標に育成をする予定です。
今回紹介した事業は、若者世代を中心としました新たな平和の継承の取組です。今後も様々な取組を進めまして、苦難の時代を過ごされた先人の平和への思いを次の世代にも引き継ぐことができるように力を注ぎたいと考えております。
私からは以上です。
質疑応答
(司会)
それでは、ただいまから質疑に移ります。挙手のうえ、社名を告げていただき、ご質問のほうをよろしくお願いいたします。それではご質問いかがでしょうか。
日刊工業新聞さん、どうぞ。
(日刊工業新聞社)
日刊工業新聞の冨井です。日本郵便との連携に関してお聞きしますけれども、協定で主な内容を示されてますけれども、今後具体的にこれに関しては特にこういった感じで取り組みたいだとか、何かこういったことをやりたいだとか、何か市長として思いみたいなものがあれば教えてください。お願いします。
(市長)
ありがとうございます。これまで日本郵便の皆様、特に地域の郵便局の皆さんとは連携を行ってきましたが、今回、日本郵便の皆様から包括連携協定の提案をいただきました。これまでの様々な分野ごとの事業を包括連携協定によって横串を刺すような取組も可能だと考えております。特に、地域に根差した郵便局と致しましては、子どもの見守りでありましたり、先日の会見でお伝えしました高齢者の見守りでありましたり、また今喫緊の課題でもあります災害への備えでしたり、またコロナ禍では郵便局から感染対策の発信もしていただきましたので、これまで行ってきたことをさらに強化をするということは一つ大きなポイントだと思っています。
そして、今回大きな内容としましては、情報発信についても、これまで市内での情報発信というのは積極的に行っていただいておりました。堺市が実施する事業でありましたり、イベント等も関わっていただいて参加もしていただいていましたが、市外でも発信をしていただける。特に「KITTE大阪」のような、大阪の梅田にあって多くの方が訪れる場所で堺市のPRをしていただくような機会を設けてもらえるというのは、堺にとっても非常に重要なポイントだと思っておりますし、地域に根差した郵便局である一方、日本全国に郵便局がございますので、連携をしながら、ぜひ堺の魅力が全国的にも伝わるような取組をさらに進化をさせることができればと考えています。
(日刊工業新聞社)
あとすみません。1点細かいところですけども、EV車の導入とあるんですけど、これは郵便局が勝手にEV車を導入するということではなくて、それは市としてどういうふうに関わるということなのでしょうか。
(市長)
市が実際に、今、脱炭素2050年のカーボンニュートラルに向けて行動しておりますので、そこに連動する形で郵便局としても取り組んでいただくということです。具体的に郵便局さんから提案いただいている内容があれば担当局から。
(司会)
担当局から説明させていただきます。
(担当局)
EV車につきましては、市長申しましたように、堺市の目標に向かって郵便局としても取り組んでいただくというふうに考えております。
(日刊工業新聞社)
なので、堺市の目標があって、郵便局がそれにEV車を導入することで協力するという、そういうことでいいんですよね。
(担当局)
はい。そのとおりです。
(日刊工業新聞社)
分かりました。ありがとうございます。
(司会)
それでは、ほかにご質問いかがでしょうか。
関西テレビさん、どうぞ。
(関西テレビ)
関西テレビの髙橋と申します。堺大空襲の語り部育成事業についてお伺いします。改めて戦争を経験していない世代がこういった語り部事業を行うこと、それを育成することの意義というのをお願いします。
(市長)
先の戦争というのは、日本にとって非常に重い、本当に困難な時代を過ごされた方が多いということも併せての経験でした。一方で、間もなく終戦から79年を経過しようとしていますので、実際に戦争を経験していない世代が大半となってしまっています。今、実際にピースメッセンジャーとして活動していただいている方も、いずれも85歳以上ということで、これからこの戦争の経験というのは語り継いでいかなくてはなりませんが、実際に体験された方々というのはますます少なくなってしまいます。ですので、その戦争の悲惨な体験を語り継ぐために、若い方々にぜひ関心を持っていただいて、自らが語り部となることで学生の皆さんの世代、さらにその先の世代にも、この戦争の記憶を忘れないためにも大変意義深いことだと考えています。
(司会)
それでは、ほかにご質問いかがでしょうか。
日本経済新聞社さん、どうぞ。
(日本経済新聞社)
日経の髙佐でございます。日本郵便さんとの連携ですけども、先日お話を伺った堺東駅周辺の再開発で、郵便局のある地域を先にKITTE堺のようなものを建ててはという話をさせていただきましたが、今回の連携協定を機に窓口がつくられるということなんですけども、その窓口を通じて、あそこの敷地の有効活用みたいな議論もされるのでしょうか。
(市長)
今回の包括連携協定に関しては、堺東の用地の活用ということは今念頭には置いておりませんが、ただ、その協議の過程では、その話というのは具体的なところまでは詰めておりません。ただ包括連携協定ですので、堺市にある郵便局とのさらなる連携であったり、もしくは堺東のような大きな拠点を置いている場所に関して、どのような連携ができるのかなどについて協議するということは、この包括連携協定を通して考えられると認識しています。
(日本経済新聞社)
すると、今回の連携協定が一つのきっかけになり得る可能性はあるということですね。日本郵便さんの土地の有効活用に向けて。
(市長)
そうですね。今回の包括連携協定というのは、さらに進化させるということで、これまでも堺東の土地の活用についてはお話をしてきた経緯もございます。さらに様々な面で協力を、お互いに連携して進めていくというところでは一つポイントになろうかなとは思っています。
(日本経済新聞社)
ありがとうございました。
(司会)
それでは、ほかにご質問いかがでしょうか。
NHKさん、どうぞ。
(NHK)
NHKの髙橋といいます。堺大空襲の件で、この事業はこの事業として若い世代に引き継がれていってほしいと思うんですけど、例えばその戦争とか慰霊碑とかの話でいうと、平和塔の老朽化とか、あと礼拝堂は普段閉じてるけど、このままでいいんでしたっけというのが今もホームページに出たりしてますけど、あるいはその平和と人権資料館は多分2006年にリニューアルして、あの場所にできた後は、別に中の展示内容を変えたりとかということも多分あまりないと思うんですけど、とかということも含めて、堺の戦争体験をめぐって宙ぶらりんになってる課題というのは幾つもあると思うんですけど、あるいはさっき市長仰ってましたけど、もう戦争を経験している方、直接経験された方は本当に数少ない中で、じゃあ今、基本的にそのボランティアの募集とかも受け身の状態ですけど、御存命の方に本当に最終的にアプローチする最後のタイミングだと思うんですけど、そういうことをするとかも含めて、沖縄戦の歴史を現地で感じられて手を合わされたことが政治家になったきっかけという話を先日お話しされていましたので、もうちょっと引いた目線で、堺市の戦争体験をつないでいくために必要だと考えられてること、あるいはその市長の考えというのがあれば教えていただきたいと思います。この事業に限ったことではなくて、お聞きしたいと思います。
(市長)
一例として挙げていただきました「平和と人権資料館」につきまして、私が就任する前もそうですが、市長就任してからも現地を訪れておりまして、担当局には、より効果のある内容になるようにということで、展示も例えば今のウクライナの問題でありましたり、戦争に関係する展示会をしたり工夫をして運営されていると認識をしています。
一方で、まだまだやはり一つの施設だけではなくて、市内において、戦争の記憶を広く伝える必要があると考えております。来年で終戦から80年という大きな節目を迎えます。仰ったとおり、ますますこれから戦争を体験していない世代が増えてまいりますので、今のこの80年という大きな節目を前に、今回の一つの事業というのも新しい取組の一つではありますが、この堺での戦争の記憶、また日本全体としてはもちろん平和の実現に向けて努力をしなくてはなりませんが、今の総合的な平和を伝える内容について、さらに深めていきたいと考えています。今あるような施設でありましたり、もしくは慰霊碑、そして地域の皆さんが守っていらっしゃるような場所もございます。このようなところを堺市としてどういうふうに情報発信をしながら次の世代につないでいけるかということも深めていきたいと考えています。
(NHK)
そうしていくために、今後どうしていくかというのがあれば。
(市長)
堺市が保有する施設については適切に管理をするのはあるんですが、地域の皆さんで、有志で管理をされているような場所もございます。そのような施設についても、やはり高齢化が課題となっておりまして、今のこの状況というのをもう一度きちんと整理をしながら、目的は今の戦争の記憶をきちんと次の世代に伝えるということが大きな目的だと考えていますので、その目的を満たすために、堺市としての行動もさらに検討を進めたいと思っています。
(司会)
それでは、ほかにご質問いかがでしょうか。
時事通信さん、どうぞ。
(時事通信社)
時事通信の及川です。発表事項とはちょっと違うんですけれどもお願いします。先日8日に宮崎県での地震を受けて、その南海トラフ地震をめぐる巨大地震が発生する危険が高まったとして臨時情報が初めて発表されたところであります。2019年に運用が始まってから、この臨時情報巨大地震注意が初めて出されたんですけれども、このことへの受け止めと、あと備えや対策などについて、改めて気づかれたことがあれば教えてください。
(市長)
今回の臨時情報に関しては注意と警戒ということがあって、調査中から注意ということになったのですが、初めて今回の発表ということもあって、堺市でも実際にどうすべきかと。これまで市民の皆さんに周知をしている情報と、今回この注意を必要とする期間、まずは1週間ということですが、そこについても8日からこの間、連日情報発信をしながら行ってまいりました。一方で、今回、お盆の時期ということもありますが、報道等でも私も毎日確認をしておりましたが、やはり、例えば海に近い地域の自治体であったり、もしくは旅館でキャンセルが相次いだとか様々な状況を伝えるような話も聞いておりますので、まずは、やはり市民の皆さんには南海トラフ巨大地震というのは、いつ起こってもおかしくはない大きな災害であって、津波に対する被害というのは、堺は非常に多い被害が想定されますが、一方で逃げていただくことによって被害を少なくすることができるということも確かですので、改めてこの機会に避難をしていただく、もしくは防災に関する備えを、災害に対する備えをしっかりしていただきたいと思っています。
(時事通信社)
ありがとうございます。臨時情報について、国民はまだ、その運用がされてから初めて出されたということもあって認知度みたいなものが広まってない中なので、どう危険が高まっているのか分からないみたいな声もあったりしたんですけれども、その背景も含めて、巨大地震注意について、もうちょっと説明とか情報発信というのが国からなされてもいいんではないかというような意見もあるんですけれども、その辺については、どうお考えでしょうか。
(市長)
まずは、臨時情報の注意ということが1週間を経たからといって全くなくなるわけではありませんが、まず1週間が経過する段階で、国、気象庁を中心だと思いますが、この注意に関する、臨時情報に関する振り返りをぜひやっていただきたいと思います。今回初めてのことというのは、自治体もどうすべきかということを私たちも知恵を絞りましたし、国民の皆さんも市民の皆さんも悩んだ部分が多かったかと思います。先日スーパーに行くと、お米が置いてある棚がもう空っぽだったんですよね。ですので、そこでやっぱり注意と出してしまうと、もう地震が起こるんじゃないか。これはもう備えなければというところが、もちろん備えは大事なんですけどヒートアップを、過度な反応ということも懸念されますので、今回の注意情報に対する振り返りを、私たちももう一度検証したいと思いますし、国でも振り返りをしていただいて、次回以降、どういう発信が望ましいかというところをぜひ国も地方も協力しながら考えていけたらと思っています。
(時事通信社)
ありがとうございます。
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