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贈賞理由報告

更新日:2012年12月19日

自由都市・堺 平和貢献賞選考委員会 上田 正昭 委員長

 本日は、ご多忙の中、第1回自由都市・堺 平和貢献賞授賞式に多数ご参加いただきましてありがとうございました。
 選考委員会を代表いたしまして、一言、選考の理由を申し上げたいと存じます。先ほど、市長さんのご挨拶にもございましたように、堺市は古代から中世、中世から近世、近世から近現代、それぞれの時代に自由と平和を求めて、それぞれの時代を見事に生き抜き、切り拓いてまいりました。その歴史と文化の伝統には、まことに注目すべきものがあります。人権のまちづくり条例は、日本の各都市で作られておりますけども、平和と人権を尊重する、平和を高らかに謳った平和と人権のまちづくり条例は、堺市が日本で最初に定めた条例ではないかと存じます。昨年の1月から施行されておりますけども、私はその条例をつくる懇話会の座長を務めさせていただきまして、堺の市民の皆様が輝ける歴史と文化の伝統のうえに立って、平和と人権を尊重するまちづくりをめざしておられる熱情に心を打たれました。その条例に基づいて、このたび自由都市・堺 平和貢献賞が制定されました。
 私ども選考委員は、まず選考基準をどのように決めるのか、慎重に討議いたしました。自由・自主・自律の精神に根ざす平和への貢献、さらに、堺の歴史と文化を象徴する茶道のもてなしの精神が世界の平和につながるという視点、そしてこの賞が、国際的に共感をもって迎えられるような賞にしたいと、とりわけ、アジア・太平洋の地域を中心にこの賞を決めようということになりました。そして、すでに功なり名を遂げた方々に贈る賞ではなく、今、ご活躍いただいている平和貢献のための個人ならびに団体、それらの皆様にこの賞をお受けいただくことによって、益々そのご活躍が、輝くものになっていくことを期待したい、そういう観点から選考をさせていただきました。その結果、大賞には、スリランカの人権活動家であるジハン・ペレラさんに受賞していただくことになりました。奨励賞には、国際医療奉仕団の代表である吉岡秀人さん、そして日本ネパール女性教育協会の皆さんに受賞していただくことにいたしました。
 スリランカは、ご存知のとおり1948年に独立いたしました。しかし、残念ながら1983年から宗教の対立、民族の紛争が相次ぎまして、内戦の状態に陥ります。2002年武力停止の合意ができあがったけれども、本年の1月から再び内戦状態に入っている状況にあります。このような中でNGOの組織であるNational PeaceCouncil、(NPC)を組織されまして、ジハン・ペレラさんは、その代表として非常に困難な中、ご活躍いただいています。政党、党派のちがい、宗教、宗派のちがい、人種、民族のちがいを乗り越えて非暴力の旗のもとに平和を構築するという身の安全をかえりみず、危険が身に迫っているにもかかわらず、それを退けて一生懸命に平和構築のために尽力されているジハン・ペレラさんに大賞を受賞していただくことになりました。この賞が、今後のご活躍に大きく寄与し、国際的な評価を受けることを私たちは、心から願っています。
 奨励賞を受けていただきます国際医療奉仕団の吉岡秀人さんは、はやくから大阪、神奈川で救急医療に従事しておられましたけれども、1995年から1997年までミャンマーで医療活動に従事されました。その後一時帰国されましたけれども、2003年から再びミャンマーに赴かれまして、活発に活動され、2004年には、国際医療奉仕団ジャパンハートを組織されました。そして日本からたくさんの優秀なお医者さんを現地に送り、医療保険もない貧困な状況の中の皆さんに救いの手を差し伸べて活躍しておられます。さらに私はたいへん感銘を受けましたけれども、海を越える看護団を組織され、看護師のみなさんを派遣する、そして苦しい医療状況の中での経験を蓄積する幅広い医療活動を続けて今日に至っておられます。承りますと、今後は、ミャンマーだけでなく、カンボジア、ネパールにも救援の手を差し伸べていきたいと思っておられます。今後のご活躍を心から期待する次第です。
 日本ネパール女性教育協会は、ネパールのとりわけ農村、山村の子どもたちが非常に苦しい生活状況の中で満足に学校にも行けない、ネパールには義務教育の制度はございません。そして農業の手伝い、水汲み、草刈り、あるいは家畜の世話などに小さいときから酷使されている状況がございます。日本ネパール女性教育協会の皆様は、このネパールの農山村の地域の少女たちに教育の機会を広げていきたいと2006年にポカラ市の女子大学の中にさくら寮という寮をつくられます。日本を象徴する桜、桜がその寮の名前になっておりますが、ここに毎年10人ずつ受け入れ、教育して、新しい小学校の先生を育成して農山村に送り出しています。その「里親の」による支援も注目されます。ネパールの教育の向上は、もちろんのこと、女性の地位向上にも大きな役割を果たしておられます。日本ネパール女性教育協会の皆さんが、今後ますます活躍していただくことを期待しまして受賞していただくことになりました。
 受賞の皆様に心からお祝いを申し上げます。おめでとうございます。
 どうかご参会の皆様、堺市がはじめて制定しましたこの平和貢献賞は、一自治体の単なる一過性の賞ではありません。広くアジア・太平洋、世界に向かって発信していく平和貢献賞であるということを十分にご認識いただきまして今後ともご支援、ご協力をお願いする次第です。ありがとうございました。

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