このページの先頭です

本文ここから

選考委員コメント 多谷 千香子 委員

更新日:2012年12月19日

 私が最後になりましたけれども、一言ご挨拶申し上げます。
 ジハン・ペレラさん、大賞本当におめでとうございます。
 私は、もう辞めてから5年も経ちますけれども、旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所で戦犯の裁判を担当しておりました。旧ユーゴスラビアは、皆様もご存知だと思いますが、連邦が崩壊する過程で、民族が血を血で洗う紛争を経験したわけです。何故、昨日まで仲良くやっていた人がこんな残虐なことをするのだろう、インテリは、傍観者にとどまっていたのか、残虐な行為を止められなかったのかなどという疑問を持つ方も大勢いらっしゃいます。インテリの多くというより殆どは、黙して語らず、時流に流されました。反対した人もいるわけですが、そういう人たちも、結局、身に危険を感じれば黙ってしまう。それでも危険を顧みず、自分の信念を貫いて行動した人も少数ですが、いました。そのような人たちは、他民族と同じように、虐殺されたり、拷問されたりしました。それが歴史の事実なのです。
 しかし、紛争が終わって裁判になると、もっとそういう人たちが声をあげてくれればよかったのに、ということを言う人がかなりいたわけです。しかし、私が感じましたのは、そういう紛争の中で身をもって正しいことを主張する、それを活動に結びつけるということの難しさでした。それと同時に、そういう紛争のときに、自己を失わないで信念を貫くことができるかどうか、それが一番大切な人間の価値ではないかと思いました。
 ジハン・ペレラさんの活動は、正にそういう活動であると思い、私は、非常に感銘を受けました。今朝の新聞でも、スリランカでは、紛争がエスカレートしていると書いてありましたけれども、この受賞が契機になりまして、ジハン・ペレラさんの活動が、もっと注目され、もっと自由度を増して、平和への礎になって行くことを本当に心から期待しております。
 そして吉岡さんの受賞本当におめでとうございます。ミャンマーは、この間のサイクロンのときも、なかなか人道援助が届けられなかったと聞いています。新聞などを読みましても、軍事政権のトップであるThanShweという高齢の指導者が、よらしむべし、知らしむべからずというような統治をしていて、この独裁者と同席する人はいつも一人で、他と相談せず何でも独りで決め、誰が後継者になるのかすらわからない、政治がどうなっているかの全体像は、彼しかわからないという状況のようです。そのような中で活動をするというのは、本当にたいへんなことだと思います。医療活動というと「国境なき医師団」が有名ですが、日本発で、独自の手法、つまり、看護技術の移転などの技術協力もやりながら、医療活動をなさっているのは、たいへんなことだと思います。吉岡さんたちの活動がもっと大きくなって世界的にも認知されるようにということを心から期待しております。
 最後になりましたけれども、日本ネパール女性教育協会の山下さん、本当におめでとうございます。ネパールは、私もODAの調査で行ったことがあります。貧困であるのみならず、地形的にも近づくのが難しいところというのは、肌身でも感じております。特に地方の女性が、貧しいがゆえに、教育がないがゆえに、インドなどで身を売らざるを得ないような状況に置かれているという報道が後を絶ちません。日本ネパール女性教育協会の活動は、昔の日本の師範学校を例にとりまして、何年も努力されて、同じような活動をネパールに植えつけ軌道にのせられたということです。ODAは、結局、立ち枯れになってしまうとか、なかなか末広がりにならないというプロジェクトも多い中で、退職教員の方々らが、ご自分の経験を生かしつつ、末広がりの人財育成のプロジェクトを立ち上げられたということで、今後ますます活動を広げられますよう期待しております。
 皆様ありがとうございました。

このページの作成担当

市民人権局 ダイバーシティ推進部 人権推進課

電話番号:072-228-7420

ファクス:072-228-8070

〒590-0078 堺市堺区南瓦町3番1号 堺市役所高層館6階

このページの作成担当にメールを送る
本文ここまで