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女性の経済的自立の実現 ~のびのびと稼げる新しい働き方~

更新日:2012年12月19日

コーディネーター
宮城 まり子(みやぎ まりこ)
(法政大学キャリアデザイン学部教授)
パネリスト
赤羽 佳世子(あかばね かよこ)
(働く女性の人権センター いこ☆る)
今井 広海(いまい ひろみ)
(ツ力・力ナモノ株式会社総務部長)
野村 浩子(のむら ひろこ)
(日本経済新聞社編集委員)

世界的な不況の中、雇用不安や賃金格差は男女聞においてもますます広がっています。「同一価値労働・同一賃金」の原則に則ったフレキシプルな働き方や、性別や役割に縛られることなく、家庭・職場・地域において自立し、ともに支え合い、自分らしく生きられる社会を実現するために必要な労働環境とは何でしょうか。

また、そのために個人や企業は具体的にどう取り組んでいけばよいのでしょうか。この分科会では「オランダ的働き方」や企業での取り組み事例などを参考に、ワーク・ライフ・バランスを重視した、女性がのびのびと稼げる理想的な労働環境を模索しましました。

女性の経済的自立をいかに実現するか

宮城 まり子

 女性の経済的自立、いかに実現するかと。女性たちが仕事をし、自立し、しかしまた同時に結婚も出産もしたいという若い女性たち、たくさんいらっしゃいます。しかし、日本には継続的に就業ができない現状が多々あるというのが実態です。そういうことを、企業、または海外の事例、あるいはそういう活動を実際にやっていらっしゃる方のお話を伺いながら、ご一緒に考えていきたいと思います。

 現在の状況としましては、女性の高学歴化が進んでおります、少子高齢化が進んでおります、女性の平均寿命は世界一です。これからの私たちの生き方を考えていかなければならないという時代に入りました。

 次に、働く女性の現状と問題ですが、第1子出産後も就業を継続する率というのが非常に低いということ。あるいは女性の雇用状況で、正規雇用46.4%に対して、非正規が50.4%。また、賃金格差は男性の賃金を100とすると女性は67.8%というのが実態です。

 そして女性たちは、仕事を続けたいと思っても、実際には家事、育児負担が非常に大きいということです。これを裏づけるようなデータですが、M字カーブという、30代の女性たちの労働力率が日本ではがくんと落ちるわけです。欧米やヨーロッパでは、ここが台形型になり、女性が結婚、出産しても継続して就業ができるような社会構造、または企業、組織が、そういう支援を具体的に行っていますが、ここの支援を私たちはどうしたらいいのか、これが一つ問題点です。

 子どもが欲しいと考えている女性の約6割、60%が就業の継続を希望しています。しかし継続して正社員として働くことができるような状況をどんなふうに私たちはつくり出したらいいのかということが、今日のお話の課題になるのではないかと思います。

 女性が継続して働くことが難しいのはなぜか。一つは保育所がたりないことと、もう一つは、夫は外で働き、妻は家庭を守るべきであるという性別役割分業の考え方、そして給与面での男女格差です。

 女性が経済的に自立するには、まず一つ、女性自身がやはり強い意識、意欲をもっていかなければいけない。または、労働環境を整備していかなければいけない。それからワーク・ライフ・バランスが必要になります。

 以上が、私がこのパネルディスカッションをする前に、皆様に共通の情報としてご提供したいというところでございます。

自立を支えるためには

野村 浩子

 私は幼い頃から、母が時々「もしも自分に収入があったら」などとつぶやいているのを聞いて、経済的に自立していなければ自分の人生の決定権をもつことができない、自分で人生のかじ取りをすることができないんだな、と感じていました。そこで、ずっと生涯働けるような仕事につきたいと思っておりました。

 「日経WOMAN」という働く女性向けの雑誌を編集するようになり、どうして日本では女性の経済的自立がむずかしいのだろう、社会がなかなか変わらないのだろうと疑問に思い、スウェーデンに取材に行って出会ったカップルは、パートナーはいるけれど「籍入れるかどうかはこだわっていない」とか「彼女の育休が終わったら、僕の方が時短勤務を選択するんだ」というカップルばかり。それが日本の視点からすると大変新鮮でした。

 スウェーデンは第二次世界大戦の復興期に労働力が不足し、女性にも働いてもらわざるを得ないという経済的要因が強力な後押しになり、女性の社会進出が進みました。つまり、社会も企業も理念だけではなかなか変わらない。しかし、経済的に差し迫った、背に腹はかえられないという状況があると変革が起こることがよくわかりました。

 日本を振り返ってみますと、女性の意識が大きく変わったと感じたのが、97年の山一ショックのときでした。それまでは、「なぜあなたは仕事をするんですか」と女性に尋ねると、「自己実現のため」という答えが一番多かった。ところが山一ショック以降は「仕事というのは自立の基盤だから」「生きていくための基盤だから」という答えが一番になったのです。

 では、自立を支えるにはどうしたらいいかということは、第2部で議論ができたらと思っています。

ツ力・力ナモノ株式会社の取り組み

今井 広海

 女性の経済的自立というのが一つのテーマになっているわけですけれども、女性が稼ぐためには、稼ぐ職場というものが必要になってくると思います。そこで、わが社の事例というものをご紹介したいと思います。

 従業員は男性が20名、女性が19名ということで、ほぼ半々の構成になっております。女性が働きやすい職場づくりへの取り組みということで、まず人材の有効活用として、性別に関係なく能力を判断して人材の配置を行い、意欲と能力に応じて、パート社員から正社員への道も聞けています。次に、均等待遇、給与の面では正社員との差が発生しておるんですけれども、それ以外の休暇とか社会保険の適用、労働保険の適用につきましては、正社員と同じような適用ということでやっております。その次に、仕事と家庭の両立支援として、多能工化ということで、急に休んでもほかの人がそれをカバーできるという制度でございます。それから、勤務時間の多様化ということです。これによりまして、女性が働きやすい職場になってるのかなというふうに思っております。

宮城 まり子

 パートから正社員への転換の場合に、条件というのは何かあるんでしょうか。

今井 広海

 いえ、特に条件はありません。勤務態度を含めての判断になります。休んでることは余り判断の対象にはなっておりません。

正規と非正規の聞の均等待遇へ

赤羽 佳世子

 働く女性の人権センターいこ☆るの赤羽と申します。いこ☆るといいますのは平等のイコールですね、また関西弁で炭火が燃えることをいこるということから、女と男、あるいは正規と非正規の間の均等待遇への私たちの燃える思いをあらわしています。

 私は、パートで働いて20年余り、自立できない低賃金、さまざまな待遇面での差別的な扱いの中で、パートだから仕方がないというふうにあきらめておりました。でも、パートタイム労働者自らが労働組合を結成して声を上げていくようになりました。

 賃金では、家計補助という名のもとに支払われている賃金という位置づけが差別を生みだしたのだと思います。雇用機会均等法ができても、残業もいとわない「男」の働き方ができる女性が、「できの悪い」男にかえられただけ、改正パート法も、よくできるパートを「できの悪い」正社員に置きかえることになるのではないかと懸念しています。改正育児・介護休業法でも、有期雇用がほとんどの非正規労働者は実質利用できないことでは変わらず、女性労働者の半数近くは、育休や介護休暇がとれないために差別的待遇である非正規としてさえ働くことができなくなっています。非正規労働者への差別は経済そのものの基盤を揺るがすことになることを申しあげて、発言を終了したいと思います。

オランダモデルとは

宮城 まり子

 一つ海外の事例としてオランダモデルというのがございます。失業率が2桁になり、財政赤字はGDP比でと6.6ということで、いかにオランダの国を立て直すかと。そういうことで、政策が立て直されたということになります。

 一つは、フルタイムとパートタイムの労働条件差別を撤廃するということで、つまり同一労働、同一賃金ということです。ちがいは何かというと、時間。働く時間によって賃金を決めるということです。

 次に、よく夫婦で1.5人前の働き方といいますが、女性が1であるときは男性の方が0.5で、家事、育児の責任をもつと。ですから、ライフステージに合わせて柔軟に働き方の選択ができる制度だということになります。

 日本は、一旦家庭に入って子どもを2人産んで、10年ぐらいブランクがあくと、もう正規雇用につくということは非常に難しい社会であります。ところがこのオランダモデルでは、あるときはフルタイム労働、あるときはパートタイム労働、そしてまたフルタイムに戻ることも可能と、柔軟に行き来ができるんですね。こういう制度を導入したということによって、新たな雇用を創出することができたために、失業率が非常に低下し、結果的に労働力率が上がり、そこで税金の納入が行われますから、オランダ経済は活性化し、生産性が向上したということです。

 なぜ女性が自立か。近年は3人の若者が1人の高齢者を支える高齢社会になっております。女性が働くのか男性が働くのかという問題以上に、この社会を支えていくためには、私たちは、みんなで働きながら税金を納め、社会保障制度を維持していかなければいけない。そういう視点からも、女性の自立ということを考えていく。

 後半、皆様からいろいろなご質問を受けながら考えていきたいと思います。

 前半でお話しいただいたことを少し補っていただくのと同時に、皆様からいろいろご質問を受けたことについてお話をしていただこうと思っております。

オランダモデルから何を学べるか

野村 浩子

 オランダから何が学べるかということが一番ポイントかと思います。なぜオランダモデルが導入できたのかというと、これは政労使の三者の合意が非常に大きいといわれています。三者それぞれが痛みを伴い損をするけれども、その結果として経済発展をしたら三者ともに結局得をする、そこで解消としましょうということで合意したのです。二つめとして、雇用創出型であり多様就業型でもあるワークシェアリングを行った点です。三つめに、フレキシビリティー・アンド・セキュリティー法により、景気悪化によりリストラがあったとしても、失業補償とか、職を失った間の職業訓練システムなどセーフティネットが準備されている。そんなところが学べると思います。

 それから、前半の補足をしたいと思います。働く女性が自立するために、壁となっているものを取り除かなければいけないと思います。一つは女性の内なる壁。自分はできないという思い込みや、いざとなったら夫に支えてもらえばいいやといった甘え、それらを排除して覚悟を決める必要があると思います。ただし今まで問題だったのは、子育てしながら仕事を続けようとすると悲恰な覚悟が求められたことです。そんな悲恰な覚悟をしなくても仕事が続けられる環境を整えなければいけない。それは企業社会、社会全体の仕組みとして必要だろうと思っています。

 それから、男女含めての働き方の改革を進めないといけない。長時間労働することが美徳とされる企業文化、成果や生産性ではなく労働時間で評価する評価制度を変えていかないといけません。

ツ力・力ナモノ株式会社の取り組み

今井 広海

 それでは、漏れていたところを追加させていただきます。給与関係ですけれども、正社員は月給制、パート社員の方は時給制というかたちになっていますが、正規社員よりも給料が高いというパート社員の方もいらっしゃいます。

 それから、人材の有効活用のところで、フォークリフトの運転をする作業に女性を採用しました。そして、妊娠されたときに、退職か育児休業かで迷っておられたんですが、育児休業をとってもらうことになった人もおられます。

 それから、当初はパート社員で、経理の仕事をしていた女性がおられたんですが、OJTも含め、社外のセミナーや講習会に行っていただいて、それから半年ぐらいで給与処理を初め、採用から退職までの社会保険の手続とか、労働保険の手続なんかも完壁にこなしていただきました。この方から1年ほど前に、正社員になりたいという申し出があったので、現在正社員になっていただいてます。

 それから、たくさん質問をいただいてるんですが、まず多様な時間で、実際、どのような働き方になっているのか、具体的に伺いたいということで、3人が1組でやっている作業を最初は2人で作業をしていただいて、途中から3人になるというかたちでラインを動かしています。

 それ以外にも、シールを貼る作業は1人でもできるということで、途中から来られた方に入っていただくということもありますし、ローテーションを組んで2人の組、3人の組、いろんなパターンをつくってやっています。あと、もちろん急に休みたいと言われる方も出てきますので、多能工化というシステムを使いながらやっておるということでございます。

 それから、勤務時間の多様化をはじめ、短期的には会社にとって負担の重い取り組みを実現されるのに、一体最大のきっかけは何でしょうかということですが、近所の女性の方に作業に携わっていただくケースが多いので、時間の折り合いをつけるという形をとらざるを得なかったということです。

 それから、パート社員の産休及び育休も正社員と同じですかというのは、私どもは先ほど言いました女性が初めてのケースでしたが、会社の規則では、きちんとパートの方についても育児休暇取得0Kというふうにしております。

 それから、勤務時間の多様化について、男性社員の方にも適用されているのでしょうかということなんですけども、これはもちろん男女関係なく適用いたしております。

 介護はどうですかということがあるんですけど、今まで事例はありませんが、育児・介護休業休暇という規則でちゃんと設けておりますので、これも申請があればきちんと処理をするという形になろうかと思います。

 それから、勤務時間の多様化について、正社員、パートの方、両方が選択できるのですかということなんですけれども、これはパートの方を優先的に扱って、正社員はどちらかというと後回しという感じでやっております。

ヨーロッパ型の均等待遇の実現

赤羽 佳世子

 男女賃金格差は初任給から差があるのか、それとも生涯賃金のちがいなのかということなんですが、初任給は、高卒の資料なんですけれども、男女間にほとんど格差はありません。女性たちは、出産や育児でやめていく人たちが多いので、再就職するときに非正規で働くしかなく、そこで生涯賃金ががくっと減ってしまう状況があるということです。

 日本の社会に根強いジェンダーの問題が、DVや働き方の格差を生んでいると思う。ストーカーまがいのことをされ、職場を離れざるを得ない女性がいまだにたくさんいます。

 私に与えられたお題が、現在、非正規雇用の人たちにとって何が必要なのかということですが、一言で言いましたら、オランダモデルにあるようなヨーロッパ型の均等待遇の実現です。

 賃金面での不平等がさまざまな差別待遇を生んでいるということから、同一価値労働同一賃金の考え方、性に公平な仕事の内容による評価での賃金体系が必要だと考えています。また、ライフステージに応じたフルタイムとパートタイムの総合転換制度も、女性には特に必要だと思います。それから、若年労働者や一家の大黒柱であるシングルマザーの非正規率の高さを考えたときに、働く人の人権を尊重する立場から、正規と非正規の均等待遇実現というのは、雇用政策の最重要課題にすべきだと思っています。

 そのためには、IL0175号条約、パートタイム労働条約で均等待遇をうたっている国際条約なんですが、まだ日本は批准していないので、批准が必要です。IL0100号条約(同一価値労働・同一賃金)や156号条約(家族責任条約)は批准しているのですが、有効に活用する国内法の強化が必要だと思います。

 もう1点は、非正規労働者も職場で自分たちの権利を使えるように憲法や組合法で保障された労働組合に加入していく、もしくは自分たちで労働組合をつくっていくことが大切なことだと思います。

 資料の新政権への要望書を提出した均等待遇アクション21の運動で全国の仲間たちと連携しながら、大阪では、事務局団体として均等待遇ウエーブという活動をしています。

 今日ここに参加された皆さんが、私たちとともに女性が安心して、また労働者としての誇りをもって働くことのできる職場づくり、自立できる社会、普通に働けば憲法に保障された健康で文化的な生活ができる社会をつくっていくために、ヨーロッパモデルに負けないような日本型のモデルをつくっていく活動の輪につながってくださることをお願いします。

社会に発信していく重要性

宮城 まり子

 今、女性の平均寿命は、86歳までというと、ほぼ90歳までですよね、人生設計図をもってなきゃだめです。30歳ぐらいで出産してやめたとしても、40歳過ぎにはもう育児はそろそろ終わってきます。そうしますと、90歳まで何やるのということになります、女性は。50年もあるんですよ。もう気が遠くなるほど、私たち生きなきゃいけないと。そうしますと、女性のライフデザインといいますか、自分の生き方を若いときから設計図をもてということになります。ですから、ただ勤めて結婚して、あるところまで働く。しかし育児と家事と仕事は両立しないということで、簡単にやめてしまうと、これ非常にもったいないです。ですから、何を申しあげたいかというと、やはり女性も男性も子どものときからいかに働くか、いかに生きるか。北欧のキャリア教育なんていうのは、子どものときからどう働くか、社会に貢献するかということを動機づけていくわけです。ですから、女性男性に関係なく健康であれば、社会のために働くことは当然であるという考え方です。そして男の子にも一緒に働く上では、男性も家事、育児が当たり前であるという前提で子どもたちを教育し、働くということを当たり前の社会にしていかなければいけないということになります。

 ですから、社会政策上にも企業の男性上司の問題、企業の人事施策の問題、また女性側の問題、いろんな問題が現在ありまして、それがやはり車の両輪のように解決していかないと、女性だけが意識が変わっても、男性が変わらなければいけませんし、私たちが変わっても企業が変わらなければいけませんし、または政治が政策を変えていかなければいけない。さまざまな問題がある中で、こういう女性会議が聞かれ、そして私たちがどういうふうに社会にこれを発信していくかと、これが大事ではないかというふうに思っております。

 そんなところもふまえて、最後、まとめていきたいと思います。

女性の経済的自立の実現~のびのびと稼げる新しい働き方~の写真2

自らが行動する勇気

赤羽 佳世子

 非正規労働者の問題で、女性たちが好んで選んでるんだということを、よく経営者側は言います。確かにそうなんです。ただ、家事、育児、介護まで、全部ほとんどが女性が担っている状況の中で、選んでるんだと言われても、選ばされてるとしか言いようがない。

 オランダ型モデルでは、シングルマザーが週30時間で子どもを大学までやって、家庭菜園を楽しんで普通に暮らしていける社会なわけです。日本のシングルマザーは、ダブル、トリプルジョブをしたり、また、セクハラに遭うことも確率としては非常に高いです。

 それから、キャリアデザインです。日本のシングルマザーへの就労支援というのは、看護師とか、介護士とか、いわゆる女性職。男性職、女性職に分かれていまして、女性職の賃金は非常に低く見積もられていますよね。それがオランダでは、いわゆる男性職のところにも就労支援があります。日本は資格社会にはなってきていますけれども、へルパーの資格をもっていても食べていけません。介護福祉士でも食べていけません、今、このことは社会問題になっています。

 ですから、やはりその辺のところも当事者自身が声を上げていくことがやっぱり私は大事なんだなと思っています。ひとりでも、パートでも、アルバイトでも、契約社員でも入れるコミュニティーユニオンというのが全国に幾つかありますので、また何か職場での問題がありましたら、自らが行動するという、勇気、そしてそれを支える仲間がいるということをつけ加えさせていただきます。

短時間労働の正社員

今井 広海

 今日のテーマは女性の経済的自立ということですが、やはり男性の意識というものがやっぱり変わっていないと。男性の管理職、男性社員の意識の改革というのが1番大事になるんじゃないかなというふうに思います。

 私どもの会社の課題としましたら、正社員の意識や働き方を何とかできたらいいかなと、私自身は考えております。やはりフルタイムで働いてこそ、会社に対する忠誠心といいますか、愛社精神とか、あとは昇格、昇進は、やっぱりフルタイムの人間が対象やというふうな考えがありますので、それを何とか変えて、短時間労働の正社員、そういうことに取り組んでいきたいと思っております。

壁を崩して改革していくこと

野村 浩子

 企業を変えていくには、いま組織の中で力をもっている男性経営者や男性管理職に、女性に機会を与えて育てることに本気になってもらわなくてはいけません。海外勤務経験のあるトップの方だと理解が早くて、トップダウンで進めるということが多いです。しかし、そういう経営者ばかりとも限りません。それには、女性が仕事で成果を出して「この女性を使わないと損だ」「この人を使った方が業績が上がる」というふうに思わせることです。また、女性の活躍推進に関する数字とかデータを示すのも案外有効です。競合他社に比べるとわが社は遅れていると揺さぶりをかけるのです。

 それから、女性社員が集まる会に男性の役員を招いて、女性ばかりの中にぽんと座っていただいて、マイノリティーのつらさを体感してもらうのが効く場合もあります。

 1番難しいのは、中間管理職です。「経営陣がそう言うけれど、現場は大変なんだ」と抵抗勢力になることも少なくありません。男性は縦志向ですので、上から命令してもらうのもひとつの方法です。また女性の活躍推進やワーク・ライフ・バランス実現を管理職の評価項目に組み込んでしまう方法もあります。女性にチャンスを与えているかどうかで管理職のボーナスも変わってしまう。そういう人事考課で推し進める方法もあるかと思います。

 女性の自立を阻む外なる壁、企業や社会システムの中の壁を崩して改革していくのは、女性だと思います。1人で変えていくのは大変ですが、今日のようにみんなと一緒につながって変えていくというのは、とても大切なことだと思っております。

次の世代を育てること

宮城 まり子

 社会制度が随分ちがうので、同じようなことは申しあげられませんが、女性も健康である限り働く、そして立派な納税者になっていくと、ここが一つあるということになります。

 私は、最終的に自分を守るのは自分自身であると。ダイバーシティーという言葉が今よく使われますが、多様な能力を生かせる社会に私たちがやはり変えていく必要があるのではないかというふうに思います。ですから、どうバランスがとれたおとなとして次世代を育て、また今の社会をどう変えていくのか。この会議でいろいろなお気づきを得ていただけたら、これをぜひお持ち帰りいただいて、地域の中でぜひまた活動に生かしていただき、ご自分の家庭の中からも次の世代を育てることにぜひ生かしていただければというふうに思っております。

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市民人権局 ダイバーシティ推進部 ダイバーシティ企画課

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