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第2 指定管理者評価の結果

更新日:2018年12月28日

 市では、懇話会における意見を受けて、対象施設の評価について検討を行い、総括評価及び個別評価に整理するとともに、前年度(平成29年度)評価への対応状況も検証の上、指定管理者評価の結果としてまとめた。
 なお、指定管理者評価表及び前年度評価への対応状況については、別添のとおりである。

1 総括評価

 指定管理者制度の運用等については、これまでの評価結果を受けた改善も進んでおり、概ね適切に行われている。更なる管理運営の質の向上に向けた施設全般にわたる評価は次のとおりである。

(1) 評価規準の更なる改善

 指定管理者評価においては、目標の達成度に応じた客観的な評価を行うため、評価基準を明確化し、各所管課の評価レベルにばらつきが生じないよう改善を図ってきた。一方で、現行の評価基準(S・A・B・C・D)では、市が仕様書で求める水準どおりの成果であれば、評価基準の中位にあたるB評価を選択することとなり、指定管理者の努力が評価されにくい状況にある。
 数値化した明確な基準による客観性の確保は重要であるが、目標達成の困難度合いや数値化できない個別の判断要素など、指定管理者の取組を総合的に評価できる手法を検討するとともに、5段階評価の有用性についても検証をするなど、評価基準の更なる改善に取り組むべきである。

(2) 評価結果の共有

 指定管理者評価は、指定管理者による一次評価、所管課による二次評価を実施することにより、次年度以降の適正な施設管理及び利用者サービスの向上に確実につなげていくことが重要である。
 所管課は、評価の指標に基づいて適切に目標を設定し、その達成に向けて、指定管理者と十分に認識を共有することが必要である。また、評価の結果や理由を指定管理者に対して丁寧に説明するとともに、その根拠を明確にして、所管課と指定管理者の双方の認識を共有したうえで、改善に向けた具体的な対応策を講じるべきである。

(3) 競争性と公平性の確保に資する取組の推進

 指定管理者の選定については、競争性と公平性を確保する観点から、原則として公募により行われている。しかしながら、応募が1者しかない事案も多く見受けられ、その一因として、応募者への情報提供が十分でないことが考えられる。
 選定過程においては、応募者数を公表しないため、一定の競争性は確保されているものの、複数の応募者の中からより良い提案を行った者を選定することが、より一層の競争性及び公平性の確保と良好な施設の管理運営につながる。
 今後、公の施設において、指定管理者制度による市民サービスを継続するためには、様々な情報媒体の活用や応募者にとって有用な情報の研究等、複数の応募を促進するよう取り組むべきである。

(4) 収支状況の記載方法の改善

 指定管理者評価表における収支状況は、指定管理業務のみを記載する様式であるため、自主事業をはじめ、仕様書において位置づけられている関連業務(以下「関連業務」という。)も含めた全体の収支状況が把握できない状態となっている。
 また、指定管理者から提出される事業報告書等からは、自主事業も含めた収支状況は把握できるが、関連業務については把握できる記載がない。
 指定管理者評価は、指定管理者の管理運営状況全般に対する評価である以上、その収支状況については、自主事業のほか関連業務も含めて評価を行うことが必要である。
 今後は、事業報告書においても関連業務を含めた収支状況を把握するとともに、指定管理者評価表において、全体の収支状況を把握できるよう記載方法を改善すべきである。

2 個別評価

(1) 対象施設一覧

  施 設 名 指定管理者名 所 管 課
1

初芝体育館
初芝野球場
初芝テニスコート
白鷺公園野球場
白鷺公園運動広場

ミズノ・堺市教育スポーツ振興事業団グループ
(美津濃株式会社、公益財団法人堺市教育スポーツ振興事業団、大林ファシリティーズ株式会社大阪支店)

文化観光局
スポーツ部
スポーツ施設課

2

原池公園体育館
原池公園スケートボードパーク
陶器野球場
陶器テニスコート

原池スポーツチャレンジ共同体
(美津濃株式会社、ミズノスポーツサービス株式会社、大林ファシリティーズ株式会社大阪支店、利晃建設株式会社)

文化観光局
スポーツ部
スポーツ施設課

3

共同浴場

公益財団法人堺市就労支援協会

健康福祉局
長寿社会部
長寿支援課

4

堺老人福祉センター
西老人福祉センター

社会福祉法人堺中央共生会

健康福祉局
長寿社会部
長寿支援課

5

中老人福祉センター
南老人福祉センター

社会福祉法人南の風

健康福祉局
長寿社会部
長寿支援課

6

東老人福祉センター
北老人福祉センター
美原老人福祉センター
美原総合福祉会館

社会福祉法人大阪府社会福祉事業団

健康福祉局
長寿社会部
長寿支援課

7

市営住宅(51団地)

近鉄住宅管理株式会社

建築都市局
住宅部
住宅管理課

8

自転車等駐車場(83か所)

ミディ総合管理株式会社

建設局
自転車まちづくり部
自転車対策事務所

(2) 評価結果

 指定管理者評価表、ヒアリング等から分析すれば、指定管理者の努力により管理運営の質の向上が図られてきている。管理運営の更なる改善に向けた個別評価のうち、特筆すべき事項は次のとおりである。

ア 初芝体育館等、原池公園体育館等(スポーツ施設課)
(ア) 評価指標の検討
 適正な管理運営の確保に係る評価指標として、利用者満足度を設定しているが、公の施設においては施設がどれだけ利用されているかという稼働率も重要であることから、利用者満足度のみならず、稼働率を評価指標として加えるべきである。

(イ) 原池公園体育館等の一体的な管理に向けた検討
 原池公園体育館等については、指定管理業務のほか、関連業務として公園施設管理許可を受けて行う駐車場管理業務を仕様書により位置づけている。
 現在、原池公園内では野球場等の施設整備が進められており、今後、公園全体の整備が完成した後には、指定管理業務としてこれらの施設の一体的な管理運営ができるよう検討を進めるべきである。

イ 共同浴場、堺・中・東・西・南・北・美原老人福祉センター、美原総合福祉会館(長寿支援課)
(ア) 施設の特性に応じた研修の実施
 共同浴場においては、利用者の安全及び施設の適正な管理運営の確保に向けて、水質管理に係るマニュアルの整備や職員の接遇研修、交通安全講習などを行っている。施設の利用者には高齢者も多いことから、今後は、安全面の研修(AEDの使用方法や呼吸の蘇生法等の研修)を充実すべきである。

(イ) 新規の利用者の確保
 老人福祉センターは、高齢者の健康の増進、教養の向上及びレクリエーションのための便宜を総合的に供与することを目的とした施設であり、多くの利用者に親しまれているものの、利用者には固定化も見受けられる。
 施設の設置目的を実現するためには、利用者の裾野を広げていくことが重要であるから、既存の利用者のみならず、新規の利用者の確保につながる利用しやすい施設となるような取組を進めるべきである。
   
(ウ) 専門職の配置の検討
 老人福祉センターでは、高齢者の健康管理の観点から、仕様書により指定管理者に看護師の配置を求めている。今後、超高齢化社会の到来に向けて、介護予防の重要性が益々増大することから、現在、指定管理者が任意で配置している機能訓練士等の専門職の必要性を精査し、仕様書に位置づけることも検討すべきである。

ウ 市営住宅(住宅管理課)
(ア) マニュアルの整備
 苦情・要望に対しては、すべて翌営業日までに一定の対応が図られ、目標達成していることは評価できる。一方、苦情の内訳を見ると、近隣・騒音問題など解決が難しい内容も多い。目標達成に向けては、対応にあたる職員の負担も想定されることから、これを軽減できるよう、指定管理者とともに、苦情の対応手順や内容に応じた対応方法等を定めたマニュアルの整備を行うべきである。

エ 自転車等駐車場(自転車対策事務所)
(ア) 接遇研修等の充実
 自転車等駐車場の利用促進や放置自転車対策の取組において、違法駐輪が減少していることについては評価できる。一方、苦情については、件数は多くないものの、駐輪場の管理員の対応に関するものがほとんどであることから、管理員の採用時期に応じて効果的に接遇研修等を実施していくべきである。

(イ) 自転車を利用しやすいまちづくりに向けた取組の推進
 自転車を利用しやすいまちづくりを進めていくためには、利用者のニーズに即した通行環境の整備だけではなく、放置自転車の削減や安全利用の推進を図っていくことが重要である。
 自転車等駐車場においては、通勤通学者の減少傾向を見据え、既存利用者へのサービス向上にとどまらず、放置自転車の削減にもつながるよう新規利用者の獲得に向けたPR活動を行うべきである。
 また、近年、自転車利用者の交通ルールの遵守やマナーの向上が課題になっていることも勘案し、所管課と指定管理者が連携しながら、安全利用につながるよう施設を活用した啓発の取組も検討すべきである。

3 前年度(平成29年度)評価への対応状況の検証

 指定管理者評価への対応については、すでに改善が実施されたものもあり、見直しに向けた取組姿勢は評価できる。一方、対応状況としては、今後の検討に委ねているものも多く、取組の進捗については、適切に把握していくことが求められる。
 また、対応状況の取組内容を精査すると、更なる検討が必要なものも見受けられる。例えば、市による計画的な施設修繕を必要とする評価への対応として、指定管理者による施設修繕に変更し、指定期間を長期化する案が挙げられている。
 検討にあたっては、指定管理者による管理が適切かどうかを見直すという指定期間を設けた地方自治法の趣旨を十分に勘案しなければならない。さらに、公の施設の設置者として、大規模な施設修繕をはじめとする管理運営の根幹に関わるノウハウ等の保持、継承にも注意を払う必要がある。
 今後とも、より一層適正な管理運営の確保ができるよう、対応状況を適切に把握しながら改善に努め、市民サービスの更なる向上に努めるべきである。

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