[2-5] 防災及び防犯の推進
更新日:2015年4月24日
現状と課題
(防災対策)
- 東日本大震災をはじめ、全国各地で発生している台風等による被害など、近年、さまざまな大規模災害が発生しており、防災対策はまちづくりにおいて大きな課題となっています。本市においては、太平洋沖の南海トラフ沿いで発生する大規模地震の発生が高い確率で予測されており、また、市を南北に走る上町断層帯による直下型地震の発生確率が国内の活断層の中でも高いと予測されるなど、防災対策の推進はきわめて重要であり、これまで、「堺市地域防災計画*」などに基づき、計画的な取り組みを進めてきました。
- 本市では、災害時の避難行動に支援を必要とする障害者などの避難行動要支援者*について、民生委員児童委員による訪問調査を行うことにより、要援護者の状況の把握に努め、地域支援者等による要援護者の避難支援を行うための体制整備を進めています。
- 災害情報を迅速・確実に伝達するため、インターネットやFAXサービスを利用して、聴覚障害者(登録希望者のみ)の自宅のFAXへ一斉に災害情報を配信する仕組みの導入など、FAXや音声スピーカー、テレビ映像、電子メール等の多様な情報伝達手段の整備を進めています。
- 障害者などの避難行動要支援者*が避難生活を送る場合、一般の避難所(指定避難所*)で生活することが難しい場合も多いことから、障害者施設、高齢者施設等を福祉避難所*に指定し、災害時に要援護者が適切な環境で避難生活を送ることができるように環境整備を進めています。
- 東日本大震災では、犠牲者の過半数を65歳以上の高齢者が占め、また、障害者の死亡率が健常者の死亡率の2倍になるなど、避難行動要支援者*における被害の大きさが報告されています。また、「実態調査」によれば、災害時の避難について約7割の人が不安を感じており、「ひとりでは移動ができない」、「情報がわからない」、「災害の状況の判断ができない」、「避難場所の環境」など、さまざまな面で不安の大きいことがわかります。障害者の安全・安心を確保し、より堅牢な防災体制をつくるために、障害当事者の意見等も聞きながら、きめ細かく取り組んでいく必要があります。
(火災等の緊急時対応)
- 大規模震災以外にも、火災に対する消防においても生活の安全の確保のために、さまざまな対策が求められます。障害者等が利用する施設における自衛消防訓練の指導や火災発生時に消防活動がスムーズにできるよう障害福祉施設を含めた建築物への消防活動空地の設置指導を行い、防火に向けた取り組みを行っています。
- 火災等が発生した場合においても避難行動要支援者*情報を活用しながら、より効果的な消防活動ができる取り組みを進めています。消防局においては、電子メール、FAX及び緊急通報システム*から119番通報を受信できる体制を整えており、今後、こうした取り組みをさらに充実させ、障害者が日常生活を送るうえでの安全・安心を確保する必要があります。
(防犯対策)
- 交通事故、障害者を狙った犯罪など、障害者の生活の安全の確保のために、さまざまな対策が求められます。本市では堺市安全まちづくり会議*を設置し、市、警察、事業者、市民、地域団体らとの協働により、犯罪防止・地域安全の確保に向けた取り組みを行っています。
- 犯罪は女性や子どもなど弱者が狙われることが多く、障害者も例外ではありません。障害者の安全な地域生活のためには、現状の防犯対策に障害者の視点を盛り込み、体制を一層充実させていく必要があります。
- 本市では、「堺市犯罪被害者等支援条例」を施行し、犯罪被害者等が受けた被害の回復及び軽減に向けた取り組みを行っています。犯罪被害者等支援総合相談窓口や犯罪被害者等支援カウンセリング事業、犯罪によりこれまでの住まいに居住が難しくなった被害者への一時避難住宅の提供などを実施しており、これらにおいても障害者が活用しやすいように配慮を行っていくことが必要です。
施策の取り組み方向
(1)地域における防災対策の充実
(避難支援)
- 大規模災害時の発災直後においては、行政が直接、救出・救助活動を行うことは極めて困難であり、障害者やその家族による自助や地域支援者や障害福祉サービス事業者等による共助の取り組みが重要となります。障害者やその家族に対して、食料や障害特性から必要となる物品等の備蓄、避難場所や避難ルート等の確認などの平常時からの備えに加え、自治会活動などの地域コミュニティ活動を通じ、日頃から関わりのある人たちと連携した避難支援の重要性の普及・啓発活動を進めます。
- 障害者の避難支援において、障害の特性に応じた支援や配慮すべきことについて、地域住民等への啓発を進めるとともに、平常時においても地域の防災訓練への障害者の参加等による地域とのつながりを推進し、福祉関係機関や障害福祉サービス事業者とも連携をしながら、被害の軽減をめざします。
- 民生委員児童委員による避難行動要支援者*への訪問調査を推進し、本人の意思及び個人情報の保護に十分留意しつつ、障害者の個々の状況に応じた個別の避難計画の策定を促進するなど、地域支援者等を主体とした共助によるより効果的な避難支援体制づくりを進めます。
- 障害特性に応じて適切・迅速に災害情報を届けることができるように、電子メール等の多様な手段を用いた情報発信体制を充実します。
- 平常時から利用者のことをよく理解している障害福祉サービス事業所と災害時にも連携した障害者の避難支援の仕組みづくりを進めます。
(避難生活)
- 地域における避難所設置・運営訓練等の実施を促進するとともに、障害者などの避難行動要支援者*に配慮した避難所設置・運営のシミュレーションなどの取り組みを進めます。
- 避難所等に保健師等の専門職を派遣し、障害者等への支援を行うとともに、避難所でも必要な支援用具や障害福祉サービス等が受けられるように体制を整備します。
- 障害福祉サービス事業者等と連携して、福祉避難所*の指定を進めるとともに、福祉避難所開設・運営マニュアルの整備や開設・運営訓練の実施、必要物資の備蓄整備など、適切な福祉避難所*の開設・運営支援を実施します。
- 障害福祉サービス事業者において、災害が発生した場合でも被害を最小限にとどめ、災害時における利用者の支援と並行して、できるだけ早くサービス提供を再開するため、事業継続計画(BCP)*に基づく防災体制整備をめざします。
- 行政から発信する生活支援情報等については、関係機関等との連携のもと、避難所等への手話通訳者、要約筆記者等の派遣や点字、音声などの手段を用いて適切に障害者に届くように体制を整備します。
(生活再建)
- 大規模災害等で仮設住宅の設置が必要になった場合には、バリアフリー化した仮設住宅の設置を進めるとともに、障害者が仮設住宅で孤立することのないように配慮を行います。
- 障害福祉サービス事業者等と連携し、障害者が早期に、サービスを活用しながら本来の生活を回復できるように支援を進めます。
- 被災によるストレスが障害者の状態の悪化等につながらないように、関係機関が連携して災害時の心のケアへの対応を推進します。
(2)火災等の緊急時対応の充実
- 障害者等が利用する施設等に対し、自衛消防訓練の指導や、消防活動が円滑に行えるよう安全・安心な生活空間の確保に向けて、防災的な観点の一層の充実を図ります。
- 電子メールやFAXによる通報システムや、緊急通報システム*等の体制を充実し、障害者がさまざまな手段を用いて迅速・適切に非常時の連絡ができるように取り組みを進めます。
- 火災等が発生した場合に、登録している避難行動要支援者*情報を活用した消防活動について、より迅速かつ適切に対応できるよう推進しながら、個人情報等に配慮した運用のあり方等を検討します。
(3)防犯対策の推進
- 警察・地域団体等と協働して防犯パネル展示やひったくり防止キャンペーン等の防犯に関する周知・啓発を実施することで、障害者を含めた地域の防犯意識を高め、知識の普及に努めます。
- 街頭犯罪のさらなる減少や、子どもや女性の犯罪被害の防止に向けて、防犯カメラの設置等の防犯環境の整備、防犯パトロール等の地域の防犯活動の支援を行います。
- 地域住民による子どもの見守り活動等と連携し、地域における障害児等の見守りを促進します。
- 犯罪被害を受けた障害者の救済等にあたっては、犯罪被害者等支援総合相談窓口などの相談窓口を通じて、福祉関係機関、警察や民間団体とも連携し、ケースに応じた適切な支援を行うことができる体制づくりに取り組みます。必要に応じて、精神的被害からの早期回復にむけての心理カウンセリングや、犯罪等により従前の住居に住めなくなった被害者への一次的な避難住宅の提供等の支援を実施します。
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