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(報告1)認知症施策の取組状況について

更新日:2016年2月24日

案件説明

事務局(花家地域包括ケア推進係長) 資料5

 まず、国の動向と現状だが、認知症の方は平成24年には462万人、7人に1人となっていたのが、平成37年、2025年には700万人、5人に1人に増えると考えられている。ここに予備軍も加わってくるので、今や誰もが係る可能性のある身近な病気ということで、国としても認知症施策推進総合戦略いわゆる新オレンジプランを平成27年1月に策定している。その理念は認知症の方の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現である。介護保険制度改正により認知症施策の地域支援事業への位置づけも行われ、制度的にも財政的にも支援が強化されている現状である。
 堺市の現状について、堺市では要介護認定時に日常生活自立度2以上を認知症ととらえており、平成27年6月末現在20,061人の方が認知症と推計している。発症率は65歳以上の15%という報告もあり、支援が必要な方は予備軍も含めてこれ以上おられるととらえている。堺市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の施策展開に「認知症支援の充実」を位置づけ、地域包括ケアシステムを構築していくうえで、認知症対策は重要な取組であるとし、早期発見・早期対応の体制確立、円滑な医療・介護サービス提供体制の構築、医療・介護サービスを担う人材育成、家族への支援の強化等に取り組んでいる。

(平成27年度の進捗状況)

・認知症初期集中支援チームの設置
 認知症初期集中支援チームは、認知症の早期診断・早期対応のために設置するチームである。医療と福祉の専門チームを結成し、そのチーム員がご家庭を訪問し本人やご家族の支援を行う。概ね6カ月を目安に本格的な介護チームや医療につなげていくために集中的に支援を行う。その後は、近くの地域包括支援センターや介護事業所等が引き継いで支援する。特に堺市としてチーム設置において重視するポイントは、認知症の初期段階から症状進行の見通しを示し在宅で対応を支えることとしている。事前的な関わりをすることで危機を回避したいと考えている。堺市には認知症医療の中核施設として認知症疾患医療センターが2か所あるが、認知症の診断や対応などの実績、人員体制ともに十分で対応できると考えられることから、認知症初期集中支援チームは認知症疾患医療センターに設置したいと考えている。本年度中の稼働を予定している。

・認知症ケアパスの作成・普及
 認知症ケアパスは認知症の発症から生活機能障害の進行にあわせて、いつ、どこで、どのような支援を受けることができるのかを示しており、それを知ることで、本人や家族が認知症に対する見通しを持った生活を送ることができるものである。堺市認知症ケアシステム懇話会で、認知症ケアパスの枠組みを確認してきた。一般市民向けのものは平成27年6月から配布を開始しており、既に2万枚を配布している。このあと本人・家族向けのもの、支援者向けのものを本年度中に作成したいと考えている。

・さかい見守りメールの実施
 本事業は徘徊の心配のある高齢者の方の事前登録を行い、徘徊時に身体的特徴や服装等をメールやFAXで配信し、警察の捜査の補完として、地域の方々の協力を得て早期発見につなげる取組である。平成26年8月25日から事前登録を開始している。市内協力者は公的機関のほか、自治連合協議会、校区福祉委員会、民生委員児童委員会、医師会、歯科医師会、薬剤師会、銀行、郵便局、南海電車、南海バスなどである。登録者数は平成27年8月31日現在で211人である。配信実績は平成27年8月末現在で40件であった。昨年度は月平均5~6件であったが、今年度に入り月8件と増えている。

・認知症カフェ(堺ぬくもりカフェ)の設置
 「認知症カフェ」は認知症の人の介護の負担軽減のために認知症の方や家族、地域住民、専門職など誰もが参加でき集う場として、地域における認知症対策の拠点となることを期待し、市内に実施するところを増やすことを目標にしている。参加者があたたかい飲み物などを飲みながら、交流や情報交換、レクリエーションなどしながら安心した時間を過ごせるように、認知症カフェを堺市では「堺ぬくもりカフェ」と名付けている。市と力を合わせて堺ぬくもりカフェに取り組んでいただける堺市内の事業所を募集し、事業所の社会貢献として実施していただくことを推進している。市からの支援としては、実施にあたる掲示物や配布物の提供、取組に関するアドバイス、認知症地域支援推進員による連絡会の開催などを考えている。カフェをPRできるのぼりの交付も行っている。今後整備を進めて事業所名と開催日などを市のホームページやチラシで紹介する。身近なところでカフェの開催が増えるように働きかけを進めていく。

・認知症サポーターの養成
 認知症サポーターは認知症について正しく理解し偏見を持たず、認知症の方や介護者を見守る理解者となる方のことで、認知症になっても安心して住み続けられるようにサポーターが増えることをめざしている。堺市の認知症サポーター養成数は平成27年10月8日現在32,096人である。こちらの目標値は国では平成29年度末までに800万人を目標としているので、これを堺市に当てはめると平成29年度末までに56,000人のサポーターを養成する必要がある。平成27年度からは年間9,300人の養成をめざしている。市職員に対しては、平成24年度から堺市の新規採用職員研修に認知症サポーター養成講座を必ず実施している。また、全庁的に市のあらゆる施策の推進において認知症を正しく理解し、配慮や支援する取組が必要であることから、職員向けの講座も開催している。その他、平成23年度から就学児童等を対象とした「キッズ・サポーター養成講座」を学校で開催している。最近の特徴としては、企業からの開催依頼が増加しており、特に金融機関、銀行や証券会社からの依頼が急増している。

 こういった施策を展開してきたが、平成28年度に向けては4つの視点で取組を進めたい。早期発見・早期対応できる体制の強化、医療や介護の専門職への認知症対応力の向上、市民への認知症への正しい理解の促進、認知症の方の居場所づくりと家族の介護負担の軽減を考えている。

質疑応答・意見

宮田委員

 要望だけである。認知症の方の権利擁護のために成年後見制度というのは非常に重要なものと考えている。成年後見制度利用支援事業について、給付対象を市長申立て案件以外にも拡大してほしい。市民後見人養成と堺市社会福祉協議会で実施されている日常生活自立支援事業、こういったものがないとなかなか認知症になった方の生活を守っていくのが難しい。このところを拡充してほしい。

事務局(今津高齢施策推進課参事)

 市長申立て以外の成年後見利用支援拡充について、ご意見を聞きながら拡げる方向で検討している。市民後見人についても平成25年度から養成を開始して、現在、受任者4人となっている。日常生活自立支援事業については待機者等がおられると聞いているので、予算要求にも反映していきたいと考えている。

岡田委員

 認知症初期集中支援チームについて、私自身が大阪市で2年間モデル事業をしていて、認知症疾患医療センター1か所だけではチームは難しいと考えられるので、広げていただきたい。
 医療と介護の連携でも指摘したが、6カ月後にはどこかに引き継がなければならないので、チーム単体だけでは難しい。やはり医師会とチーム、地域包括支援センター、地域ケア会議、これらと一体的に取り組まなければならない。
 もう一つの課題は、認知症の高齢者の子が発達障害であったときなど、複数の問題が生じてきたとき、このチームはどういう動きをとるのかということである。他の医療機関との連携が必要になってくることもあるので、細かく議論していただくと思うが、この単体だけの議論をしないでいただきたい。

川井委員

  ここに若年性認知症という言葉が一切出てこない。認知症というところで包含されていると言われればそれまでだが、国では若年性認知症施策というのはひとつ項目としてあがっている。それなのに一切出てこないのが危惧される。若年性認知症の人というのは発症かどうかわからないところから医療機関につながるまで、そこにひとつポイントがあり、制度につながるまでにまた空白期間が長い。早期に発見というが、初期集中支援チームが聞いてから行ったのでは遅い。若年性の人というのは障害者支援、年金などいろいろなものが使える。仕事を辞めないうちに早く私たちの支援につながっていくと、就労しながら治療を受けていくことが可能である。この「もしかしたら認知症かな?」というリーフレットは、どのように配布されているのか。

事務局(神原高齢施策推進課長)

 市内の高齢者の相談機関の窓口等に配架したり、民生委員や地域の見守り活動を日頃から行っている方々に配布して、心配な高齢者がおられたら地域包括支援センターにつないでいただく仕組みをとっている。

川井委員

 高齢者だとそれでいい。若年性の方はハローワークなど就労支援などの窓口に置いておいて、担当の方々にも早期発見をしていただけるような教育や研修を進めていくなどしてほしい。若年性と高齢者とは違う部分があるということもふまえて取り組んでいただきたい。

事務局(藤川高齢施策推進課参事)

 若年性認知症の方の支援は、就労の面など高齢者の認知症の方とは全く違う面がある。認知症地域支援推進員が関わっているケースでも夫が若年性認知症で、妻が就労していない場合、家族全体を支えていのはしんどい。先ほど市の取組みは新オレンジプランをふまえて、現在取り組んでいる内容と今後取り組む視点を提示したと思う。先生のいう若年性認知症の方については、新オレンジプランでも示しているので、どういった形で反映していくか今後協議を進めていきたい。平成26年度に、相談機関向けに若年性認知症を支えるしおりを作成し配布している。拡充も含めて市と協議を進めていきたい。

高橋(明)委員

 若年性認知症の方の支援はたいへん重要な問題である。若年性認知症の方がどういうサービスをどう使われているか、どういう課題をもっているかのデータを我々は持っておらず、自分の経験の範囲でしか分かっていないので、若年性認知症の方に対するサービスが現状どうであるのか資料をつくってもらいたい。それを我々に出していただくとアイデアが出せるかもしれない。

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健康福祉局 長寿社会部 長寿支援課

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