このページの先頭です

本文ここから

(案件3)新しい総合事業について

更新日:2016年2月24日

案件説明

事務局(今津高齢施策推進課参事) 資料4

 現在の介護保険制度のなかでは要介護1~5はケアマネジャーが作成したケアプランに基づき、訪問介護、通所介護、特別養護老人ホーム入所などのサービスを利用している。軽度の要支援者は地域包括支援センター職員が作成したケアプランに基づき、訪問介護、通所介護などのサービスを利用している。新しい総合事業になると、要支援者へのサービスのうち訪問介護と通所介護が市町村の実施する事業へ移行する。堺市は平成29年度に移行することになっている。
 サービスがどのように変わるかというと、訪問介護も通所介護とも現行サービスとしてこれまでと同じように介護事業者によるサービスを利用できるものと、基準緩和サービスA としてNPO、民間事業者によるサービス、また住民主体サービスBとして住民ボランティアによるサービスなどに移行する。つまり訪問介護、通所介護とも既存のサービスに加えて多様な主体によりサービスを提供していくことになる。また生活支援サービスが新設され、記載されているような支援が受けられる。これらを参考に市町村では地域の実情に応じたサービスをしていくということになっている。
 本市では総合事業を検討するにあたり、地域包括支援センターの協力で要支援者のサービス内容について調査を実施した。平成26年4月の要支援者のサービス利用者は8,723人。訪問介護・通所介護が総合事業に移行するので、対象者は7,446人となり、全体の85%を占めることになる。ここから5%を抽出しサービスの利用内容を調査した。
訪問介護の内容については、週1回が58%、週2回が35%、サービス時間は1回60分が84%。サービス内容について、生活援助87%、身体介護7%、両方が6%となっている。生活援助の内容については、掃除93%が圧倒的に多く、買い物(代行)、調理と続いている。訪問介護における身体介護の内容については、見守り的援助、これは支援者が利用者の安全を確保しながら一緒に買い物や掃除などを行うもので、要支援の方はある程度体が動くので、こういったものがほとんどとなっている。入浴、通院・移動介護は10%と少なくなっている。
 総合事業への移行の基本方針だが、「利用時間が60分」が84%となっていることから、60分のサービスを基本に制度設計し、多様なニーズに対応できるよう、その他の利用時間の区分を設けることになっている。次に、生活援助のみの利用者が87%ということから、生活援助は家事代行の要素が強いため、基準緩和サービスで対応できると考え、基準緩和サービスを中心とした制度構築を進めたいと思っている。
 次に、地域包括支援センターの意見である。多かった意見としては、生活援助の利用者であっても精神疾患や認知症等の心身状況のため、専門職による現行サービスが必要というものである。身体介護の利用者も13%いることから、精神疾患や認知症等の心身状況にある利用者は専門職による現行サービスが必要であるため、既存の訪問介護事業者が参入できるよう単価等を設定したいと考えている。
 次に、通所介護の内容について。5時間以上を1日サービス、5時間未満を半日サービスとして、それぞれの内容をチェックした。利用者の割合は1日サービス利用者が4割、半日サービス利用者が6割となっており、運動機能向上加算という専門職による運動指導を行っている方が1日利用で6割、半日利用がほぼ全員利用となっている。また食事、入浴は1日利用では多く、半日利用では少なくなっている。口腔機能向上と生活機能向上グループの利用はわずかながらある。
 総合事業への移行の基本方針だが、国による平成27年度の介護報酬改定で介護予防通所介護費が約21%減額になり、介護予防はレスパイトつまり家族の休息機能を有していないため、長時間の利用は想定されていないためであり、実質半日が基本とされた。運動機能向上加算をとっている利用者が非常に多いことから、運動機能向上に重点を置いた基準緩和サービスを中心とした制度構築を進めていく。また訪問介護と同様の地域包括支援センターの意見があること及び入浴の利用者が多いことから、精神疾患や認知症等の心身状況にある利用者、入浴に介護や見守りが必要な利用者は、専門職による現行サービスが必要であるため、既存の通所介護事業者が参入できるよう単価等を設定していきたい。
 これまでの取組みとしては、6月以降、地域介護サービス運営協議会をはじめ地域包括支援センター、介護事業者やケアマネ会、社会福祉法人、NPOなど各種団体に本日のような資料を示し、総合事業に対するご意見をいただいてきた。また、304か所の通所事業所に対して現行相当、基準緩和など実施した場合の意向調査を行っているところである。各種団体から要望があった場合には、新しい総合事業についての説明を行い、その際にも意見等をいただいている。本年度より総合事業を実施している先進自治体などの事業などを参考にするなど、本市で取り組む内容について研究している。10月末には新しい総合事業のための研究会を開催し、その中でいただいた意見を参考に事業案を検討し、次回の地域介護サービス運営協議会や高齢者福祉専門分科会に諮っていきたい。
 スケジュールとしては今年度中に基準を作成し、平成28年度は周知・啓発など市民の皆様への説明及び事業者の皆様の準備等を行っていただき、平成29年4月の開始をめざしたい。

質疑応答・意見

岡田委員

 4つあります。1つ目は、要支援2の方で認知症あるいは急激な変化をする場合は要介護1、そうでない方は要支援2であるが、状態は要介護1相当であり、いろいろな方が混じっている。調査をすると、完全に認知症と診断されない軽度認知症の方々がいる。これから5年、後期高齢者が増加してくるということが前提であり、現状での移行調査をしても5年後の状況とは違う。その中で策定をしなければならない難しさがある。後期高齢者が増えていくということを課題として考えておかないといけないのではないか。
 2点目はマッチングの問題が出てきた時に、介護支援専門員にそれだけの能力やアセスメント力やケアプラン力があるのかということである。介護支援専門員の研修など、移行までのさまざまなことを考えていかないといけない。総合事業には見えない課題がかなりある。
 3番目は、地域格差はないかである。住民ボランティア主体のサービスが提供できる地域とできない地域がある。高齢化が進み、そこまでできない地域もある。堺市のなかに非常に高齢化が進んでいる地域があると、この3つの提供主体のサービスがすべて地域にそろっているかというと難しい。その場合どうしていくのかという課題がある。
 4番目は、65歳以上の高齢者にどう広報し説明していくのか。保険料は高くなっているのに何故このようなことになるのか、質問を受けた場合に保険者として回答しなければならない。説明責任が問われるので、その準備をする必要がある。
 ここまでは課題で、最後に質問がある。今年度、設置されるということだが、コーディネーターをどうするのかという議論が抜けているのではないか。

事務局(神原高齢施策推進課長)

 生活支援コーディネーターについては、今年度、堺市社会福祉協議会に1人専門員を配置して、行政と連携し、堺市としてどのように生活支援コーディネーター機能を拡充していくのか、平成29年度から適切な支援が果たせるよう現在検討中である。

安倍委員

 新しい総合事業に移行するにあたり、住民主体サービスの受け皿づくりや説明責任、制度の住民に対する説明などいろいろな細かい問題があると思われる。現在、社会福祉協議会に生活支援コーディネーターとして1人配置いただいている。社会福祉協議会としては是非とも人数が必要である。年次計画をもって力を強化していく必要があると思っている。

黒田会長

 生活支援コーディネーターは、3年間で何人配置するという計画を立てていなかったか。
 84万人に1人、各区に必要なのではないか。

事務局(神原高齢施策推進課長)

 具体的な人数は計画等には明記していない。
 理想を言えば各区に1人であるが、市側がどこまで保障できるかも含めて、実現できるか庁内でも議論を進めている。

黒田会長

 岡田委員に4点課題を指摘していただいたが、ひとつひとつ検討するのは難しいので、記録に残して 検討してほしい。

川井委員

 資料の10頁に運動機能向上加算をとっている人がかなりたくさんいるので、これからも同じような支援が必要であるという話があったが、この運動機能向上加算をとっている方がどういう方々なのか。ここをもう少し丁寧に考えなければ前に進まないのではないか。

事務局(今津高齢施策推進課参事)

 通所介護に行っている方々のほとんどが、まずそこで運動機能の向上に向けての体操などを取り入れている。実際に専門職でされている場合もあるし、そこに集うこと自体がある程度運動機能向上に役立っている。介護予防も大きな課題であると思っている。

川井委員

 地域にそういう人たちの受け皿があるのかないのか、なければ受け皿をつくっていかなければ、いつまでたっても介護サービスを使い続けないといけない。そういうところが緻密に進めていくところだと思う。

黒田会長

 岡田委員が4点目に指摘されていたところが大事である。どう被保険者に説明するのか、このように変えますという具体的な説明はもちろん必要なのだが、何のためにこのように変えていくのか、国が法律を改正したからこうなるというのでは受け身であると思う。住民にとって不安なのは、今まで給付として提供されてきたサービスが十分受けられなくなるのではないかということである。単に介護保険の財政が増えていくのを抑制するための政策ではないかというネガティブな受け止め方をしている場合に、そうではないと説明できるか、どうしたらポジティブな受け止め方に変えていけるか、これに対してアイデアはないか。

岡田委員

 今までは高齢者はサービスを受けるという受け身であったけれど、自分たちでどうつくっていくのかということになる。団塊世代の人たちは積極的に色々取り組んでいるが、その中で皆さんの地域づくりは皆さんが主体であるという認識を持ってもらう必要がある。互助・共助を進めていくという基本方針の中で、堺市がそれをどう支えることができるのかきちんと説明できれば成功すると思う。

事務局(神原高齢施策推進課長)

 各自治体で特徴があると思うが、本市の1番の特徴としては住民相互の助け合いや地域福祉が非常に充実しているところである。例えば校区福祉委員会活動や、民生委員の真摯な活動のなかで、地域が高齢者や課題を抱える方々に対し見守りや声かけを日頃から行うなど、法改正が生じる前からきめ細やかに、社会福祉協議会を通じて地域福祉を推進してきた。その強みをいかして、堺市として住民の皆様の力を借りながら、ともに高齢者の方の安心安全の生活を保障するためにはどのようにしていくのかと、皆様に真摯に訴えさせていただきたいと思う。

高橋(明)委員

 今回の制度改正は、完全にコストダウン・コストカットの施策であると認めてもらわないといけないと思う。何のためにコストダウン・コストカットするかというと、重症の方、重度の方をもっと手厚くするために、そこへコストをかけるために、一定の力をお持ちの方はこうして頂きたいとお願いをしていただいた方が正直ではないかと思う。そのかわり重症の方、施設の必要な方、医療機関の必要な方、在宅であっても色々なサービスが必要な方については、このようにしていきたいのだという、その姿勢がないといけないと思う。

事務局(神原高齢施策推進課長)

 さまざまな高齢者の方の支援も施策も必要だが、一定の適切なサービスを必要とされる方にはきっちりと提供できる仕組みを説明していく必要があると思うので、そこは行政としての説明責任を果たしていきたいと思う。

高橋(明)委員

 税金や保険料を有効に使うためにはこうしたい。頂いているお金を有効に使っていくという説明が必要である。これ以上増やさないといためだというと、市民は理解できないのではないか。そこは気を付けて頂きたい。

事務局(隅野長寿社会部長)

 普通、要支援1からだんだん進んで要介護1、2、3、4とだんだん重くなっていく固定観念があるのだが、実は今回の新しい総合事業では要支援1・2の方については、介護保険制度から卒業というか、また自立に向けてのその人に合ったプログラムをつくっていく、その人のためのケアプランをつくっていくところだと考えている。どんどん悪くなっていくのではなく、もう一度昔の元気な状態に戻していくというのが説明の中核になるのではないか。ポジティブな考え方、そこの部分に希望があるのではと思う。

黒田会長

 ポジティブな考え方は、ひとつには社会で弱体化している地域の互助、共助だとかもう一度地域でつくりあげていく、そしてその中で高齢者を支えられるようにしていきたい。そういう施策ができるかということが難しいところである。介護保険で給付サービスを受けることでつい受け身になりすぎて、できることもサービスに委ねる。サービスに期待して自らやることが少なくなっていく、機能が落ちていくことがあったとすれば、それは色々な支援の仕方を多様化して、その中から選びながら支え合い、自分たちの生活も機能もできるだけ保つようにしていく、そういうことを推進していく必要がある。それと併せて、限られた財源をよりニーズの高い人に重点化しようとしている訳であるから、それも必要だと言ったほうがいいかも知れない。財政も含めて情報公開していくことも大事だと思う。
 この議論は大事である。住民の方に理解してもらわねばならない。理解だけではなくて有効に機能するようにしていかなければならない。

このページの作成担当

健康福祉局 長寿社会部 長寿支援課

電話番号:072-228-8347

ファクス:072-228-8918

〒590-0078 堺市堺区南瓦町3番1号 堺市役所本館7階

このページの作成担当にメールを送る
本文ここまで