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(案件2)在宅医療・介護連携推進事業について

更新日:2016年2月24日

案件説明

事務局(古下高齢施策推進課主幹) 資料2 資料3

 資料3にあるように在宅医療・介護連携推進ワーキンググループを今年度から立ち上げ、このワーキンググループの会議を経て立案した、資料2の堺市における在宅医療・介護連携の推進に関する施策案について説明する。
 この施策案の策定の背景として、医療と介護がなぜ必要かについてであるが、後期高齢者の増加に伴い、介護サービスの提供を受けて生活を継続しながら在宅医療を中心とした医療サービスによる治療や療養を続けていくことが必要となる。このためには医療職、介護関係職種を加えた多職種・多業種による包括的ケアのための協働チームを整えていくことが必要であると考える。多職種・多業種による協働チームは、患者・利用者である高齢者のQOLの向上を共通の目標とし、それぞれの専門性を発揮できる関係性を構築することが大切であると考える。
 次に、在宅医療と介護の連携が必要となる場面について考えている。資料2の2頁で、4つの場面を想定している。

(1) 退院支援
 入院中の治療経過や退院後の在宅療養での注意点など、患者・利用者にとって重要な医療の情報が、本人や家族と合わせて、在宅での療養生活を担う在宅医療及び介護関係者に的確に引き継がれ、実施される必要がある。

(2) 日常療養支援
 患者・利用者の心身機能のチェックをはじめ、口腔ケアや服薬指導など、医療的な管理が適切に実施されるとともに、生活支援を通じて療養生活の維持・向上が図られるよう医療・介護相互に連携体制を整える。また合わせて介護する家族の負担軽減なども必要となる。

(3) 急変対応
 患者・利用者の体調の変化、容体の急変などに気づいた際に、迅速に医療関係者に繋ぐなど適切な対応を行えるようにするとともに、重症・重篤な場合には、円滑に病院搬送がされるよう後方支援体制を構築する必要がある。

(4) 看取り
 患者・利用者が、自ら希望する終末期のあり方を選択し、意思表示できるよう準備がされていることが必要である。また本人の意思に沿えるよう多職種・多業種の連携によるチームケアができる体制も重要である。

これまでの取組みとして、堺市医師会を中心として「地域医療再生基金」や「地域医療介護総合確保基金」を活用し、堺市医師会の「在宅医療コーディネーター」の配置や、医療・介護の連携のための人材育成などが進められてきた。こういったものが平成27年度からは、介護保険制度の改正により堺市の事業として位置付けられている。これを受けて関係団体と堺市による「堺市在宅医療・介護連携推進ワーキンググループ」を設置し、新たな施策について検討している。ワーキンググループで検討した施策案を本分科会での審議を経て施策化し、推進していく。
具体的な施策案については4つの場面に対応して施策を5つの柱に組んでいる。

(1)入院から在宅への円滑な移行の促進について
病院での退院カンファレンスなどの機会を通じて、関係者の密接な情報共有を行うこと
を推進する。またケアマネジャーを通じ社会保障制度なども活用し、在宅療養の環境を    整える。
(具体的取組み例)
・病棟看護師・退院調整看護師向け研修会の実施
・介護支援専門員(ケアマネジャー)等の病院見学実習の実施
・地域医療機関ICT連携システムの整備の検討

(2)在宅療養を支援する医療介護資源の整備・充実とネットワーク化の推進について
 患者である高齢者の日常における在宅療養・介護に関わる関係者が、高齢者の病状    や健康状態を注視するとともに、その変化に対し適切に対応できるよう資質の向上に
 努める。状態の変化への対応や、在宅療養に係る治療方針の変更、入院治療への
 移行などが適切かつ円滑に行われるようネットワーク化を推進する。
(具体的取組み例)
 ・専門職・関係者向けの在宅医療・介護ネットワーク講演会の実施
 ・在宅医療・介護支援窓口の設置の検討
 ・かかりつけ医サポート体制の検討
 ・在宅医療・介護ネットワークICT情報システムの検討
 ・後方支援病院体制の検討

(3)在宅医療・介護を担う人材の養成とスキルアップの仕組みの構築について
 それぞれの専門職の能力の向上を進める。
 (具体的取組み例)
 ・病棟看護師・退院調整看護師向け研修会の実施
 ・介護支援専門員(ケアマネジャー)等の病院見学実習の実施
 ・在宅医療・介護ネットワーク講演会の実施

(4)本人が望む場所での看取りが可能な体制の整備について
  終末期の患者・利用者に対する痛みのコントロールや看取りを含むターミナルケアに
 対応できるなどの機能が必要となる。また状態に応じて後方支援病院での受入れを
  スムーズに行うなど、24時間体制で患者・利用者をケアできる体制を構築する。
 (具体的取組み例)
 ・エンディングノートの普及啓発
 ・かかりつけ医サポート体制の整備
 ・後方支援病院体制の整備

(5)市民の理解と主体的な取組みについて
  高齢者自身とともに介護を担う家族が、在宅医療・介護連携の社会的意義を知るとと
もに、急変時の正しい対応を理解することにより、本当にQOLを大切にした暮らしとは
何かを考え、最後まで継続することができるよう市民理解を広げる。
 (具体的取組み例)
 ・医療と介護、福祉に関する啓発リーフレット等の作成
 ・専門職による市民交流セミナー
 ・エンディングノートの普及啓発

 平成27年度に介護保険法の地域支援事業の包括的支援事業に位置付けられ、全国の市町村が医療と介護の連携に取り組むことになった。このため厚生労働省では「在宅医療・介護連携推進事業の手引き」を作成し、具体的な取組み項目を明示した。本施策案に示す具体的取組み例について、厚生労働省の示す項目(ア)~(ク)に合わせて整理する。

 (ア)地域の医療・介護の資源の把握
 平成26年度に堺市医師会を中心に「堺市内医療機関・介護機関一覧マップ」を作成
 済みである。

 (イ)在宅医療・介護連携の課題の抽出と対応策を検討する会議の開催
 平成20年度から堺市医師会の主導でいいともネットさかいという医療と介護を話し合
 う場を設定していただいている。また、堺市では在宅医療・介護連携推進ワーキング
 グループを今年度より開催している。

 (ウ)切れ目のない在宅医療と介護の提供体制の構築推進
 かかりつけ医サポート体制の整備や後方支援病院体制の整備を今後検討する。

 (エ)医療・介護関係者の情報共有の支援
 地域医療機関ICT連携システムの整備、在宅医療・介護ネットワークICT情報シス
 テムの整備を検討する。

 (オ)在宅医療・介護連携に関する相談支援
 在宅医療・介護支援窓口の設置について、平成27年度から検討する。

 (カ)医療・介護関係者の研修 
 病棟看護師・退院調整看護師向け研修会、在宅医療・介護ネットワーク講演会を平
 成27年度実施。

 (キ)地域住民への普及啓発
 エンディングノート普及啓発、専門職による市民交流セミナーを平成27年度実施。

 (ク)在宅医療・介護連携に関する関係市区町村の連携
 本市は二次医療圏が一つの市で構成されており、(イ)の「在宅医療・介護連携の
 課題の抽出と対応策を検討する会議」の開催をもって(ク)に取り組んでいるとみなさ
 れるが、隣接市区町村との連携についても必要に応じ、今後検討する。

質疑応答・意見

黒田会長

 ワーキンググループが現在この課題について検討しているところであるが、ワーキンググループはこの専門分科会のもとに置かれていると考えてよいか。

事務局(神原高齢施策推進課長)

 そのように位置づけている。

黒田会長

 ワーキンググループでの検討と分科会の検討を連動させながら具体的な在宅医療・介護連携推進の在り方を検討していきたい。ワーキンググループ座長の岡原委員に補足説明をお願いする。

岡原委員

 我々医師会だけでなく三師会やケアマネジャーの会、その他いろいろな方々に協力をいただいて医療と介護の連携を進める関係者会議ということで、平成20年から取り組んでいたいいともネットさかいの実績を、是非行政が構築する地域包括ケア構築に向けての取組みの中で活かしていただきたいと以前からお願いしていたが、なかなかうまく実現できなかった部分があった。平成27年度は、いいともネットさかいの取組みを行政の方でも活かしていけるよう仕組みをつくっていただいたことは感謝している。ワーキンググループでいろいろ課題抽出を行い、意見をまとめて今日の会議に出しているので、これをもとにして色々意見をいただきたいと考えている。

岡田委員

 実務的なお願いというか、3つの提案と1つの課題を指摘させていただく。
1点目、切れ目のない在宅医療と介護の提供体制を構築するには、地域包括支援センターと医師会と地域ケア会議が密接に連絡しなければ、おそらく具体的には動かないと思う。地域ケア会議は処遇困難事例を対象とするだけでなく、政策提言の課題を抽出するというところまで行う。地域ケア会議の在り方をどうするのか、本来この計画の中に書かれないといけない。地域包括支援センターと医師会、地域ケア会議とがどのような関係をもっていくか整理していただきたい。
 2点目は、介護支援専門員の病院等の見学がスキルアップのしくみと書いてあるが、実際はケアマネジャーの研修というのは来年度大きく改正される。介護支援専門員のスキルアップは、そうした研修を通してなされることが可能性として高い。来年度から実施されるので、そういうことも含めて、行政としてあるいは保険者としてどのようにしていくのかということを考えていただきたい。
 3点目は、かかりつけ医とケアマネジャーの関係をどうしていくのかが大事な部分である。そのことについて記載はあるが、具体的な策について実際どうしていくのか。ケアマネジャーの中でも介護系の方々と医師の方々との連携は難しいとされている。そのあたりの研修をどうしていくのかが非常に大事である。
 最後に指摘だが、市内の大きな病院との連携はあるが市外の病院に入院された場合にどう連携していくのかが非常に難しい。この課題をどう考えていくかが整理されなければ、計画がなかなかうまくいかない。

事務局(神原高齢施策推進課長)

 1点目の提案の切れ目のない支援を継続していくための地域ケア会議については、堺市では高齢者支援ネットワーク会議というものを平成24年度から立ち上げ、本年度はその会議に地域ケア会議機能を加え、試行的に地域包括支援センターと連携する中で、高齢者の支援について進めていくことになっている。
 2点目の介護支援専門員の研修については勉強不足の部分もあった。今回提案している施策案はあくまでも案であり、この部分についても皆様からの意見をいただき、内容も充実させていきたい。      
 3点目のかかりつけ医とケアマネジャーとの連携の構築は、非常に大きな課題であり、各専門家の方々からの意見も聞いているところだ。どのようにしていくことが実効性のある施策につながるのか議論をしていただきたい。
 市外の病院との連携ということについては、まだ市内の病院との連携も十分できていないところがある。市外という広域的な連携ということも必要であるため、そこの部分も含めて案の中で記載していきたいと思う。

高橋(明)委員

 課題設定の中の看取りが在宅での看取りをイメージしたものか、医療機関あるいは施設での看取りをイメージしたものか確認したい。
 もうひとつはそれに関連して、具体的な施策のなかで、「終末期の患者・利用者に対する痛みのコントロールや看取りを含むターミナルケアに対応できるなどの機能が必要となります」と記載がある。痛みのコントロールと書かれると、がん性の疼痛のコントロールと一般的にはとられる。緩和医療・緩和ケアというものだと、痛みのコントロールという書き方ではなく、看取りの中に包含するという考え方もある。どのようなイメージをされているのか確認したい。

事務局(古下高齢施策推進課主幹)

 看取りについては、まず本人に、最後はどうありたいか考えていただくことが大事だと思っているが、本当に在宅でそのまま看取りができる体制になっているのかが重要な要素になってくる。当然、施設での最後というものも今後は増えてくると考えている。
 痛みのコントロールについては、ご指摘のとおりガン性疼痛の緩和である。病院等の処方による痛みのコントロールというものをイメージしているが、その中には訪問看護師や訪問してもらえる薬剤師などのチーム医療的な関与が必要になってくると考えている。

高橋(明)委員

 本人の意志に沿うことが非常に徹底化されているが、認知症に限るときわめて困難なことがあるので、認知症のところでしっかり論議いただきたい。
 在宅での看取りというのは私どもが、今現場で感ずる限りかなりハードルが高いもので、どうしても医療機関、施設になりがちだと思う。その意味でもハード整備の大前提として個室化というものをお願いしたい。施設においても看取りを行うとすれば、やはり多床室での看取りというのは考えにくいと思う。堺市では施設をどう整備していくのか考えてもらいたい。

黒田会長

 施設も含めて在宅医療を考えていかなければならない。つまり自宅ではなく、グループホームや特別養護老人ホーム、特定施設なども今後は看取りを進めていくという考え方になってくる。それらを含めて広い意味での在宅医療という考え方である。そこで在宅医療と介護の連携が必要になってくる。
 在宅医療・介護の連携を進めていくということは地域包括ケアの一部だと思うが、今後、医療と介護が連携していく、入院医療とかかりつけ医が連携していく、そうなってくるともっと広域になってくる。病院とか入院医療機関との連携については、地域医療構想のなかで検討されるものである。本年度中に策定されることになるので、その資料もまた分科会に出していただきたい。

橋本委員

 事業についての計画は素晴らしいと思っている。ただどんな素晴らしいものができても地域住民へどのように普及啓発していくか非常に難しいと思う。事業計画実施にあたっては、老人クラブのメンバーも大いにこういった事業の中で、お手伝いする必要がある。互いに支援し合って、健康寿命を延ばしていかないといけないと考えている。したがってこういった啓発の徹底に私たちも大いに利用していただきたい。各地域の老人クラブというのは年寄りのクラブがかたまっているので、お互いさまで支えあいの地域づくりというものに何とか寄与していきたい。地域の啓発ということも十分注意していただければありがたい。

黒田会長

 これからの施策を進めるのに、老人クラブや地域の住民の方々の組織と協働で取組んでいかなければならない。

豆野委員

 資料にはICTシステムと書いてあるが具体的なことは何も書いていない。私は大阪狭山市の会議にも出席しているが、大阪狭山市はもう既に動いている。堺市はどうなっているのか。

事務局(神原高齢施策推進課長)

 ICTについては、医療情報、介護情報、個人情報を含めてさまざまな情報が一元的に、ネットワークを通じて管理される。必要に応じて必要な専門家、支援者にその情報を提供するということは非常に個人情報についてセンシティブな取扱いになる。堺市では個人情報の取扱い基準がかなり厳しく、今の段階ではなかなか行政が一元的に管理して情報発信するのは非常に困難ではないかと想定している。ただ国がICTを進めるにあたって、何らかの個人情報に関する法律改正等緩和措置がされると考えており、来年度、ICTについてより具体的に施策を進めるための調査研究費等を確保し、具体的にどのように堺市として導入できるのか、メリットデメリットを含めて調査研究を進めていきたい。可能な限り迅速に対応していきたい。

豆野委員

 現在、医療では急性期病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハ病棟などの在宅復帰率を上げようとしている。そのため今後、サービス付き高齢者向け住宅の利用が増えるのではないかと想像できる。ただし、サービス付き高齢者向け住宅はよいものもあるが、質が悪いものもあると聞く。この計画ではサービス付き高齢者向け住宅をどのように位置付けているのか。

事務局(神原高齢施策推進課長)

 1番大きいのはご本人が個人情報の提供に同意していただくことで、またどこまで専門家に開示できるかということも含めていろいろ越えなければならないハードルがたくさんあると認識している。

豆野委員

 顔の見える関係が大事だと思うが、講演会や交流会などの実施を検討されているが、年1回か2回だけの開催に欠席する方もいる。情報共有システムを早めに構築されることを要望する。

高橋(明)委員

 ICTについては慎重にやっていただかないといけない。個人情報の扱いという面も大変重要だが、医療機関が持っている医療情報、診療情報等をどう介護の現場の皆さんがどう使うのかということについて共通認識がないと軽々に医療情報は出せない。是非慎重に取り組んでいただきたい。先進市の取組みを勉強をしながら、堺市は規模が大きく、様々な医療機関があるので、慎重にお願いしたい。

黒田会長

 医療と介護の連携をしながら情報共有するといえば、すぐICTというアイデアがある。ICTとは情報通信機器を使った情報共有である。それ以外に、堺市ではかかりつけ医とケアマネジャーで連携シートという紙ベースでの連携・共有の仕組みもつくっている。そういう方法もあるし、またサービス担当者会議、関係するメンバーが集まって情報交換する方法もある。ケアマネジャーがかかりつけ医のところへ赴いて情報共有する尾道方式などいろいろ方策があるが、すべて情報共有である。

岡原委員

 いいともネットさかいで連携シートをつくって、ケアマネジャーから医師へ知りたいことを聞き、医師が付け加えて返信するもので、かなり普及している。主治医の意見書を書く時にケアマネジャーにどういう状態かを問診票・予診票を書いてもらうことになっていて、それによってこの方のケアマネジャーがこの人だとわかり、関係づくりに非常に役立っていると思う。

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