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(案件7)新しい総合事業について

更新日:2015年11月4日

案件説明

(今津参事)資料6

 中等度である要介護者は、ケアマネジャー作成のケアプランに基づき訪問看護・通所介護・特別養護老人ホーム入所などのサービスを利用し、軽度である要支援者は地域包括支援センター職員作成のケアプランに基づき訪問介護・通所介護などのサービスを利用するが、今回の制度改正では、要支援1・2の方のサービスのうち訪問介護・通所介護が市町村の実施する新しい総合事業へ移行することになる。堺市は平成29年度移行の予定。
移行後のサービスについては、訪問介護・通所介護ともに【現行相当サービス】としてこれまでと同じ介護事業者によるサービスが利用できる。また、【基準緩和サービスA】としてNPO・民間事業者等によるサービス、【住民主体サービスB】として住民ボランティアによるサービスへ移行する。更に、新設サービスとして、国からは栄養改善を目的とした配食、住民ボランティア等による見守り、訪問型・通所型に準じる自立支援となる生活支援といった事業が示されている。市町村はこの参考例を踏まえ、地域の実情に応じたサービスを実施していくことになっている。
 総合事業を検討するにあたり、地域包括支援センターに協力を依頼し要支援者のサービス内容について調査を実施した。対象となるサービス利用者から5%抽出し、サービス内容を調査している。
訪問介護の内容については、利用頻度は週1回58%、週2回35%。サービス利用時間は1回60分利用が84%で大半を占めている。サービス内容は生活援助が87%、一方身体介護が7%、両方は6%と少ない。
 生活援助についてまとめたところ、93%が掃除で圧倒的に多くなっている。その他、買い物代行、調理、洗濯等と続く。訪問の身体介護については、利用者の安全を確保しながら行う見守り的援助の買い物同行、掃除・調理等が52.3%となっている。直接的な身体介護(入浴・清拭)は13.6%、通院・移動・移乗介護が9.1%であった。
 このデータを基に、総合事業の基本方針を策定。利用時間は60分が84.3%であったことから、60分のサービスを基本に制度設計し、多様なニーズに対応できるよう、その他の利用時間の区分を設ける。また生活援助のみの利用者は87%であり、サービス内容は家事代行の要素が強いため、基準緩和サービスで対応できると考え、基準緩和サービスを中心とした制度構築を進める。包括から多かった意見として、生活援助の利用者であっても精神疾患や認知症等の心身状況により、専門職による現行サービスが必要な対象者もいるというものあるため、既存の訪問介護事業者が参入できるよう単価設定を考えていきたい。
 通所介護の状況については、5時間以上を1日サービス、5時間未満を半日とし、割合は1日が40%、半日は60%となっている。サービス内容では、運動機能向上加算という専門職による運動指導の利用が1日では60%割、半日ではほぼ全員であった。食事・入浴は1日利用で多く、半日利用者ではかなり少ない状況。口腔機能向上・生活機能向上はわずかながら利用があった。
 これらを踏まえ、通所介護の総合事業への移行基本方針を示す。平成27年度介護報酬改定により介護予防通所介護費が約21%減額されたことから「介護予防はレスパイト機能を有していないため、長時間の利用は想定されていない」という解釈になり、半日が基本とされている。なお報酬減額の影響については利用時間の推移を定期的に調査し、総合事業のサービスに反映させていきたい。調査結果より運動機能向上加算の利用者が多くを占めたことから、運動機能向上に重点を置いた基準緩和サービスを中心とした制度構築を進める。また訪問介護と同様に、地域包括からの意見や入浴の利用者が多いことを踏まえ、専門職による現行サービスが必要な対象者もおり、既存の訪問介護事業者が参入できるよう単価等を設定する。
 以上から、今後の進め方として、事業者が提供するサービス(主に基準緩和サービスA)は
(1) 案を作成
(2) 研究会の設置・意見聴取(包括、介護事業者、社会福祉法人、NPO等)
(3) 本運営協議会・高齢者福祉専門分科会へ諮問
の予定である。また住民主体サービスBについては、堺市では校区福祉委員会にてサロン・見守り活動等を実施しており、校区福祉委員会等より十分に意見を聴取し、地域活動の活性化につなげていきたいと考えている。
 以下参考資料であるが、包括への調査で、要支援者が必要とするサービスについても聞き取っており、取りまとめた。現在、要支援者が利用している民間のサービスには大きく3つあり、つどいの場への参加・宅配などの訪問サービス・その他のサービス(自費での福祉用具利用や隣人助け合い等)があった。
これら以外で要支援者に必要と感じているサービスとして、家事支援・生活支援・ 外出支援・介護予防・見守り支援等があがった。現行の介護保険だけでは賄えない細かい内容になっているが、これらが地域で生活する上で必要であるという意見を多く頂いた。

 

質疑応答・意見

■口腔ケアについて

(桑原委員)

 通所介護におけるサービス内容で、口腔機能向上加算についてあまり算定されていないようだが、何か考えがあれば教えて頂きたい。

(今津参事)

 詳細は分かりかねる部分であるが、要支援1の方であり口腔機能向上加算の対象といよりは、自身である程度管理できているということだろうと思う。しかし一方で、しっかり口腔機能向上加算を付けているところもあり、本人の状態によりできていないこともある。口腔ケアは介護予防に重要なものだと考えているため、昨年度は地域包括向けで行った口腔衛生の講演を、今年度はヘルパー連絡会で行うことを検討している。

(大坪会長)

 歯科医師会等と連携し実際に指導や訪問をしてもらえるのか等も検討し、進めていく以上はしっかりとやっていかなければならないのではないか。

■服薬、残薬確認について

(鹿嶋委員)

 残薬確認等薬の面についてアンケート結果に表れていないのは、薬剤師会として情けないものである。しかし、利用者にとっては本来必要なものである。薬剤師会としては、服薬、残薬確認の徹底が国民からさほど重視されていないのは残念であるが、残薬確認等をきちんと行うだけでかなりの介護保険料軽減に繋がると考えている。そのあたりをサービスに盛り込んでほしいと考えている。

(今津参事)

 訪問介護の生活援助の中に薬の受け取り等を含めている。また生活支援にも服薬の確認や声かけをしてほしいという意見があり、希望は十分出てきている。

(鹿嶋委員)

 それがサービスとしてきちんと成り立つかは行政の考え方にかかっていると思うので、是非きちんとやってもらいたい
■総合事業移行の予算について

(大坪会長)

 総合事業に移行するにあたり、増えることは間違いないと思うが、市としてはどれくらいの予算を見積もっているのか。

(道家副主査)

 当然要支援の高齢者は増加していくので予算規模としては増大が予想されるが、国の狙いとしては基準緩和サービスで増加を抑えようという意図がある。またヘルパーの人材不足も懸念されており、国の方針としては、ヘルパーは中~重度の要介護者への支援に集中することとし、家事支援等の要支援者については基準緩和した実施主体で対応していこうというもので、堺市もこれに沿うような形で事業を構築していきたいと考えている。
■ボランティアの活用について

(玉井委員)

住民主体サービスBについて、住民ボランティアによるゴミ出し等の生活支援とあるが、ボランティアどのように募っていこうと考えているのか。校区福祉委員会等との意見交換などもあるようだが、そのあたりも含めて聞かせていただきたい。

(頼廣係長)

 堺市では校区福祉委員活動が活発に行われており、校区福祉委員会の活動の中で行われている生活支援サービスをどのように整理していくかについてはまだ検討中で、具体案は出ていないのが現状。

(大坪会長)

 ボランティアに任せられる部分、任せられない部分があり、住民への丸投げが起きてはいけない。地域の担い手の大半が就労していることを考えると、慎重に検討する必要がある。
■介護人材の確保について

(大坪会長)

堺市全体で福祉事業者が多数あるが、介護福祉士等専門職の不足が起きている。学校にも介護福祉士等を志望する学生が集まらないのが現状で、必然的に人材不足が起きている。堺市は政令指定都市であるので、人材育成も大きな課題であると思うが、どうお考えか。

(三井課長補佐)

 堺市では介護人材の確保・育成について平成24年度から取り組んでおり、当初は介護事業者と入職希望者のマッチングを中心にセミナーや合同面接会を行っていた。しかし、事業者の需要に応えられる人数が集まらず、開催しても人が来ないという事が続いた。平成26年度より方向転換し、人材確保のためには介護業界の魅力を上げることが先決であろうということで、そのためには入職した方が定着、成長し職場を活性化することにより、また新しい人が入るという好循環が大事であると考えた。
まずは個々の介護事業者の職場環境改善から取り組むため、平成26年度に堺市内の事業者へのアンケートを実施した。ここからは、介護事業所を「働く人の職場」と考えた時に、人材のマネジメントや上司と部下のコミュニケーション不足、採用前に条件や職場の情報が十分伝達されていないことから、実際に働いた時に落差を感じて離職してしまうといった課題が明らかになった。こうした点を事業者自身が自覚し、それぞれの事業者が職場の環境改善を進めていってほしい。そのために、課題を解決に導く手法についてのワークショップ等も開く予定である。また定着への対策として、事業者間の繋がりを作るための研修開催や、取り組みの成功例のホームページでの発信にも取り組んでいる。

(大坪会長)

 今回大幅な介護報酬減額があり、昔からある社会福祉法人は内部留保をそれなりに持っており何とか乗り切れるのだろうが、新しい社会福祉法人となると内部留保を持たないまま今回の報酬改定に直面し、人件費を削らざるを得ない状況になっている。処遇改善交付金で15千円付くがそれも全て職員に渡るかどうかは分からない。このようなことは、介護業界全体の問題ではないのかと思う。特に景気が良くなると福祉業界から人がいなくなるが、少し景気が良くなってきた今、介護福祉士の不足は本当に深刻である。行政が力を入れて直球でこの問題に取り組まなければ、施設は立ち行かず、地域に大きな影響を与えてしまう。検討できる場があるのならば、是非取り上げてほしい。
■総合事業の制度全般について

(宮田副会長)

 総合事業について、私は懐疑的である。受け皿があるのか、基準を緩和して大丈夫なのか、住民主体のボランティアに任せて本当に問題ないのかと思う。国が考えるようには進まないと思う。定期巡回随時対応型サービスについても実際定期はあっても随時はなく、今一つである。ただ期待していないわけではなく、ヘルパーへの制限(ご飯は作ってよいがおせちはダメ、というような)がなくなって、ある程度ごみ出しなど柔軟にできるのではないかといったことは考えられる。ただ根本的には心配しており、慎重な検討が必要ではないか。また受け皿については懸念が残るところである。平成29年度までに、住民が混乱しないよう十分に準備をして頂きたい。

(大坪会長)

 活躍の場が広がる事業として、各種ボランティア団体、NPOや老人クラブから期待されている面もある。だからこそきちんと制度を整えておかないと、期待倒れになりかねず、慎重に進めていかなければならない。この事業を検討する専門部会はつくられるのか。

(今津参事)

 研究会という形ではあるが、各種団体から意見を受けて具体的な話をしていきたい。単価についても、提示して拒否感があればもちろん再考が必要であるし、意向を聞きつつ担い手の確保も進めていきたい。

(鶴谷委員)

 以前から申し上げているが、自分と同じような年齢の人でもたくさん介護を受けておられる。普段お元気な方もその中にはたくさんおられるのだが、半年に1回の認定更新の訪問の時だけ、「しんどい」と言っておくと大半の方が言っている。なぜと聞くと、「1回返してしまうと、次しんどくなった時に貰いにくいから」という答えが返ってくる。お金を使うのならば元気な老人をつくってほしい、というのが私の意見である。一時的に病気になる方もいるが、多くの方はまた元気になっている。であれば、元気になれるような方法を取っていただきたい。
私でも、週に1回掃除に来てもらえるだけで随分楽である。となると、ついそれに頼ってしまう。今のままでは、いくら介護保険料を上げても足りなくなるのは当たり前。生活支援もよい仕組みだとは思うが、制度が前と同じようなものであれば結局同じである。その点しっかりと考えて頂きたい。

(大坪会長)

素晴らしいご意見、ありがたい。「利用しないと損」というような話がある一方、「返すと次が受けにくい」というのもまた事実であろう。だからこそ、「元気になれば返して、また必要になればいつでも受けられる」というシステムをつくるのが本当の課題であり、日本の介護保険制度そのものの課題である。そういう意味でも今回の支援総合事業は、市が弾力的に運用できるという点において好機なのではないか。前向きに利用できるシステムにしていくことは非常に大切である。

(今津参事)

 必要なサービスを必要な時にスピーディーに受けられるよう、今度の新しい事業では基本チェックリストを等利用しながら、早く利用できるサービスの方法についても考えている。先ほど言われたように、高齢でもお元気な方は担い手に回って頂けるようなことも検討している。
■サービス区分について

(高橋委員)

 有償ボランティアとあるが、住民主体なのか、民間利用なのか。

(大坪会長)

 基準緩和サービスAと住民主体サービスBがあるが、これは初めから明確に分かれるものなのか。

(今津参事)

 Aについては、明確に事業者へお願いするということになる。Bについては、従来よりボランティア活動をしっかりとされているところとは、従来の活動との兼ね合いが難しい部分も出てくるのではと考えている。国も「補助」という考え方をしており、実際に検討しているのは校区福祉委員会等の既存の活動を補助することにより担い手を確保することになるのではないか。Aについては「サービス」と位置付けてしっかりとケアマネジメントしていける内容にしたい。
■制度移行の周知について

(上野委員)

 総合支援事業の対象は要支援1,2の方がほとんどなので、地域住民への周知を早くからしていかないと混乱を招くのではないかと懸念している。元気なうちは使わなくてもいいが、万が一の時は支えるものがあるということを住民に理解してもらうのが鍵であると思う。周知の面を特にしっかりと行って頂きたい。
■移行のスケジュールについて

(高橋委員)

 今後の進め方について、平成29年度には実施するわけだが具体的なスケジュールは出ているのか。

(今津参事)

 平成27年度には大枠を決め、28年度は周知・調整の期間としたい。調整の段階で担い手が見つからないということがあればスケジュールの延長もやむを得ないとは思うが、基本的には今年度中に大枠は決めたいと考えている。

(大坪会長)

 いずれにせよ平成29年度から開始になるので、もうあまり時間がない。研究会はできるだけ早く立ち上げ、具体的な事案に繋げていって頂きたい。
 またこれから色々な意見を多くの機会で頂いて、この重要な新しい総合事業をつくっていきたい。

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