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第1章 改革の必要性

更新日:2012年12月19日

1 改革の前提

 本市では、他市に先駆けて行財政改革に取り組み、今日の国・地方の厳しい財政環境下においても、全般的に財政運営の健全性を堅持しています。
 しかしながら、日本社会全体を取り巻く環境は急激に変化しています。米国におけるいわゆる「サブプライムローン」問題※1に端を発する最近の世界的な金融資本市場の混乱が市内経済、ひいては市の財政運営に及ぼす影響も懸念されます。また、今後の国における税制改革や地方行財政改革の動向も見据え、地方交付税※2の削減等について柔軟に対応していく必要があります。加えて、高齢化等の急激な進展と生産年齢人口※3の減少【グラフ1から4】は、福祉・医療費等の社会保障費の増大や今後の税収の減少等、財政運営にいっそう大きな影響を及ぼすことが予測されます。更に、昭和40年代の人口の急激な増加の際に整備した公共施設等の大規模改修・更新の時期が目前に迫っています。こうしたことから、今後の本市の財政状況はさらに厳しさを増すと考えられます。

本市の年齢区分別人口推計

年少(0から14歳)人口推移のグラフ【グラフ1】

近年、出生数が減少しており、少子化が進むことから、14歳以下の年少人口は、今後も逓減していくと予想されます。

生産年齢(15から64歳)人口推移のグラフ【グラフ2】

団塊の世代※4等の人口規模の大きな世代が老年人口層に移るため、15から64歳の生産年齢人口は、今後も急速に減少するものと予想されます。

老年(65歳以上)人口推移のグラフ【グラフ3】

団塊の世代等の高齢化に伴い、65歳以上の老年人口は、今後も急増するものと予想されます。

75歳以上人口推移のグラフ【グラフ4】

医療・福祉制度等の検討の際に重要となる75歳以上の人口についても、高齢化の進展により、急増していくものと予想されます。

各推計値の推計手法

推計人口(1)(低位)…転出入均衡ケース
  • 社会増減を0とし、出生と死亡による自然増減のみの人口増減で推計しています。
推計人口(2)(中位)…転入超過維持ケース
  • 本市では平成17から21年の間、社会増(転入超過)傾向にあり、この社会増の傾向が今後も維持・継続すると仮定して推計しています。
推計人口(3)(高位)…出生率段階的向上ケース
  • 推計人口(2)中位推計をベースに、厚生労働省が試算した「国民の出産への希望が実現した場合の出生率」を準用し、今後30年間に合計特殊出生率※5が1.75まで段階的に向上したとして推計しています。
※参考値…転出超過ケース
  • 近年の社会増加傾向が終わり、社会減(転出超過)となっていた平成12年から平成17年の水準で、今後は推移すると仮定して推計しています。

※この推計は、コーホート法※6により本市が独自に推計したもので、政策要因等は加味していません。

 こうした課題は、程度の差はあるものの、自治体に共通した課題であり、以下、財政状況について、他の政令指定都市との比較を行います。
 地方自治体の財政破綻をきっかけに、「地方自治体の財政の健全化に関する法律」に基づき、地方財政の健全度を指標化し、財政破綻を防止すること等を目的に「健全化判断比率(4指標)」として、実質赤字比率※7、連結実質赤字比率※8、実質公債費比率※9、将来負担比率※10が設定されました。
 これらの指標においては、本市は相対的には健全な状態にあります【表1】【グラフ5、6】。

健全化判断比率(4指標)の状況【表1】

  平成19年度 平成20年度 平成21年度 早期健全化基準(参考)
実質赤字比率 -
赤字ではない
(+901百万円)
-
赤字ではない
(+973百万円)
-
赤字ではない
(+714百万円)
11.25%
連結実質赤字比率 -
赤字ではない
(+4,176百万円)
-
赤字ではない
(+4,472百万円)
-
赤字ではない
(+3,982百万円)
16.25%
実質公債費比率 7.1% 6.9% 6.3% 25.00%
将来負担比率 70.7% 81.1% 77.8% 400.00%

(単位:%)

実質公債費比率の政令指定都市間比較

実質公債費比率の政令指定都市間比較のグラフ【グラフ5】(平成21年度決算)

将来負担比率の政令指定都市間比較

将来負担比率の政令指定都市間比較のグラフ【グラフ6】(平成21年度決算)

 しかしながら、毎年入ってくる市税等の収入を経常的な支出にどの程度充当しているかという地方自治体の財政運営の弾力性・健全性を示す指標として、比率が高いほど経常余剰財源が少なく硬直化していることを示す経常収支比率※11【グラフ7】は中位(10位)にありますが、96.8%と硬直化した状態です。
 弾力的な財政運営を進めるためには、経常的経費(固定経費)の抑制に努め、不測の事態にも対応可能な財政体質に改善する必要があります。

経常収支比率の政令指定都市間比較

経常収支比率の政令指定都市間比較のグラフ【グラフ7】(平成21年度決算)

 とりわけ、人件費に関しては、組織のスリム化と安定した財政基盤の確立を図るため、要員管理計画を策定し、要員の最適化に取り組んできました。その結果、普通会計※12における人口1万人あたりの常勤職員数は、計画当初(平成19年4月)の9位から5位(平成22年4月)【グラフ8】となるなど、職員数の削減を図ってきました。しかしながら、一方で、普通会計の歳出総額に占める人件費の割合は14位(平成21年度決算)【グラフ9】と相対的に高い傾向にあります。退職手当等の一時的な増加や各政令指定都市の財政規模の違いはあるものの、職員数に占める非常勤職員数等の比率等、人件費の分析を行い、総人件費の削減に取り組む必要があります。

人口一万人あたり職員数(普通会計)の政令指定都市間比較

人口一万人あたり職員数(普通会計)の政令指定都市間比較のグラフ【グラフ8】(平成22年4月1日現在)

普通会計歳出総額に占める人件費割合の政令指定都市間比較

普通会計歳出総額に占める人件費割合の政令指定都市間比較のグラフ【グラフ9】(平成21年度決算)

 また、普通交付税の交付算定基準となる財政力指数※13は、地方公共団体の財政力の強弱(大きいほど財政力が強い)を示す指標として用いられていますが、12位【グラフ10】であり、引き続き、人口誘導や企業誘致等の施策を展開し、税源涵養※14を強化する必要があります。

財政力指数の政令指定都市間比較

財政力指数の政令指定都市間比較のグラフ【グラフ10】(平成21年度決算)

 さらに、公営企業会計※15、特別会計※16、外郭団体などの第三セクター等も含めた連結ベースの負担を示す「将来負担比率」も重要な指標であり、第三セクター等が自治体財政運営に与える影響は今まで以上に大きくなっています。
 現在、本市は一定の健全性は保たれていますが、今後とも全会計での黒字経営に向けた改善が必要です。

2 策定のねらい

持続可能な行財政運営の確立

  • 市民と行政が一体となった都市経営の実現
  • 弾力的な財政運営の構築

 前述の「1改革の前提」を踏まえ、今後の厳しい財政状況や多様化する市民ニーズに的確に対応していくためには、まず、持続可能な行財政運営を確立しなければなりません。
 そのためには、市民の市政への参画と市民からの信頼は不可欠であり、それを基盤として、市の仕事の改善・改革に継続的に取り組み、弾力的な財政運営の構築を図っていきます。

1)市民と行政が一体となった都市経営の実現

 市民をはじめとする多様な地域主体が、計画、実施、評価のあらゆる段階において、自主的・自立的にまちづくりに参画する仕組みを構築し、市民協働を一層推進します。また、これまでの取組を進化させ、地域の課題解決や活性化を図るため、事業性に着目した多様な地域主体との協働や起業の促進など、市民、企業、行政がそれぞれ役割分担しながら、様々な手法で公共を担う仕組みづくりを進めます。

2)弾力的な財政運営の構築

 今後とも本市が持続的に発展していくためには、高齢化等の社会経済情勢や不測の事態への対応も含めた弾力的な財政基盤を構築しなければなりません。今後、行財政改革を進めていくためには、まず職員一人ひとりが、市民の視点に立って、それぞれの仕事を総点検し、高いモチベーションをもって改革に取り組むことが不可欠です。そのために、仕事の改善・改革を進めるための仕組みを構築し、継続した改革を断行することにより、弾力性の高い財政体質への転換を図り、限られた資源の最適化を進めます。

 本プログラムは、生産年齢人口の減少等を見据えつつ、持続可能な行財政運営の確立を図ることにより、本市マスタープランに掲げる「市民の元気・幸せ」が20年先、30年先も発展していくための、期間内の具体的な取組を明らかにすることを目的に策定するものです。

3 取組期間

平成23年度から平成25年度

 取組期間は、平成23年度から平成25年度までの3年間とし、実現に向けた個別の取組(第4章参照)については、今後、各年度の予算編成等の中で、さらに具体化するとともに、追加・変更を行い、改革を推進します。

4 推進体制

 各局においては、局運営方針に行財政改革の目標設定を行い、個別取組を推進します。また、市長、副市長、局長等で構成される行革推進本部会議において、その進捗状況や今後の行財政改革の課題を整理することにより、実効性の高い行財政改革を推進します。

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