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第4期 中期目標

更新日:2024年2月20日

前文

 地方独立行政法人堺市立病院機構(以下「病院機構」という。)は、平成24(2012)年4月に設立され、平成27(2015)年7月には現在地に移転し、堺市立総合医療センターを開院した。堺市医療圏初の救命救急センターを設置し、地域(ここでは基本的に堺市全域のことをいう。以下同じ。)で求められる救急医療及び高度医療等を提供することで医療水準の向上を図り、安定的かつ継続的に市民の健康維持及び増進に寄与してきた。
 第3期中期目標期間においては、新型コロナウイルス感染症に対し、市内唯一の公立病院でありかつ感染症指定病院として、数多くの患者の受け入れやトリアージ病院としての役割を担うなど全職員が一丸となって対応に当たり、地域の医療機関とも連携、役割分担をすることで数々の波を乗り越えてきた。一方で、本市において、新型コロナウイルス感染症の急拡大時には、入院患者の急増等に伴い、救急医療体制を含め、厳しい医療ひっ迫が生じた時期もあり、今後の新興感染症発生時等には、行政と病院機構、地域の医療機関が連携し、速やかに体制が整備できるよう事前に備える必要があるといった課題も浮き彫りになった。また、より適切な医療を患者へ提供することができるよう、デジタル化の推進と近年相次ぐ医療機関へのサイバー攻撃に対する対策を徹底することが求められている。
 令和2(2020)年度収支においては、新病院建設により悪化に転じていた経営状況を、新型コロナウイルス感染症に対応しながらも、効率的・効果的な病院運営を行う事で黒字化を実現した。
 近年、医師不足や看護師不足、医師の働き方改革の導入、高齢化への対応など医療を取り巻く環境が一層厳しさを増している。そのような中、第4期中期目標では、公立病院として求められる新興感染症への備えや地域医療構想を踏まえた役割を果たし、かつ更なる経営強化に取り組むことで、医療、保健、福祉、教育等の行政全般等と連携・協力しながら持続可能な地域医療提供体制を確保することが求められる。また、大阪府全体の医療の視点からも、広域連携にも貢献し、堺市二次医療圏を支える中核病院として、地域の医療機関等との役割分担と連携強化を図り、持っている機能を最大限に活かし、市民の皆様の命と暮らしを守り、そして、本市の健康福祉を支える役割を担うことが求められる。
 市民の健康寿命の延伸、生活習慣病の発症予防等に寄与し、疾病予防の充実・強化、健康を支える地域社会の形成の一端を担い、市民や関係機関から一層信頼され、市民にとって身近な病院となることを期待する。
 本中期目標をもとに作成される中期計画については、総務省が策定した公立病院経営強化ガイドラインに基づく公立病院経営強化プランを兼ねるものとする。なお、中期計画策定にあたっては、適切な数値目標を設定し、提供した医療の質や機能、他の病院との連携等を検証・評価することとする。
 これらのことを踏まえ、ここに病院機構に示す基本的な方針として第4期中期目標を定める。

第1 中期目標の期間

 中期目標の期間は、令和6(2024)年4月1日から令和10(2028)年3月31日までの4年間とする。

第2 市民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項

1 市立病院として担うべき医療

(1) 救命救急センターを含む救急医療
ア 新興感染症等の感染拡大時も含め、救命救急センターの円滑な運営に努め、二次救急で対応が困難な重篤な患者に対して、24時間365日、三次救急医療を提供すること。
イ 市内の救急告示病院との適切な役割分担のもと、24時間365日、二次救急医療体制の維持に取り組み、二次・三次の一体的運用による救急医療の中核的役割を果たすこと。
ウ 堺市消防局の救急ワークステーションとの連携によりメディカルコントロール体制において中心的な役割を果たすこと。
エ 精神科医によるコンサルテーションのもと、適切な医療提供につなげることができる体制を整え、積極的に精神科合併症救急患者を受け入れること。

(2) がんへの対応
ア がんは、市民の疾病による死亡の最大の原因であり、その対策が市民の生命及び健康にとって重大な問題となっていることから、科学的な知見に基づく適切で良質な医療提供を行うこと。また、地域がん診療連携拠点病院としてがん診療の質的向上に努め、地域の医療機関と連携し、がん相談や情報提供を行うこと。
イ 本市が実施するがん対策等に関する施策に協力し、がんの予防と早期発見に寄与すること。

(3) 高度・専門医療
ア 脳血管疾患、心疾患の治療については、地域の医療機関との連携と役割分担に基づき、救命救急センターを有する施設として必要な高度・専門医療を提供すること。
イ 糖尿病の治療については、食事、運動、薬物療法により適切な医療提供を行うこと。
また、合併症等重症化予防の医療に取り組むこと。

(4) 小児医療
 地域の医療機関との連携と役割分担に基づき小児医療を提供し、小児救急医療については、初期救急医療を担う堺市こども急病診療センターや他の病院群輪番病院との連携と役割分担のもと、24時間365日、二次救急医療体制を確保すること。

(5) 周産期医療
 地域の医療機関との連携と役割分担に基づき周産期医療を提供し、二次・三次の一体的な運用を活かし、緊急的に対応が必要な出産前後の方に対して適切な医療を提供すること。

(6) 感染症医療
ア 第一種及び第二種感染症指定医療機関として、感染症患者の受入体制の維持、感染症に関する関係法令や本市の計画等に基づく適切な対応など、地域の感染症医療における中核的な役割を果たすこと。
イ 新興感染症等に備えた平時及び感染拡大時の、必要な人材の育成と確保、病床やスペースの確保、防護具の備蓄、本市内全体の体制整備等を行政等と連携しながら図ること。

(7) 災害その他緊急時の医療
 災害その他緊急時には、災害拠点病院として、堺市地域防災計画等に基づく対応を的確に行い、自らの判断で医療救護活動を実施すること。また、大規模な災害や事故の発生に備え、市内の災害協力病院等と連携した訓練の実施と物資の備蓄等を行うこと。

2  信頼される医療の提供と患者サービスの向上

(1) 医療安全対策・感染対策の徹底
 医療事故に関する情報の収集と分析を行い、医療事故の予防及び再発防止に取り組むこと。また、院内感染防止対策の確実な実施等により医療安全対策を徹底すること。

(2) 医療の質の向上
ア 診療科の枠を越えた多職種が連携するチーム医療や医療センターの機能の充実、強化を行うこと。また、クリニカルパスの充実による医療の質の標準化など、医療の見える化に取り組むこと。
イ 医療の発展に貢献するため、臨床研究及び治験に積極的に取り組むこと。

(3) 患者の視点に立った医療・サービスの提供
ア 医療の中心は患者であることを常に認識し全ての患者の権利と人格を尊重し、インフォームド・コンセントの徹底や患者の視点に立った環境整備に努め、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)にも資するよう、心の通う医療を提供すること。また、地域で果たす役割や医療機能等について、患者ニーズに合った情報発信を積極的に行うこと。
イ 患者が満足し、患者に信頼される病院をめざし、患者の視点に立ったサービスを提供すること。

3  地域への貢献

(1) 健康寿命の延伸に向けた予防事業の推進
 市民の健康維持や健康寿命の延伸に寄与するため、緊密に行政や企業、学校、地域住民と連携、協力し、疾病予防の推進に努めること。また、特定健康診査やがん検診をはじめとした健康に関する保健医療情報の発信及び啓発に取り組むこと。

(2) 地域の医療機関等との連携推進
ア 地域医療構想を踏まえ、公立病院として担うべき医療機能を発揮し、地域での役割を果たすため、紹介された患者の迅速な受入と患者に適した医療機関への積極的な紹介や開放病床の利用促進を行い、地域の医療機関との連携や協力を推進すること。
イ 地域医療構想における推計年である令和7(2025)年及び中期計画最終年度である令和9(2027)年度における機能ごとの病床数を示すこと。
ウ 地域医療構想や新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえ、地域の医療機関間の役割分担と関係機関との連携強化を図るなど公立病院として果たすべき役割と機能を発揮すること。
エ 在宅医療について、地域包括ケアシステムの推進に向け、関係者との情報共有やネットワークの構築を図るなど、公立病院としての役割と機能を果たし、地域に貢献するよう積極的に努めること。また、地域連携機能を強化し、医療関係者だけでなく介護関係者との連携関係の構築に取り組むこと。
 
(3) 医療従事者の育成
 医療専門職の養成や医療従事者の育成に貢献すること。

第3 業務運営の改善及び効率化に関する事項

1 効率的・効果的な業務運営

(1) 自律性・機動性・透明性の高い組織運営
ア 適切な権限委譲と効率的な業務運営を図ること。また、経営に関する企画立案機能の更なる強化を図り、各部門の業務分析や損益分析等により患者動向や医療需要等の変化に即した効果的な医療提供体制の整備に取り組むなど、戦略的な病院運営を行うこと。
イ 外部評価等を活用し、効率的かつ効果的であり、また市民目線を活かした業務運営改善を組織全体で図ること。

(2) 法令・行動規範の遵守(コンプライアンス)
 患者の権利を尊重し、医療法をはじめとする関係法令を遵守することはもとより、行動規範と倫理に基づく適正な病院運営、個人情報の保護と管理の徹底を行うこと。

(3) やりがいを感じ働くことができる職場環境の整備と運用
 職員の業績や能力を的確に反映した客観的な評価制度等を整備、運用し、職員のモチベーションの向上や人材育成を行うこと。また、人材の確保、定着にも資するよう研修機会を確保するなどの環境整備を行い、職員のスキルアップを図ること。

(4) 働きやすい病院運営
ア 医師等の働き方改革を踏まえ、適切な労務管理を行うこと。また、法令を遵守し、タスクシフトの推進等により時間外労働の縮減を図ること。
イ 職員の健康を守り、全職員が能力を最大限に発揮できるようワーク・ライフ・バランスを推進し、働きやすい病院をめざし、持続可能な病院運営に取り組むこと。また、家庭と仕事を両立し、子育てや介護をしながら安心して働くための支援の充実に努めること。

第4 財務内容の改善に関する事項

1 安定的な経営の維持

ア 公立病院として担うべき政策医療の分野において、十分な努力を行ってもなお診療収入をもって充てることができない経費は、本市の一般会計から運営費負担金として交付されていることを十分認識したうえで、中期計画に反映し、病院事業全体として効率的経営、収益的収支の向上に努め、自立した運営を図ること。
イ 収入の確保と効果的な費用節減に取り組み、各年度の収支計画を作成すること。
また、計画期間末時点における経営指標に係る数値目標を定め、達成に努めること。
ウ 施設・設備の整備、更新については、その必要性を十分検討の上、長期的な視点で計画的に行うこととし、収支計画に反映すること。特に医療機器の導入や更新については、費用対効果等を検証した上で計画的に行うこと。

第5 その他業務運営に関する重要事項

1  デジタル化への対応

(1) 医療情報システムの安全管理
 医療情報システムに対する外部からのサイバー攻撃へのセキュリティ対策を徹底する等、十分な安全対策をとること。また、セキュリティポリシーを浸透させ運用するなど、組織的なITガバナンスの確立と強化を図ること。

(2) デジタル化の推進
ア 地域の医療機関との医療情報の連携や医療の質の向上、働き方改革の推進、病院経営の効率化推進のため、デジタル化の推進に努めること。
イ マイナンバーカードの健康保険証利用について、医療保険事務の効率化や患者の利便性向上を踏まえ、患者への周知等、率先して利用促進に努めること。

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健康福祉局 健康部 健康医療政策課

電話番号:072-248-6004

ファクス:072-228-7943

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