【視察レポート】利休生誕500年記念事業（2022年12月10日）

フェニーチェ堺の玄関先の大きなクリスマスツリーが青空に映えて、家族連れや訪れる人たちが記念撮影をして立ち止まっています。そこに、黄色の上着の堺観光ボランティア協会のみなさんの声が重なります。おもてなしの声かけがあちこちから届き、ボランティアさんたちの層の厚さを感じます。
　
　
公開講演会の緞帳があくと、舞台から三味線の音が力強く響きました。もののはじまりなんでも堺とされますが、三味線も堺発祥だとか。司会は協会の方が担当されています。「秀吉に天下を取らせた男 千利休」と題して、作家の伊東潤さんが軽妙な語りで1時間。休憩を挟んで公開パネルディスカッション「堺と茶の湯」が1時間半。博識のパネラーも個性的で、予定調和でない緊張感があり、ユーモアもあり、興味深く耳を傾けました。
　
　
利休が望んでいたのは、武力や争いではなく、文化によって天下静謐であること、それを実現するために茶の湯をいかしました。自由都市・堺から、千利休は生まれ、その街は世界への扉が開かれている数少ない街でありました。文化を支えたのは経済でもあったと伊東先生が解釈されているのを聞きながら、現在の経済と文化の関係に想いを馳せ、堺の街に埋め込まれた記憶や願いに触れたいと思いました。
　
　
（令和4年度堺市文化芸術活動応援補助金採択事業）