【視察レポート】茶室における和紙文化~湊紙を用いた写真表現/ミュシャの生きた時代の写真術~Classical Photogragh®︎の魅力~(2022年12月11日)
更新日:2023年2月10日
茶室における和紙文化~湊紙を用いた写真表現
12月上旬、古典写真技法を用いた写真の展覧会が2つ同時期に開催されました。
日曜の午後、まずはさかい利晶の杜、三千家茶室が会場の「侘び寂び」へ。堺発祥とされる漉き返しの和紙(再生紙)「湊紙」に注目し、それが使われてきた茶室空間において、和紙を用いた写真作品を展示する企画です。
写真のテーマは、主催者がかつて陸路で旅したシルクロード。三つの茶室が連なる大広間の周囲に巻物が広げられており、旅路に沿って移り変わる風景が順にプリントされています。移動しながら観ていくと、まるで小さな旅をしているようです。床の間には、旅で入手したという古代ガラス器の写真が掛軸に表装され掛けられています。
写真は湊紙に鶏卵を塗った印画紙に紫外線で露光するという古典技法を用いたもの。趣向にも茶室にもしっくりと馴染んでいます。この日は、和服の主催者による抹茶の振る舞いもあり、旅のお話も丁寧にしてくださいました。旅人であり写真家である主催者が亭主を務める、一風変わった茶会に招かれたような鑑賞体験でした。
ミュシャの生きた時代の写真術~Classical Photogragh®︎の魅力~
続いて、堺 アルフォンス・ミュシャ館、ギャラリーつつじが会場の「ミュシャの生きた時代の写真術~Classical Photogragh®︎の魅力~」へ。
こちらは様々な古典写真技法で作品制作する作家たちのグループ展です。撮影、プリントに技術と手間を必要とする技法にも関わらず、あえてそれを用いることで生み出される作品は、一言で写真作品とは言いがたい奥行や存在感を感じ、じっと見入ってしまいます。単なる懐古ではなく、現代だからこそ際立つ価値を多くの人と共有したいという思いが伝わってくる企画でした。
古典写真というそれほど知られていない分野で活動をしていく上で、異分野と掛け合わせた展覧会で出会いの可能性を広げたり、展覧会の開催時期を合わせて集客の相乗効果を狙ったりするアイデアは、同じような条件で活動している人々のヒントになるのではないかと思いました。
(令和4年度堺市文化芸術活動応援補助金採択事業)
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