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【ニュースレター】堺アーツカウンシルニュースレターvol.18(2025年6月10日)

更新日:2025年6月11日

目次

【プログラム・ディレクターからのご挨拶】「堺の文化芸術は日常へ、地域へ、世界へ」

 気がつけば季節はめぐり、空の色も風の匂いも変わりました。世界の状況がつぶさに知らされる現在。戦争や災害などがあり、当たり前の暮らしが尊いことに気づきます。そして日常的にフェイクニュースも流れてきます。自分の考えはさまざまな情報に影響されていると自覚すればするほど、膨大な情報とどう付き合えばいいのか、悩ましいものです。そうした時代にあって、自分の身体を通して表現することの大事さを思います。表現できたことで自分を確かめたり、誰かの表現を受けとめる感覚を養います。そんな場に多様な人たちがいれば、正解がすぐにみつからなくても、お互い認め合えるよう工夫していくことであきらめないでいようと思えます。文化芸術の役割の一つはそれぞれがそうした感覚を耕すことにあると考えます。

 さて、令和7年度の堺市文化芸術活動応援補助金は35件の事業が採択されました(申請54件)。はじめて申請された方もいて、堺での文化芸術活動の裾野の広さを感じます。地域に根ざした活動に、こどもや子育て中の方、障がいのある方など、文化芸術へのアクセスが難しい方にも参加いただきたいと心から願っています。

 また、堺アーツカウンシルでは、「地域とアート」を学ぶ勉強会や交流会「さかいとあーと井戸端かいぎ」を定期的に開催しています(無料)。文化芸術活動を紹介するコーナーも設けますので、催し物を企画されている方はチラシなど持ってご参加ください。
 文化芸術活動に関する相談事があれば堺アーツカウンシルにお気軽にご連絡ください。市役所でお目にかかれる日程や催しをX(旧Twitter)にあげています。ぜひフォローしてください。
 文化芸術をきっかけに、多様な人たちが出会い、堺にユニークな場がたくさん生まれますように。

(PD 上田假奈代)

【補助金事業のミニ報告会+ 交流会レポート】補助金事業をやってみて見えたこと、 気づいたことを話しあってみよう

 3月6日、「補助金採択者ミニ報告会+交流会」を開催しました。令和6年度の補助金を活用して活動を終えた6つの団体が、それぞれ10分間のプレゼンテーションを行いました。発表者の皆さんは、自らの経験をもとに、成功体験や課題、継続して見えてきたことなど、やってみたからこそわかったことを話されました。背景や経緯があって具体的で実践的な内容に参加者のみなさんも頷きながら集中していました。

 今回の参加者は、応援補助金に関係する方が多いなか、「よくわからないけど興味があって来た」という市民の方もいらっしゃいました。そうした参加も大歓迎です。補助金申請を考えている方も、考えていなくても文化芸術活動に興味のある市民の皆さんにもぜひ聞いていただきたい内容が盛りだくさんでした。補助金事業の実際の活動を知ることで、その魅力や可能性に気づき、「自分も挑戦してみよう」と感じられたかもしれません。事業計画を考えている方にとっては、ヒントを得られる貴重な学びの場となったと思います。

 休憩をはさみ第二部では、交流会を実施しました。全員で輪になって座り1分ずつ自己紹介を行い、その後「協働」「連携・コラボ」「成熟期」「多様性」「企画」「お金」といったテーマ別に6つのテーブルに分かれました。2セッションにわたり進行役にPD・POも入り、対話を深めました。初めて会う方同士も自然と会話が弾み、関係性を築くきっかけとなる場となりました。

 採択者ミニ報告会は今回が初めての試みでしたが、会場の盛り上がりや参加された方の感想から、今後もこのような場を継続し、補助金に関心のある方はもちろん、地域での文化芸術活動に興味を持つ市民の皆さんにも参加いただける場にしていきたいと思います。

(PO 青木敦子)

【レポート】「企画担当者のためのワークショップ実践研修」

 堺市内の公共施設・機関に所属する事業企画担当職員等を対象とした研修事業は、堺文化芸術推進計画で掲げる「社会包摂」の考え方を身につけ、地域の様々な主体(教育・医療・福祉・観光・国際交流・まちづくり)と連携したアートワークショップ等の事業を企画できることを目的とします。また、近年では公共施設の管理運営は民間会社等が指定管理者になり、多様化する地域性や社会的ニーズに応えています。しかし、指定管理者同士は競合関係でもあるため、経験や学びを共有できる機会はほとんどありません。そこで堺市の呼びかけにより、市の文化芸術を振興する堺市文化振興財団と堺アーツカウンシルが協働し、立場を超えた超域的な研修事業を令和4年からスタートしています。

 一年を通して毎月一回程度実施。前半は座学・模擬実践から基礎的な知識を学びます。後半は実践編として受講生同士でチームに分かれ、こども食堂、福祉施設等の現場に赴き、ヒアリングから課題を聞き出し、それに適したアーティストを選定し、打ち合わせを重ねながら、アートワークショップを実施します。令和6年度は、文化施設職員、市役所職員、堺観光コンベンション協会、市立人権ふれあいセンターの職員12人が受講しました。

 中区東深井のこども食堂「つどいば食堂 ふらっと」では「参加するこどもが減少してきて」という声を踏まえ、世界中でこどもとアート活動を行う美術家の井上信太さんに依頼したところ、「”だんじり”で紙芝居を作ろう」と提案を受けました。当日はこども食堂に来たことのない家族も集まり、みんなで物語の登場人物になって演じる工作&即興パフォーマンスになりました。

 市立健康福祉プラザ「視覚・聴覚障害者センター」では「視覚障がいの方は、家族が心配なのか料理をさせてもらえないことがある。料理講座は好評」という声を踏まえて、料理ワークショップを考えました。ただ「そもそも私たち自身が、視覚障がいの方と触れ合えていない」ことから、視覚障がい者で毎週一回ゲストハウスでその場にいる人と料理を作る俳優の中川圭永子さんと、「共有空間の創造」をテーマに活動する美術家の小山田徹さんに依頼。視覚障がいの方々と研修受講生による交流プログラム「おにぎりにぎにぎ会」を実施しました。「料理教室じゃありません。みんなで作って、みんなで食べます」。中川さんの声かけから始まり、受講生が参加者から包丁さばきを教わったり、手渡しで配膳を行うなど、一緒に行う工夫が創造的な時間と空間になりました。

 「さかいっこひろば」では、「父親がもっと楽しんでこどもに関わってほしい」という声から、その場にいる人も自然と身体を動かしたくなるようなジャワ舞踏の踊り手・佐久間新さんを起用。音楽は即興に強い鈴木潤さんに依頼しました。当日は会場にいる人たちがリラックスし、動きがたちあがっていくワークショップを午前と午後に1時間ずつ行いました。

 終了後にはワークショップ自体のふりかえりとともに、コーディネイターとして何を気づいたのか、学んだのかという視点でのふりかえりも行います。それぞれの仕事場で活かしていくために全体でも共有します。

 (PO 中脇健児)

プログラム・オフィサーのリレーコラム

 令和7年度から新しく堺アーツカウンシルに加わった梅山晃佑と申します。学生時代に地域でのアートプロジェクトの運営に関わったことをきっかけに(作家&運営スタッフの両方)、アートが人に与える力に対して関心や可能性を感じ、様々なプロジェクトをおこなってきました。

 出身は芸術系ではなく、教育系(主に生涯学習や社会教育)です。大人を対象に仕事でのスキルアップや趣味&地域活動などの自己実現的な学びの場づくりなどの現場で、アーティストと学びのプログラムを作ることや、そういう人たちが集まり繋がるコミュニティスペースの運営などを20年近くしてきました。アート分野での経験だけでなく、「場づくり」「市民活動や地域活動」「教育」「キャリア支援」といった分野も専門分野のひとつです。

 現在、専門学校や大学で教える仕事もしているのですが、先日とある授業の中で18歳の若い学生たちが「AIに肩代わりされない仕事は何か、、、」とか「今はみんなモノの需要はなくなっていってるから違うものを、、、」ということを考えながら、自分の進路を考えている姿を見て申し訳ない気持ちになりました。マーケティング的というか消去法的というか、社会に合わせに行くんじゃなく、もっと自由に希望を持ってやりたいことを探していってほしいと思いました。

 こんな時代だからこそ、アートの持つ自由さや未来を創り出す力が重要なんじゃないかと思います。堺のまちの未来を明るくするような、そんなお手伝いを少しでもできればと思います。           

(PO 梅山晃佑)

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