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堺市長記者会見 令和5年7月4日

更新日:2023年7月10日

市長

 本日の案件としましては、泉北ニュータウン地域におけるコミュニティの取組を私からご紹介をさせていただきたいと思います。

泉北ニュータウン地域における公民連携の取組

 まず市政運営の大方針であります「堺市基本計画2025」の中で、人や企業を引きつける都市魅力として、泉北ニュータウンの新たな価値の創造を掲げています。泉北ニュータウン地域の街開きから55年以上経過をしておりますが、高齢化が進んでいる、また泉北丘陵を切り開いた地域であるということから坂が多い、買い物も不便な方もいらっしゃるということで、今人口減少が続いておりますが、若い方々にぜひこの泉北ニュータウンにお越しいただいて、これからも持続可能に発展する泉北ニュータウンをつくり上げていきたいということで指標を掲げて泉北ニュータウン全人口に対する39歳以下の割合を、このままいくと2025年には29.5%の推計であるところをその下がり幅を和らげたいというところで目標を掲げて取組を進めています。
 泉北ニュータウン地域では課題の解決、そして住民の皆様の暮らしの質の向上をめざして、公民が連携をしてスマートシティの取組を進めています。この会見でも昨年お伝えをしましたが、去年6月「泉北スマートシティコンソーシアム」を設立いたしまして、設立から1年を経過しております。当初は102団体でしたが、現在は141団体に増えております。
 これまでの主な取組としましては、例えば、モビリティ分野では「AIオンデマンドバス」、コンピュータAIによってルートであったり、効率的な運用をするような仕組みを設けたり、「あんしん睡眠サポート」、こちらは実際にヘルスケア分野でデータを用いて健康状態を把握するような仕組みを設けております。また泉北高校と連携をしながら「共創プロジェクト」など11事業をこれまで行ってまいりました。
 特に「オンデマンドバス」につきましては、2カ月間で約860回の利用がありまして、ニーズが一定確認できたことに加えて、利用者アンケートでは96%の方が「オンデマンドバスがあることで、外出機会が増える」と回答されたなど好評の声もいただいております。また「あんしん睡眠サポート」こちらは大阪大学の研究事業として現在、堺市を含む複数自治体で今も継続実施をしております。また今年度、実証プロジェクトに加えて、住民のニーズに寄り添って公民が連携して泉北ニュータウン地域を活性化させる取組を加速させたいと考えております。
 そこで本日、直近でコンソーシアムが取り組む事業をご紹介いたします。
 1つ目は「カレッジラボ」です。堺市と南海電鉄(南海電気鉄道)、そして2025年に大学キャンパスと病院が泉ケ丘駅前に開設する近畿大学医学部と連携いたしまして、医学部生が地域の拠点の魅力向上策を提案するものです。こちらはICTの活用によります地域住民のヘルスケア、ウェル・ビーイングの貢献でありましたり、地域の課題に適応した学生の提案力を育成することをめざしております。既に6月中旬には泉北ニュータウン地域で、福祉や介護、住民の交流事業などの取組を行う拠点4か所で医学部の1年生がフィールドワークを行っています。運営されている方から取組の概要や将来の展望、また課題等ヒアリングをしております。学生の皆さんからは、団地をリノベーションしている住戸があるんですが、「そのような住戸に住んでみたい」でありましたり、「現場での地域活動を実際に見て勉強になった」等の声が上がっています。また拠点の運営者の方からは、「この機会を通じて、ぜひ学生の皆さんに地域の活動に参加してほしい」という声でありましたり、また「学生の皆さんが活動に参加してくれることで住民の皆様も喜んでいる」という声がありました。
 6月下旬には、2回にわたってワークショップを行い、拠点の魅力向上策を話し合っております。それを踏まえて7月12日午後3時から、運営者に対して、各拠点の魅力向上策の提案を行う機会を設けます。当日は、医療やヘルスケアを学んで普段の生活でもICTを用いている医学部生の皆さんの柔軟な発想で、ICTを活用した地域活性化に資する魅力的な取組が提案されることを期待しております。また、今回の取組は運営者である市民や大学、学生等のそれぞれからも評価が高く、医学部の学生が地域活性化に取り組む全国的にも珍しい事例です。将来、堺の地域医療の担い手となる学生の皆さんの提案が泉北ニュータウン地域や、堺市の地域活性化につながることを期待しております。7月12日、この提案の発表会にはぜひ記者の皆さん、取材に来ていただきたいと思います。
 2点目は、「スマホサポーターによるスマホ講座」です。こちらは大阪経済大学人間科学部の髙井教授と連携した取組です。地域のご高齢の方に対して、同年代を中心とした地域のサポーターの皆さんがマンツーマンでスマホの使い方を教えて満足度や習熟度を高め、地域のコミュニティの強化を図るものです。サポーターの皆さん自身もやりがいや社会参加、スキルアップをめざす取組です。スマートシティコンソーシアムの取組でありましたり、サービスの紹介も行っていただきたいと考えております。講座は5人から10人程度のグループや団体を対象としておりまして、今日からグループの代表者の方がメールで応募できますので、ぜひご利用いただきたいと思います。
 今、泉北ニュータウン地域ではICTを活用しながらさまざまな取組を行っておりますが、今社会的にも課題となっているのが、デジタル・ディバイド、今若い方々は、もう生まれたときからICT環境、スマホ等がある方も多いと思いますが、一方でご高齢の方はなかなかデジタルの活用に慣れていないという方がいらっしゃいます。スマートシティの取組を進める上では、多くの方にデジタルに慣れていただく。7割ぐらいの方は、おそらく70歳以上の方でも7割ぐらいの方はスマホを持っていると、利用しているというデータも拝見したことがありますが、多くの方にICTの活用をしていただいて、そして利便性の高いサービスを受けていただきたいというところから堺市ではデジタル・ディバイド、デジタルの断絶をなくすような取組を今進めておりますので、今回のこのスマホサポーターによるスマホ講座も効果的になることを期待をしております。
 そして3点目です。こちらは泉北レモンを活用したSDGs推進の取組です。堺市では先ほどお話をしました泉北スマートシティコンソーシアムのほかにも、公民共働また共創によってSDGsを進めるために、「堺SDGs推進プラットフォーム」という仕組みを令和3年5月、2年前に設置をしております。会員数は現在1,208団体が参加をしていただいておりまして、SDGsの推進に取り組むさまざまな企業・団体、教育機関がつながりながら会員同士の連携をしていただいて、活発に取組が進んでおります。
 今回は、会員の大阪府立泉北高等学校と株式会社グランディーユ、そして堺市が連携した取組をご紹介をいたします。昨年度SDGsのメニューを提供したい企業と商品開発をしたい泉北高校がプラットフォームを通じて連携しまして、こちらの左側の「アドレモンヨーグルトかき氷」、レモンとアドベリーという果物を合わせたようなかき氷、私も食べたんですが大変おいしくてですね。高校生ならではの新しい発想でいろいろ試行錯誤を重ねながら商品開発をされたメニューが出来上がりました。
 そしてこの取組は右ですね、こちら写真にもありますが、いろんな方をつないで、また巻き込んで新しいジャンルを創り出す活動ということで高く評価されまして、昨年8月に「高校生ボランティアアワード2022」、こちら全国大会にて表彰されております。今年度は昨年までの取組をもとといたしまして、泉北高校の新しいメンバーが泉北レモンの話題性、そして定着をコンセプトとしまして第2弾の商品を企画しております。
 泉北高校の生徒で結成する「泉北レモンプロモーション班」の4人が、泉北の魅力を世界に広め、地域を盛り上げたいと熱い思いを持っていただいておりまして、泉北レモンを使った特産品の開発に取り組んでおります。企画提案は泉北高校生、そしてレシピの開発は株式会社グランディーユが運営するカフェ、メゾン・ド・イリゼというカフェがございます。のシェフやそして作り手は障害のある方々など商品開発にさまざまな方が携わっておられます。
 そして試行錯誤を重ねた結果、泉北レモンとみそを掛け合わせた万能調味料「おふくろの味ミクス」、こちらに現物もありますが、このような商品を開発することができました。こちらですね、販売価格580円ということで販売場所は堺市産業振興センターにあります、先ほどご紹介しましたカフェ、メゾン・ド・イリゼ。そして先週、もうこれは7月2日で終わってしまったんですが東京港区の八芳園という場所でも販売しました。また8月からは、堺市役所の地下1階にあります食堂「森のキッチン」でのランチメニューの提供をめざして、今調整をしております。そして、この「おふくろの味ミクス」ですが、この名称についても大変面白いなと思っているんですが。日本のおふくろの味ともいえるみそと、そしてイタリアのおふくろの味、レモンであったりトマトを混ぜることによって、すごく面白い味です。私も試食をしまして、どういうものになるかなと考えながら、キュウリとかニンジンの野菜スティックにつけたり、またトーストをこんがり焼いてそこにつけてオリーブオイルをかけて食べると、とてもおいしかったり。ただ、こういう私たちが今食べるものというのは親しんだものが多いと思うので、こういう発想でレモンとみそ、また、それだけではなかなかぴったり合わないことから、いろんなトマトを入れたり、ハーブを入れたり、工夫をしながら作られているということで、まさに高校生、若い皆さんの発想で新しいメニューが生み出されてくる、こういうこともイノベーションの一つじゃないかなということで大変面白い取組ですので、ぜひご興味ある方は購入いただきたいと思いますし、また8月の「森のキッチン」で提供される際にも皆さん味わっていただきたいと思います。
 今後もプラットフォームを活用しましてさまざまなSDGsの実現に向けた取組を行いたいと考えておりますし、市民の皆様にはぜひSDGsを身近に感じていただいて、自ら行動も起こしていただければと考えております。
 泉北ニュータウン地域では、ICTの活用でありましたり地域資源も有効利用、活用させていただきながら、市民、企業、大学、また地域の団体の皆様とともに新たな価値を創造しながら、将来にわたって快適に住み続けられる地域であるために取組を進めていきますので、これからもご注目いただきたいと思います。
 私からは以上です。

質疑応答

(司会)

 それでは、ただいまから質疑にうつります。挙手のうえ社名を告げていただきご質問の方をよろしくお願いをいたします。ご質問ございますでしょうか。
 朝日新聞さん、どうぞ。

(朝日新聞)

 朝日新聞の井石です。「おふくろの味ミクス」なんですけど、私も泉北高校まで取材に行って、実はまだ味わってはないんですけど。話をいろいろ高校生としていると、ふるさと納税に採用してもらいたい、という希望があるみたいで。私からは、ふるさと納税に適したサイズとかグラム数とか発送しやすいサイズとか、そこら辺の価格帯も合わせたら採用されやすいんじゃないかということは、一応アドバイスはしといたんですけども。議会でも、自民党の西村議員も常々新たな産品を開発するような質問をよくされておられるように記憶してますが、市長としてはこの「おふくろの味ミクス」を将来的にふるさと納税の産品として採用する考えについては、いかがお考えでしょうか。

(市長)

 はい。まず高校まで取材に行っていただいて、しかもアドバイスもしていただいたということで感謝申し上げます。ふるさと納税の取組は、本市も特にこの数年間、力を入れて行っています。一方で、基準というのも年々厳しくなっておりまして、本市で生産されたものであったり、主要な工程を経ているものでないと返礼品として認められないというルールもあります。ですので知恵を絞りながら、今はふるさと納税の返礼品をより魅力的に本市にふるさと納税をしていただける方を増やしたいという思いで取組を進めています。
 今回のこの「おふくろの味ミクス」については、泉北レモン、まさに地域で作られたレモン、主要な加工も行っておりますのでとても有力な候補だと思っています。一方で、今日ここでご紹介をする際にも担当者に確認したことは、高校生が企画そして制作にも携わったと。実際にカフェでも製造販売をしていますが、ただ人気が出るとその製造が追いつかなくなる、販売が追いつかなくなることは大丈夫かと。現在のところ、製造できるように順次行っていけるように考えているということです。ふるさと納税となると、やはり多くの方が注目をしていただいて、特に先般、記事にもしていただいておりましたが、注目を集めると一気に欲しい方が増えるということもありますので。そのあたりの供給の可能性も見ながら、ぜひふるさと納税の返戻品としても検討したいと考えています。そうすると、またこれは今回は泉北高校ですけど、堺にも多くの学校があります。学生の皆さんいらっしゃいますから、学生の皆さんが挑戦をして、しかもそれを地域のために力を発揮していただく。そのモチベーションにもつながると思っていますので、堺市としても若い皆さんのこれからの活躍を応援したいと考えています。

(司会)

 他にご質問いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 朝日新聞さん、どうぞ。

(朝日新聞)

 発表項目の質問がないようですので別の件で。
 先日、上下水道局が発注工事に不適切な処理をしているということを発表されました。本来は国の基準にのっとって労務単価を設定すべきところを試験施工とか、そういった手続を経ることなしに業者に寄り添った労務単価の設定を行ったというものであります。まず、この件に関しまして、市長の受け止めをお聞きできたらと思います。

(市長)

 はい、本件につきましては、春から毎週私もこの会見でも問われながら、担当者と事実をきちんと把握するようにということを伝えながら、このたび調査報告書という形でお伝えをさせていただきました。実際にその係数を1.14から1.6に変えたということについても、この会見でも時間を短くしたからそうなったんだという説明を担当者からもさせていただきました。ただ今回各担当者であったり、広範なヒアリング調査を行ったところ、やはりその内容はきちんと1.6に対することの妥当性についても井石記者から何度も問われましたが、私からその納得できる説明をするようにと伝えてきましたが今回の調査報告書を見る限り、やはりこれまでの意思決定の過程に問題があったと言わざるを得ないと考えています。
 この係数の変更に関しては、国の基準は例外規定が設けられていると認識をしていますが、ただ、やはりここが担当課長以下の職員で、もうそれを当たり前のようにしてしまったと。工事を円滑に進めたいという思いもあったとは聞いていますが、ただ意思決定のプロセス、また上司へのご報告、そのあたりがやはり公の仕事としては不適切だったと考えております。

(朝日新聞)

 この問題は、そもそも文春オンラインが3月末に報じました。その際の上下水道局の見解はざっくり言うと、「蚊取り線香を持っていったことは不適切だったけど、後はそれほど不適切でもない」というようなニュアンスだったと私は受け止めました。この会見の場でも私が文春報道に基づいて、あるいは文春報道と同じような情報公開請求をした内容に基づいて、一つ一つ疑問点を確認しようとした際に虚偽の説明をし、その都度訂正するというようなことを繰り返しておりました。なぜそんなことが起きたのか、先ほど市長もおっしゃっておられましたけども、それは現場の人間が自分たちの都合のいいように、公文書を黒塗りにしたり隠したり、フォルダをつくって隠したり、好き勝手をやっていた、ということに尽きるのかなと思います。3月の会見以来、教育委員会について指摘させていただいたのが最初ですけども、その前からずっと私が一貫して申し上げているのは、公文書というのは行政の根幹をなすものであって、トップがきちんと判断するためには情報が正確にトップのほうに上がるような仕組みになってないといけない、ということを常々指摘させていただいてきました。にもかかわらず、中区役所も同じだと私は認識してるんですけども、上下水道局も一部の人間が公文書あるいは情報公開制度というものをいいかげんに扱っていたと見受けました。「文書主義」というのは外部からチェックされる上で、欠かせないキーワードです。この文書主義が役所全体でいいかげんになっていないのか。ほかの自治体でも同種の案件、文書主義をきちんとしてないというところもあったようですので、この際、文書主義の徹底について、今後改めていくにはどのような対策、方策を考えていかれるおつもりなのか、改めてお聞きしたい。

(市長)

 はい。まず今回の上下水道局の水道工事の案件については、いくつか大きな問題があったと考えています。一つは、これまでの事業者の皆さんと(上下)水道局の間で工事を円滑に進めるために、この係数の変更ということも許されるんじゃないかという甘い認識です。これは、今回は係数の変更でしたが、ほかでもそういうふうな甘い認識に基づいた適切でない内容がなかったのかどうか。この調査を私からは指示しています。本件は、上下水道局に関する、この係数に関するものですが、それ以外、そして市としても適切な運営を行わなければ市民の皆様から信頼されることになりませんので、こちらのこれまでの意識の改革であったり、組織風土があるのであればですね、そのような適切でない風土を変えるための取組も、私が責任を持って進めていきたいと考えています。
 そして、報告のあり方についてです。以前、(上下)水道局以外の案件でも不祥事が発生したときに、そもそも報告が上がってきていないという事例も多々ありました。その内容が担当局の一定のところで止まっていたと。それを上げてきたのが、例えば、半年後とか、かなり遅れた時期。そして報道の皆さんがその情報を入手してから慌てて上(上司)に上げてくるような、もしくは議会で追及される、指摘をされると。そのようなことでは絶対にいけないということで、報告を徹底するように、と私からも厳しく伝えてきました。今回の件については、その報告自体も適切だったのかどうなのか、まず報告を上げるということも組織として絶対ではありますが、その報告の内容についても曖昧な内容ですね、これはもう今回だけだからと、仕方ないんだというふうな報告を上司にして、それを上司が通してしまうと。そのあたりの報告、そして承認のあり方というところも徹底をしなくてはいけません。これも今回の事例を含めてですね、報告が妥当に上がる、当たり前のことなんですが適切でなければ報告の意味はありませんので、ここも徹底をするように今、指示をしております。
 そしてもう一つは、不当要求とされる事案が発生した際にどのように対応するのか。今役所でも対応のマニュアルであったり、不当要求をどう対処するのかということはあります。ただし、それは全庁的なものであって、それぞれの部門で対応する業務というのは変わるはずです。ですので、特に今回の水道工事みたいな事例はもう年中、1年を通して行われる内容ですから、また道路を工事する際には影響を受ける市民の方も多い。そのときにきちんとこちら側も真摯に説明をしながら、そして受け入れられるもの、受け入れられないこと、そのような対応を確実に行うため、もう一度この市民の皆様、そして事業者の皆様との対応について、これは上下水道局だけではなくて、全庁を挙げて徹底したいと考えています。
 今回のこの調査報告書は、まずは今回の係数の変更について妥当性はどうだったのかというところで一定取りまとめたものをお示ししていますが、私は調査がこれで終わりと全く考えておりません。他の案件についても同じように不適切な事案がなかったのかどうか。そしてこの後、本件そして今中区役所の件は検証委員会が行われておりますが、その件も把握しながら堺市が役所としてきちんと信頼をしていただけるように。今回の問題点、一連の問題点を徹底して改善を図りたいと考えています。

(朝日新聞)

 ありがとうございます。今、市長のほうから言及ありましたが、不当要求についてのマニュアルということにおいて、以前の会見でも指摘させていただきましたが、先ほどそれぞれの部署で対応する案件が違うからということもおっしゃっておられたんですけども、他の自治体では条例化とか、そのような形で公務員がそういう不当要求に立ち向かうような武器というか、そういう土台をきちんと作っている自治体もあるかと思いますが、そのような条例化等については今のところは考えておられないということでしょうか。

(市長)

 今は公正な職務を行うための要綱を定めておりますし、マニュアルもあります。そこをより掘り下げてこれから行っていくわけですが、それを実際に不当要求と思われる事態が発生したときに適切に対応することが目的ですので、その目的のために何が必要かという視点で考えたいと思います。
 要綱を定めても、その目的が満たされないのであれば、おそらく条例であっても同じようなことにもなりかねない。一方で、やはり職員も、例えば、厳しい言葉を投げかけられたり、ちょっと難しい案件が発生したときに迷うところもあると思うんですね。そこをきちんと内部でも相談ができる。その部門内での上司であったり、もしくは必要によっては外部。警察だったり弁護士だったりそういうところに相談をすることによって、職員自身も安心して働くことができますので、どういうことがより望ましいのかということを、この一連の件を通して、より効果的に役所として機能するための策を講じたいと考えています。

(朝日新聞)

 ありがとうございます。今回上下水道局が黒塗りにしようが何をしようが、私はその内部のいいかげんさを指摘できたのは、上下水道局内部からの情報提供があったからです。4月下旬には会見で、まさにここでやり合ってた時期ですけども、当事者たちは「もう少しで終わるから飲みに行こう」と話していたそうです。そうした内部の会話まで筒抜けになってることも知らずに、会見の場で虚偽説明を重ねて逃げ切れるという発想自体が安直だなというふうに受け止めました。逆に言うと、そうした義憤に駆られた内部通報がなければ、私もそこまで指摘し切れなかったと思います。今、記者がいない都市が地方で次々に生まれています。いつまでも記者が役所をチェックできる時代でもなくなりつつあるのかなというのが時代の趨勢かと思っております。であるならば、役所自体がきちんと透明化を図って、市民からチェックを受けられるようにしなければ持続可能な行政運営というのはできないように思います。これは従来から言ってる財政資料を分かりやすく、ガラス張りにしたほうがいいですよ、というところと同じ考え方ではありますが。今回、現状ある公益通報(内部通報)の窓口が機能しなかったことを市長としてはどのように受け止めておられるのかというのと、それをどのように改善していく必要があるとお考えなのか、現時点のお考えをお聞かせください。

(市長)

 はい。本来であれば、やはり職員が疑問を感じながら業務を行っている。そのことについて上司がきちんとその情報も把握をしながら、マネジメントをしないと風通しのいい組織にもなりませんし、(職員が)おかしいことをしているんじゃないかと不安や不満を抱えたまま働くということがあっては適切な業務とは言えないと考えています。ですので、その職場の中できちんと情報共有がされる、そして相談しやすい体制というのが、まずはその徹底というのが必要だと考えています。一方で、やはり人間が集まる職場の中では、上司に話をしたけれどもなかなか伝わらないと。そのときに上下水道局であれば、事業サポート課というところが相談の窓口になっていますが、今回の件では機能をしていなかったということです。そして、これは上下水道局だけではなくて、全庁的には堺市役所としても公益通報(内部通報)の窓口を設けております。本来であれば、やはり組織の中できちんと風通しをよくして、適切な報告が上がってくる仕組みということにしなくてはいけません。これは私自身も関与しながら行って、もちろん責任を持っていっていきますが一方で、内部通報の仕組み、不適切な処理がなかなかうまく進まない、改善が図られないときには、きちんと通報を受けて改善できるような仕組みということも必要と考えております。今回の件についても、なぜ機能しなかったのか。そして、それを効果的に機能するようにするためにはどうすればいいかということも私から指示をしております。今回のこの事例、もちろん良くないことは良くないとしながら、きちんと内部での改善が図れる。そして、上がってきた意見に対しても適切に対応できる、それを把握できるような仕組みの改善に努めたいと考えています。

(朝日新聞)

 ありがとうございます。最後ですけども、私がこの街に転勤してきて、もう2年ちょっとを過ぎたわけですけども、いろいろ全国を回っていると、いろんな自治体を相対化して見ることができて、この街に来てちょっと驚いたのはさっきからずっと言ってるように公文書についての扱いというのが非常に雑で、最初にそれを思ったのは教育委員会ですけども、とにかく教育委員会の説明等聞いていても、何のために仕事をしているのかとか、誰のために奉職してるのかとか、そもそも論の公務員になぜなったのかとか、公に奉職するということはどういうことなのかということを、ちょっと認識が足りてないんじゃないかと思わされることが多々ありました。改めてですけども、入庁直後にはもちろんやってるかとは思うんですが、10年目とか20年目とか、それぞれの段階に応じて、そういう公務員としての基本的なモラル、そういうものを改めて徹底していく必要もあるのかなというふうに思いましたが、この点に関しては市長はいかがお考えでしょうか。

(市長)

 はい。私も4年前に市長に就任したとき、私自身も民間企業で働いたこともありますし、意識が甘いなと思うことが多々ありました。その中で、改善を図りながらではあったんですが、不祥事が度々発生してしまう、市民の皆様に多大な不安とご迷惑をかけてしまうということも出ております。私自身は、毎年新しく課長に昇任した職員全員を対象に対話を行う機会を毎年設けておりますが、市長としての2期目に入りまして、これまでやってきたことの私自身の振り返りも含めて、職員の業務に対する意識であったり、今記者がおっしゃった何のために、どういうことに気をつけてしなくてはいけないのか。研修体系も今確認をしながら進めておりますので、私自身が直接職員と対話をより丁寧にすべきところ、そして組織として、先ほどおっしゃったような、例えば、丁寧な研修を行う、定期的な振り返りの機会を設ける等、職員が常に意識をしながら、業務の中で意識をしながら、適切な行動ができるような取組というのも、今まさに私自身の中でも市長としてのマネジメント、職員のこの組織としての引き締めというのも2期目に入って、より私自身も率先して行動する決意でいますので、ここは総務局をはじめ職員の職務を管理する部門と綿密に協議をしながら取り組んでいきたいと思います。

(朝日新聞)

 ありがとうございます。

(司会)

 それでは他にご質問いかがでしょうか。毎日新聞さんどうぞ。

(毎日新聞)

 毎日新聞の藤河です。先ほど朝日新聞さんからの質問にあった部分と若干関連するんですけれども、今回の上下水道局の問題では特定のその職員の方の不祥事というよりも、以前あった教育委員会なんかと同じように一定課長級以下、水道部長級以下の範囲で問題となる行動を把握しながらも若干組織的に見られるような不祥事になっていたと思うんですけれども。今市長がおっしゃったように内部通報の関係であったりとか、内部での相談の体制というのを見直して機能するようにしていくのは、一定時間がかかるのかなというふうに思う部分もあるんですけれども。その間に何か暫定的に措置を取るような、例えば、市長もおっしゃったような弁護士さんが市には顧問の弁護士さんもいらっしゃるでしょうし、スムーズに対応できる体制を取った上で、そういった本来の機能を取り戻していく時間を取るのか、そういったものはないんだけども、なるべく速やかにそういった体制を立て直すのか、どういうふうにお考えでしょうか。

(市長)

 はい。まず今、事案として発生した(上下)水道局の件につきましては、私から(上下)水道事業管理者に対して、まずは調査をより綿密に行ってですね、より機能する。よりというか、機能してなかったということがありますので、機能するための内部通報であったり、マネジメントのあり方を早急に検討し構築するようにということを伝えています。そして、全庁的にもこちらも上下水道局だけではなくてと伝えていまして、これを時間かけて、例えば、私の任期で4年間でやることでは遅過ぎますので、こちらはしかるべき早く行っていく。(上下)水道局に関してはもう秋までには、私からは一定取りまとめを行うようにという指示をしておりますし。そこも踏まえてになりますが、全庁的にも中区の検証委員会の内容も上がってくるかと思いますので、年内にはこれまでのさまざまな組織としての問題点をきちんと改善に向けて歩み出せるような方向性を示したいと考えています。

(毎日新聞)

 今いただいたお答えですと、全般的に取り組んでいくのをなるべく早急にするということで、その間、例えば、弁護士さんであったり、もしくはその一時的にどなたかを任命するような形で全庁横断的にとかで内部通報的なものを代わりに受けるような人を立てたりという予定はないということですかね。

(市長)

 今、その誰かを指名してとか、今直ちにその仕組みをということは、今の時点では考えておりませんが、まずはきちんと上司が、情報を上がるように把握をすること。それぞれの部門で、私自身もこの事案が発生したのが報道とか週刊誌に掲載されたのが3月だったと思いますが、それ以降も各職場を回りながらそれぞれの管理職に私から直接、話をしています。ですので組織の中できちんと相談であったり、課題というのを把握しながら上司自身が把握をきちんとしておくということを伝えています。まず組織ですので、管理職がその組織のマネジメントを行いながら、問題があるのであれば把握をして、改善できる体制、それが必要と考えてますので徹底したいと考えています。

(毎日新聞)

 今のお話の部分なんですけれども、管理職ということで堺市の行政組織、かなり大きなもので多岐にわたると思うんですけれども。今回の市長の話で捉えるなら中間に近い報告書だったと思うんですけど、その中でも上司にあたる方、管理職では水道部長さんがいるので、当たり前ですけど部の統括してる立場ですけども。その報告書の中で部長さんを名指ししてるわけじゃないですけども、その上司にあたる者の知識不足、専門的な知識というのも含めてマネジメントもそうなんでしょうけど、そういう部分が指摘されていたり。情報公開で、その黒塗りの範囲を決定したというものに関してはその部署に責任が全部あるとは思わないですけれども、本来その情報公開を担当してる部署と相談をした上で、その後その職員が余計な範囲も黒塗りしたというような指摘もあったと思うんですけど。そういった部分はそれなりに改善に時間がかかってしまうんじゃないかなと思うんですけど、どういうふうにお考えでしょうか。

(市長)

 浸透するにはもちろん時間がかかると思いますが、ただ例えば、今回の黒塗りに関しては、担当部門に相談をして必要事項以外は黒塗りしてはいけない、適切ではないということがありながらも判断によって黒塗りをしたということで。それはやってはいけないことなんですよね。そこはもう、やってはいけないことはしないんだというところ、これは行わないと浸透に時間がかかるからといって、また同じことが発生してしまってはまさに市民の皆様の信頼をどんどん損ない続けるということになりますので。今喫緊に行うべき、これはもう公の仕事として確実に行うべきことというのは徹底して行ってまいります。

(毎日新聞)

 ありがとうございます。

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ファクス:072-228-8101

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