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「睡眠の問題」

更新日:2012年12月19日

睡眠の問題について知っておくべきこと

 一般に、睡眠障害は子どもに良く見られるものですが、自閉症スペクトラム障害をもつお子さんの3分のから半分に睡眠の障害があります。睡眠に問題があると、注意力に障害が出たり、イライラしたり、常同行動がはげしくなったりなど、昼間の問題につながることがあります。夜間に必要な睡眠時間は、一般的に、就学前児では、10から13時間で、13歳までには8から11時間と減少します。

なぜ、睡眠の問題がおこるのでしょうか?

 自閉症スペクトラム障害のお子さんに睡眠障害がおこるのには多くの理由があります。医学的原因、行動的な原因、両者があることもあります。睡眠の問題を起こす医学的な病気としては、アレルギー疾患、呼吸器疾患、胃食道逆流(胃部不快感)などがあります。また、お薬の中には睡眠に影響を与えるものもあります。

 正常の睡眠は、異なった脳波パターンをもつサイクルからなっています。これらのパターンが違う自閉症児もいます。典型的な睡眠パターンは睡眠の後半になると、睡眠がより浅くなり、夢を見ることが増えます。この時に、中途覚醒がしばしば起きます。メラトニンというホルモンは脳で作られて睡眠をコントロールします。科学的な研究によって、自閉症スペクトラム障害の患者さんの中には、メラトニンの量、作用が減っている人がいるということがわかってきました。

睡眠の問題には次の様なものがあります。

寝つきが悪い

 家庭が夜、過度に活動的である時、カフェイン入りの飲み物を飲んだ時、もしくはもともと多動である時には、寝つきは悪くなることがあります。また、ベッドに入ることを眠ることと関連づけて考えられないことや、家族と一緒にいたいために寝つきが悪くなることもあります。

夜間覚醒

 一人で再び眠りにつく方法を知らない場合、または、夜が眠る時間であるということを理解していない場合、真夜中に目をさましたお子さんが、そのまま起きているということがあります。目覚めた時に、飲み物や食べ物をもらう、親の注意を向けてくれる等、本人にとって快いこと(正の強化子と言います)があることに慣れているために、起きていることもあります。おねしょや汗で寝着が濡れた時に起きる子もいます。

早朝覚醒

 睡眠のサイクルやメラトニン分泌が異常な場合、一度目が覚めたら再び眠れないという問題がある場合、子どもたちは早朝に覚醒します。または、必要な睡眠時間が短くて、早朝に目覚める場合もあります。

悪夢、夜驚症、夢遊病

 これらは、自閉症スペクトラム障害を持つ子どもであっても持たない子どもであっても、睡眠サイクルの最初の数時間で見られます。これらは睡眠中の脳活動に関係があります。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群

 もともとアデノイドや扁桃腺が大きい子ども、顎が小さい、肥満があるなどの理由で空気の通り道が狭い子どもでは、眠ってしまうと、気道がより狭くなり、いびきをかき、息が止まるということになります。睡眠の質が悪くなりますので、精密な検査と治療が必要なことがあります。全ての子どもの2%にこの病気があると言われています。

レストレスレッグズ症候群

 夜、眠ろうとしたり、体を動かさないでいると、むずむずしたり異常な感覚が生じて、体を動かしてしまうという病気です。寝つきが悪くなります。足をマッサージしてもらいたがることもあります。

睡眠の問題の評価表

 医師は一般的な身体所見と病歴と睡眠に関する問題を聴取します。睡眠日誌を2週間程度つけてくれば、医師にとってはお子さんの睡眠習慣を理解しやすくなります。病歴や身体所見の結果、睡眠障害に対する医学的な理由が疑われれば、医師は検査をオーダーします。

子どもの睡眠をよくするためにはどのようにすれば良いの?

睡眠の問題を改善するには、お薬よりも行動療法的なアプローチの方が効果があるということをいくつかの研究が示しています。以下は基本的な提案です

第1段階:睡眠のスケジュール(2週間)

1) 一日の中で、ベッドに入り、ベッドから出る時間をきちんと決めます。このスケジュールを毎夜同じ様にこなすようにします。またできるだけ少なくとも午前中は屋外で陽光を浴びるようにしましょう。

 2) 子どもの寝室が睡眠に適していることを確かめます。つまり、寝室は静かで暗く、テレビを置いていないこと、音楽が鳴っていないことなどなど。就寝時間では寝室の外の家庭全体も静かでなければなりません。

 3) 子どもが、ベッドと就寝時間が眠るためだけのものであり、遊んだり、一時休憩するためのものではないことを理解していることを確かめます。

 時には、このステップだけで、睡眠の問題は解決されてしまいますが、このステップで改善しない場合には医師に相談しましょう。

第2段階:医学的治療

 医師に相談する場合には、2週間分の睡眠日記を予めつけていきましょう。また睡眠前・中の姿を観察し、寝ぐずりがある場合、いびきがある場合等気になることがあれば、その場面を撮影した動画を持参したら参考になります。

 もしも閉塞性睡眠時無呼吸症候群を初めとする睡眠の病気が疑われる場合には、終夜ポリグラフ(PSG)という検査が必要になることがあります。

終夜ポリソムノグラフ(PSG)とは?

PSGとは脳波、心電図、眼運動図、胸やお腹のベルト、等々多くの電極やプローブをつけて一晩睡眠をしらべる検査です。先に述べました閉塞性睡眠時無呼吸症候群などの睡眠疾患の診断には欠かせません。お子さんにとって痛くない検査ですが、電極をつけたりするのに、最低30分、お子さんの協力次第では1時間近くかかります。PSGにて睡眠障害が診断された場合には、最適の治療を行います。また特定の疾患の診断に至らない場合にも、十分な時間、良い睡眠が取れているかどうかの評価をすることができます。

 先述した方法以外にも、行動療法的な介入法が用いられています。

 医師とご家族の相談により、処方薬や市販薬が行動療法と一緒に必要になることがあります。メラトニンは処方薬としては入手できませんので、個人輸入となります。

 このハンドアウトは、大阪大学子どものこころの分子統御機構研究センターが、アメリカ小児科学会の一連のハンドアウト集“Autism: Caringfor Children with Autism Spectrum Disorders"のSleepProblemsのハンドアウトを、日本の実情に適した形に加筆したものです。

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