堺市子どもを虐待から守る条例全文
更新日:2012年12月19日
子どもは生まれたときから一人ひとりが権利の主体であり、一人の人間としてその権利が尊重され、保障されなければならない。そして、子どもが家庭や地域のぬくもりの中で、夢や希望を抱きながら健やかに成長していくことは、市民全ての願いである。
しかしながら、昨今頻発している子どもへの虐待は、その健やかな成長及び発達並びに人格の形成に重大な影響を与える著しい人権侵害であり、警察及び司法機関との緊密な連携はもとより、市、地域住民、保護者及び関係機関等が協働して、虐待から子どもを守ることが求められている。
私たちは、堺市の未来を託す子どもを虐待から守るため、全ての市民が一体となって、地域の力で子どもと家庭を支える環境づくりを推進するため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、子どもを虐待から守ることについて、基本理念を定め、市、市民、保護者及び関係機関等の責務を明らかにするとともに、虐待の予防、早期発見、通告等子どもを虐待から守るために必要な施策の基本的な事項を定め、もって子どもの心身の健やかな成長及び発達に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 子ども 児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号。以下「法」という。)第2条に規定する児童をいう。
(2) 保護者 法第2条に規定する保護者をいう。
(3) 虐待 法第2条に規定する児童虐待をいう。
(4) 関係機関等 学校、児童福祉施設、病院、警察その他児童の福祉に業務上関係のある団体及び学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、保健師、弁護士、警察官その他児童の福祉に職務上関係のある者をいう。
(5) 通告機関 堺市子ども相談所条例(平成17年条例第65号)第1条に規定する堺市子ども相談所及び堺市保健福祉総合センター設置条例(平成12年条例第1号)第1条に規定する保健福祉総合センターをいう。
(基本理念)
第3条 虐待は、子どもの人権を著しく侵害し、その心身の健やかな成長及び発達並びに人格の形成に重大な影響を与える行為であり、何人も決して虐待を許してはならない。
2 子どもを虐待から守るに当たっては、子どもの利益を最大限に考慮しなければならない。
3 何人も、次代を担う全ての子ども一人ひとりの権利が尊重され、虐待がなく、子どもが健やかに成長することができる社会の形成に取り組まなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、虐待を受けた子どもの安全を確保し、生命を守ることを最優先とするものとする。
2 市は、虐待の早期発見並びに虐待を受けた子どもに対する迅速かつ適切な保護及び支援を図るために、子どもを守るための地域におけるネットワークを構築するものとする。
3 市は、虐待の早期発見及び未然防止に向け、関係機関等の人材の育成を図るため、専門的な知識及び技術の修得に関する研修を行うものとする。
4 市は、虐待を受けた子どもの保護及び自立の支援の職務に携わる者の人材の確保に努めるとともに、資質の向上を図るための研修等を行うことにより人材の育成に努めるものとする。
5 市は、子どもを虐待から守るために、子どもの人権、虐待予防のための子育て支援施策、虐待の通告義務及び通告先等について必要な広報及び啓発活動を行うものとする。
6 市は、虐待を受けた子どもがその心身に著しく重大な被害を受けた事例の分析を行うとともに、虐待の予防及び早期発見のための方策、虐待を受けた子どものケア並びに虐待を行った保護者の指導及び支援のあり方、学校の教職員及び児童福祉施設の職員が虐待の防止に果たすべき役割その他虐待の防止等のために必要な事項についての調査研究及び検証を行うものとする。
(市民の責務)
第5条 市民は、虐待を防止するとともに、虐待のないまちづくりを推進するための市の施策及び関係機関等の取組に積極的に協力するよう努めなければならない。
2 市民は、虐待を受けたと思われる子どもを発見した場合は、速やかに、通告機関に通告しなければならない。
3 市民は、通告機関が行う子どもの安全の確認に協力するよう努めなければならない。
(保護者の責務)
第6条 保護者は、虐待を決して行ってはならない。
2 保護者は、子どものしつけに際して、体罰を加えてはならず、及び子どもの人権に配慮し、その心身の健全な成長及び発達に努めなければならない。
3 保護者は、子どもを虐待から守ることについての理解を深め、子どもの自主性及び自発性を育む健全な養育に努めなければならない。
4 保護者は、子どもの正常な成長及び発達を妨げるような行為又は保護者としての監護を著しく怠ることをしてはならず、また、必要な教育を受けさせなければならない。
5 保護者は、通告機関が行う子どもの安全の確認に協力しなければならない。
(関係機関等の責務)
第7条 関係機関等は、虐待を防止するように努めなければならない。
2 関係機関等は、虐待を受けたと思われる子どもを発見した場合は、速やかに、通告機関に通告しなければならない。
3 関係機関等は、通告機関が行う子どもの安全の確認に協力するように努めなければならない。
4 関係機関等は、一時保護の解除又は施設の退所により子どもが地域に戻ってきたときは安心で、かつ、安全に生活できるように支援し、見守るよう努めなければならない。
5 学校その他の教育機関は、子どもが教育を受けられるよう環境を整え、現に教育を受けられない子どもがいた場合には、教育を受けられるよう必要な対応を講ずるものとする。
(虐待の予防)
第8条 市は、市民及び関係機関等と連携して虐待を未然に防止するため、子育て支援施策を充実するとともに必要な体制の整備に努めるものとする。
2 市は、虐待を未然に防止するため、関係機関等が行う子育てに関する情報の提供又は相談に係る取組について、専門的な知識及び技術の提供その他必要な支援を行うものとする。
(早期発見等)
第9条 市は、関係機関等と連携し、虐待を早期に発見することができるよう相談又は通告を容易に行うことができる環境づくりに努めるものとする。
2 市、市民及び関係機関等は、虐待の早期発見について大きな役割を担っていることを認識し、虐待の早期発見に努めなければならない。
3 虐待を受けたと思われる子どもを発見した者は、速やかに通告機関に通告するとともに、必要とする支援について協力するよう努めなければならない。
(通告及び相談に係る対応等)
第10条 市は、虐待に係る通告及び相談に常時応じることができる体制を整備しなければならない。
2 子ども相談所長は、虐待を受けたと思われる子どもを発見した者から通告があった場合には、速やかに当該虐待に係る調査を行い、必要があると認めるときは、当該子どもとの面談等の方法により、当該子どもの安全を確認しなければならない。虐待に係る相談があった場合についても同様とする。
3 子ども相談所長は、前項の通告又は相談(以下「通告等」という。)があった場合は、相互の連携及び協力の下、虐待を早期に発見し、その重篤化を防止するとともに、子ども及び家庭への支援の充実を図るため、警察に対して当該通告等について情報提供を行うことができる。
4 子ども相談所長は、前項の規定により警察に情報提供を行った場合は、当該情報提供に係る事案に適切に対応し、並びに子ども及び家庭への支援の充実を図るため、警察との情報共有に努めるものとする。
5 市は、通告等をした者が特定されないよう必要な措置を講ずるものとする。
6 市は、地域住民、学校の教職員、児童福祉施設の職員、住宅を管理する者その他子どもの安全の確認のために必要と認める者に対し、協力を求めるものとする。
(虐待を受けた子どもに対する保護及び支援)
第11条 市は、関係機関等と連携し、虐待を受けた子どもに対し、当該子どもの心身の健やかな成長及び発達を促進するために、適切な保護及び支援を行うよう努めるものとする。
(虐待を行った保護者に対する指導)
第12条 市は、関係機関等と連携し、虐待を行った保護者に対し、虐待を受けた子どもとの良好な関係の再構築及び虐待の再発防止のための指導を行うものとする。
(子ども虐待防止推進月間)
第13条 子どもを虐待から守り、市民に虐待の防止等の取組への理解及び協力を求めるために、毎年11月を子ども虐待防止推進月間とする。
(虐待の状況等の公表)
第14条 市長は、毎年度、市における虐待に係る通告等の状況及び虐待防止への取組の状況を公表しなければならない。
(委任)
第15条 この条例の施行について必要な事項は、市長が定める。
附則
この条例は、公布の日から施行する。
附則(令和2年10月5日条例第43号)
この条例は、公布の日から施行する。
このページの作成担当
子ども青少年局 子ども青少年育成部 子ども家庭課
電話番号:072-228-7331
ファクス:072-228-8341
〒590-0078 堺市堺区南瓦町3番1号 堺市役所高層館8階
このページの作成担当にメールを送る