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第4章 市が先導的・重点的に取り組むこと

更新日:2012年12月19日

 第3章の「地域福祉推進のために“ともに”取り組むこと」をすすめるうえでの先導的な役割を担うよう、市が積極的かつ重点的に取り組む事業をつぎのように定めます。

1.地域福祉を多様な協働ですすめます
(1)協働をすすめるための協議の場づくり
(2)市民のパワーを活かした協働事業の推進

2.「地域生活を支えるしくみ」をつくります
(1)福祉関係者会議の再構築とキーパーソンの配置
(2)身近なところで相談でき、支援しあえる地域づくり

3.弱い立場に置かれがちな人を支える取り組みをすすめます
(1)災害時に支援が必要な人を支えるしくみづくり
(2)弱い立場に置かれがちな人の権利を守るしくみづくり

 これらは、「堺市総合計画 堺21世紀・未来デザイン」や「自由都市・堺 ルネサンス計画」、健康福祉分野の個別計画をはじめとする関連計画と整合性を図りながら、年次的に事業化を図り推進していきます。それぞれの事業は、この計画の重点目標である「参加と協働」の視点にたって、市民・団体、事業者、堺市社会福祉協議会などのみなさんと協力して実施と評価を行っていきます。

1.地域福祉を多様な協働ですすめます

(1)協働をすすめるための協議の場づくり

基本的な考え方

 地域福祉は地域の多様な力を活かすことで広がり、発展していきます。

 すでにさまざまな分野で「協働」による事業や活動が実践されていますが、「市民と行政との協働」は行政主導になりがちであることや、市民どうしの協働は事例が少ないことなどが、市民活動を行っている団体へのアンケート調査でも明らかになっています。

 そこで、協働をより効果的にすすめていくために、実施段階での事前協議にとどまらず、活動や事業を企画し決定する段階で、協働する主体どうしが対等な立場で協議する場をつくっていきます。また、活動や事業の成果をつぎの取り組みにつないでいくために、実施後の評価を行う段階での協議のしくみづくりもすすめていきます。

市民活動をすすめるための「協働」に関するアンケートの結果から のグラフ

具体的に取り組む事項

【1】市民と行政の協働事業について、企画から評価まで協議を行う標準化モデルをつくります

市民と行政の協働事業について、「企画」段階から協議し、互いの特長を活かした協働をすすめていくように、まず、この地域福祉計画に関連する事業について、一連の協議を試行的に推進し、結果を検証しながら標準化モデルをつくっていくように取り組みます。

【2】市民活動団体などとの協働による「あらたな公共」づくりのための協議を行います

市民との協働事業を実施している部局が連携し、市民活動団体どうしが協働していくための集まりと定期的に協議を行い、互いの信頼や協力関係を強化するとともに、「あらたな公共」づくりのための課題や協働のすすめ方などについて検討を行います。

「あらたな公共」とは?

 市民の社会参加がすすんだことや市民二ーズが多様化していることから、これまで行政が担ってきた地域の課題を、市民・団体、事業者などの多様な主体と行政が、対等な関係のもとに連携し、協働しながらその解決を図っていったり、民間による新たな課題への取り組みを行政が支援していくことでつくられる公共のことです。

(2)市民のパワーを活かした協働事業の推進

基本的な考え方

 堺市では、まちづくりの基本姿勢のひとつに「公民協働」を位置づけ、市民と行政が協働した事業を積極的に展開しています。

 また、地域では、校区福祉委員会などの地域活動やボランティア・市民活動、当事者活動などが積極的に行われています。

 こうした市民のパワーを活かした活動をいっそう推進していきます。また、地域福祉はすべての市民の暮らしに関わる分野であることを活かし、地域に密着した活動を行っている団体と、具体的なテーマで活動している団体などが互いに理解を深め、それぞれの得意な分野を活かして協働していけるように、つながりづくりを意識した支援を行います。

具体的に取り組む事項

【1】「行政と行いたい協働事業」の提案を受けるしくみづくりに取り組みます

市民・団体などから「市民の力を活かして、行政と行いたい協働事業」の提案を受け実施に移していけるように、行政の仕事のやり方を見直したり、しくみづくりやルールづくりの検討とともに、試行的な取り組みをすすめます。

【2】「(仮称)シニア堺市民大学」などの協働事業を実施します

シニア世代の人々の力を地域福祉活動に活かすため、市が実施している事業と関連づけながら、シニア層の市民との協働プロジェクトとして、「(仮称)シニア堺市民大学」などの協働事業を推進します。

2.地域生活を支えるしくみをつくります

(1)福祉関係者会議の再構築とキーパーソンの配置

基本的な考え方

 第2次計画の重点推進目標である「地域生活を支えるしくみ」は、地域のさまざまな力をあわせて福祉課題を解決していくことをめざしたものです。そのためには、地域生活の支援に関わる人々が情報を共有し、地域のことをみんなで考えながら、さまざまな力やそれぞれの特長を活かした役割分担を行い、協力して活動や事業をすすめていくことが求められます。

 堺市では、福祉課題に対応するための関係者会議が分野や地域ごとにすでに行われています。これらの会議を活かして、より地域福祉の視点をもって話しあいをすすめていくように、キーパーソンとなる専門職が関わるしくみをつくります。

 そして、さまざまなニーズに総合的に対応できるように、関係者会議のあり方などを検討するとともに、分野やエリアをつなぐネットワークを構築していきます。

 また、それぞれのエリアの会議で出されたノウハウや課題を集約し、効果的な支援や施策化につないでいくしくみの確立に取り組みます。

具体的に取り組む事項

【1】「(仮称)地域福祉ねっとワーカー」を配置します

地域福祉をすすめるうえでのキーパーソンとして、堺市社会福祉協議会の各区事務所と、複数小学校区を担当エリアとする在宅介護支援センターなどに、社会福祉士の資格をもつ専門職である「(仮称)地域福祉ねっとワーカー(コミュニティソーシャルワーカー)」の配置を年次的にすすめます。

在宅介護支援センターなどに配置する「(仮称)地域福祉ねっとワーカー」は、民生委員児童委員や校区福祉委員会とともに、今までの相談機関では対応しにくい福祉課題などをかかえる人に対する個別の相談と支援にあたることに力点をおいて活動をすすめます。そのなかで、既存のサービスでは対応が困難な人には、「公」と「民」のネットワークを活かして新たな手法をつくりだしながら、支援していきます。<個別の福祉課題の解決を、地域をつないで支援する役割>

堺市社会福祉協議会の区事務所に配置する「(仮称)地域福祉ねっとワーカー」は、個別支援をすすめるための地域での話しあいや活動を支援することを通じて、「地域の課題解決力」を高めることに力を注ぎます。また、地域の課題を集約し、必要なものについては全市的な取り組みや施策化につないでいくことをめざす活動を行います。<地域の課題解決力の向上や施策の充実につなぐ役割>

「(仮称)地域福祉ねっとワーカー」は、地域での福祉関係者会議に参加し、地域で相談や福祉活動をしている人を支援したり、さまざまな分野やエリアの専門機関をつないでネットワークを構築していくことを通じて、制度の狭間や対応する制度がない課題についての調整や対応をすすめます。<地域福祉の活動やネットワークづくりを支援する役割>

「(仮称)地域福祉ねっとワーカー」の調整・対応力や課題・ノウハウを蓄積・活用して市の施策などに反映させる力を高めるため、堺市社会福祉協議会と協力して、ステップアップ研修の実施や事例検討会議への助言者の派遣などのバックアップ体制をつくります。

「(仮称)地域福祉ねっとワーカー」とは?・・【こんな働きをする人たちです】

 他市では一般的にCSW(コミュニティソーシャルワーカー)と呼ばれています。

 地域で生活していくうえで、どこに相談すればよいかわからない困りごとなどをいったん受け止め、地域のさまざまな力をつないで解決していくように、アプローチしていく新しい地域福祉の専門職です。 

 具体的には、地域の関係者や専門機関などのつなぎ役となり、それらのネットワークを活かして、支援を必要とする人を、地域の活動や公的なサービスに結びつけたり、制度やサービスがない場合には、一緒に協議しながら、新たなサービスをつくり出したりします。また、必要なものについては、事業化したり、市の施策に反映させるなどの働きもします。

たとえば、他市の事例では

家がごみであふれていることが原因で、介護サービスの利用を拒否し、社会的に孤立していた単身高齢者に対し、本人の気持ちや生活実態に寄りそって相談を行い、信頼関係を築いてきました。その中で関係機関と地域に協力を求めてゴミを片付け、介護サービスの利用につなげることができました。また、この経験を、「ゴミ処理が困難な高齢者は他にも多い」という地域の共通課題として対応することを呼びかけ、公民協働のプロジェクトが実現しました。

近所との関係が希薄なことに不安を感じていた聴覚障害者に、住民懇談会に参加するよう呼びかけました。そして、「地域の中で不安感や孤立感をもって生活している」という気持ちを他の住民にわかってもらうように、発言を促したり、代弁するなどのつなぎ役を担い、地域主催の手話勉強会が実現しました。

*上記事例は、大阪府作成のコミュニティソーシャルワーク実践事例集(平成20年7月)より引用しました。

【2】福祉関係者による重層的な話しあいをすすめます

自治連合会、校区福祉委員会、民生委員児童委員会など地域生活の支援に関わる人々や団体が校区内の情報を交換し、福祉課題を共有しながら、協力して課題を解決していくための身近な小学校区における話しあいを支援します。

問題が複雑で、専門機関など多様な機関の連携や新たな取り組みなどによる支援が必要な課題については、「(仮称)地域福祉ねっとワーカー」が調整役となって、複数小学校区で関係者会議を開催します。

各区では、保健福祉総合センター、堺市社会福祉協議会区事務所、地域包括支援センターなどの専門機関が中心となって、「(仮称)地域福祉ねっとワーカー」とともに、地域のニーズに対応した社会資源を開発したり、分野別に行われているネットワーク会議を横につなぎ、小学校区や複数小学校区での取り組みを支援します。

各区での話しあいで出された課題は市全体で集約し、施策へ反映させるため、健康福祉部門が中心となって、検討・検証、企画・調整を行います。

「地域生活を支えるしくみ」のイメージ図

(2)身近なところで相談でき、支援しあえる地域づくり

基本的な考え方

 地域生活への支援をすすめるうえでは、ニーズにいち早く気づき、専門機関などと連携しながら、きめ細かく、あたたかい支援を行う地域の力がとても重要です。

 本市では小学校区ごとに校区福祉委員会が設置され、自治連合会や民生委員児童委員会をはじめとする関係団体などと協力して、いきいきサロンや子育てサロン、見守り声かけ訪問をはじめとした地域福祉活動が活発に行われています。

 こうした取り組みの実績と地域に根ざしたネットワークの力を活かし、地域生活の支援の基盤となる福祉コミュニティづくりとともに、住民の力を活かした見守り活動を推進し、地域で生活していくうえでの福祉課題の発見機能を高めるための支援を行います。

 また、それぞれの専門相談機関が、地域福祉の視点に立った相談支援をすすめ、より地域に密着したものとなるよう取り組んでいきます。

具体的に取り組む事項

【1】「校区ボランティアビューロー」の設置と活動を支援します

地域の身近な相談窓口である「校区ボランティアビューロー」の設置を促進します。また、相談にあたる人に対する研修会を実施するとともに、「(仮称)地域福祉ねっとワーカー」が巡回したり、関係者会議へ参加するなどの支援により、地域のニーズを的確に受け止めるしくみづくりをすすめます。

【2】「お元気ですか訪問活動」を推進します

サロン活動に参加が困難な単身高齢者などで、地域での見守りが必要と思われる方を訪問し、話し相手になったり困りごとを聴いたりする「お元気ですか訪問活動」を推進します。

3.弱い立場に置かれがちな人を支える取り組みをすすめます

(1)災害時に支援が必要な人を支えるしくみづくり

基本的な考え方

 地域福祉はだれもが地域で安心して暮らし続けることをめざすものですが、なかでも命に関わる安全を守ることは、最も基本的な課題です。南海・東南海地震など、大きな災害の危険性が高まっているなか、災害時に支援を要する人が安全に避難できるよう支援するしくみづくりは緊急の課題となっています。

 特に迅速な対応が求められる災害時の支援は、身近な地域に根ざした地域福祉の力が最も効果的に発揮できる場面であり、いざというときに支えあうには、平常時から互いに知りあい、つながりがあることが不可欠です。

 だれもが無関係・無関心ではいられない災害をテーマにして、地域福祉への関心を高めながら、みんなが安全に避難できるよう支えあうしくみづくりを推進します。

具体的に取り組む事項

【1】「堺市民のための地域で進める災害時要援護者避難支援ガイドライン」を活用した取り組みを支援します

災害時に支援が必要な人を支えるしくみを、地域の実情に応じてつくっていくように「災害時要援護者避難支援ガイドライン」を活用した取り組みを支援します。

要援護者情報に接する機会が多い民生委員児童委員の個人情報保護の意識を高めるための研修を継続的に実施するとともに、自治連合会や校区福祉委員会との連携を深めるための支援を行います。

【2】支援が必要な人の状態を把握し、災害時の速やかな支援につないでいくため、民生委員児童委員会や校区福祉委員会の活動を支援します

災害時に支えあえる関係をつくっていくことも意識しながら、民生委員児童委員会による活動や、校区福祉委員会の「地域のつながりハート事業(堺市小地域ネットワーク活動推進事業)」を推進します。

校区福祉委員会による「お元気ですか訪問活動」などを通じて、支援が必要な人の把握やつながりづくりをすすめます。

(2)弱い立場に置かれがちな人の権利を守るしくみづくり

基本的な考え方

 地域福祉は、だれもが地域で安心して暮らしていくという、いわば人としてあたりまえの権利を守るように支援する取り組みです。したがって、この地域福祉計画の推進をはじめ、地域福祉に関わるすべての取り組みは、弱い立場に置かれがちな人の権利を守ることを基本としてすすめていくことが必要です。

 そのひとつとして、判断能力が低下するなど、自らの権利を守るうえで特に支援が必要な人を支えるために、成年後見制度による支援や地域福祉権利擁護事業(日常生活自立支援事業)などが行われています。今後、高齢化のいっそうの進行などによって増加するニーズに的確に対応していくよう、専門機関や市民などとも連携して取り組んでいくためのしくみづくりを推進します。

具体的に取り組む事項

【1】地域福祉権利擁護事業の担い手の確保や養成に取り組みます

認知症高齢者や知的障害者、精神障害者など、判断能力が低下した人の権利擁護とともに、日常生活の支援をすすめるよう、「堺市地域福祉権利擁護事業」(日常生活自立支援事業)の担い手の確保や養成について、事業を実施する堺市社会福祉協議会と協力して取り組みます。

【2】権利擁護の中核的なセンターの設置をめざします

弱い立場に置かれがちな人の権利擁護の相談や支援活動、虐待や差別を防ぐための取り組み、成年後見制度利用促進や後見活動への支援など、権利擁護に関するさまざまな取り組みを関係機関などと連携して推進する中核的なセンターの設置をめざします。

「堺市地域福祉権利擁護事業」(日常生活自立支援事業)とは?

 判断能力が不十分なために、毎日の生活のなかで、福祉サービスを利用したくてもその手続きができなかったり、日常的な金銭管理に不安があったりする認知症や知的障害・精神障害などの方が、安心して生活できるよう在宅生活を支援する事業です。堺市の補助を受け、堺市社会福祉協議会で実施しています。堺市社会福祉協議会と契約を結ぶ必要があるため、利用者は契約内容などの理解ができることが必要になります。

 堺市社会福祉協議会から、生活支援員が定期的に利用者のところにうかがい、つぎのようなお手伝いをします。

こんな人に…「介護保険サービスを利用したいが、ひとりで手続きが難しい」
【1】サービスの利用援助サービス(契約の補助やサービス利用料の支払いの代行)

こんな人に…「生活費が計画的に使えないので、金銭管理してほしい」
【2】日常的な金銭管理サービス(年金などの受け取りや、生活費・公共料金支払いの手続きなど)

こんな人に…「通帳や印鑑、大事な家の権利証などがとられないか心配」
【3】書類などの預かりサービス(年金証書、預金通帳、実印、証書などの預かり)

※地域福祉権利擁護事業は、制度の名称は日常生活自立支援事業に変更になりましたが、堺市では利用者に親しまれている従来の名称で実施しています。

成年後見制度とは?

 成年後見制度は、病気や障害、年をとるなどによって判断能力が低下してきたときに、法律的な面で助けるための制度です。

 「任意後見」「法定後見」の2つの種類があり、また、支援してもらう内容には、「財産管理」と「身上監護」の2つがあります。

【任意後見】

 将来、自分の判断能力が低下したときに備えて、前もって「誰に」「どのようなことを頼むか」を「自分の意思で契約して決めておく」制度(公証人役場で任意後見契約を結ぶ必要があります)

【法定後見】

 判断能力が低下した後に、親族などが家庭裁判所に申し立てて、支援者を選んでもらう制度(判断能力の程度に応じて、支援してもらう内容が異なります。判断能力の判定は、家庭裁判所が依頼した医師による精神鑑定により行われます)

【財産管理】

 金銭や不動産の管理などを行う

【身上監護】

 本人の生活状況や体力、精神状態などに気を配って、その人に最も良い生活環境を整えるために福祉サービスの利用などを行う

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健康福祉局 生活福祉部 地域共生推進課

電話番号:072-228-0375

ファクス:072-228-7853

〒590-0078 堺市堺区南瓦町3番1号 堺市役所本館7階

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