第6次堺市社会福祉協議会地域福祉総合推進計画
更新日:2024年1月16日
1 社協のこれまでの取組
社協は、昭和27年に設立し、昭和35年に社会福祉法人格を取得した地域福祉を推進する公共性の高い専門機関として、市民、団体、事業者、市・関係機関等のみなさんと協働し、地域の福祉活動と連携した活動や事業を展開しています。設立からこれまで70年近くにわたって社協が推進してきた地域福祉活動には、つぎの6つの特徴があります。
1 組織化活動を中心とした取組
社協は、昭和44年に、地域組織化活動の基盤となる校区福祉委員会の組織化を始めました。また、昭和51年からのボランティアの組織化(ボランティアセンター事業の運営)、平成元年からの当事者の組織化などにも取り組んできました。なかでも、平成11年から取り組んでいる「地域のつながりハート事業(小地域ネットワーク活動推進事業)」では、地域住民による助けあい活動を市内全域で広げてきました。
2 個別支援機能を発揮し、「福祉の地域力」を高める実践
社協は、従来から実施してきた各種相談や、平成21年度からの地域福祉ねっとワーカー(CSW)をはじめとする各種相談支援業務の受託などによって、個別支援における専門支援機能を有しています。そうした専門職が地域のなかで専門性を発揮し、地域住民とともに「福祉の地域力」を高めてきました。この取組が、従来から社協が取り組んできた、地域住民が福祉活動をすすめることによる「地域の福祉力」を高める支援と相まって、地域福祉の推進力を高めてきました。
3 計画に基づく取組
平成5年以降は、第2章(p.13)の記載のように、計画づくりの活動を通じて活動や組織運営のあるべき姿をみんなで検討し、活動や事業を推進してきました。そのことによって、その時代ごとの堺市における地域福祉の課題や政策的な動向などに沿って、また、計画内容を確実に実行することを意識しながら、計画的に活動や事業を推進しています。
4 市(行政)との協働
社協独自で取り組んできた「地域福祉総合推進計画」は、「公」と「民」の協働による地域福祉をいっそう推進するという観点に立ち、第4次の計画から堺市の「地域福祉計画」と一体的に策定し、理念や基本的な方向性を共有したうえで、社協が重点的に取り組む活動や事業を定め、協働による推進や進行管理を行っています。
5 研究者との共同研究を活かした実践
研究者との共同研究により、地域福祉実践に関する多くの研究事業に取り組んできました。近年では、平成26年度の生活困窮者自立促進支援モデル事業において大阪府立大学、大阪市立大学、堺市とともに行った総合相談システム検証会議が、平成27年からの生活困窮者自立相談支援事業の実践につながりました。また、平成27年度からは地域福祉型研修センター機能の検討を関西大学と共同で行い、平成30年度からの本格実施の実践も連携して取り組んでいます。
6 地域福祉の総合的な推進
このように、社協は、個別支援機能によって「くらしをまもる」機能、組織化活動によって「つながりをつくる」機能、計画や研究、人材養成などで「地域福祉を創る」機能を三位一体として、地域福祉の総合的な推進に取り組んでいます。
年 |
主なできごと |
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昭和27年 | 社協を設立 |
昭和35年 | 社会福祉法人格を取得 |
昭和44年 | 校区福祉委員会の組織化を開始 |
昭和51年 | ボランティアセンターを設置 |
昭和56年 | 「基本構想委員会」において、在宅サービスをしない、校区福祉委員会の強化型の社協をめざすことを答申 |
昭和62年 | 校区福祉委員会「活動推進モデル校区事業」を開始 |
平成5年 | 第1次地域福祉総合推進計画を策定 |
平成10年 | 第2次地域福祉総合推進計画を策定 |
平成11年 | 校区福祉委員会「小地域ネットワーク活動推進事業」を開始 |
平成15年 | 第3次地域福祉総合推進計画を策定 |
平成17年/平成18年 | 地域のつながりハート事業(小地域ネットワーク活動推進事業)を開始 |
(平成17年) 美原町社会福祉協議会と合併 |
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平成21年 | 第4次地域福祉総合推進計画 (新・堺あったかぬくもりプラン) を、初めて市と合同で策定 |
地域福祉ねっとワーカー (CSW) を設置 | |
平成24年 | 基幹型包括支援センターを受託 |
平成25年 | 権利擁護サポートセンターを受託 |
平成26年 | 第5次地域福祉総合推進計画(堺あったかぬくもりプラン3)を市と合同で策定 |
平成27年 | 生活困窮者自立相談支援事業、生活支援コーディネーター配置事業を受託 |
平成29年 | 日常生活圏域コーディネーターの圏域配置を開始 |
子ども食堂ネットワーク形成支援業務を受託 | |
平成30年 | 地域福祉型研修センター事業を本格実施 |
2 第5次地域福祉総合推進計画に基づき社協が取り組んだ事業
前計画である「堺あったかぬくもりプラン3」において、社協は第5次地域福祉総合推進計画に位置づけたつぎの事業を、重点的に推進しました。
(※)各取組の概要は第2章(p.14)に記載しています。
1 上半期(平成26~28年度)における実施事業
計画期間の上半期にあたる平成26年度から平成28年度までに、社協が取り組んだ主な事業は下記のとおりです。
・生活・仕事応援センター「すてっぷ・堺」の開設
・生活支援コーディネーターの配置
・地域福祉型研修センター機能の検討
・権利擁護サポートセンターにおける市民後見人養成の推進
・社協災害ボランティアセンター協働運営ネットワーク会議の開催
2 下半期(平成29~令和元年度)における実施事業
「堺あったかぬくもりプラン3」は平成28年8月に中間見直しを行い、そのなかで4点の追加・強化項目を定めました。
【中間見直しでの追加・強化項目】
1)日常生活圏域コーディネーターの配置
2)包括的な相談支援体制や区における相談支援機関のネットワークづくり、課題解決の仕組みづくりのあり方の検討
3)地域のなかで集える居場所づくりの推進
4)専門職や住民リーダーのスキル向上に向けた取組の推進
中間見直しをふまえて、下半期にあたる平成29年度から令和元年度までに社協が取り組んだ主な事業は下記のとおりです。
・子ども食堂ネットワーク形成支援業務の実施
・日常生活圏域コーディネーターの配置(CSW機能、コミュニティワーカー機能、生活支援コーディネーター機能をあわせもつワーカー)
・地域福祉型研修センター事業の本格実施
・ダブルケアに対する相談支援
3 計画の進捗管理
第5次地域福祉総合推進計画は、社協として地域福祉総合推進計画推進協議会を開催するとともに、地域福祉計画推進懇話会を市と合同で開催するなど、さまざまな場で評価や意見をいただきながら推進してきました。また、進捗状況の評価や社会状況の変化などをふまえて、上記のように中間見直しを行い、4つの追加・強化項目にあわせて事業をすすめてきました。
また、市民への啓発を目的として、市と共催で「地域福祉フォーラム」を開催し、毎年400人を超える市民や関係者に参加していただいています。
このように、堺市における地域福祉のテーマや政策的な動向などに沿って、計画的に活動や事業を推進してきました。
3 第5次地域福祉総合推進計画策定以降の社協をとりまく状況
全国社会福祉協議会は、平成24年に策定した「社協・生活支援活動強化方針」とその具体化を図るための「アクションプラン」を平成30年に改訂し、「あらゆる生活課題への対応」と「地域のつながりの再構築」を強化方針の柱とした「第2次アクションプラン」を発表しました。これは、全国の市区町村社協に向け、地域生活課題への対応と地域共生社会の実現に向けた事業・活動の展開を図るための指針としています。
国は、地域共生社会の実現に向け、社会福祉法を改正し平成30年4月から施行しました。社協は改正法第4条に掲げられた理念(※)を周知する役割や、第106条の3に規定された「包括的支援体制」の確立に向けた実践が求められています。
こうした状況をふまえ、社協は、特に、住民が地域福祉を「わがごと」として考え、行動する主体性への働きかけや、アウトリーチの徹底、地域のつながりの再構築などに取り組む必要性がいっそう高まっています。
(※)地域共生社会の実現に向けて、支援を必要とする住民や世帯が抱える多様で複合的な地域生活課題を、住民や福祉関係者が把握するとともに、関係機関と連携して解決をめざすことなどが記載されています。
4 第6次地域福祉総合推進計画で社協が重点的に取り組むこと
第6次地域福祉総合推進計画は、第3章で定めた「取組の理念」と「取組の基本目標」に基づいて推進します。
(1)取組の理念
“ともに暮らすまち”、“支えあい続けるしくみ”を、わたしたちの“参加と協働”でつくる
(2)取組の基本目標
1)生活の“困りごと”を見つけ、支援につなぎ、解決します
2)“ともに暮らすまち”づくりを、多様な人や組織の参加と協働ですすめます
3)すべての人の権利擁護を支えます
4)安心で、生活しやすい環境をつくります
(3)社協が取り組む3つの方向性
社協は、地域福祉の推進機関として、第5次地域福祉総合推進計画に引き続き、くらしをまもる、つながりをつくる、地域福祉を創る、の3つの取り組む方向性を掲げ、「地域福祉の総合的な推進」をめざします。そのために、社協の基盤強化に取り組み、組織力と専門性を高めます。
また、3つの方向性をすすめる共通手段として「福祉共育」(※)を活用し、社協の全事業に取り組みます。(※)福祉共育とは「地域で共に生きる力」を育む学びの取組
社協の取り組む3つの方向性と事業のイメージ図
(4)社協が重点的に取り組むこと
「社協が取り組む3つの方向性」に沿って、さまざまな主体と協働しながら、つぎの取組を重点的に推進します。
取り組む方向性1 くらしをまもる |
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(1)包括的な相談支援体制に対応する機能を構築します |
取り組む方向性2 つながりをつくる |
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(1)多様な居場所づくりや活動、活動者や理解者を広げるよう支援します |
取り組む方向性3 地域福祉を創る |
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・地域福祉を創る機能を高めて、さまざまな主体による協働をすすめます |
社協の基盤強化 組織力/専門性 |
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・社協の基盤強化を計画的に推進します |
取り組む方向性1 くらしをまもる
(1)包括的な相談支援体制に対応する機能を構築します
- 包括的な相談支援体制の充実に向けて、社協の相談支援機能を強化します
・区役所(保健福祉総合センター)における総合相談支援体制の充実に向けた市の取組と連動し、社協区事務所が各種相談機関のネットワークの一翼を担うよう、コーディネート機能を強化します。
・社協の各事業で受けた相談に対して適切に対応するとともに、分野を越えた問題や課題に対しては、チームによる支援を実施します。区の専門機関や地域の関係機関、ピアサポート等の地域の多様な相談活動などとの効果的な連携を図り、切れ目のない支援と漏れのない支援を終結まで行います。
・市と協働してチームによる支援や分野ごとのネットワーク会議を通じて顕在化した地域生活課題を蓄積し、課題解決に必要な社会資源の開発やしくみの検討に戦略的に取り組みます。
- 地域へのアウトリーチと、連携による支援を強化します
・日常生活圏域コーディネーター等による地域へのアウトリーチ活動を強化し、地域住民や専門職と協働して、地域のさまざまな“困りごと”を発見します。
・生活困窮者自立相談支援事業と日常生活圏域コーディネーター等の連携を強化し、各区での相談・支援を充実します。
・地域の身近な相談窓口である「校区ボランティアビューロー」での相談支援を充実するよう、日常生活圏域コーディネーターが地域の多様な専門職や地域住民と協働して支援します。また、地域だけでは解決できない社会的孤立や生活課題は、区の相談体制と連携して支援します。
- 高齢者を含む世帯への総合的な相談支援を強化し、「地域包括ケア」を推進します
・各区の基幹型包括支援センターは、地域包括支援センターと連携を図るとともに、地域ケア会議の開催や医療・介護等関係機関との多職種連携の強化、認知症の方や介護されている家族への支援、ケアマネジャー支援、職員の力量向上などに取り組み、高齢者に対する相談支援体制の充実を図ります。
・基幹型包括支援センターに設置したダブルケア相談窓口では、子育てと介護を同時に抱える世帯の相談を受け付け、子育て関係機関・教育関係機関とも連携しながら、課題の解決を図ります。また、子育て世代だけでなく多様な世代が集まる場での啓発や、子育て関係機関等との情報共有を図り、相談へのつなぎを促進するための支援をすすめます。
・基幹型包括支援センターと日常生活圏域コーディネーターが連携して一体的に活動することにより、8050問題を含む社会的孤立や複合多問題を抱える高齢者や世帯にあった支援を行います。また、地域住民や関係機関、地域包括支援センターと連携し、総合的な高齢者支援ネットワークづくりを推進します。
- 市域の支援機能と区の支援機能の連携やバックアップ機能を強化します
・区のチームによる支援をサポートするため、市域を対象とした相談支援業務である権利擁護サポートセンター、日常生活自立支援事業、生活福祉資金貸付等を活かし、必要に応じて具体的な役割を担って包括的な支援体制でバックアップを行います。
・各区での権利擁護支援を強化するため、権利擁護サポートセンターによるスーパービジョンや専門相談を、日常的に利用できるしくみを構築します。
【主な取組例】(□:新規、▲:強化)
□ 区における包括的な相談支援体制の推進
□ 市との協働による課題解決に必要な社会資源の開発やしくみの検討
▲ 社協の地域アウトリーチ活動の強化
▲ 地域包括ケアと権利擁護支援の推進
▲ 支援と資源の蓄積(データベース構築)と見える化
(2)さまざまな“困りごと”に対する相談支援を行い、くらしをまもります
- 生活困窮者への対応を含めた、総合的な相談支援を行います
・生活困窮者自立相談支援事業(生活・仕事応援センター「すてっぷ・堺」)による、生活困窮世帯に対する生活相談や就労支援を強化します。また、ひきこもりなど社会的孤立を要因とした地域のさまざまな“困りごと”に対して、社協らしく地域にねざした相談支援を行います。
・社協が実施する相談支援業務と地域活動団体と連携した相談支援をいっそう効果的に連動させて、“地域でのつながりのあるくらし”をまもります。
・社協内の相談支援機能を向上させ、くらしをまもる力を高めるための取組として、社協内の各事業部門による支援力を強化するとともに、部門を横断した合同ケース検討会を行います。
- 権利擁護サポートセンターの機能を強化します
・認知症や知的障害、精神障害等により判断能力が十分ではない人の暮らしと権利を守るための支援を行う権利擁護サポートセンターは、権利擁護支援推進の中核機関としての機能を強化し、下記の取組を推進します。
(地域連携ネットワークの構築)
・権利擁護支援推進のための地域連携ネットワークを、市と協力して構築します。また、ネットワークを構成するさまざまな機関と連携して、成年後見制度の利用を含めた権利擁護支援を推進します。
(広報啓発の充実)
・市民・事業所・地域の支援機関等を対象として、講演会や研修を通して、権利擁護支援の必要性を広報します。
(相談支援の充実)
・基幹型包括支援センターや地域包括支援センター、障害者基幹相談支援センターとの連携を密にして、権利擁護支援を必要とする人を早期に発見します。また、地域の支援機関をバックアップして、必要に応じた成年後見制度や日常生活自立支援事業の利用をすすめます。
(後見人支援の充実)
・成年後見制度が適正に利用されるように、市民後見人の養成や法人後見の推進などによる多様な担い手づくりと、適切なコーディネートを推進するとともに、活動への支援を行います。
・本人を中心とした適正な後見活動が行われるよう、親族後見人等に助言し、支援機関や家庭裁判所と情報共有などの連携を行います。
- 生活課題解決に向けた多様な主体の参加や社会貢献を促進します
・個別支援を通じて把握した既存の制度だけでは解決できない生活課題への対応や、不足している社会資源の整備を図るために、市民や企業・団体からの寄付を活用した取組や、社会福祉法人による地域貢献活動を推進します。
(例:緊急食糧支援、中間的就労、金銭管理・法人後見)
・市が推進する「認知症にやさしいまちSAKAI」をめざして、認知症サポーターの養成講座やフォローアップ研修・交流会を充実し、いっそう多くの人や組織などの参加による多様な活動や、見守りの輪を広げます。
- くらしをまもるためのネットワークづくりをすすめます
・日常生活圏域コーディネーターが中心となって、子ども、障害、高齢などの分野のネットワークに参画し、参加する機関や団体等と連携して各分野の福祉課題に取り組むとともに、分野を横断した地域福祉のネットワークづくりと、個を支える地域づくりに取り組みます。
【主な取組例】(□:新規、▲:強化)
□ 生活課題の解決を目的とした地域貢献活動の推進
▲ 生活困窮者自立相談支援事業(生活・仕事応援センター「すてっぷ・堺」)の充実
▲ 権利擁護サポートセンターの中核機関としての機能の拡充
▲ 法人後見の推進と、市民後見人養成の充実
▲ 日常生活自立支援事業の充実
▲ 社協の部署を横断した合同ケース検討会の実施
《社協の取組から》生活・仕事応援センター「すてっぷ・堺」 |
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堺市は、生活困窮者自立支援法(平成27年4月施行)にともない、自立相談支援機関として生活・仕事応援センター「すてっぷ・堺」を平成26年度に設置し、社協が運営しています。生活や就労に関するさまざまなお困りごとをお受けし、その人や世帯の自立に向けて、地域の多様な社会資源と連携を図りながら、社協らしく地域にねざした“伴走型の支援”に取り組んでいます(平成30年度の相談件数:約1,900件、就労決定率:約80%)。 |
《社協の取組から》権利擁護サポートセンター |
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認知症・知的障害・精神障害等によって、判断能力が十分でない状態におられる方が、地域でその人らしく安心して暮らしていけるように支援することを「権利擁護支援」といいます。堺市は、平成25年に権利擁護支援の中核的なセンターとして「権利擁護サポートセンター」を開設し、社協が運営しています。 |
取り組む方向性2 つながりをつくる
(1)多様な居場所づくりや活動、活動者や理解者を広げるよう支援します
- 参加しやすい居場所づくりと活動への参加を促進します
・地域とのつながりが希薄な人や地域活動に関わりあう機会が少ない人にとっても、過度な負担を感じずに、気軽に、楽しく、身近なところで参加しやすい居場所や活動の創出への支援を、日常生活圏域コーディネーターが中心となって推進します。
・居場所や活動に関する情報を地域住民が得やすいように、集約した情報をICT(情報通信技術)の活用等さまざまな方法で発信し、参加へのきっかけづくりやつなぐ支援を行います。また、社協の各種事業で関わる場面を活かして、情報が得にくい人にも配慮した情報伝達に取り組みます。
・食事の提供等を通じた地域の居場所づくりとして、子ども食堂に対する支援を推進します。そのなかで、子ども食堂を地域の居場所として広げながら、活動の深まりとして、支援が必要な人の発見と支援へのつなぎ、見守りなどの機能ももてるように、子ども食堂の実践者と専門職等の顔の見える関係づくりを支援します。
・地域福祉活動への参加を促進するため、だれもが「受け手」にも「支え手」にもなることの理解を深めます。また、サービスや活動の「受け手」でもある人が「支え手」として参加するよう支援します。
- 地域福祉活動の理解者や活動者を広げます
・専門職と地域住民が地域福祉への理解を深め、協働する力を高めるように、地域福祉型研修センター機能をいっそう充実します。そのために、エリアや対象者ごとの多様な学習ニーズや人材育成ニーズもふまえた研修等を実施するよう、研修の企画者を広げながら推進します。
・専門職や地域住民が各々のニーズにマッチした研修を選んで受講できるように、市内で受講できる多くの研修の情報を発信する「地域福祉研修情報ネット」の活用を促進します。また、研修を実施する機関・団体と連携し、堺市全体で効果的な研修をすすめる方策などを検討します。
・社協の各種事業においては、(事業の運営だけでなく)地域福祉への理解を広げる福祉共育(教育)の機会を提供し、常に活動者や理解者を増やすことに意識的に取り組みます。そのために、地域福祉型研修センター機能を活用して、社協職員のスキルアップを図ります。
【主な取組例】(□:新規、▲:強化)
□ 日常生活圏域コーディネーターを中心とした、地域資源の「見える化」とデータベースのシステム運用による「使える化」
▲ 地域福祉型研修センター機能による「協働」をすすめる研修等の実施
▲ さかい子ども食堂ネットワークの推進
《社協の取組から》日常生活圏域コーディネーター |
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平成27年度の介護保険制度の改正で、地域での高齢者の生活支援・介護予防をすすめる体制を整備することとなり、堺市では、社協に生活支援コーディネーターを配置しました。また、平成29年度からはコミュニティソーシャルワーカー、コミュニティワーカー、生活支援コーディネーターの3つの機能をもつ「日常生活圏域コーディネーター」の社協各区事務所への配置を順次すすめています。 |
《地域での取組から》子ども食堂 |
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市内では、さまざまな家庭環境で暮らす地域の子どもたちに、食事と居場所を提供し、見守り、必要に応じて支援機関につなぐ「子ども食堂」が、多様な支え手によって実施されています。また、子ども食堂の輪を広げていくことを目的として、市は平成29年度に「さかい子ども食堂ネットワーク」を立ち上げ、社協が事務局を担っています。子ども食堂は、それぞれの実施団体が特徴や強みを活かして活動を展開していますが、共通するのは「子どもたちのためになんとかしたい」という実践者の想いです。 |
(2)地域での活動を支援し、人と人のつながりをつくります
- 「地域のつながりハート事業」を継続し、地域の活動や支えあいを推進します
・堺市では小学校区を単位として校区福祉委員会が結成され、校区自治連合会、校区民生委員児童委員会などの地域組織の協力のもとで、「地域のつながりハート事業(小地域ネットワーク活動推進事業)」が行われています。そのなかでは、個別援助活動や「いきいきサロン」、「子育てサロン」などのグループ援助活動などが地域の実情にあわせて展開され、地域で支えあう力になっています。この活動を継続するよう、日常生活圏域コーディネーターをはじめとする地域の専門職が、地域住民や活動者と協働して推進します。
・各校区の取組等を通じて、地域住民の「わがまち」をよくしていこうと思う気持ちが高まるような、対話や懇談の場面をつくっていきます。また、各校区の状況や取組の内容にあわせ、「校区活動計画」づくりに向けて、日常生活圏域コーディネーターが地域住民等と協働して取組をすすめます。
- 地域の身近な相談の場での活動や訪問活動を、継続して推進します
・「地域のつながりハート事業」における地域の身近な相談の場として、校区福祉委員会が運営する「校区ボランティアビューロー」の機能を高めます。そのために、日常生活圏域コーディネーターや地域包括支援センター職員、地域の専門職等が、必要に応じて地域の活動者などと協働して、校区ボランティアビューローでの相談支援を実施します。
・「地域のつながりハート事業」の「お元気ですか訪問活動」を通じて、高齢者世帯だけではなく、多様な住民の社会的孤立を防いだり、問題を早期に発見するための関係をつくるよう、日常生活圏域コーディネーターや地域の専門職と活動者が、協働しながら取り組みます。
- 民生委員児童委員や保護司の活動への支援を充実します
・民生委員児童委員や保護司の活動を支援するよう、さまざまな場面で活動の周知を図ります。また、日常生活圏域コーディネーターや地域の専門職が協働し、困難事例に関する活動への支援を推進します。
【主な取組例】(□:新規、▲:強化)
□ エリア別・テーマ別の意見交換や住民福祉講座の開催
▲「校区ボランティアビューロー」や「お元気ですか訪問活動」の充実
《地域での取組から》地域のつながりハート事業 |
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「地域のつながりハート事業」は、各小学校区で組織化されている校区福祉委員会が主体となり、地域の方々が交流を通してお互いが知りあいつながる、心のこもったあたたかい地域ボランティア活動です。生活の困りごとをお互いが支えあう「個別援助活動」と、地域のふれあいを図るサロン活動などの「グループ援助活動」に取り組んでいます。 |
(3)ボランティア・市民活動の総合的な支援と強化を図ります
- ボランティア活動に興味や関心のある市民を参加につなぎ、活動者を増やします
・多様な層の市民の「何かやりたい」という気持ちを応援するため、活動に対する意欲やニーズにあわせて活動につなぐコーディネートを推進します。そのために、気軽に参加できる活動を増やしたり、新たな活動起こしを支援し、多様な活動プログラムづくりをすすめます。
・SNS(インターネット等を介して社会的なネットワークをつくるサービス)などを活用したり、出前講座や研修会などのさまざまな場面を通じ、ボランティア活動情報を広く発信して活動の見える化を行い、関心を高めて参加を促進します。
・次世代の地域福祉の「支え手」となる学生等の若者が参加しやすい活動づくりや、コーディネートを推進します。また、学校教育機関等と連携し、若者のボランティア活動を推進するネットワークづくりをすすめます。
- 多様な活動主体の対話と協働を促進する(出会いの)場づくりをすすめます
・個人や団体で活動している人たちや、新たに活動を立ち上げたいと考えている人たちが、互いに思いを語りあい、つながることができる出会いの場(プラットフォーム)づくりをすすめます。出会いと交流を通じて「活動が広がる」、「仲間が増える」、「新たな活動が生まれる」場になるよう、エリアやテーマごとに場づくりをすすめるとともに、効果的な協働を促進するためのコーディネートを行います。
- NPO法人などとの協働による事業展開を推進します
・複雑で多様化した地域福祉課題を解決していくためには、さまざまな団体などがその「強み」を活かし、共通の目的の達成に向けて協働して対応していくことが必要です。そのため、NPO法人などの団体との協働をすすめ、団体と社協がもつ専門性をかけあわせて、課題解決型の取組を展開します。
・前計画に基づいて推進してきたボランティア・市民活動の総合的な窓口である「市民協働ひろば」を通じて、中間支援組織との連携を強化し、協働事業を企画・実施しながら、ボランティア・市民活動を総合的に推進します。
【主な取組例】(□:新規、▲:強化)
□ 市民のニーズをふまえた、多様なボランティア講座のメニューの開発
□ 学生ボランティアネットワークづくりと、学生ボランティアアワードの開催
□「(仮称)さかいボランティア総合バンク」の検討
▲ 企業・事業者向けのボランティア講座の実施と、活動参加のコーディネート
▲ 認知症サポーター・キャラバンメイトの活用
《地域での取組から》認知症になっても安心して暮らせるまちづくり |
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堺市では、認知症になっても安全・安心に住み慣れた地域で暮らせるよう、「認知症にやさしいまちSAKAI」をめざして、公民協働の取組をすすめています。 |
(4)多様な主体による地域貢献活動を促進します
- 社会福祉法人や事業者などによる地域貢献活動を支援します
・社会福祉法人が行う専門性や多様な資源を活かした公益的な取組と連携して、地域の福祉課題の解決に取り組みます。そのために、社会福祉法人や事業者が取組を始めるきっかけになるよう、一定の活動のメニューを提示するとともに、活動への支援を行います。
(メニュー例)
〇 子ども食堂の実施や、会場の提供などによる活動への支援
〇「多様性カフェ」や「認知症カフェ」などの実施
〇 ひきこもりの人などの社会参加のための中間的就労や居場所の提供
〇 法人後見や金銭管理の実施
・企業や社会福祉法人等の、「地域を応援したい」という思いをかたちにするよう支援します。そのために、地域の活動や実情にあわせた寄付や支援などができるよう、地域と企業等のマッチングを行います。また、企業・事業者、NPO法人、行政機関などと、地域のさまざまな団体等が連携して福祉課題の解決に取り組めるように、情報発信や取組へのアドバイス、コーディネートなどの支援を行います。
《地域での取組から》高齢者見守りネットワーク事業(SAKAI見守りねっと) |
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高齢者の方が安心して暮らし続けられるために地域で行われてきた見守りに加え、事業所と連携して見守りネットワークを拡充するよう、市は「高齢者見守りネットワーク事業」を推進しています。自治会等の協力機関と趣旨に賛同し登録していただいた薬局や福祉事業所などをはじめとする多様な協力事業所(令和元年10月現在2,233事業所)が日常生活や仕事のなかで「さりげない見守り、声かけ」を行い、「気になるサイン」(例えば、配達したものを取り込んでいないなど)に気づいたときは、地域包括支援センターなどの関係機関に連絡していただいています。 |
- 各種団体等の地域福祉活動を推進します
・地域福祉に関わるさまざまな機関・団体・事業者が、活動や事業を地域住民や他の事業者等と共有し、効果的な協働ができるようにエリアやテーマごとのネットワークづくりを推進します。
・堺市自治連合協議会、堺市女性団体協議会、堺市民生委員児童委員連合会、堺市社会福祉施設協議会、堺市保護司会連絡協議会、堺市更生保護女性会等、地域で活動している各種団体といっそう連携し、協働による活動を推進します。
【主な取組例】(□:新規、▲:強化)
□ エリアやテーマにあわせた新しいネットワークの構築
▲「高齢者見守りネットワーク事業」に登録した協力事業所のネットワークの強化
(5)災害ボランティアセンターを中核とした災害復旧・復興活動をすすめます
- 災害ボランティアセンター運営体制の整備と機能強化を推進します
・災害時に、被害規模などに応じて、迅速かつ的確に災害ボランティアセンターを開設し、被災者への支援を行うとともに、復旧・復興に向けた災害ボランティア活動を円滑かつ効果的にすすめるよう、さまざまな支援団体との協働を推進します。
・全国的に検討・準備がすすめられている大規模災害に備えた「災害福祉支援センター構想」をふまえて、災害ボランティアによる支援にとどまらず、福祉専門職等との連携による福祉的な支援が必要な人への支援活動も推進します。
・発災後に迅速な対応や安定した支援がすすめられるように、災害ボランティアセンター運営マニュアルの改訂や職員研修などを行い、平常時から「災害対応力」や「受援力」を高めるための準備や対策、体制整備を行います。
- 災害時に備えて、平時からの災害支援ネットワークを強化します
・前計画に基づいてすすめてきた市内の各種団体との「社協災害ボランティアセンター協働運営ネットワーク会議」の取組を拡充し、市、NPO等の支援団体、社協による平常時からの三者連携の強化を図ります。
・被災者の多様な生活再建ニーズに対応していくため、高い専門性をもつ技術系支援団体等との顔の見える関係づくりを、平常時からすすめていきます。
- 災害ボランティアセンターと地域組織等の連携(支援)体制を構築します
・被災による生活上の困りごと(生活支援ニーズ)を把握し、被災者支援や地域再建に取り組むためには、地域組織や支援者等との連携が不可欠です。そのため、地域組織や避難所から生活支援ニーズが集まるしくみづくりをすすめるとともに、地域組織や支援団体、当事者団体、福祉事業者等と連携して、地域の状況や個人のニーズに応じた被災者支援を行えるよう、平常時からの連携体制の構築をすすめます。
- 広域災害支援ネットワークとの連携をすすめます
・大阪府域における連携の場である「おおさか災害支援ネットワーク」や、全国の社会福祉協議会のネットワーク(ブロック相互支援等)をはじめ、災害支援に取り組むNPO等や全国各地で活動する多様な支援団体とのつながりを活かした被災者支援が展開できるよう、平常時からの連携をすすめます。
【主な取組例】(□:新規、▲:強化)
□ 校区防災訓練と災害ボランティアセンター設置運営訓練の合同実施
▲ 災害ボランティアセンター運営マニュアルの改訂や設置運営訓練の実施
▲ 行政・社協・NPO等の三者連携のための協議体の構築
《社協の取組から》「災害ボランティアセンター」を中核とした災害支援 |
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近年、全国各地で、毎年のように台風等に伴う豪雨や地震などの自然災害が頻発しています。その規模も広域かつ大規模なものが多く、いつ来るかわからない大規模災害への備えとして、平常時からの対策や準備が不可欠です。 |
取り組む方向性3 地域福祉を創る
- 地域福祉を創る機能を高めて、さまざまな主体による協働をすすめます
・社協が取り組む「くらしをまもる」、「つながりをつくる」活動を通じて把握した地域における福祉課題を、社協の各部署が参加する「地域福祉推進プロジェクト会議」で整理し、課題解決に向けて、調査・研究や、新たなサービス・活動を開発するための検討に取り組みます。
・「地域福祉推進プロジェクト会議」で取りまとめた地域の課題を、市が開催する各ネットワーク会議等を通じて共有し、施策化や事業化に向けて、連携して取り組みます。
- 地域福祉型研修センター機能を充実し、地域福祉人材と活動を広げます
・地域福祉型研修センター機能を活かして、学習ニーズや人材育成ニーズにあわせた研修に取り組み、地域福祉志向の人材育成や、専門職と地域住民の協働による地域福祉活動を推進します。
・地域福祉型研修センター機能では、専門職や当事者、地域住民などの参加により研修の企画者を広く育成することを通じて研修機能のすそ野を広げ、学びと活動の循環をつくって、各地域や所属組織での新たな活動の創出を促進します。
地域福祉型研修センター機能のイメージ
《社協の取組から》地域福祉型研修センター事業 |
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「地域福祉型研修センター事業」では、協働して地域生活課題の解決に向けて取り組む専門職と地域住民の育成を目的として、研修や情報発信などを行っています(平成27年度より機能の検討を開始し、平成30年度から本格実施しました)。 |
社協の基盤強化 組織力/専門性
- 社協の基盤強化を計画的に推進します
・めまぐるしく変化する社会状況に対応して、社協のめざす3つの方向性に沿った活動や事業をすすめていくために、社協の基盤強化として、人材の育成、確保、定着、財源確保や寄付の拡大、BCP(事業継続計画)の作成、広報啓発の充実などを、計画的に推進します。
- 地域福祉を推進する機関として、専門性を高めます
・地域福祉を推進する機関として専門性を高めるために、職員の人材育成プログラムを開発し、日常的なOJT(業務を通した職業教育)を含むスーパービジョン体制の強化などを推進します。
【主な取組例】(□:新規、▲:強化)
□ 人材育成プログラムの開発
□ BCP(事業継続計画)の作成
▲ 人材確保、定着のための取組
▲ 財源確保のための検討(寄付の見える化、新たな寄付文化の醸成など)
▲ 社協の魅力の発信、広報啓発の強化
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