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第3章 計画の推進目標

更新日:2024年1月25日

 堺市の地域福祉をとりまく状況や課題をふまえ、市、社協、市民・団体、事業者・企業などをはじめ、地域に関わる「公」と「民」の多様な主体が参加、協働して地域福祉を推進していくうえで共有する目標を、つぎのように定めます。

計画推進目標のイメージ

1 取組の推進方針

(1)取組の理念

“ともに暮らすまち”、“支えあい続けるしくみ”を、わたしたちの“参加と協働”でつくる

 だれもが安心して心豊かに暮らすことを支える地域福祉の基盤として、わたしたち(市、社協、市民・団体、事業者・企業をはじめ、地域に関わるすべての人や組織)は、さまざまな立場で、さまざまな“思い”をもち、さまざまな暮らし方をしている人たちが、みんなで“ともに暮らすまち”づくりをすすめます。
 そして、そのまちで暮らし続けられるように、お互いを知り、理解しあいながら、さまざまな“困りごと”を解決し、すべての人の人権と安心できる暮らしをまもっていくために、地域のあらゆる力をあわせ、社会にも広く呼びかけながら、“支えあい続けるしくみ”をつくっていきます。
 わたしたちのまちで、すべての人の《【ふ】だんの【く】らしの【し】あわせ》を実現するために、一人ひとりが“できること・したいこと”を考えて参加し、つながりを広げながら、“強み”を活かして協働していくことをめざし、この計画を推進していきます。

(2)取組の視点

 「取組の理念」を実現するために、つぎの4つの視点を重視して、すべての活動や事業を推進していきます。

1 人権を尊重し、共生をすすめる

・地域では、さまざまな人々が生活しています。そのなかで、年齢、性別、国籍、障害の有無、社会的出身、経済状況等にかかわらず、だれもが地域社会の一員として尊重し、支えあいながら、心地よく、安心して暮らせるまちづくりが、地域福祉のめざすことです。
・一方、社会のなかには、さまざまな偏見や差別、権利を損なう事象などの課題が残されています。虐待や差別などを防ぐための法律が整備され、制度に基づく取組もすすんできていますが、虐待の発見や差別的な対応をなくす配慮など、地域のさまざまな人や組織が意識し、協力して取り組まなければ、多くの問題を解決することはできません。
・みんなが“ともに暮らすまち”にするために、地域福祉をすすめるためのすべての活動や事業において、人権の尊重をあらためて徹底します。また、活動や事業にだれもが参加、利用できるようにして、活動や事業を通じてお互いの理解をすすめるように、意識して取り組みます。

2 ”自分らしい”生活を、包括的に支援する

・都市化やグローバル化が進行し、社会の成熟化とともに価値観やライフスタイルが多様化して社会とのつながりも変化するなかで、さまざまな“困りごと”を抱えたり、“生活のしづらさ”を感じることが増えています。地域での生活を支える地域福祉のニーズが多様化、複雑化し、増大するなかで、すべての市民が、自らの意思に基づいて“自分らしい”生活がおくれるように、“支えあい続けるしくみ”を構築することが求められています。
・生活の“困りごと”は多岐にわたり、1つの制度では対応できなかったり、制度の狭間となっているものもあります。生活全体をみて包括的に支援していくために、さまざまな分野の機関が連携したり、公と民の多様な主体が各々の“強み”を活かして協働し、チームとなって継続的に関わっていくことを、地域福祉のすべての活動や事業に関わる人が意識し、効果的に協働するためのしくみや場づくり、つなぐ力を高めることなども考えながら、取組をすすめます。

3 多様な人や組織が参加、協働する

・さまざまな“困りごと”や“生活のしづらさ”などにより、地域福祉は、だれにとっても「わがごと」になってきています。しかし、高齢化の進行や働き方の変化などで、地域活動の支え手はますます厳しい状況になり、福祉の仕事に従事する人の確保も難しくなっています。地域福祉を持続可能なものにするためにも、いっそう多くの人や組織が参加した取組として広げていく必要があります。
・だれもが必要なときは地域福祉の「受け手」になり、“おたがいさま”の意識をもって各々ができることで「支え手」にもなって、気軽に、楽しく、その人にとって身近なところで関われるように、多くの、さまざまな人が参加しやすいことを考えて、すべての活動や事業をすすめます。
・特に、これまで地域福祉と関わりが少なかった人々や、さまざまな分野の団体、事業者・企業など、また、支援を受ける立場の人なども含めて、幅広く呼びかけ、参加のための条件を整えるなどの支援をしながら、参加を広げます。
・そして、各々の特性や“強み”を活かした協働をすすめていくことで、いっそう広がりのある、効果的な活動や事業を展開します。

4 必要な情報を、必要な人に的確に伝える

・自らの“困りごと”に気づき、“自分らしい”生活を支える支援を選んで適切につながるためにも、また、地域の課題を知って、自分ができることを活かせる活動や事業の支え手となるためにも、地域の状況や、地域福祉の支援、さまざまな活動などについての情報を、的確に知ることが重要です。
・地域福祉に関する情報は、さまざまな方法で、たくさん発信されています。しかし、自分にとって必要な情報を的確に得ることが難しいと感じる人が多く、だれもが「わがごと」として地域福祉に関わるうえで、大きな課題となっています。
・情報を必要な人に的確に伝えることは、活動や事業を効果的にすすめるうえで不可欠なことです。また、市民は情報を強く求めています。このことをあらためて認識し、地域福祉のさまざまなネットワークや、多様な手法を活用しながら、情報を的確にわかりやすく発信すること、また、情報を受け取りにくい人や、自らの“困りごと”に気づかない人などにも的確に伝わるように配慮することを、すべての取組のなかで意識して推進します。

(3)わたしたちの役割と協働

 地域のさまざまな主体が、それぞれの“強み”を活かして役割を分担し、協働して堺市の地域福祉を充実していくために、これまで地域福祉と関わりが少なかった人や組織などにも積極的に呼びかけながら、だれもが「わがごと」として理解し、参加することをめざして、活動や事業を推進していきます。

・堺市の地域福祉推進の責務をもつ主体として、市民・団体、事業者・企業等がいっそう広く参加・協働して地域福祉を推進するよう呼びかけながら、支援のしくみづくりや条件整備を推進するよう、地域福祉の推進機関である社協を支援し車の両輪となって取り組みます。
・市民の福祉課題を解決するサービスや活動が的確に実施されるよう、生活に関わるさまざまな分野の部局、大阪府や国などの関係機関等と連携し、「公」の役割を発揮してニーズの集約や調整を行いながら、直接的な支援や、サービス提供体制の量と質の確保などを推進します。

  • 社協

・高い公共性をもって地域福祉を推進する専門機関として、「くらしをまもる」、「つながりをつくる」、「地域福祉を創る」という3つの方向性に取り組み、市とともに、多くの市民・団体、事業者・企業、関係機関の参加と協働のもとで、地域福祉を総合的に推進します。
・コミュニティワーク(地域活動への支援)の専門性を活かして、さまざまな人や組織をつなぐ「地域福祉のプラットフォーム」をつくるとともに、地域にねざしたコミュニティソーシャルワークの機能と専門性を活かし、地域の力をつないで市民の福祉課題を解決するための相談や支援を推進します。

  • 市民・団体

・一人ひとりの市民が、地域福祉を「わがごと」と理解し、自分、家族、地域の人々などの「ふだんの、くらしの、しあわせ」を実現するよう、よりよい生活をめざすとともに、地域、社会とつながり、“できること・したいこと”で支えあいます。
・一人ひとりの“思い”を、身近な地域の組織や、志を共有する人々によるボランティア・NPO・当事者組織などの団体を通じて、力をあわせて実現するよう、参加を広げながら、各々の目的に沿った活動・事業を展開するとともに、各々の特長を活かして協働し、いっそう効果的に推進していきます。

  • 事業者・企業

・社会福祉法人をはじめとする福祉サービスを提供する事業所や、市民の生活に関わるさまざまな事業を行っている事業者・企業は、各々の業務を通じて、市民のよりよい暮らしを支えます。
・あわせて、地域の一員として、組織がもつ事業、人材、拠点、資金などの資源を活用して積極的に地域や社会に貢献し、地域の住民・団体や市などとも協働して、地域福祉の推進に取り組みます。

(4)エリアごとの取組と連携

 地域福祉のさまざまな課題に効果的に対応していくために、各々のエリアがもつ機能や資源の“強み”を活かして取り組むとともに、エリアを越えて重層的に連携して補いあいながら、堺市全体の地域福祉を充実していきます。

  • 自治会等のエリア

・日常的なあいさつや交流等を通じて住民がつながり、“困りごと”に気づいたり、災害時などの支えあいができるエリアとして、自治会をはじめとする住民組織(管理組合等も含め)が、校区福祉委員会、民生委員児童委員や日常生活圏域を支援する専門機関等と連携して地域福祉への理解を広げながら、活動を推進していきます。

  • 小学校区

・地域にねざした地域福祉活動をすすめる基本的なエリアとして、さまざまな地域組織が参加する校区福祉委員会が中心となって、地域福祉の専門機関や住民の生活に関わる多様な機関、団体、事業者・企業などといっそう協働し、必要に応じて他の小学校区などとも連携しながら、住民の“困りごと”や地域の福祉課題を把握し、協働して解決する活動を推進します。

  • 日常生活圏域

・住民の“困りごと”や地域の福祉課題が複雑化・多様化していることに対応していくために、地域包括ケアシステムに位置づけられた21か所の日常生活圏域(複数の小学校区で設定)での取組を強化します。そのために、地域包括支援センターや日常生活圏域コーディネーターによる住民や地域組織などへの相談や支援を充実するとともに、より多様な機関、団体、事業者・企業などと連携した取組を推進します。

・地域の状況に応じた地域福祉を推進するため、「各区まちづくりビジョン」と連動させて区の特性やニーズに応じた取組の方向性を定め、活動や事業を展開します。
・身近なところで的確な相談や支援ができるよう、区保健福祉総合センターの機能を強化するとともに、関係機関・団体・事業者等とのネットワークをいっそう充実し、協働による取組を推進します。

  • 堺市全域

・各エリアでの活動や事業を推進するため、専門的な機能を発揮した支援を充実するとともに、各エリアの取組から課題を集約し、必要に応じて施策化などを行い、堺市全体の地域福祉を推進します。
・堺市だけでは解決できない課題については、周辺自治体や大阪府、国などとの協力をいっそう強化し、広域の協働による取組や制度の改善などを推進していきます。

2 取組の基本目標

 「計画の推進方針」の各項の考え方をふまえ、つぎの4つの基本目標に沿って、さまざまな活動や事業を体系的、計画的に推進します。

1 生活の“困りごと”を見つけ、支援につなぎ、解決します

・生活のなかでの“困りごと”や“生活のしづらさ”を抱える人が増えていくなかで、それらを早期に発見し、適切な支援につながるように、自分やまわりの人が気づき、その人にとって身近なところで相談できるしくみを広げます。

・どこに相談しても適切な支援につながるように、関係する人や組織などが連携し、情報を共有しながら、さまざまな課題を包括的に支えるしくみづくり、ネットワークやツールづくり、つなぐ力をもつ人材づくりを推進します。

・増大し、多様化する地域福祉の支援ニーズに的確に対応するために、土台となる公的なサービスを提供する体制を計画的に整備するとともに、地域のさまざまな支え手も参加、協働し、ひきこもりの人、発達障害などのある人、認知症の人、さまざまな環境に置かれた子ども、外国人住民などへの支援、犯罪や非行をした人の更生の支援なども含む、新たな課題や制度の狭間への対応をすすめ、さまざまな“困りごと”を解決します。

・“困りごと”を予防するために、健康で生きがいのある安定した暮らしがおくれるように、一人ひとりの主体的な取組を推進、支援します。

・“困りごと”を解決する取組が、支援を受ける人の意思を尊重し“自分らしい生活”をいっそう支えるものとなるよう、支え手の意識やスキルも高めながら、よりよいサービスや活動をめざします。

2 “ともに暮らすまち”づくりを、多様な人や組織の参加と協働ですすめます

・地域で暮らすさまざまな人が、心地よく“ともに暮らすまち”にしていくために、地域福祉や地域共生社会について知り、理解を深めて、「わがごと」として考えるための取組をすすめます。

・“ともに暮らすまち”づくりのひとつの出発点として、地域で暮らしているさまざまな人が孤立しないように、出会い、交流し、理解を深める場や活動を広げます。

・日常生活のさまざまな“困りごと”を、地域の力を活かして支えていくために、多様な人や組織が“できること・したいこと”で支え手となって参加できる場や活動を増やします。また、活動への関心を高めたり、参加の気持ちを後押しするなど、参加をすすめるための支援や、参加しやすい環境づくりを強化します。

・多様な人や組織が参加することで、各々の“強み”を活かして協働し、いっそう効果的に活動や事業を展開していくよう、地域福祉に関わる人や組織がつながる場を増やして話しあいをすすめながら、協働での取組を推進します。

・参加と協働による地域福祉を推進するために、さまざまな取組への支援を、地域の資源を活かして広げるとともに、活動する人のつなぐ力、支える力を高めるための取組を充実します。

3 すべての人の権利擁護を支えます

・すべての人の人権と、地域で安心して“自分らしく”生活するためのさまざまな権利を守るために、地域福祉に関わるあらゆる人や組織が、連携して取り組む体制を構築します。

・すべての人への権利侵害や虐待、暴力などを防ぐために、市民や関係者の理解を広げながら、予防と解決に向けた取組を強化します。

・判断能力が十分ではない人を支援する成年後見制度を効果的に活用するとともに、安心な生活を支えるさまざまな取組を通じて、“自分らしい生活”を支援する、積極的な権利擁護を推進します。

4 安心で、生活しやすい環境をつくります

・弱い立場に置かれがちな人を災害、犯罪、事故などから守り、だれもが安全に暮らせるまちをつくっていくために、一人ひとりの意識づくりや、いざというときに状況に応じた対応を行うための備えを充実するとともに、さまざまな人や組織がつながって支える安全・安心な地域づくりをすすめます。

・だれもが「わがごと」として地域福祉に関わり、地域での生活や社会参加ができるように、移動などがしやすいまちづくりを推進します。

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